メインコンテンツへスキップ
見出し画像

魔女刈り


    甘野充さんのアマノ文筆クラブに参加させていただきます。


    「昔に比べれば随分と人道的になりましたよ」
    役人はそう言った。
    彼女は震えながら、自分の腰まである黒髪を抱きしめた。


    「バーベキューの場において、貴女はその魔法を使って火を起こした。周りには人が大勢いるのにですよ。昔だったら貴女が火あぶりになるところです」

    彼女は椅子に縛られ、ガタガタと震えていた。

    「今回は初犯ですので、三センチだけ切ります。娯楽の場とはいえ一応、人間の役に立つ魔法の使い方だったとの証言もありますからね」

    「もし、再犯ということになれば…ボブです」

    彼女の顔面は真っ青だ。

    「内容によっては…ショートですからね」

    「特に、ホウキを用いての公衆の場における飛行などしようものなら…」

    「…ベリーショートです」

    彼女の小刻みな震えが少し大きくなる。

    「勿論、人間に危害を加えるような魔法。例えば、人間をカエルに変えるなどすれば…」

    「…坊主です」

    彼女の震えが一段と大きくなった。

    「詐欺の類…例えば落ち葉を紙幣に変えるなどを働けば」

    彼女はゴクリと唾を飲み込んだ。

    「モヒカンですよ」

    そんな…
    絶望の嘆きが漏れる。

    「とりわけ黒魔術などを使おうものなら…」

    役人の語気も強くなる。

    「パーマ。パーマをあてます。チリッチリに」

    いやぁぁぁっ!!
    思わず漏れる絶叫。

    「それが嫌なら、今後は慎ましく暮らしてください。我々だって好きでこんなことをしているわけではないのです」

    そう言って役人はハサミを手に取った。

    「それでは…魔女刈りをはじめます」

     
     
    「聞こえるように独り言を」 そんなつもりで、エッセイ的なものやショートストーリーやらを書いています。 当ページはAmazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

    あなたへのおすすめ