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我が家のラテアート検定

    夕食後、夫のラテアート訓練道場が始まる。

    一般家庭で輝きを放つ、マルゾッコのエスプレッソマシンからは、2杯同時にエスプレッソを抽出できるので、毎日2杯限定で練習を重ねている。

    夫は、わたしが携帯片手に録画している事も気に留めず、集中している。こちらは、カメラ越しから夫のパジャマが表裏逆であることに気付いてしまい、カップを持つ手元からタグ全開の腰まわりにグイン!とズームを切り替え、笑いを堪えるのに必死である。

    日中、夫は仕事をして夜はラテアートのクオリティを高めている。休日は自家焙煎。我が家には、更に輝きを放つ焙煎機もあるのだ。お風呂では愛読本を赤子のようにバスタオルに巻き、濡れないようにページをめくり学習に勤しむ。「濡らしたくないならさー、」と言いたくなるところだが、暮らしの中心となる大切な趣味を見つけた夫を、わたしは静かに見守っている。

    全くコーヒーに興味の無かった夫が、2年でなぜここまでたどり着いたのか、わたしには2.5倍速すぎてよくわからない域に達している。

    それに比べてわたしときたら、社会から離れた生活をしている。数字とぶつかるのはスーパーの買い出しくらいで、切迫する時間や過大な依頼に追われることもプレッシャーもない。頭の回転はフルからユルになっている。

    家族内の写真アプリを開くと、4歳の甥っ子は数字ドリルを開くようになっていた。小さな脳ミソをフルフル回転させ、何度書いても「く」を「3」と書いてしまう自分に涙目で悔やんでいる。ユルな叔母(私)は感心しかない。まだまだ、そのままでいてね。世の中の「3」を「く」と読めば、なんの問題もないのよ?と伝えたい。

    そんな中、ユルみの増すわたしは、毎晩のラテアート訓練道場にて脳トレを始めることにした。これは瞬発力が求められるだろうと自らを追い込み、高ぶっている。

    夫は「まずラテアートの基本として、ハートが描けるようになりたい!」と目標を掲げて練習をしている。もちろん簡単なものではなく、甥っ子同様に失敗を繰り返し悔しがる日々だ。

    時にミルクをこぼして、貴重な2分の1の1杯がパーになることもある。そのまた時に、注がれるカップを傾けすぎて、自分の手に出来立て熱々のカフェラテが降り注ぎ「ぎゃあああ〜!アチイィ〜!!」とシンクにカップを放り出して、おじゃんになることもある。(悲惨な図)

    その時わたしは、テーブルに伏せて笑いもがき苦しんでいるのだが、右手ではきちんと録画を回している。夫の専属カメラマンとして我ながら、しごできだ!

    しかし、「できない」という現実に対し、夫のマインドを下げてはならない。絶対にだ。

    なのでわたしは、マイネームイズ底上げ戦士として、日々のラテアートが何に見えるか、一瞬で考えて答えてあげる!(上から)という役割に就いたのだ。(勝手に)

    わたしに背を向けながら、台所でラテアートに集中する夫。「あ〜、だめだ。」と言いながら振り返り、カップをテーブルに置く。

    その瞬間!その瞬間に!わたしは考える!ssssすすすぐに答える!!

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    底戦「kkkkkkkkキ、キノコ!キノコできてるよ!」

    夫「あ〜、また失敗!」

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    底戦「え?雪だるまじゃん!すごっ!」

    夫「はぁ~いつになったら、ハートできるんだろう!」(イライラ)

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    底戦「いやいや!左上!ハートできてるから!おめでと!」(ニコニコ)

    夫「なんだよ、これ!」

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    底戦「え?アザラシだよね?」

    夫「ああ〜もう〜」

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    底戦「ココココケッコッコー!!」

    といった感じで、夫が嘆き凹む前に即答すべく、わたしは脳をフル回転させることに成功している。(勝手に汗汗)

    なにがどうなってそうなるのかは良くわからないのだが、静かな住宅街の5階では毎日芸術が生まれている。見ておわかりの通り、大爆発だ!

    アザラシの奇跡なんて腹を抱えて笑った。俄然、ハートより難易度Aだろう!むしろ、夫にしかできないのではないか?!(夫も二度と描けないけれど!)

    「まだそのままでいいんだよ?」と赤ちゃんに声掛けするかの如く、「まだハートできなくていいんだよ?」と思ってしまう妻兼、叔母兼、底上げ戦士。

    まさに、成長を感じる日々なのだ。

    出来たら出来たで、嬉しい!そりゃ嬉しい!大人になってからの成長なんて、めっちゃ嬉しい!わたしが台所で歓喜に沸く一方、「まだまだだよ。」なんて言いながら夫は片付けを始める。

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    その姿を見ながら、わたしはカップの向きをクイっと変えて「おしりだね!」と言うと夫も目を細めて笑う。上手くいかなくたって、こういう瞬間に我が家の平和を感じる。

    ストイックな夫の隣にいるわたしは、愛と平和を守る底上げ戦士だから。

    きれいなハートが完成するその日まで、わたしのラテアート検定も続くのだ。

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    夫がコーヒーにハマったことをきっかけに、noteを始めました。コーヒーと暮らし、旅、登山、読書。 夫婦ではじめる「LITTLE TRIP COFFEE」のことも☕️ note“今日の注目記事”掲載 「富士山頂からの便りでスイス旅行を思い出したんだよ」

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