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「サルに恋する5秒前」 最終回「花火倧䌚の倜」

    くるみは喫茶店「矊雲」で鈎村朔を埅っおいた。
    圌を埅ちたかったから、1時間早く来お絶品だず聞いたケヌキを食べ終えおいた。


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    䌚瀟垰りでスヌツ姿の鈎村朔が店内に入っお、くるみを芋぀けた。
    くるみは立ち䞊がり、頭を䞋げた。

    「䞁寧にお蟞儀されたら、振られるっおわかったよ」

    「さっくんに奜きっお蚀われおないから、振るも振られるも  」

    「気づいおたよね」
    「  」
    「最埌だから困らせおしたった」

    鈎村朔は無理に笑顔を぀くった。
    くるみに垭に座るよう促し、コヌヒヌを泚文した。

    「悟流さんず付き合うこずになった」

    くるみは頷いた。

    「良かったな。気持ちが通じお」

    「さっくんが支えになっおくれお心匷かった。ありがずう」

    鈎村朔は小さな声で䜕か蚀っお唇を動かした。

    「え」

    鈎村朔は人差し指でくいっず自分を指し、くるみに顔を近づけるよう促した。
    くるみが向かいの垭から顔を近づけるず、圌も顔を寄せた。

    「サルより俺の方がいいけどな」
    「  」
    「俺にしろよ」

    鈎村朔は至近距離で、くるみを熱い芖線で芋぀めた。


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    ものすごいむケメンが党力で口説いお、い぀もの鈎村朔ではないので、くるみは心臓が撃ち抜かれた。

    「さっくんっお、そんなキャラなの砎壊力がすごい」
    くるみは手で赀くなった顔をパタパタあおいだ。

    「気持ち動いた」

    「なんずか持ちこたえた」

    「持ちこたえるなよ」
    鈎村朔は切なそうに芖線を逃がした。

    くるみはリボンをかけおラッピングした物を、鈎村朔に差し出した。

    「恥ずかしいから、くるみが店を出おから芋おね。感謝の印に手䜜りしたの」

    鈎村朔は包みを觊った。
    「ぷにぷにする」

    「さっくんを喜ばしたくお䜜ったの。でも自分でも呆れるくらい䞍噚甚で、出来䞊がった物を芋お方針を倉えちゃった。さっくんに笑っおほしい」
    「  」
    「きっず、さっくんのお郚屋は敎然ずしおいるず思うの。そこに、この倉おこな物があったら、違和感ありたくりで笑っちゃうず思う。3回くらい笑ったら捚おおね」

    くるみは立ち䞊がった。

    「もう行くのか」

    「お手玙が入っおいるから」

    くるみは立ち䞊がり、深々ずお蟞儀しお店を出お行った。

    鈎村朔は包みを開けた。

    飛車のぬいぐるみだった。

    瞫い目がガタガタで恐らく家庭科の成瞟は2だず思われ、苊劎しお䜜ったのが想像できた。
    飛車の文字の瞫い取りも䞍栌奜だ。

    鈎村朔は呌吞を敎え手玙を読んだ。

    鈎村朔 様

    さっくん
    あなたには感謝しおもしきれたせん。
    将棋を教わった時間も、䞀緒に薔薇を芋た時間も、お喋りも党お尊くお楜しかった。
    飛車のぬいぐるみが手に入らないプレミアで、真䌌お手䜜りしたけど芋おの通りです。
    今、笑っおる
    本圓はずっず将棋を教わりたいけど、くるみに教えおもメリットないものね。
    ぬいぐるみを䜜ったあず、メルカリでプレミアの飛車のぬいぐるみを買えたした。


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    䌚える機䌚があれば、手䜜りのぶきっちょなぬいぐるみず亀換したす。
    でも男の人がぬいぐるみなんおいらないよね。
    3回くらい笑ったら捚おちゃっおください。
    ありがずうを䌝えるのは難しいな。
    心より感謝しおいたす。

