なぜビヨンセは“骨”を纏ったのか ― メットガラ2026考察
メットガラ2026──「Fashion is Art」が掲げた舞台
現地時間2026年5月4日(月)、メットガラ2026がメトロポリタン美術館で開催されました。メットガラは毎年5月の第一月曜日にニューヨークのメトロポリタン美術館で開催されるファッションの祭典であり、チャリティーイベントでもあります。1948年から続く歴史あるイベントです。
2026年のテーマは「Fashion is Art(ファッションはアート)」。
日本からは女子プロテニス選手の大坂なおみさんが出席しました。
名誉共同議長(honorary chairs)はアマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏とローレン・サンチェス氏の夫妻が務め、共同議長(co-chairs)はアナ・ウィンター、ビヨンセ、ニコール・キッドマン、ビーナス・ウィリアムズが務めました。
本記事では、その共同議長の1人であるビヨンセに焦点を当てていきます。
“10年ぶりの帰還”と、ビヨンセの第一ルック
ビヨンセは今回を含めて8回目の出席となります。
今回は約10年ぶりの参加ということもあり、その登場と衣装には大きな注目が集まっていました。
今年の1着目は、オリヴィエ・ルスタンによるクリスタル装飾の骸骨風ネイキッドドレス。
そこに巨大な羽根付きケープとクリスタルクラウンが組み合わされ、まるで女王のような圧倒的な存在感を放つルックでした。
「骨格をあえて見せる」という挑発的とも言えるデザインは、“ファッションはアート”という今年のテーマを強く意識させるものでした。
オリヴィエ・ルスタンとの関係性──“忠誠”が生んだルック
オリヴィエ・ルスタンは元Balmainクリエイティブディレクターであり、長年ビヨンセと数多くのコラボレーションを重ねてきたデザイナーです。
2018年に行われた野外音楽フェス、コーチェラフェスティバルでビヨンセは黒人女性初のヘッドライナーを務めました。
その際ビヨンセやダンサー、バンドメンバー、Destiny’s Child再結成ルックに至るまでの全ての衣装を、当時Balmainのクリエイティブディレクターだったオリヴィエ・ルスタンがデザインしました。
さらに、2023年のRenaissance World Tour時にも17着にも及ぶオートクチュールコレクションを共同制作しています。
ルスタンは2025年11月5日まで14年間Balmainに在任しており、今回のルックも、そうした長年のコラボレーションを経て生まれたものです。
2026年メットガラでのVogueのインタビューでビヨンセはこう語っています。
I’m wearing Olivier Rousteing, who is someone that’s been so loyal to me.
And I’ve done so many iconic looks with him.
So it’s really about representing him.
一緒にたくさんのアイコニックなルックを作ってきました。
だから彼を代表するようなルックにしたんです。」
続けて、ドレスのテーマについてはこう答えています。
And celebrating bodies… all the different bodies: juicy, curvy, thin, whatever body God gave you.
ジューシーでカーヴィーなもの、細いもの、神様が与えてくれたどんなボディも。」
ブランドを離れた直後だからこそ、“loyalty(忠誠・友情)”という言葉がより印象に残ります。
なお、ケープを整えていたドレッドヘアの男性は、Destiny’s Child時代からビヨンセを支えてきたスタイリスト、タイ・ハンターです。
インスピレーションの源としての「クレオール的視点」
また、ビヨンセや関係者が言及した訳ではありませんが、一部ではこんな考察もあります。
キャロライン・デュリューの1944年の作品である「The Visitor」からインスピレーションを受けているのではないかというもの。

「The Visitor(1944年、別名 Night Visitor)」
キャロライン・デュリューはルイジアナ出身のアーティストで、Creole(クレオール)というルーツを持っている人物です。
実際の絵を見て頂くと、衣装との共通点を感じて頂けたと思います。
また、ビヨンセも母方にルイジアナ・クレオールのルーツを持つとされています。
ルイジアナにおける「クレオール」は、植民地時代から続く歴史的・文化的背景を持つ複雑な概念で、ヨーロッパ系、アフリカ系、混血の人々など、時代や文脈によってさまざまな人々を指してきました。
アルバム『B'Day』のデラックス・エディションなどには「Creole」という楽曲が存在し、自身のルーツへの言及は以前から作品の中に見られます。
“身体”と“ルーツ”が交差するファッションとしてのメッセージ
ビヨンセは肌の色が比較的明るいことから、過去には黒人コミュニティ内で複雑な視線を向けられてきたとも言われています。
ここからは、ビヨンセのルーツや「身体」の表現について、もう少し踏み込んで考えてみたいと思います。
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メットガラ2026に約10年ぶりに登場したビヨンセ。 クリスタルで“骨”を描いた第一ルック、会場内で披露された“星の夜景”のような第二ル…
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