
012 エピローグ|思ひ出の樹 — あなたがくれたもの —
※この作品は「#創作大賞2026」「#恋愛小説部門」に応募しています。
あれから麻美(あさみ)はスポーツクラブの事務を辞めた。
自分を生かす道を直樹(なおき)が残してくれたからだ。
ライターの仕事を見つけようと今さら学校に通いはじめた。
学校には若い子たちが大勢いた。
おじけづくかもしれないと思っていたのに
「どんな場所にいたって私は私。私の価値に変わりはない」
そう信じられた。
あなたが信じさせてくれた。
やっと見つけた自分の未来。
麻美は今十分満たされている。
直樹がいなければこんな自分に気付くことはなかった。
『余裕を持っていますか?疲れたら休むのですよ』
どこかであなたの声が聞こえるような気がする毎日。
萌音(もね)が今出版社の仕事を請け負っている。
その姿に触発されて麻美も勉強に励む。
とても良い関係が出来ている。
あれから有人(ありひと)が乃愛(のあ)ちゃんを家に連れてきて「結婚する」と言った。
麻美も萌音も歓迎した。
萌音は「早いな。負けてられないわ」と笑った。
萌音の彼氏も、そのうち連れてきてくれるらしい。
あなたが残したものが確かにある。
あなたの物語は終わっていない。
誰も、あなたを忘れてない。
私はあなたを忘れない。
今も、ちゃんと愛している。