
変人の雑学⑤ 〜人感センサー付き電球~
サラリーマンを卒業してから、家にいる時間が増えた。会社にいた頃は「早く帰りたい」と思っていたくせに、いざ一日中家にいると、今度は「家を快適にしたい」という謎の情熱が湧いてくるから不思議なものである。
趣味の3Dプリンタで作るものも、気づけばほとんどがその類いだ。リモコンホルダー、料理道具吊り、乾電池ストッカー、謎の収納ボックス。快適さのためなら労力を惜しまない。それが引退後の男の性らしい。
そんな快適グッズの中に、人感センサー付き電球がある。昔はけっこうな値段がしたものだが、今はそこそこの価格で手に入る。もちろんLEDである。時代は進んでいる。
最初はトイレだけで試した。というのも、我が家はトイレの消し忘れがけっこう多かったのだ。夜中、寝ぼけた頭で用を足し、スイッチを切ることを意識しろというのが、そもそも無理な話である。人間、寝ぼけているときに新しいタスクをこなせるようにはできていない。
採用後、驚くほど楽になった。スイッチを意識しなくていい。つまり脳のメモリを一つ節約できたということだ。地味だが、これが地味に嬉しい。そして「ああ、また電気代もったいないことした」という、あの小さな罪悪感からも解放された。いわゆる、便利になった、というやつである。
味を占めて、玄関、洗面所へと設置場所を拡大した。もはや我が家はセンサーだらけである。
ただし一点、注意が必要だ。来客時は必ず「トイレの電気、勝手につきますので」と説明すること。説明を怠ると、律儀なお客様がご丁寧にスイッチを切ってしまい、真っ暗闇の中で用を足すことになる。親切心が仇となる瞬間である。
ちなみにこのセンサー、猫にも反応する。深夜、洗面所の電気が突然つき、ぎょっとして覗くと、我が家の猫が悠然と歩いているだけ、ということがよくある。生活が便利になったのか、猫の監視カメラを導入したのか、正直よくわからなくなってきた。
まあ、それはそれで悪くない毎日である。