未練配達員
毎月お寺から小包が届く。
ハンコを押して受け取ると今日のはからからと軽かった。机に乗せてそっと紐を解く。中からは乳歯が出てきた。一筆箋に屋根に投げて欲しいとある。五階建てのマンションなのでお寺に出向くことにした。和尚さんに断りを入れて屋根に投げた。
父は歯並びが悪かったんですよね。
そうでしたか。気にされてたんですね。また何か届くんでしょうか。
どうですかね。故人が忘れ物を気にされてるうちはそうなのかもしれませんね。なかなか手間ですね。とおでこの汗を手で抑えた。
だけど、まあ1番安心してる人にしか届かないみたいなんで‥と気遣ってくれる。
帰り道、あまり可愛い親ではなかったけどなぁと白いアスファルトに負けそうになりながら水を飲む。貸金庫のパスコードだとか、愛人の電話番号だとかドロドロしたものが届く話は聞いたことがあった。
乳歯なんだぁ、、笑ってしまった。