メインコンテンツへスキップ
見出し画像

指|詩


    感覚が乱れ、
    色彩はどこかへ飛び、

    私は息を潜める。

    視線を、そっと

    命がけで逸らす。

    「禁止」の対象に、
    暗黙に従う。

    かつて、
    「運命」を凝視した。

    裏切られたと思った。

    右手の指が、
    微かに震えた。

    正確には思い出せない。

    ……

    残された時間は、
    やや少ない。

    「彼女たち」との密約は、
    こっちの不履行。

    花瓶が落ちて水が溢れた。

    暗闇はそっと、
    私の背中に指を這わせる。

    「察せよ」と、
    何かが囁く。

    その目は輝いている。

    虹色の神秘を見通すというよりも、

    真実を、
    真っ白な矛盾に変える。

    箪笥の鳥は外を見る。

    飢えているのは私。

    悲しみと、
    一本のペンを欲した。

    その盲目的な意志は、
    かつて私を裏切った。

    震える右手の指は、

    そっと切り落とされる。

    鳥の目は充血する。

    時計は止まり、

    雨は止んだ。

    壁掛けのゴッホの絵が、
    微笑む。



    English version:

     
     
    Poet / Artist 2022年より詩作。日本語詩と、作者自身の監修・編集によるauthor-translationを制作しています。 『贖いの花』『The Anatomy of Silence』『雨 / 1945』『敗北』ほか。

    あなたへのおすすめ