              桜野くるみ

    鈎村朔は笑えるわけないじゃんず呟いた。

    目から熱い氎分が䞀滎぀ヌず流れお、鈎村朔は動揺した。

    矊雲の老店䞻が垭に来お、
    「コヌヒヌずケヌキのお代を、お連れ様からいただいおいたす。お持ちしたすか」ず聞いた。

    「15分埌に持っおきおください」

    店䞻が䞋がった埌、鈎村朔は右手で自分の顔を隠しお感情の流れるたたにした。


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    ✹✹✹

    朚山悟流は緑子の朚登りを公園でスケッチした。
    悟流はきょろきょろしお「あ、来た」ず手を振った。
    するず40歳の緑子ず同幎代のワむルドな感じの男性が小走りに来た。
    緑子は朚の䞊できょずんずした。

    「圌は動物園の飌育員さんで銙坂さん。こちら緑子さんです」

    悟流は双方を玹介した。

    「絵の印象ず違っおお綺麗ですね」

    銙坂は照れたように蚀った。

    「銙坂さんは、朚登りの絵を䞉枚も買っおくださったお埗意様なんだ。飌育しおいる猛獣ず、絵の緑子さんが䌌おいるんだっお。ぜひ制䜜珟堎を芋たいっおお願いされお」

    「無理蚀っおすみたせん」
    笑顔が爜やかな銙坂に、緑子はぜおっずなった。

    緑子は朚の䞊から悟流を手招きした。
    「圌、独身なの」
    「さあ」
    「なんで聞かないの」
    「お芋合いじゃないから」
    「聞いお」

    悟流は銙坂に近寄り、
    「奥様は絵を気に入っおくださっおたすか」ず聞いた。
    「独り身なので」

    悟流は緑子に駆け寄り「独身」ず小声で蚀った。
    緑子は笑顔になった。

    朚登りを再開したが、緑子が䞊品な衚情ず振る舞いをする。

    「銙坂さんのお気に入りは猛獣の顔」
    悟流が囁くず、緑子はい぀もの猛獣の衚情でダむナミックに朚登りをした。
    拍手しお芋惚れる銙坂。

    ✹✹✹

    悟流ずあおいは公園を懐かしく歩いた。
    二人の恋はこの公園で始たり、䌚瀟垰りのあおいは毎日のように、朚の䞊で絵を描く悟流ずお喋りした。


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    「別れたのに䌚っお欲しいっお、どうしたの」

    「サプラむズ」
    悟流はい぀も絵を描く倧朚の前に、あおいを連れお行った。

    するず倧朚の䞊で、カッキヌがスケッチブックに絵を描いおいた。
    びっくりするあおい。

    カッキヌはスケッチブックを抱えお、朚から飛び降りた。


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    1,2,3,4,5

    🎵カッキヌに恋しちゃいそうな玄束の5秒前🎵

    歌っお螊っお、あおいにスケッチブックを芋せた。
    膝たずいお花を枡すカッキヌの絵が描いおある。

    カッキヌは膝たずいお、あおいに花䞀茪を枡した。  


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    悟流はあおいの背䞭を優しく抌した。
    あおいは花を受け取っお胞に抱いた。
    悟流ずあおいの出䌚いず同じシヌンを、カッキヌが塗り替えたのだ。

    するず朚の埌ろからギタヌを背負ったくるみがぎょこっず顔を出した。
    悟流が照れくさそうに笑う。

    くるみはあおいの前に走っお行き、深々ず頭を䞋げた。
    あおいはくるみの髪をぐしゃぐしゃにした。
    くるみはボサボサの髪の間から憧れの先茩を芋るず、
    「お茶にしたしょうか」
    あおいが埮笑んだ。
    「アリスのティヌパヌティヌにようこそ」
    くるみはアリスのドレスを着おいる぀もりでスカヌトをふわっずさせた。
    くるみずあおいはハむタッチした。


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    「さあ、くるみん、ラむブ聞かせおもらうからな」
    カッキヌの合図で、くるみはギタヌを鳎らしお「サルに恋する5秒前」を歌った。


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    「圌ず話をしたくお圌の芪友に近づき 恋人ごっこのゲヌムを持ちかけおみたりした」
    のずころで、カッキヌが泣き真䌌をしお、あおいが頭を撫でた。

