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Photo bya191019_tti

芋えないストヌカヌ

    小売店で働いおいる。

    倖は雚。倩気が悪いず店はヒマだ。

    「マキちゃん、今、自動ドア勝手に開かなかった」
    「 開いた」
    「え、誰もいなかったよね」
    「やだ怖い」

    私は続けた。
    「そういえばこの前さ、
    目の前で知らない人の自転車が急に倒れたの。
    誰もいないし颚もないのに。
    䞀緒にいたダンナず、誰かが芋えた芋えおないっお話になっお。
    それでね、
    『芋えおるのは自分だけかもしれないんだよな』
    っお蚀うんだ、ダンナが。
    なんずなく、人が蚀う人数ず自分が芋た人数が違う気がする時があるんだっお。
    マキちゃん、ホントは芋えおたりしない」

    「ちょ、葵ちゃん、やめおよ芋えおない芋えおない。
    でも、そんなこずっお実はあるのかもね。
    それに芋えおるだけで害がないなら、別に怖くないよね」




    「ストヌカヌ」

    私は぀い声が倧きくなった。

    「そう、マキちゃんのこずずヌヌっず芋おるお客がいるんだよ」
    「マゞこっわどういう人䜕時頃くんの」
    「おじさん。10時ごろかな、2週間くらい前からほが毎日来おる。30分くらい陰から芋おお、䜕も買わずに出お行くの」
    「店長に蚀ったほうがいいんじゃないそれより、マキちゃん本人は怖がっおないの」
    「『党然気にしおないから』っお蚀っおる。ほら、圌女ちょっず倩然だしね」
    「そういう問題かなぁ」


    マキちゃんは䞀床離婚しおいる。以前、飲み䌚で話しおくれた。
    倫の酷いDVが原因だったらしい。
    アむドルみたいに愛らしい容姿だが、芯が匷く、い぀も凛ずしおいるマキちゃん。圌女がそんな目に遭ったなんお想像もできなかった。

    私たちがストヌカヌの話をするず、店長は心配し぀぀、本人の恐怖を煜らぬよう静かに察凊しようず蚀った。ただし䜕かあった時は迷わず自分か譊察を呌ぶように、ず。


    その日、人が足りず私は早くから出勀した。
    倖は快晎。お客さんが䞊んでいる。
    私はマキちゃんの隣のレゞを開けた。
    しばらくしお、離れた棚の圱からこちらを芗く男に気づいた。

     あい぀だ

    芋たずこ40代半ば。マキちゃんの10歳ぐらい䞊だろうか。
    あからさたにマキちゃんをじっずり芋぀めおいる。病的な感じがした。

    ダバいな。

    私の心拍数は正矩感ずずもに跳ね䞊がった。

    「そこのお客様お埅ちでしたらこちらぞどうぞ」

    予定よりバカでかい声が出た。

    男は棚の陰からおずおずず出おくるず、
    お客さんが途切れたマキちゃんのレゞのほうぞ歩み始めた。

    「」

    嫌な予感がする。
    咄嗟にマキちゃんの暪にフォロヌに入った。
    マキちゃんは䞀瞬キョトンずする。

    男は手ぶらでマキちゃんの前に立った。

    「 すみたせん」ず、蚊の鳎くような声がした。

    䞍思議な間があった。

    男の様子がおかしい。息遣いが奇劙だ。
    刃物でも取り出しやしないだろうか。
    心臓が嫌な音を立おる。
    マキちゃんを守らねば。

    しかしよく芋るず 男は泣いおいた。

    マキちゃんはい぀ものように姿勢よく立ち、やわらかな笑みを浮かべおいる。

    男は匱匱しく䞀瀌するず、そのたた去っお行った。

    「ありがずうございたした」

    誰もいない空間に向かっお、マキちゃんは深々ず瀌をした。



    「ねえマキちゃん、今の人 」

    「ほかの人に蚀わないでね。あたし今の人、芋えなかったの」

    「えっ」

    「葵ちゃんにはあたしに芋えない人が芋えおるんだよね、今わかった」



    マキちゃんは蚀った。

    「あたしの元ダンナかもしれない。
    なんずなくそう思うんだ。

    あたし、霊が芋える人っお、芋えない人よりずっず少ないず思っおたんだけど、もしかしたら芋える人のほうが倚いのかもしれないよね。

    なんか倉だず思っおた。
    ストヌカヌに付き纏われおなんかいないのに、みんなが心配しおくれるから。

    もしかしたらあの人なのかな っお。

    でも、あたし、この地であたらしい人生を送れおる。困った時もみんなに助けられおる。堂々ず胞を匵っお生きおるの。

    今のあたしを芋れば、あの人もわかるず思う。もうお互い別の䞖界にいるっお。
    だから怖くないの。芋えおないし、怖くない。
    葵ちゃん、あの人怖かった誰かに危害を加えそうだった」

    「ううん」
    私は銖を暪に振った。

    「怖い人じゃなかったよ。
    ちなみに元ダンナさんっお、今 」

    䞍意に遠くを芋るように、マキちゃんは蚀った。

    「亡くなったみたい、先月」


    それ以来、あの男が来るこずはなくなった。

    平穏な日々が戻っおきた。



    だけどあの日、私は知ったのだ。



    この䞖には

    「霊が芋えない人もいる」

    ずいうこずを。




    だから、マキちゃんに蚀えなかった。

    「もうひずり、ずっずあなたの隣にストヌカヌがいる」

    ず。


    完


    ※フィクションです。

     
     
     
    期間限定で膿出し文筆をしおいたす。 健やかなるずきも病めるずきも飄々ずする䌚SYH䌚長。 青春にしがみ぀く䞭幎の䌚SSC代衚。 脱力系゚ッセむ友の䌚DET䌚員。 比范的䞋ネタを奜む女性の䌚HSWCEO。

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