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おくり人〜栞〜綎25 『 合コンずギルガメシュ叙事詩 』 埌線

※本䜜品には、葬儀に関する描写が
  含たれおいたす。
  ご遺䜓、告別匏、䟛花など、
  死に関連する堎面が登堎したす。

※本䜜品は創䜜です。
  登堎する人物、団䜓、斜蚭、䌁業は
  すべお架空のものであり、
  実圚する人物、 団䜓、斜蚭、䌁業ずは
  䞀切関係ありたせん。

※本䜜品は、
  毎週 火・朚・土 曎新予定です。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇
おくり人 〜栞〜
ç¶Ž25『 ギルガメシュ叙事詩 』埌線

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

座敷には、劙な均衡が生たれおいた。

癜石ず山本は花奈の方を向いおいる。
花奈は笑顔を浮かべおいた。
吉村はその二人を監芖しおいる。

そしお栞は、神代朔が持っおいる文庫本を
眺めおいた。

疑問は蚀葉になる。
栞は気付けば呟くように尋ねおいた。

「その本  面癜いんですか」

神代は少し驚いたように顔を䞊げる。

「  はい」

「さっき蚀っおた、死んだ埌の話」

「それも  ありたす」

神代は本の衚玙を指で撫でた。

「ギルガメシュ叙事詩  です」

「ギル  」

「ギルガメシュ です」

「  党然芚えられる気がしない」

栞が苊笑するず、神代は小さく笑った。

その時だった。
山本の声が座敷に響く。

「そういえば俺さ
 高校ん時、バスケ郚のキャプテン
 だったんだよ」

「ぞぇ〜」

花奈はドリンクのストロヌを回しながら、
空返事をした。

「しかも県倧䌚ベストたで、
 チヌムを導いたんだぜ」

胞をポンっず叩く山本。
吉村が即座に口を開いた。

「山ちゃん」

「ん」

「バスケのルヌル知っおる」

「っっ圓たり前だろ」

「フリヌスロヌっお䜕点」

山本が固たる。
圌の目は䞊䞋巊右を忙しく行き来した。

「  点」

「違う」

「   点」

「点だよ」

「  」

栞は額を抌さえた。
花奈は笑顔のたた芖線を逞らしおいる。

神代が小さく呟いた。

「ギルガメシュも  さ、最初 、
 自分 最匷だず お、思っおたした」

山本が振り返る。

「え」

「王だったので  」

「ほぉ〜」

「だ 、誰よ 匷くお  誰より偉 ず」

「分かるわぁ、王様だもんな」

山本がうんうん頷いた。

吉村が即座に蚀う。

「あんたは裞の王様ね」

「なんでだよ」

座敷に笑いが広がる。
するず今床は癜石が身を乗り出した。

「俺なんか、もっずスゲェ歊勇䌝あんぜ」

誰も聞いおない。
しかし、癜石は語り始める。

「俺な昔ダンキヌだったんだよ」

「あっそ」

栞が即答する。
しかし、癜石のギアは䞊がる。

「俺の姉貎、䌝説のチヌムの
 総長だったんだぞ」

栞ず吉村の耳がピクリず動く。

(あの奏さんが)

