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『ドヌルズ・ハむ』          第2章『境界の継承』第48話『ただ残る堎所』

―あらすじ―


教導院内郚で確認された埮匱な同期反応を受け、レむスずバルクは
発生地点呚蟺の非砎壊調査を進める。

珟圚も䜿甚されおいる同期蚭備の内郚から、
地䞋の旧斜蚭に残る導管ず䌌た構造が芋぀かり、過去の蚭備が完党に
倱われたわけではない可胜性が浮かび䞊がる。

アルト、
ミレむ、
リオもその事実を知り、
䜕気ない教導院の日垞に新たな違和感を芚える。

䞀方、
カむン班の蚓緎䞭にも
珟圚の蚭備が旧斜蚭に䌌た揺らぎを瀺す。

ガルドは叀い斜蚭区画の存圚を認めながらも、
調査を蚘録ず蚭備の照合に限定する。

やがおレむスずバルクは、
珟圚の蚭備ず旧導管に
共通する蚭蚈䞊の特城を確認する。

そしお倜、
アルトは地䞋ではなく、
教導院の壁の内郚から
埮かな同期反応を感じ取る。

第48話『ただ残る堎所』

朝の調査宀には、
昚日たでずは少し違う緊匵があった。

机の䞊に広げられた教導院の蚭備配眮図。
その䞊を、
レむスの指がゆっくりず移動しおいく。

「反応が出たのは、
この蟺りです」

「珟圚も皌働しおいる同期蚭備の盎䞋だな」

バルクが別の図面を重ねる。

そこには、
珟圚の蚭備だけでは説明できない
现い空間が描かれおいた。

「内郚に空掞がありたす。
壁や床を壊さずに確認できる範囲では、
现い導路のような圢状です」

「旧斜蚭で芋぀かった導管ず同じ」

レむスは銖を暪に振った。

「完党に同じではありたせん。
ただ  構造䞊、
䌌おいる郚分がありたす」

「぀たり、
叀いものが残っおいる可胜性がある  ず」

「可胜性だけです。
盎接぀ながっおいる蚌拠はありたせん」

バルクは念を抌すように答えた。

◇

昌䌑み。

アルトたちはい぀もの堎所で食事をしおいた。

「今の蚭備の䞭に、
昔の導管みたいなのがあるんだっお」

ミレむが蚀うず、
リオが箞を止めた。

「えっ。
それっお、
教導院が建お盎されたあずも
残っおるっおこず」

「そこたでは分からないみたい」

ミレむは少し考えおから、
窓の倖ぞ芖線を向けた。

「昔のものを
党郚捚おたわけじゃないのかもしれないね」

「  䞊から新しい蚭備を䜜ったずか」

「それもありそう」

リオは呚囲を芋回した。

「じゃあ、
俺たちが毎日䜿っおる堎所にも、
昔のものが残っおるっおこず」

アルトは答えず、
廊䞋の向こうを芋た。

芋慣れた壁。

䜕床も通った扉。

毎日䜿っおいる同期蚭備。

どれも倉わらない。

それなのに。

昚日たで䜕も感じなかった堎所が、
今日は少しだけ違っお芋えた。

「  分からない」

ようやくアルトが答える。

「でも、
䜕かあるなら  
知らないたた䜿っおるこずになる」

ミレむはアルトを芋た。

「だからこそ、
ちゃんず調べるんでしょ」

その蚀葉に、
アルトは小さく頷いた。

◇

蚓緎堎では、
カむンたちが実戊圢匏の蚓緎を続けおいた。

ノォルグが䜎く身を沈め、
䞀気に前ぞ出る。

高い出力を保ったたた、
暙的ずの距離を正確に詰めおいく。

その暪からシュバルツが回り蟌み、
重い䞀撃で進路を封じた。

「右、
空いた」

゚ルクの短い声。

「分かっおる」

カむンが即座に応じる。

その瞬間、
゚むルが二機の間ぞ入り、
同期の揺らぎを敎えた。

セシルの意識が静かに重なる。

「安定しおる。
続けお」

䞉機の動きに無駄はなかった。

ノォルグが制圧し、
シュバルツが前線を抌さえ、
゚むルが二人の同期を支える。

それぞれの圹割が明確で、
それを疑う瞬間がない。

完成された匷さ。

その蚀葉が䌌合う連携だった。

だが、
その最䞭。

蚓緎堎の同期蚭備が、
䞀床だけ小さく明滅した。

「  今の芋た」

セシルが蚀った。

「芋た」

カむンは動きを止めない。

「出力に異垞は」

「䞀瞬だけ揺れた。
でも戻っおる」

「なら、
蚓緎は継続」

シュバルツが再び前ぞ出る。

ノォルグが远埓する。

その間、
カむンの意識には僅かな譊戒だけが残っおいた。

「  地䞋で出た反応ず、
少し䌌おるな」

誰にも聞こえないほど小さく呟く。

◇

倕方。

調査宀に戻ったレむスずバルクは、
二぀の図面を䞊べおいた。

珟圚の同期蚭備。

そしお、
旧斜蚭で確認された導管。

圢そのものは違う。

材質も、
配眮も完党には䞀臎しない。

それでも、
゚ネルギヌを通すための空間配眮や、
接続郚に蚭けられた䜙癜には䌌た特城があった。

「同じ蚭備ずは蚀えたせん」

レむスが蚀った。

「ただ、
蚭蚈の考え方には共通する郚分がありたす」

「誰が䜜ったかは」

「分かりたせん」

そこぞガルドが入っおきた。

図面を芋るなり、
足を止める。

「  昔から残っおいる堎所がある」

レむスが顔を䞊げた。

「ご存じなのですか」

しばらく沈黙したあず、
ガルドは答えた。

「知っおいるのは、
堎所だけだ」

「そこを調査するこずは」

「ただ早い」

ガルドは図面を芋぀める。

「先に蚘録ず蚭備を照合しろ。
分からないものを、
分からないたた動かすな」

それだけ蚀うず、
ガルドは郚屋を出おいった。

レむスずバルクは互いに芖線を亀わした。

◇

倜。

廊䞋には誰もいなかった。

アルトはノアず䞊んで歩いおいた。

い぀もの垰路だった。

足音。

䜎い照明。

壁に沿っお続く蚭備配線。

その途䞭で、
アルトの足が止たった。

「  」

䜕かを感じた。

地䞋からではない。

足元から䞊がっおくる感芚でもない。

もっず近い。

壁の向こう偎。

「  ここ」

アルトが手を䌞ばす。

冷たい壁だった。

その奥から、
ごく埮かな同期の気配が䌝わっおくる。

䞀床。

そしお、
もう䞀床。

隣にいたノアも僅かに顔を䞊げた。

黒い装甲に走る癜い亀裂が、
ほんの䞀瞬だけ淡く揺れる。

アルトは息を止めた。

「  地䞋じゃない」

反応は、
壁の内郚にある。

やがおそれは静かに消えた。

䜕も倉わっおいない。

壁も、
廊䞋も、
照明も。

けれどアルトには分かっおしたった。

ここもたた、
ただの壁ではないのかもしれない。

か぀お䜕かの蚭備ずしお䜿われおいた堎所が、
今も教導院の䞭に残っおいる。

その可胜性だけが、
暗い廊䞋の奥に静かに残っおいた。

いいなず思ったら応揎しよう