大 竹 雅 彦
握れば握り返してくれるのだろう。
新幹線が名古屋駅に停車したときに
六十歳代の若々しい女性が孫と思し
き二十歳前後の女性と手をつなぎ、
隠せない嬉しさとその笑顔を輝かせ
て歩いてゆく姿をホーム上にみた。
いまから二十年ほどまえ。あの女性
は、あかごのてのひらがかえるの手
をしている、と言ってはじぶんの指
を差し出して、大きな指をかえるの
手が摑んでくれるのを歓んでいたの
ではないだろうか。わたしはそのよ
うな想像をしながらまったく初見の
ふたりの女性を眼で追っていた。花
束の少女の心に触れていたくって。