『Renaissance』文化論 ④Renaissance World Tourは“クラブ空間”だった
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1. はじめに ― 銀色を着た観客が集まった、その先
前回は、『Renaissance』を彩った銀色を追いながら、Beyoncéが観客に銀色の服を呼びかけ、「きらめく人間のディスコボール」「互いの喜びを映し合う」と表現していたことを見てきました。
では、その観客が実際にスタジアムへ集まったとき、どんな空間が生まれたのでしょうか。
Renaissance World Tourには、Club Renaissanceと名付けられた観客区画がありました。ステージにはballroomに関わるパフォーマーたちが立ち、voguingも披露されました。そして観客も、服装だけでなく、歓声や踊り、ときには一斉の静寂によって公演に加わっていきます。
今回は銀色の意味をもう一度考えるのではなく、Club Renaissanceの実際の配置、ステージと観客の関係、The DollsやHoney Balenciagaのパフォーマンス、そしてBeyoncé自身の言葉をたどります。
Renaissance World Tourを“クラブ空間”と呼ぶことはできるのか。まずは、Club Renaissanceが実際にどんな場所だったのかから見ていきます。
2. Club Renaissanceは実際にどんな場所だったのか
Renaissance World Tourには、「CLUB RENAISSANCE EXPERIENCE」という公式VIPパッケージがありました。
VIP Nationの案内には、先行入場ができるVIPリストバンド、Club Renaissance内のキャッシュバー、専用ギフト、VIPスタッフによる案内などが記載されています。Club Renaissanceは、販売上も明確にVIPエリアでした。
ただし、特徴は特典だけではありません。
ツアーの舞台制作に参加したTAITによると、メインステージから伸びた通路はB-stageへつながり、その周囲には直径137フィート、約42メートルの円形ランウェイが設けられていました。Club Renaissanceの観客は、そのランウェイの内側に入ることができました。
TAITはこう説明しています。
“Within the runway, fans could enter through egress tunnels into Club Renaissance”
137フィートという数字はClub Renaissance自体の直径ではなく、B-stageを囲むランウェイの直径です。それでも、観客のための区画がステージ動線の外側ではなく、円形ランウェイの内側に置かれていたことは分かります。
Club RenaissanceはVIPエリアでありながら、その配置にも特徴があったのです。
では、制作側は、この舞台と観客の関係をどのように説明していたのでしょうか。
次に、ステージを手がけたSTUFISH自身の説明を見てみます。
3. 「観客とパフォーマンスの境界」――STUFISHが語った舞台設計
Renaissance World Tourのステージデザインを手がけたSTUFISHは、舞台について、湾曲したメインステージ、円形のキャットウォーク、その中央に置かれたClub Renaissanceなどを説明しています。
その中で、STUFISHはこんな言葉を使っています。
“The stage space expands into layered banquette seating, blurring the boundary between audience and performance.”
「観客とパフォーマンスの境界を曖昧にする」というのは、舞台を手がけたSTUFISH自身の説明です。
もちろん、スタジアムの客席とステージの区別がなくなったわけではありません。Club Renaissanceに入れたのも観客の一部です。
それでも、前章で見たように、円形ランウェイの内側には観客がいました。そして、そのステージに立っていたのはBeyoncéだけではありません。
Renaissance World Tourには、The Dollsと呼ばれる4人のダンサーが出演していました。
【ここからは有料です】
ここからは、実際にそのステージに立っていた人たちを見ていきます。
The Dollsとは誰だったのか。ballroomに関わる出演者は、Renaissance World Tourで何を見せていたのか。そして、観客はそのパフォーマンスにどう加わっていったのか。
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『Renaissance』を起点に、Beyoncéの作品を文化史・社会史の視点から読み解くシリーズです。 本シリーズでは、アルバム『Re…
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