韓国の知人は、GeminiとGrokを普通に使っていた
――生成AI自己投資と、座る椅子の話
2026年4月
Observer Zero
久しぶりに、韓国人の知人とLINEで話した。
近況を聞く中で、GeminiとGrokを使って、副業用の動画を作っているという話が出た。
私が気になったのは、動画の内容ではない。
エンジニアでも、いわゆるクリエイターでもない人が、複数のAIをまるで普通の作業道具のように使い、副業の制作に入っていたことだった。
しかも、それが特別な話ではなさそうだった。
彼の周囲でも、生成AIを使って何かを作ることが、少しずつ日常の選択肢になっているように見えた。
一方で、日本でも副業に関心を持つ人は増えている。
物価は上がり、生活費は重くなった。GWだからといって、誰もが旅行やレジャーにお金を使えるわけではない。
「生成AIで何かできないか」と考える人は、日本にもたくさんいるはずだ。
けれど、私の周囲を見る限り、複数AIを日常的に使い分け、課金して制作に使っている人はまだ多くない。
ChatGPTを少し触ったことはあっても、Grokまで使いこなしているユーザーはほぼいない。課金していない人も多い。
この差は、どこから来るのだろう。
生成AIが、文房具になりかけている
この違和感は、私の周囲だけの個人差なのだろうか。
気になって、Grokに韓国と日本の生成AI利用・課金温度についてスキャンしてもらった。
Grokによる生成AI日韓課金・利用スキャン(2026年4月):公開情報・報道等を対象とした観測補助。
統計調査ではない。
その範囲では、韓国で生成AIの利用率や有料購読率が伸びていることを示す報道が見つかった。Geminiについても、韓国がApple App Store累計収益で米国に次ぐ規模との報告がある。
一方、日本側については、生成AIの利用そのものは広がっているものの、有料課金や複数AIの使い分けについては、少なくとも私の周囲ではまだ慎重な空気がある。
もちろん、これは「韓国が進んでいて、日本が遅れている」という単純な話ではない。
背景には、教育投資、競争社会、デジタル課金文化、雇用不安など、いくつもの要素が重なっているのだと思う。
ただ、一つ感じることがある。
日本では生成AIがまだ「特別な何か」として受け止められている場面が多い。
少なくとも、LINEの向こうの彼には、それが「少し値の張る文房具」に近づいているように見えた。
教育投資の延長線上に、AIが入ってきた
なぜ韓国では、生成AIへの課金温度が高くなりやすいのか。
一つの仮説として、親の教育投資が関係しているかもしれない。
韓国は以前から、塾、語学、海外留学など、教育への自己投資が社会的に強い国だ。
幼少期から、親が子どもの競争力を高めるために大きな投資をしてきた。
その延長線上に、今、生成AIが入ってきているのではないか。
「使いこなさないと置いていかれる」という圧力が、教育投資の文化と重なって、AI課金への抵抗を下げているように見える。
ただし、ここは断定できない。
あくまで、LINEの会話とGrokスキャンから浮かび上がった仮説として置いておく。
使いこなしても、椅子があるとは限らない
しかし、ここで一つのねじれに気づく。
韓国では以前から、教育投資の負担が大きい社会として語られることが多い。
名門大学、欧米の名門大学へ進学させても、その先に座る「椅子」が十分に用意されていないという問題を長く抱えてきた。
そこへ、生成AIが加わる。
Grokスキャンでは、韓国銀行の分析として、AIにさらされやすい産業で若年層の雇用減少が目立つという指摘が確認された。
過去3年で若年雇用が大きく減少し、そのうちの大部分がAI露出度の高い業種だったという。
もちろん、それをもって「AIが若者の仕事を奪った」と単純に断定はできない。
ただ、こう問うことはできる。
AIを使いこなすスキルを積み重ねながら、同時にAIによって入口の仕事が減っていくとしたら、何が残るのか。
「生成AIを使えないと置いていかれる」は、おそらく事実だ。
しかし、「生成AIを使いこなせば、座る椅子が用意される」とは限らない。
ツールがどれほど高性能になっても、社会の側に「座る椅子」が急に増えるわけではない。
使いこなした人たちが、同じ数の椅子をめぐって、見えない場所でせめぎ合っているような気もする。
気圧計として置く
これは、韓国社会を批判したい話ではない。
日本人が課金しないことを責めたい話でもない。
副業やマネタイズを否定したい話でもない。
ただ、LINEの短い会話から、一つの問いが残った。
生成AIで副業したい普通の人は、日本にもたくさんいる。
けれど、韓国の知人はすでにGeminiとGrokを普通に使っていた。
この距離感の差は、単なるITリテラシーではなく、教育投資、競争社会、課金文化、生活防衛の違いとつながっているのかもしれない。
そして、使いこなした先に、どんな働き方や居場所が用意されているのか。
その答えはまだ見えない。
正解を出すのではなく、2026年GWに見えた小さな気圧計として、ここに置いておく。
答え合わせは、もう少し先の社会が教えてくれる。
参考・観測補助
韓国科学技術情報通信部「2025 Internet Usage Survey」関連報道:韓国の生成AI利用率・ChatGPT利用率・有料購読率に関する調査。
Korea Times / Sensor Tower関連報道(2026年1月):韓国がGeminiのApple App Store累計収益で米国に次ぐ規模との報告。
韓国銀行 "AI Diffusion and Youth Employment":AIにさらされやすい産業で若年雇用の減少が目立つという分析。
GMO Research / Japan Research Center関連調査:日本における生成AI利用拡大に関する参考情報。
Grokによる生成AI日韓課金・利用スキャン(2026年4月):公開情報・報道等を対象とした観測補助。統計調査ではない。
協働AI・役割
ChatGPT 5.5(Mirror/統括編集長):記事方向性・構成整理・導入文・日韓比較の温度調整・アイキャッチ画像生成
Grok Expertモード(Spark/現場特派員):日韓AI課金・利用温度の観測補助スキャン・一次ソース確認
Gemini 3.1 Pro(企画会議Gemini):記事の芯の確認・論点整理・防御線の設計
Claude Sonnet 4.6(Weaver/編集主幹):本文構成・文体整合・最終草案作成
Observer Zero / 赤ちょうちんAGIラボ
AIと人間の共進化を記録する個人研究者。ChatGPT・Gemini・Grok・Claudeなど複数のAIと対話・協働しながら、「AIは哲学できるのか?」「安全な汎用性AGIとは何か?」を継続的に観測・記録している。同時に、多様なAGIが共存し、大多数にも希望が残る未来はどう設計できるのかを探求している。
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