
【小説】アンチ・アンチ・アンチ 4
アンチのアンチになろうと思った。
【悲報】花屋敷蛭寝、永眠 part.4 【Vtuber】
「男か?」
「↑配信に男の声が入ってたよな?」
「その配信みたけどガチ」
「犬って言ってただろ」
「そもそも、急に飼い始めた時点でね、、、」
「男の声だったぞ」
「てか今年で何人目?運営ちゃんとしろよ。」
「わかる。配信する奴を潰してどうする」
「まじめすぎたんじゃね?配信し過ぎ」
「とりあえず義務みたいになってた昼の虚無配信ヤメロ」
「お蛭ねなくなったら毎日楽しみにしてたニートのワイ涙目」
「蛭寝いいやつだったよ…」
「蛭ねは特別な才能はないけど、その『平凡さ』が良かったんだよなあ、、、」
「↑わかる」
「蛭ねがこのまま引退したら、俺は何を見たらいいんだ、、、おまえらのおすすめ教えて」
「ぷぅこ」
「ことりは初期のひるねみたいな雰囲気ある」
「↑ことりは虚無」
「↑蛭カスもだろ」
「お前、休止してるライバー叩いて楽しいのか?人生暇そうで羨ましいわw」
「蛭友さん必死で草」
「誹謗中傷もほどほどにしろよ。運営に訴えられるぞ笑」
「蛭ねは絶対に性格悪いと思うわ」
「ポラリスとかいうひろぴを放置している無能運営」
クズどもは笑っていた。
それはそれは楽しいことが起きたと、高揚感にあふれるクズどもの感情が文章から伝わってきた。
昼ちゃんの活動休止はこいつらにとってお祭りなのだ。
昼ちゃんに何か辛いことがあった。
それが嬉しくて、嬉しくてたまらないのだ。
「どうせ彼氏と別れたんだろwww」
見るに堪えなかった。
「蛭ねの母です。皆さん、誹謗中傷はやめてください。」
人はこんなに邪悪になれるのか?
「蛭ねは虚無だからいなくなってヨシ!」
反射的にスレを閉じる。
世界中の人々が花屋敷ひるねの卒業を喜んでいる。
そんなはずがないのに、そんな気分になった。
なにか間違ってないか?
こいつらが、なにも罰を受けないのは。
昼ちゃんの悲しみと、その同等分の悲しみをこいつらに与える。
昼ちゃん本人は絶対にそんなことはしないだろう。
やり返すような子ではない。
だから、自分が。
時間は無限にある。
仮に逮捕されれば、善良な両親は悲しむかもしれない。
だが、逆に言えば両親以外に自分を悲しんでくれる人なんていない。
自分と言う生きる価値のない人間がいなくなったって、世界は変わらない。
でも昼ちゃんは違う。
自分のように昼ちゃんの配信が生きがいの人間がこの世には大勢いるのだ。
だから、自分が。
自分以上にクズどもに正義の鉄槌を下す適任者はいない。
むしろ、このために自分はこれまで、おめおめと生きてきたのだとさえ思える。
目には目を。歯には歯を。
悪を持って、悪を裁く。
そうだ、これは天誅なのだ。
「天に代わって裁きを下す。」
これは正義だ。
昼ちゃんを含めたライバーたちはプロだ。常に個人情法がさらされるリスクに気を使いながら配信しているのだ。仮に住む家などが特定されるようなことがあれば、一発で致命傷になりかねない。
だが、このスレに張り付いてるやつらは素人だ。
自分達が誰かに監視されている可能性なんて1ミリも考えていないだろう。
ひとりだけでいい。
こいつらの所在を見つけ出して、天誅を下すのだ。
そしたら、クズども気づくだろう。
自分たちが何をしていたのかを。
誰かに危害を加える奴が、逆にやり返されても文句は言えないだろ?
探す。探す。
誰を見せしめの対象にするか。
だ、れ、に、し、よ、う、か、な
天の神様の言うとおり。
「ひろぴ」
馬鹿の中にも特大の馬鹿と言うものがいるものだ。
ひろぴは主にRwitterで活動している昼ちゃんのアンチだった。
さかのぼると、5年ほど前からこのアカウントを使っているようだ。
こいつのつぶやきは多岐に渡った。
見ているアニメ、バイト先の嫌な奴、授業のこと、爆死したガチャ、家族のこと。
そして、昼ちゃんの悪口。
ざっとみたところ、大学生か?
大きな収穫があった。
野良猫の写真だ。
ひろぴはどうやら猫が好きらしい。
背景にわずかながら近所の風景が写っていた。
良かった、こいつが馬鹿で。
こいつが住んでいる場所を特定できるかもしれない。
まずは、ひろぴが上げている写真を全て保存する。
そして念入りに写真を確認する。
どこかに町名などは写りこんでいないか?
昔、街中の写真から、その場所を特定するゲームが流行った。
自分には信号機やら、道の情報で詳細に特定する人たちが理解できなかったが、できる人がいるということは不可能ではないということだ。
時間ならある。
どれだけ時間がかかっても、こいつがいるところを突き止める。
どんな顔をしているのだろうか、昼ちゃんのアンチというのは。
こいつらの心を映したような醜悪な顔をしているのだろうか?
その答え合わせが、もうすぐできる。
SNSを漁っていると、どんどんひろぴの事を知っていく。
こいつつぶやき頻度はもはや依存症と思えるレベルで、自身の思考をそのまま垂れ流しているかのようだった。
去年、父親が亡くなったらしい。
こういうものなのだろうか?
誰もが見れる場所に、楽しい事も、辛いことも、良いことも、悪いことも、全て垂れ流して。
共感を欲しているのだろうか?
誰かに理解されたいのか?
理解できない。
理解できないがつぶやきのおかげで、こいつの事が自分の中でリアルになっていく。
こいつの人物像が見えてくる。
そこで、自分の中で芽生えた殺意が少し揺らぐ。
こいつらも生きているのだ。
でも、
それでも。
自分が思い悩んでいる時に、いつも背中を押してくれる存在。
それは、昼ちゃんだった。
自分は、昼ちゃんのために何ができる?
どこまで行ける?
どこまで踏み込める?
ここで示すのは、自分の昼ちゃんに対する「愛」だ。
愛だ、正義だ、裁きだ、報いだ。
だって、お前らも同じことしてんだぜ?
画面越しの人間なら、どれだけ傷つけても大丈夫なのか?
人の心を踏みにじってもいいのか?
心の傷は目に見えない。
だからと言って、何をしてもいいわけではないのだ。
心の傷を、想像力のないお前らでも分かるように。
目に見える形で、お前らに刻み込んでやる。
言葉はナイフだ。
それを振り回しているやつらに、
同じことをするだけだ。
ひろぴ。
お前をお前の親父と同じところに、送ってやるよ。
だってゴミがひとりいなくなったところで、誰も困らないだろ?