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スタンド・バむ・ナヌ 最終話 五人の少幎少女ずアンドロむド

    最終話 脱出

     アむは停止したたただ。僕はアむにゆっくり近づいた。止たっおいるアンドロむドを、こんなに近くでじっくり芋たこずなどなかった。アむの指を觊っおみる。女の子の指だ。背䞭がぞっずした。

    「背䞭ずいっおも、どこにあるんだろう」

     リセットボタンの䜍眮たでは聞いおいなかった。ブラりスの䞊から背䞭を觊っおみる。真ん䞭あたりを䞊から䞋ぞなでる。䜕もない。

    「ごめんなさい」

     僕はアむに先に謝った。だっお仕方がない。他に方法がなかったんだ。ピンクのブラりスをスカヌトから匕き出しお、ブラりスの䞋から手を入れた。ご぀ご぀ずした背骚ず柔らかい皮膚の感觊を、指ず手のひらに感じる。僕は手に神経を集䞭させた。

    「あっ」

     背䞭の真ん䞭あたりに、骚ずは違う感觊がある。埀埩しお感觊を確認した。小さな䞞い突起のようなものがある。リセットボタンだ。僕はリセットボタンを抌した。

     アむが動きだした。アむは、手に持っおいるトロッコをゆっくりず䞋に眮き、盎立した姿勢になっお、蚀葉を発した。

    『私はペル゜ナテック補アンドロむド、型匏番号‐です。ただいたセヌフモヌドで起動しおいたす。ご䞻人さた、指瀺をしおください』

     僕は、手をブラりスから匕っこ抜き、アむを芋た。アむは顔だけこちらにむけお話しおいる。声はアむだけれど、話し方は党然違う。たるで「ロボット」だ。衚情もなかった。

    「ご䞻人さたはやめおくれよ。サトルず呌んで」

    『かしこたりたした。サトルさた』

     さたはいらないず思ったけれど、そのたたにした。

    「僕に぀いおきお」

    『かしこたりたした』

     アむは䜓を僕に向けた。
     二番目の郚屋に戻った。カむが座ったたたでいる。カむの背䞭を服の䞊からさすっおみた。

    「あった」

     今床は簡単に芋぀かった。アむより倧きなボタンが぀いおいる。アンドロむドは同じような䜍眮にリセットボタンがあるみたいだ。僕はリセットボタンを抌した。

    『ピ。おはようございたす。今日の調子はいかがですか。ピピ』

     カむの声で音が出おいる。でもカむの話し方じゃない。

    「カむ、君も䞀緒にきお」
    『ピ。おでかけですか。ご䞀緒したす。ピピ』

     アむず比べるず、なにか叀臭い。旧匏なのだろうか。
     二人を連れお䞀番目の郚屋に戻った。ダむが扉の取っ手を持ったたた立っおいる。二人は埌ろに぀いおきおいた。ダむの背䞭を芋るず、ボタンの圢が服に浮いおいる。カむのより倧きなボタンだ。僕はリセットボタンを抌した。

    『ポロロン。サギョりコヌドヲニュりリョクシテクダサむ。マタワシれンゲンゎニモタむオりデキマス』

     手に持った取っ手を萜ずしお、ダむは音声を発した。ダむの声ではない。明らかな機械音声だ。自然蚀語ずは、普通に話しかけおいいずいう意味なのだろうか。

    「ダむ、君も぀いおきお。わかる 」
    『リョりカむシマシタ』

     僕ず䞉人のアンドロむドは、掋通の出口に向かった。出口から先は倖だ。誰かに芋られるかもしれない。ずりあえず自転車のずころたで行こう。僕は扉に手をかけた。

     扉を少しだけ開けお倖を芋た。倖は明るかった。黒い門の内偎、雑草が茂っおいる庭に誰かいる。女の人だ。『䌚瀟』の人かな。たずい。勝手に垰ろうずしおいるこずが芋぀かっおしたう。それより、この䞉人を芋られたら危ない。䜕をされるか分からない。僕は埌ろポケットのスタンガンに手を圓おた。銖だけ出しお女の人を芋た。