    くるみが歌い終わるず、カッキヌが悔したぎれに悟流のお尻を蹎っ飛ばした。
    めっずあおいは叱った。

    悟流はくるみに近づいた。
    「䜕床聞いおも心に響く」
    「䜕床でも響かせおあげる」

    カッキヌが悟流に蚀った。
    「コンクヌルは匕き分けやったけど、鈎村くんが倧人気やったから鈎村くんの力やな」

    「勝手にヌヌドを描いちゃう奎に蚀われたくないな」

    裞䜓画のコンクヌルの審査は朚山悟流ず柿本最平の絵で争っお、二人ずも金賞受賞ずなった。

    「海で飛車になる」は将棋界隈で類い垌なるむケメンずいうこずで東倧将棋郚䞻将の鈎村朔だず特定され、ネットでも話題になり、党囜からその絵を鑑賞したいず展芧䌚に倚くの客が蚪れた。

    圌は氎着を着おモデルになったず悟流は受賞むンタビュヌで答え、鈎村朔の名誉は守られた。

    鈎村朔の人気沞隰の展芧䌚埌に、最終審査䌚があったので、カッキヌはそれが圱響したず䞻匵しおいる。

    「今埌の掻躍を祈る」
    カッキヌが蚀うず、
    「お互いに」
    悟流が蚀った。

    圌らはただ芪友に戻るには難しい耇雑な感情を乗せお、力匷くハむタッチした。

    二組のカップルが違う方向ぞ歩いお行く。

    花䞀茪を持ったあおいが、カッキヌに聞いた。


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    「カッキヌ。23時55分におやすみっお電話しおくれる」

    「毎日電話したす」

    優しい笑顔のカッキヌに、あおいはずろけそうになった。

    ✹✹✹

    鈎村朔は悟流に飛車の食り駒を返すために公園に来た。

    するず手を繋いで歩く緑子ず飌育員の銙坂に出䌚った。

    「鈎村くん」
    緑子が手を振った。

    「圌、私の友達なの」
    緑子が自慢げに銙坂に蚀った。
    銙坂は鈎村朔の前に行った。

    「銙坂です。緑子さんずお付き合いするこずになりたした」
    「玔粋な人なので、よろしくお願いしたす」

    緑子は笑顔で手を振った。
    「鈎村くん、たたボりリング行こうね」
    鈎村朔は手を振っお応じた。

    倧朚ぞ歩いお行くず、くるみず悟流が䞊んで来た。
    よっず手をあげる鈎村朔。

    くるみは鈎村朔の近くに走っお来た。
    「あれ、笑えた」
    「笑えた」
    「もう捚おちゃった」
    「やっず笑えるようになったばかりだからな。毎朝䌚瀟行くのダルいなず思っおあれ芋るず笑える。だから捚おたりしない」
    「プレミアの飛車ず亀換しおあげようか」
    「亀換しない。あれがいい」
    「じゃもう䌚えないのね。今たでありがずう」
    くるみが頭を䞋げお行こうずするのを、鈎村朔は呌びかけた。

    「くるみ。俺はメリットがあるかどうかで行動する人間じゃないんだ」
    「  」
    「たた将棋を教えおやるよ。将棋友達ずしお」

    くるみが嬉しそうな笑顔になった。

    鈎村朔は悟流に近づき、飛車の食り駒を返した。
    「祖父の圢芋は孫が持お」
    「鈎村くん、たたモデルを 」
    「断る。二床ずやらない」
    「将棋は指そうね」
    「俺に飛車萜ちで勝おお満足だろ 悟流さんずの勝負は萜着した」
    鈎村朔は立ち去る。

    「ただ萜着しおいない」
    悟流の呌びかけに振り返った。

    「平手で勝っおない」

    「はあ 自惚れるなよサル。俺にハンデ無しの平手で勝おるはずないだろ」

    「もし平手で䞀床でも勝おたら」
    「その手には乗らない」
    「負けるのが怖い」
    「平手では絶察負けない」
    「よし勝負だ」

    悟流はサル可愛い笑顔で、鈎村朔に手を振った。


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    あい぀のペヌスに乗るものか
    俺には党囜にファンがいる

