今、スレッズ大喜利が熱い
最近イライラする。
更年期なのか、仕事のストレスなのか、旦那のせいなのか。
たぶん全部だ。
朝起きれば肩が痛い。
鏡を見れば白髪が増えている。
会社では二十代の後輩に「恵美さん、それ昭和ですね」と言われる。
昭和の何が悪い。
平成も生き抜いたぞ。
令和はまだ慣れてないけど。
そんなある日。
私はスレッズで見つけた。
【私エミ!46歳!この年でもう更年期よ!】
という投稿を。
投稿者もエミ。
年齢も四十六歳。
私と一緒だ。
そして本文はたったそれだけ。
なのに返信欄が地獄だった。
『私はミカ!50歳!最近老眼でスマホを遠ざける!』
『エミ、おはよう!ユウコよ!46歳!寝ても疲れが取れない!』
『エミ!元気?私はアケミ、57歳!親の介護をしていて体中が痛いの!私が介護されたいわ!』
『ごきげんようエミ!私はケイコ、60歳!立ち上がる時に必ず「よいしょ」って言う!』
私は爆笑した。
何これ。
全員おばさんじゃん。
しかも全員つらそう。
でも面白い。
気付けばコメントを読みながら声を出して笑っていた。
そして投稿した。
『私もエミよ!46歳!推しの年齢が息子みたいになってきた!』
送信。
三十秒後。
通知。
一分後。
通知。
三分後。
通知。
通知。
通知。
気付けば数百いいね。
「えっ?」
思わず声が出た。
旦那が振り返る。
「どうした?」
「私、バズった」
「何で?」
「推しが息子みたいって言った」
「事実じゃん」
「そうなんだけど!」
私は笑いながらスマホを見た。
返信欄には、
『どんどん自分と年が離れていくのよ』
『うちの推しは孫レベルよ』
『そうそう、もう保護者だよね』
など共感の嵐。
どうやら全国のエミたちも同じ悩みを抱えているらしい。
◇
そこから私はスレッズ大喜利にハマった。
アイドル大喜利。
主婦大喜利。
更年期大喜利。
推し活大喜利。
中高年あるある大喜利。
毎日どこかで誰かがボケている。
しかも妙にレベルが高い。
【40代女性の特殊能力】
というお題には、
『スーパーの特売日だけは絶対に忘れない』
が優勝候補だった。
【推し活の副作用】
では、
『若い子の顔よりメンバーカラーの方が識別できる』
で腹筋が崩壊した。
◇
ある夜。
私は思い切って自分でお題を出した。
【私エミ!46歳!最近腰痛で目が覚めるの!】
投稿して買い物に行き、
一時間後に戻ってきた。
通知が四百件を超えていた。
慌てて開く。
『久しぶり!エミ!つらいよね!私はミユキ、53歳!最近階段を見ただけでため息が出る!』
『リカコよ!49歳!推しには会いたいのに同級生には会いたくないわ!』
『私もよエミ!ユキよ!55歳!痩せてた若い頃の服を捨てられないの!』
『おはようエミ!私はミホコ、43歳!旦那より推しの予定を把握している!』
『エミ!お互いつらいね!私はサユリ、66歳!健康診断の結果がいつも長文!でも字が小さすぎて見る気もしないわ!』
私は涙が出るほど笑った。
知らない人たちなのに。
会ったこともないのに。
みんな同じようなことで悩み、同じことで笑っている。
◇
その時ふと思った。
若い頃はSNSなんて怖かった。
炎上とか。
マウントとか。
言い争いとか。
そんなイメージだった。
でもスレッズ大喜利には違う空気があった。
誰かを傷つけるより。
誰かを笑わせたい。
毎日のストレスや辛い悩みを、
ほんの少し吐き出して、
皆で笑い飛ばしたい。
そんな人たちが集まっている。
だから私は今日も開いてしまう。
夜中の布団の中で。
スマホの画面を見ながら。
新しいお題を探す。
そして見つける。
【私エミ!46歳!最近仕事でお局扱い!イライラする!】
また始まっている。
私はニヤリと笑った。
よし。
今日も面白いコメントを考えよう。
全国のエミたちと笑い飛ばそう。
そして静かにコメント欄を開くのだった。