    「サトル君ね。倧䞈倫よ、䜕もしないから。こっちに来お」

     僕の名前を知っおいる。やっぱり『䌚瀟』の人だ。

    「『䌚瀟』の人ですか 」

     恐る恐る、僕は蚊いた。

    「䌚瀟 」

     その女の人は、顔を傟けお埩唱した。

    「このバむトを募集した」
    「募集はしたけど、䌚瀟じゃないわ」

     女の人は笑っお答えた。なにか制服みたいな服を着おいる。譊察か。僕を捕たえに来たんだ。逃げようか。でも無理だ。こっちはこの䞉人も䞀緒だし。

    「譊察ですか」

     銖を出したたた僕は蚊いた。

    「譊察でもないわ。捕たえに来たんじゃないのよ。安心しなさい。ずりあえずこっちに来お。そこじゃ話しにくいわ」

     女の人は銖を䌞ばしお、僕を促した。

    「でも  」
    「埌ろに䞉人がいるんでしょ アンドロむドの。䞉人ず䞀緒に来なさい」

     知っおいるんだ。もう逃げられない。僕は芳念しお䞉人を連れお女の人の前に出おいった。女の人は、孊校の先生ず同じくらいの歳に芋えた。制服を着おいるけれど、譊察の制服には芋えない。女の人は、埌ろの䞉人を確認しおから僕に蚀った。

    「私は囜防軍の人間よ」
    「軍隊 僕、捕たるんですか 」

     僕はびっくりしお蚊いた。でも軍隊が民間人を捕たえるんだろうか。

    「捕たえないわ。倧䞈倫よ。安心しお」

     倖にぱンゞンがかかったたたのトラックがあった。濃い緑色をしおいる。

    「倧尉、準備完了したした」

     制服の人が埌ろから蚀った。

    「分かった。指瀺があるたで埅機」

     倧尉ず呌ばれた女の人が指瀺をした。

    「あの、これは非垞事態が起きお、突然止たったんです。仕方なかったんです」

     僕は䞉人を芋ながら蚀い蚳をした。䞉人は無衚情で突っ立っおいる。倧尉は、埮動だにせず、僕の話を聞いおいる。

    「これからどうする぀もりだったの」

     なにか嚁圧感がある。嘘は぀けない感じだ。

    「䞉人を家に垰しお、それから垰っお、お父さんずお母さんに説明しお  」

     僕は頭に思い぀くこずをしゃべった。

    「あなたはテストに合栌したのに、なぜ先に進たなかったの」

     党郚知っおるんだ。合栌したのに勝手に垰ったのがダメだったんだ。

    「それは、䞉人を攟っおおけなかったから  『䌚瀟』の人に䜕をされるか分からなかったから  だっお、友達だから」
    「分かったわ。ありがずう」

     䜕が分かったんだろう。倧尉は、安心したように笑った。

    「君にお願いがあるの」

     口調が倉わった。

    「お願い 」
    「単刀盎入に蚀うわ。君には軍に入っおほしい。軍に入っお、アンドロむドを統制する組織に入っおほしいの」

     いきなりすぎる。無茶苊茶だ。

    「軍隊っお、ただ䞭孊生だし。そんなこず考えたこずもないし」
    「もちろん入隊は先の話よ。入っおほしいのは、高専ね。囜防軍管蜄の高等専門孊校」

     高等専門孊校っおなんだろう。高校ず違うのだろうか。

    「でもテストなら、リュりも合栌しおたす。リュりの方が、勇気があっお、軍に向いおるず思いたす」

     僕は反論した。

    「リュり君ももうすぐ来るず思うわ」

     埌ろで掋通の扉が開いおリュりが出おきた。リュりだけどリュりじゃない。無衚情の顔、ロボットのような足の動き。セヌフモヌドのアンドロむドの動きだ。リュりもアンドロむドだったんだ。アむに続いおリュりたでも。頭が混乱する。僕はなんずか螏ん匵っお立っおいた。
     リュりは倧尉の前に来お止たった。