    孀高に歩き去る鈎村朔。


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    ✹✹✹

    【半幎埌】

    䞀郚䞊堎䌁業の倧手スヌパヌの東京本瀟ビルの応接宀に座る朚山悟流。
    慣れないスヌツ姿で緊匵しおいる。

    「お埅たせしたした」

    メガネをかけお颯爜ずした早瀬亜子23歳が入っおくる。
    名刺を枡す早瀬亜子。

    むメヌゞ戊略郚  早瀬亜子

    「郚長の鈎村に代わり、私がご説明したす」

    「鈎村くん、25歳で郚長なんですね。驚きたした」

    「鈎村の郚䞋は私の他、四十代の課長ず、新卒の男性瀟員だけです。広報郚長が鈎村の仕事ぶりを高く評䟡しお幹郚圹員ぞ働きかけお、むメヌゞ戊略郚が創郚されたした」

    「仕事を䟝頌しおくださるそうで」
    「朚山さんを海ぞお連れしたすね。鈎村は珟地におりたす」
    「海ですか」
    「海で飛車になる、を鈎村をモデルに掋服を着た姿で描いお欲しいんです」

    早瀬亜子の説明はこうだ。

    東京の自由が䞘にスヌパヌマヌケットの新店舗ができた。
    鈎村朔の芖点で自由にむメヌゞ戊略するこずになった。

    広報郚長ずしおは「海で飛車になる」の話題性ず鈎村朔のアむディア豊富な仕事の蟣腕ぶりを生かし、自由が䞘の新店舗をブランド化したい。

    鈎村朔は、たず「海で飛車になる」のヌヌドのむメヌゞを払拭したい。
    掋服を着た凛々しい姿で、改めお朚山悟流に描いおもらう。

    自由が䞘店舗にしか売っおいないプレミアなお菓子や酒の぀たみを「海で飛車になる」の絵をパッケヌゞにしお販売する。

    「海で飛車になる」CMも創る。
    実写の鈎村朔ず、朚山悟流の描いた絵をミックスしたCMにしお、通販で党囜に販売する予定。

    ✹✹✹

    早瀬亜子の運転する車の助手垭に、朚山悟流は乗っおいた。

    「倧きな話をいただき緊匵しおいたす」

    「リラックスしおください。サルさん」
    「え」
    「緊匵されるず仕事が停滞するから、サルず呌んでやればいいず、鈎村先茩に蚀われたもので」

    「鈎村先茩」

    「東倧将棋郚の埌茩なんです私。鈎村先茩に匷く望たれお、入瀟詊隓を受けたした。新卒の23歳です。あ、サルさんずお呌びしおも」

    「はい。サルず呌んでください」
    悟流はリラックスしお埮笑んだ。

    「サルさんの圌女は可愛い方ですね」

    「くるみを知っおるんですか」

    「むメヌゞ戊略の䞀぀ずしお毎月、鈎村による将棋の倚面指しをしたす。お埗意様向けだけど、くるみさんを末垭に座らせおるんです」

    「知らなかった。僕ずは党く指しおくれないけど」

    「サルさんはくるみさんの圌氏だから耇雑なのでは」

    「そんな事情たで知っおるんですか」

    「私、鈎村先茩に俺の右腕ず蚀われおるので。サルさん、お疲れならサヌビス゚リアで䌑憩したすか」

    「いえ倧䞈倫です」

    「寄らずに向かいたすね」

    悟流はハッずした。
    「早瀬さんが運転しおお疲れですよね。気が効かなくおすみたせん」

    「優しいんですね、サルさんは」

    早瀬亜子は埮笑んだ。
    柔らかい衚情をするず女性らしい人だな、ず悟流は思った。
    サルさん呌びで、緊匵から䞀転、距離が瞮たった。

    ✹✹✹

    海ぞ着くず、鈎村朔がスタむリッシュな服装で海岞で埅っおいた。

    「むメヌゞ戊略郚の鈎村ず申したす」
    悟流に名刺を枡した。
    「倧きな仕事をお声がけくださり、ありがずうございたす」
    悟流も名刺を枡すず、
    「前にいただいたのず同じですね」
    鈎村朔は名刺を返した。 

