ズレという名の 〜深淵の先に〜
人はなぜ違和感に、
反応するのだろう?
いつも聞いている音が、
少し違った時。
いつもある場所に、
いつもとは違うものがあった時。
そこに危険がなくても人は、
一瞬立ち止まる。
なぜならそれは
「知らないもの」ではなく
「知っているはずのものが、違っている」
からだ。
恐怖は、ただの危険回避ではない。
自分が持っている世界の前提と、
目の前の現実とのズレを検知する。
その仕組みだ。
夜の道。
いつも通る、いつもの道。
でも一つだけ。
街灯が消えている。
距離も広さも、変わらないのに。
急に、知らない道みたいに見える。
足が一瞬止まる。
理由はない。
でも進めない。
何が違うのか?
言葉には、まだなっていない。
ただ喉の奥に、気持ち悪さだけが残る…
ズレには、いろんな形がある。
壊れるズレ、というものがある。
前提が崩れて、そこで終わってしまうもの。
開くズレというものもある。
「なぜ?」という問い。
「こうしたら、どうなる?」
という発想。
そこから、
新しいものが生まれる。
気づかれない、
ズレというものがある。
本当は違っている。
なのに
「まあ、いつもと同じか」
で通り過ぎてしまう。
これが一番怖い。
ズレを感じる力、
そのものが擦り減っていくから。
気づかれない、
ズレはそこで終わらない。
つもって、
別の顔をして戻ってくる。
時間差のズレ、
というものもある。
その場では、
気づかない。
後になって
「あれ?あの時何か違っていた」
と遅れてやってくる。
ズレには、
いろんな形がある。
まだ名前の、
ついていないものもきっとある。
数えるほど、
数えきれなくなっていく。
これは、
思っていたより深い。
浅いところで名前をつけて、
安心していただけ
だったのかもしれない。
扉は閉まっている。
でも少しだけ、
隙間が空いている。
そこから、
何かが漏れている。
少しだけ、
覗いてみる。
奥は見えない。
どこまで、
続いているのか。
わからない。
わからないまま、
扉を閉じようとする。
その時気づく。
ズレが、
こちらをずっと見ていた。
背中を冷や汗が、
たらりと落ちる。
【ずれ虫】
虫がブレている
どうしてなんだろう
ふたつに増え
みっつになり
リンカク
かけない
気持ち悪いのに
目が離せない
あれが、
来たはずなのに。
何が来たのか、
言葉にならない。
音が少し遅れて
聞こえてくるんだ
触れられたはずなのに
カンショクだけ遅れてくる
生暖かくて
ぬるっとしてる
触られた場所は
そこじゃないのに
もしかして自分も
あれに、なっているんじゃないか
あーー
みんなと同じ速さで
歩けないんだ
足の裏の感覚だけ
みんなと違う
地面を踏んでるのに
自分だけ浮いている
わかってる
わかってるのに止まらない
このままズレていったら
どこに着くんだろう
叫んでも何も
変わらないのに
それでも叫ばずには
いられない
あれが、
悪い。
自分は、
悪くない。
そう、
言い切ってみる。
でも、
その声が。
もう、
自分の声じゃない。
震える、
その響きは、
あれの、
声だ。
息を吸っても
入ってこない
吐いても
うまく吐けない
呼吸のリズムまで
ズレてしまった
★あとがき★
日常の中でたくさんのズレがある。
とりあえず気持ち悪くなる。
だから直そうとする機能。
それだけなのだが。
とても気になるのが人。
いつもありがとうございます。🐕
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