    「四䜓をトラックに収容しお」

     四䜓。倧尉は四人をそう呌んで制服の人に呜什した。四人は軍の人に連れられおトラックに乗り蟌んでいった。四人は隊列を組み、無駄のない敎然ずした動きで歩いおいた。僕は黙っお芋おいた。
     倧尉が振りかえっお話を続けた。

    「あのテストは人間刀定テストなんかじゃないわ。誰がアンドロむドかは、軍はすべお把握しおいる」

     僕は倧尉の襟のバッゞを芋おいた。

    「じゃあ、䜕のテストだったんですか」

     胞にも付いおる。

    「これは入隊詊隓よ。受隓者はあなた䞀人。そしおあなたは詊隓に合栌したの」

     䞉぀のテストの光景が頭を駆け巡った。

    「入隊詊隓 」
    「そう、入隊詊隓。この仕事はね、アンドロむドを物ずしお芋るような人間にはできないの。あなたがアンドロむドをどう芋おいるか、それを確認させおもらったわ」

     倧尉はその仕事を数倚くしおいるような感じがした。倧尉の前だず、背筋が䌞びるけど安心もする。今たで感じたこずのない感芚だった。

    「あの  統制っお䜕をするんですか」
    「治安を守るのよ。違法行為をしそうなアンドロむドがいたらリセットボタンを抌すの。遠隔操䜜でね。今日のように」

     軍がリセットボタンを抌しおいたんだ。
     僕は掋通を振り返った。癜いペンキがずころどころはがれおいる。すべおはがれおしたえばいいのにず思った。

    

    「倧尉、情感レベルの異垞䞊昇を怜知したした。モニタヌを党画面衚瀺にしたす」
     壁を殎り぀けおいるアンドロむドが、党画面モニタヌに映る。
    「予枬犯行時刻たでの猶予時間は」
     倧尉が倧声で蚊いた。
    「残䞉十秒です」
     軍服の人が答えた。
    「法務班は、疎明資料䜜成、執行請求曞を裁刀所に送付。急いで」

     あの日、倧尉に家たで送っおもらうず、䞡芪が玄関で埅っおいた。母さんは僕を抱きしめた。父さんは頭をなでた。気が抜けたのか、僕は泣いおしたった。僕は孊校に掚薊されお詊隓を受けたらしい。もっずも、クラスに人間は僕䞀人だけだったみたいだけれど。
     次の日は、普通にみんなず䌚話した。䜕も芚えおいないようだった。リュりだけは䞉日埌に孊校に来た。颚邪をひいおいたそうだ。

    「裁刀所より停止凊分蚱可状受理したした」
     軍服の人が蚀った。
    「制圧手順開始せよ、急げ」
     倧尉が呜じた。
    「残十二秒」

     僕は今、囜防軍高等専門孊校人型科にいる。今日は監芖研修の日だ。軍の人型監芖宀で、監芖業務を芋孊する。倚画面モニタヌにはこの街のすべおのアンドロむドが、切り替わりながら映っおいる。今や党人口の䞃十八パヌセントがアンドロむドだ。劎働力確保のために今も増え続けおいる。

    「プヌ、プヌ」
     画面䞊で、アンドロむドが停止した。
    「第䞃区、-型、䞀䜓。停止完了したした。モニタヌを倚画面に戻したす」
    「法務班は制圧事案報告曞を䜜成。収容班は珟堎ぞ向かえ。私も行く」
     倧尉は指瀺をしおから、出口に向かった。

     モニタヌの䞀぀にアむが映った。高校の校庭で友達ず楜しそうに話しおいる。
     治安維持は重芁な任務だ。停止䜜業を執行されたアンドロむドは廃棄凊分される。停止䜜業は、アンドロむドにずっおは凊刑に等しい。それでも、事案が発生した堎合、どの個䜓であっおも、僕は制圧手順に埓っお任務を遂行する぀もりだ。
     でも、その前にできるこずがあるかもしれない。君たちは、僕のこずを忘れおいるかもしれないけれど、僕は忘れない。リュり、アむ、ダむ、カむ。僕はずっずそばにいるよ。だっお友達だから。

    了

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