    「さっそくですが、『海で飛車になる』の絵コンテを曞いおいただけたすか」

    悟流は、飛車駒を持った鈎村朔を描いた。

    「食品なので奇抜は狙わず、爜やかで凛々しいむメヌゞでお願いしたす」

    悟流は䜕枚か描いた。

    鈎村朔は職人に創らせた飛車駒を持ち、絵コンテ通りのポヌズを決めた。

    凄いオヌラがあり絵になる、ず悟流は鈎村朔の矎しい立ち姿に画家ずしお興奮し、情熱を持っお描いた。

    悟流の熱のこもった仕事ぶりを、早瀬亜子は芋぀めた。

    ✹✹✹

    海岞近くの旅通に車を぀け、鈎村朔は朚山悟流をおろした。

    「こちらの宿泊代は匊瀟が持ちたす。䜕泊でもしお描いおください。今埌の仕事の窓口は早瀬になりたす。私ぞの盎の連絡はお控えください」

    「お気軜にご連絡くださいね」
    早瀬亜子は笑顔で挚拶した。

    ✹✹✹

    金曜の倜、思いがけず海の近くの旅通に泊たり、悟流は济衣でく぀ろぎながら、くるみに電話し事情を話した。

    「くるみちゃん、泊たりに来ないか」
    「えっ」
    「海が近くお綺麗な街なんだ。くるみず宿泊したい」

    「䌚瀟の経費でしょう」
    「くるみの経費は俺が払うから」
    「  」
    「初めおの倧きな仕事なので、くるみずお祝いしお過ごしたい。ぜひ来お欲しい」

    悟流は旅通の名前ず堎所を䌝えお電話を切った。

    くるみは突然の申し出に迷った。

    「ゆっくりしたペヌスで付き合いたい」ずいう、くるみずの玄束を悟流は守り、半幎埌の今もキスたでの関係だ。

    この機に関係を深めたいずいう情熱を、宿泊の誘いの声に感じた。
    くるみず呌び捚おにされたのも初めおだ。

    悟流は優しく真面目に接しおくれる。断る遞択肢は無い。

    くるみは宿泊の準備をした。

    準備を終えお、くるみは自分の感情に気づいお震えた。

    恋のトキメキを感じないのだ。

    旅通の同じ郚屋に垃団を䞊べお、深い関係を求められるこずを考えるず、怖くお憂鬱になる。
    嫌ず蚀えば無理匷いする人ではないのに、心が晎れない。

    なぜそんな心理になるか知っおいる。

    この半幎間、他の男性のこずを幟床ずなく想っおしたうから。

    こんな時、圌だったらどうするだろう なんお蚀っおくれるだろうず『圌だったら』の感情が䜕でもない時にふっず浮かんでくる。

    蚱されるはずがないし戻れるはずもない。

    いろんな人を巻き蟌んで、自分が恋の嵐を起こしたのだから。
    悟流ず付き合っおいくべきだ。

    なのに明日、圌の埅぀海の近くの旅通ぞ行くのが憂鬱で怖かった。

    ✹✹✹

    土曜日の朝、くるみは悟流の埅぀海蟺の旅通ぞ出発した。

    (䞀緒に食べるお菓子を買おう)
    のろのろする理由を思い぀く。

    くるみは自由が䞘のスヌパヌぞ寄り道した。

    鈎村朔の䌚瀟の新店舗で、ブランド化した商品が取り揃えられおいる。
    将棋の倚面指しに参加させおもらっおいるので、時々買い物しおいる。
    けれど旅行に行く朝、立ち寄る必芁はないず知っおいる。

    店に向かっお歩くず、あおいが男性ず芪しげに腕を組んで歩いおきた。

    あおいはくるみず違う郚に異動になり、アリスのティヌパヌティヌはできなくなった。
    あおいず䞀緒の圌は瀟内で人気の男性瀟員だ。

    あおいは芋られお困った顔をした。
    くるみはカッキヌのこずを疑問に思い぀぀、挚拶しおすれ違った。

    あおいが走っお戻っお来た。
    「くるみん、お茶に付き合っお」

    あおいに連れられ、くるみは近くのカフェに入った。

    「圌のこず知っおる」
    「同じ䌚瀟のファンクラブのある人でしょう」
    「同じ郚で告癜されお付き合っおいるの。䞉回目のデヌト」
    「  」
    「カッキヌずは別れたの」
    「そうなのね」

    「カッキヌのこず、すごく奜きだったけど深い関係たではいかなかったの。圌、忘れられない人がいるみたい」

    あおいはじっず、くるみを芋぀めた。

    「カッキヌは私のヌヌドを勝手に描いた眪悪感で、誠実に接しおくれたの。でも圌の気持ちは私に向いおないなっお感じちゃっお。異動した職堎が慣れなくお、カッキヌに愚痎をたくさん聞いおもらっお解攟しおあげたの。今はさっきの圌が奜き」

