芋出し画像

『お父さん。だらしない人に思われるのはむダでしょ。
キチンずしなさい』
倧孊で䞀人暮らしをしおいる嚘から、垰省するなりいきなり叱られた。
肌が匱く、癜髪を攟眮しおいた頃のこずだ。
『“いけおじ”くらいでいいかな』などず䞀応お䌺いを立おおみるが、
圌女の奜みではないようだ。

 ä»Šæœå€§å­Šãžæˆ»ã£ãŠã—たったが、そんな圌女の姿を芋ながらふず、
ずいぶん昔の“キラキラした”眩しいような出来事を思い出しおいた。

ただ嚘がほんの小さな子どもだった頃の話だ。
いたでも時折、劻ずの䌚話に登堎する——
“カニしゃん”の蚘憶である。

 ã‚る日、持垫をしおいる父の友人から
『ワタリガニがたくさん獲れたから』ず、
かなりの量をいただいたこずがあった。
嚘は、ただ幌皚園にも䞊がる前だったず思う。

 ã€Žã‚«ãƒ‹ã—ゃヌん』
バケツに入れられたワタリガニを、圌女は飜きるこずなく、
目を茝かせお眺めおいた。
しかし、やはりその時はやっお来る。

そう——お料理の時間だ。

 é‹ã«åŒµã£ãŸæ°ŽãŒæ²žéš°ã—始めるころ、嚘も呚囲の異倉に気づく。
我々にずっおは“わくわくする瞬間”であるが、
嚘にずっおは決しおそのようなしろものではない。
そしお、かわいそうだからやめおほしいず、必死に懇願する。

 ç§ã¯å–っお付けたように“呜の尊さ”や“そこからの恵み”を、
幌児にも分かるように説明し、父芪を気取っおみせた。
だが、そんな理屈が圌女に届くはずもない。

 ãšã¯ã„え、カニさんたちの行き先は、すでに決たっおいる。

 æ³£ãå«ã¶åš˜ã¯ã€åŠ»ã«åˆ¥å®€ãžé€£ã‚ŒãŠè¡Œã‹ã‚Œã€ãªã ã‚ã‚‰ã‚Œã‚‹ã€‚

その間に、カニは茹で䞊がり、
やがお食卓に䞊ぶこずずなった。

 èµ€ããã‚Œã„になったずはいえ、
原圢をずどめたたたでは刺激が匷すぎるだろうず、
ささやかな配慮もする。
適床な倧きさに切り分け、嚘の前にもそっず皿を眮いた。

 ã»ã©ãªãã—お戻っおきた圌女は、目を赀く腫らし、
皿の䞊の“それ”を芋぀めたたた黙り蟌む。
その沈黙には、正盎なずころ、
こちらが身構えるほどの“脅嚁”があった。

 ãã‚Œã§ã‚‚我々は平静を装い、
『いただきたす』
『矎味しいねっ』
ず、い぀も通り食事を始める。

 ã‚„がお、呚囲の様子に抌されるように、
圌女も恐る恐るカニに手を䌞ばした。
先ほどたで『カニしゃん』ず呌んでいた存圚の、
その成れの果おだず知っおか知らずか。

 çš†ã®èŠ–ç·šãŒã€è‡ªç„¶ãšåœŒå¥³ã«é›†ãŸã‚‹ã€‚
疑心暗鬌のたた、぀いに圌女は“それ”を口にした。
するず、

『カニしゃん、矎味しいねっ』
悪びれる様子もなく、瞬時にこがれるような笑顔。

 ã‚のずき、嚘は初めお“呜の尊さ”ず“そこからの恵み”を、
頭ではなく䜓で受け取ったのだず思う。

 ãŸã ã—、ひず぀だけ想定倖のこずが起きおしたった。

 åœŒå¥³ãŒå€¢ã«ãŸã§èŠ‹ã‚‹ã»ã©æ€–ã„å­˜åœšâ€”â€”
それが“カニしゃん”になっおしたったのだ。
氎族通でも束葉ガニには近づかず、
スヌパヌの鮮魚売り堎では、
足をくくられお䞊ぶ姿から目をそらしお玠通りするずいう。

 ã‚あ、こんなこずを公然ず曞いおしたっお、
たた叱られはしないだろうか。
だが、ここたで曞いおしたった以䞊、
削陀するには忍びない。
若干の誇匵はあるが、虚停ではないし、
なにより私はこの話題が気に入っおいる。

 æ¬¡ã«åž°çœã—おきたら、
矎味しいものでも食べに連れお行こう。
もちろん、カニ料理は避けるずしお  
いや今でも、
食べる分には『矎味しい』ず蚀っおいたような気もする。

 è›‡è¶³ãªãŒã‚‰ã€åœŒå¥³ã¯çˆ¶ã«åŽ³ã—ã„ã ã‘ã®äººé–“ã§ã¯ãªã„ã€‚
呚囲ぞの配慮を忘れない、玠敵な女性に育っおくれた。

 ãã‚Œã‚‚これも、すべおは——
あの日の“カニしゃん”のおかげなのだろう。

 åš˜ãŒåž°ã£ãŸæœ¬æ—¥ã€é£Ÿå“に䞊んだカニにそっず感謝しながら、
懐かしい日々を思い出した。

『カニしゃん。本圓にありがずう。いただきたす』

できれば、圌女ぞの“呪瞛”も、
そろそろ解いおやっおほしいず願い぀぀。

いいなず思ったら応揎しよう