☔️雨の日の鍵紛失トラブル
「き」が無い!?
9月29日。台風26号に刺激されて停滞している秋雨前線の影響で、朝から本降りの一日。8月27日から続く連続降水日数は34日に達し、統計開始以来最長の連続雨降り記録を更新したという。青空はどこにいったのだろう。そんなことを思いながら、雨ばかりの毎日に、なんとなく気持ちまで湿ってしまう。
そんな雨の日の夕方、雨が一番ひどく降っている時間帯、母から電話がかかってきた。声のトーンと息遣いから、かなり慌てていることが伝わってくる。
「大変なことが起きた」「どうしよう」そして、「『き』が無いのよ」
「き」がない?一瞬、頭の中に、雨で土台の土が崩れて、庭の「木」が倒れた光景が浮かんだ。だが話を聞いていると、どうやら「き」ではなく「キー」、鍵のことだった。キーホルダーごと、どこかで落としてしまったらしい。
雨が降ろうが日課の通院
この大雨の中でも、母はいつものように通院していた。午後から接骨院と皮膚科をはしご。緊急性のない日課のような通院なので、雨で予定を変えるという発想はないらしい。帰り途中どこかの時点で、バッグの中にキーホルダーがないことに気づいた。そこから、足元の悪い雨の中、来た道を戻り、落としていないか探したという。接骨院にも確認し、病院の受付にも忘れ物がないか尋ねた。それでも見つからない。どこにもないとわかったところで家に向かう途中、私に電話をしてきたのだった。
「大丈夫、大丈夫。私が合鍵を持っているから」。そう言って、ちょっとパニック気味の母を宥める。ただ、私の家から母の家まではすぐに行ける距離ではない。「雨の中で待つのは寒いから、家に戻らずどこか商業施設に入って雨宿りしていて」
そう伝えても、頑固でせっかちな母は、「家の前で待ってる」と言って聞かない。仕方がない。預かっている合鍵を探し、レインコートを着て、家を出る準備をする。配車アプリでタクシーを呼ぼうとするけれど、雨の夕方だからなのか、なかなかつかまらない。少し時間がかかるからと母に伝えようと思った、そのとき、電話が鳴った。「門の前に落ちてた!」結局、私は出かけずに済んだ。
心配と小言の境界線
家の中に入れて、一息ついたのだろう。また母から電話がかかってきた。
「今までこんなこと、なかったのに」
「今まで何でもなかったことが、これからは起きることもあるんだから」
そう言いながら、私もいろいろと言ってしまう。パンパンに物が詰まったバッグではなく、もう少し荷物を減らして、すっきりしたバッグにしてほしい(多分完全に閉まらないバッグの口から落ちた)。それに、今日のような雨の中、無理に外出しない、ましてや傘を差しながら下を向いて、落とし物を探しながら歩くなんて危ないことはしないでほしい。何か問題が起きたら、自分でなんとかしようとせず、すぐに電話してほしい。
こちらの要望を伝えながら、ふと思う。これって、ちゃんと「心配している」ということが伝わっているのだろうか。たぶん母には、「またいろいろ言われた」としか聞こえていないかもしれない。心配すればするほど、こちらは口うるさくなる。そして言えば言うほど、母は「大丈夫よ」と言い返してくるのはわかっているのだが……。後期高齢者の対応は難しい。
それにしても、「大変なことが起きた」と電話をうけた時には、怪我でもしたかと一瞬緊張した。最後はなんとも拍子抜けする結末だったが、何はともあれ無事見つかってよかった。
