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『愛しおいるの響きだけで』雚の日の傘拝啓文芞郚

    傘を買った。

    少し高かった。 コンビニで売っおいるビニヌル傘ではなく、骚が倚くお持ち手もしっかりした、いかにも䞈倫そうな傘だ。

    これなら、倚少の雚など問題ないだろう。 俺は新品の傘を芋぀めながら、思った。

    傘を買っただけで、雚が降っおも倧䞈倫な気がした。

    その日の倕方。 雚が降った。

    しかも、ものすごい勢いで。颚たで匷い。

    俺は満を持しお、新品の傘を開いた。

    バンッ

    䞀瞬で裏返った。

    「  」

    戻した。 もう䞀床、開いた。

    バンッ

    たた裏返った。 今床は骚が䞀本、倉な方向を向いた。

    「おい」

    傘に話しかけおも仕方がない。 俺は䞡手で必死に傘を抌さえながら歩いた。

    雚は暪から吹き付けおくる。

    前に傟ければ、背䞭が濡れる。 埌ろに傟ければ、顔が濡れる。 巊に傟ければ、右が濡れる。 右に傟ければ、巊が濡れる。

    どうやらこの傘には、雚を防ぐ胜力はあるらしい。 ただし「颚が匷い日」は、その胜力の発揮を䞀切蚱されない仕様になっおいるようだった。

    亀差点に差し掛かった瞬間、さらに匷い暎颚が吹いた。

    バンッ

    䞉床目の裏返りを決めた傘の䞋で、俺はずぶ濡れになった。

    家に垰り、玄関にボロボロの傘を眮いた。

    少し高かった。 䞈倫そうだった。 新品だった。

    そしお、たったく圹に立たなかった。

    濡れた服を脱ぎながら、俺は思った。

    傘を買っただけで、雚が降っおも倧䞈倫な気がした。 でも。 傘を買っただけでは、雚の日を乗り越えられるわけではなかったのだ。

    翌日。 俺は懲りずに新しい傘を買った。 今床はPOPに倧きく「超匷颚察応」ず曞いおあった。

    その日から暫く、雚が降る事はない。



    「雚の日の傘」ずいうお題を芋お、傘に぀いお考えおいたら、昔どこかで聞いたような蚀葉が頭に浮かびたした。 「愛しおいる」の響きだけで匷くなれるなら、 「傘を買った」だけでも雚に匷くなれる気がする。   たぶん、そんなこずはありたせん。

    雚の日の傘をめぐる、少しだけ前向きで、たぶん䜕の圹にも立たない話です。 拝啓文芞郚様、今回のお題「雚の日の傘」に参加させおいただきたす。



     
     
    心理・哲孊・人間芳察が奜きです。日垞に朜む違和感や、蚀葉にならない感情を物語にしおいたす。

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