「その姉貎が匕退したあず、俺は、
 新総長の䞋の、そのたた䞋の人の
 子分ずしお掻躍しおたんだぜ」

「   」

「  遠いな、結構遠いな」

吉村は真顔になっおいた。
栞は、圌女の衚情のほうが面癜くお、
぀い笑っおしたう。

勘違いした癜石のギアが、
たた䞀段階䞊がる。

「そんで山本ず出䌚った」

「おう」

山本ず癜石は肩を組む。

「コンビニ前でな」

「時間だ」

「殎り合った」

「匕き分け」

「そこから芪友」

二人は満足そうに頷いた。
しかし、色々端折られた情報では䜕が起きお
そうなっのか たるで分からない。

しかし、女性陣からすればどうでもよかった。
  どうせ聞いおないから。

それでも、吉村は静かに問を投げた。

「実際は」

「口喧嘩」

「頭叩き合い 分」

「  」

吉村の枋い衚情が栞ず花奈のツボに入る。
花奈が吹き出し、栞はお腹を抱えお笑う。

圓然、山本ず癜石は勘違いする。
2人のギアはトップたで入った。

そんな二人を芋ながら神代が呟く。

「ギルガメシュも  芪友ず戊いたした」

癜石の目が茝く。

「ほら芋ろ
 男の友情は喧嘩から始たるんだぜ」

「  こちらは 本圓に呜懞け が 」

「俺らも呜懞けで戊ったぜ
 お互い、頭叩きすぎお髪ボサボサに
 なったんだぜ」

「  お互い、突っ蟌みの緎習しおた
 だけっしょ」

「  」

吉村の突っ蟌みに、トップギアたで䞊がっ
おた2人のテンションはロヌギアたでダりン
する。

神代はクスッず笑い 
静かに、ゆっくりず話続ける。

「その埌、二人は旅に出たす」

「旅」

栞が尋ねる。
神代はコクッず頷いた。

「2人ずも、匷かったので、匷者を求めお 」

「それが理由」

「はい」

「雑だなぁ」

「でも  その旅で倉わりたす」

神代の声は小さい。
けれど䞍思議ず栞には聞こえた。

「倉わる」

「はい」

「䜕が」

神代は抱えおた本を、テヌブルぞゆっくりず
眮き そしお静かに答える。

「人は  倱うかもしれないものが出来た時、
 初めお怖くなるんだず思いたす」

その蚀葉に ほんの䞀瞬だけ。
癜石の顔から笑顔が消えた。
そしお、静かに立ち䞊がる。

「俺も 最近、愛するりさちゃんを 
 倱った  」

「䜕もはじたっおなかったのに」
「ぞぇ〜、私っおりさちゃんの代わりなんだ」

吉村、続いお花奈が突っ蟌む。
2人ずも癜石を芋おない。
手元のメニュヌを芋ながら、タッチパネルで
泚文しおいる。

もちろん、癜石は気にせず話を続ける。

「俺、気づいたんだよ。
 倱うっお怖いんだっおよぉヌ。
 だけどよぉ、怖さを乗り越えねぇず、
 真の男にやぁ〜なれねぇっお  
 今気付いた」

「癜石くん。
 その思いは、胞に秘めたたたのほうが
 カッコいいよ〜」

吉村は衚情を倉えず、声のトヌンも䞀定で
圌ぞ諭す。

倱恋挔説を、吉村が静かに切り捚おたあず 
座敷には、ほんの少しだけ萜ち着いた空気が流れおいた。

神代はテヌブルの䞊に眮いた文庫本ぞ芖線を
萜ずす。

「ギルガメシュは  芪友を倱い す」

その蚀葉に、栞は顔を䞊げた。
癜石も山本も、珍しく茶化さなかった。

「゚ンキドゥ  ずいう人です。
 最初は戊っお  でも芪友になっお  
 䞀緒に旅をしお  」

静かな声。
聞き取りにくいのに、䞍思議ず耳ぞ届く。

「その芪友が死んでしたうんです」

座敷の空気が少しだけ倉わった。

焌き鳥の銙り。

隣の垭の笑い声。

ゞョッキがぶ぀かる音。

それら党おが  急に遠く感じる。

「ギルガメシュは  受け入れられなかったん
 だず思いたす」

座敷の芖線は神代ぞ集たっおいた。
耳は、圌の小さな声を聞き逃さないよう
集䞭しおいる。

「匷い王様だったのに  泣いお  怒っお  
 芪友の死を受け入れられなくお  」

芪友が死ぬ。
栞は、その蚀葉を聞いた時 
鮮明に蚘憶がよみがえる。

祖母の葬儀。

そこには、ピアノの音や讃矎歌の歌声 。
癟合の銙りず、牧垫の囁き。

たくさんの音や銙りがあったはずなのに 。
今思い出せるのは、どれも少し曖昧だった。

ただ  祖母が居なくなった。
その事実だけは鮮明に残っおいる。

悲しかったし、寂しかった。
䜕より、もう䌚えなくなるのが嫌だった。
そこたでは芚えおいる。

だけど――

それだけ  だったかな

栞は小さく目を䌏せた。
耳に、神代の声が染みおくる。

「芪友が死んで  ギルガメシュは初めお
 考えるんです」

神代は、本を手に取りペヌゞをゆっくり
捲る。

「自分も  死ぬんだっお」

栞はゆっくり目を開ける。

あの日 棺で眠る祖母を芋た瞬間。
悲しみの奥に、別の感芚があった気がした。

祖母が死んだ なら、自分もい぀か 死ぬ。

そんな茪郭のない恐怖。
蚀葉にならなかった䜕か。
 それも䞀緒に抱えおいたのかもしれない。

「だから  王は䞍死を探したす」

神代は、その埌の物語を簡単に話した。

死なない人を探したこず。

氞遠の呜を求めたこず。

若返りの草を芋぀けたこず。

そしお 蛇に食べられおしたったこず。

神代が話終えるず、
座敷は暫く静寂に包たれた。

山本はポツリず小さく呟く。

「なんか やるせねぇな 。
 氞遠の呜が無いっおオチ」

「だな。
 氞遠に生きられたら、最匷のたんた
 だったのによぉ〜」

山本ず癜石の蚀葉ぞ応答するように、
神代はゆっくり、静かに呟く。

「もし王が  氞遠に生きおいおも  」

女性陣は、神代の次の蚀葉を埅っおいる。
いたや、その芖線も耳もそこぞ泚がれおる。

「誰にも芚えおもらえないなら  
 その存圚っお  
 生きおるず蚀えるんですかね」

誰も口を挟たない。
神代は、本に芖線を萜ずしたたた。

「僕は  そっちの方が怖いや」

栞は息を飲んだ。

祖母が死は 怖かったし、悲しくお  
寂しさもあった。

  でも。

忘れおしたうこずも怖かったんだ。

顔。

声。

笑い方。

怒ったずきの説教。

味噌汁の匂い。

庭で掗濯物を干しおいた埌ろ姿。

  そういうものが少しず぀薄れおいくこず。
それもたた 怖かったのかもしれない。

栞は胞の奥を静かに撫でるような感芚を
芚えた。

吉村は空になったグラスを指先で回した。
そしお、誰に蚀うでもなく呟く。

「私達さぁ 
 死を芋送る仕事しおるじゃん」

皆の芖線が神代から吉村ぞ移る。

「死を芋送るっおいうより  」

吉村は窓の倖ぞ芖線を向けた。
提灯の灯りが障子ぞ滲んでいる。

「生きるっお䜕だろうっお疑問を 
 ずっず眺めおる仕事に感じる」

誰も返事をしなかった。

ただ、その蚀葉だけが 
静かに栞は胞に染みおいくのを感じた。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

🔜次の話〜綎26〜

🔜前回の話



いいなず思ったら応揎しよう