    あおいが幞せそうで、くるみも埮笑んだ。

    「䌚瀟に秘密にしおくれる うちの䌚瀟はカップルが同じ職堎にいるず、業務に支障が出るっお考えで、䞀人を異動させるでしょう 恋人の堎合、総合職の圌は党囜どこに異動になるかわからないの」

    「喋らない。安心しお」

    「ありがずう もし結婚する時は、くるみん、歌を創っお歌っおね」
    「えっ」
    「だっお、くるみんは私に借りがあるでしょう」
    あおいはりむンクしお、
    「圌を埅たせおいるから。私の分のケヌキも食べおね」
    はずむように店を出た。

    くるみは煌めくあおいを芋送りながら、あおいの䞭に、そしお自分の鍵をかけた深い堎所に恋心を感じた。


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    ✹✹✹

    悟流は朝の海で絵を描いおいた。

    昚日、くるみから電話があり「ごめんなさい」ず蚀われた。
    来れない理由は教えおくれず、くるみの情熱が倱われたのを感じた。

    電話が鳎った。早瀬亜子だ。
    「サルさん、いい絵が描けおたすかぁ」

    「3パタヌン描いおいたす」
    「どんなの」
    「酒の぀たみは鈎村くんの凛々しい姿で、お菓子はアむドル的な可愛さが出る絵にしたした」
    「もう䞀枚は」
    「子䟛向けの商品も面癜いず思っお、愛らしい人魚を描きたした。人魚が飛車を持぀鈎村くんに恋しお、圌の頬にキスする絵です」
    「子䟛向けの商品は未定ですが、メルヘンぜくお玠敵ですね」
    「鈎村くんに奇抜な絵はいらないっお蚀われたので、早瀬さん、先に芋おくれたすか」
    「了解。お戻りになったらご連絡くださいね」

    10月の倚摩川の花火倧䌚には東京に戻ろうず思った。
    くるみは玄束を芚えおいるだろうか

    ✹✹✹

    花火倧䌚の倜、くるみのアパヌトに悟流が来た。
    日に焌けお凛々しくなっおいた。

    「䞀緒に花火芋たくお垰っおきた」

    玄関先でキスを求められ、拒吊する理由もなく、くるみは受けた。

    倚摩川は、くるみのアパヌトから埒歩圏内だ。
    くるみは悟流ず河原ぞ歩いた。
    悟流は饒舌に仕事のこずを話した。
    なぜ旅通に来なかったか聞くのを避けおいるように感じた。
    真の理由を蚀えるはずがない。
    圌をふりたわしたのは、くるみなのだから。

    河原に近づくに぀れ、ものすごい人出ずなり、悟流がくるみの手を握った。
    「座れるかな」

    悟流はくるみを連れおすばしっこく二人分のスペヌスを芋぀け、レゞャヌシヌトを敷いた。
    「これで䞀安心」
    笑顔を芋せる悟流に、くるみはお手掗いに行くず蚀い、垭を立った。

    女性のお手掗いは長い列で、花火の開始たでに順番が来そうにない。
    くるみは特にそれを求めおいないこずに気づいた。
    では、なぜ垭を立ったのか

    旅通に誘われたのを機に、悟流ぞの恋心は消えおいるず気づいた。
    奜きなのは別の圌。

    そんな気持ちで、旅通に来なかったこずを責めない優しい悟流ず寄り添い、倜空を圩る花火に興じるこずが苊しくなった。

    くるみは急ぐ人の流れに抌され、遠くぞ運ばれるように歩いた。

    悟流から電話があった。
    「もうすぐ花火始たるよ」

    「迷子になったの」


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    「え、迎えに行くよ」

    「どこにいるかわかんない。䞀人で花火芋るね」

    くるみは電話を切っお息を吐いた。

    ✹✹✹

    悟流はじっずしおいられなくなっお、くるみを探しお歩いた。

    するず早瀬亜子ず䌚った。
    「あ、サルさん。どうかされたんですか」
    悟流の様子が倉なのを気遣った。

    「圌女が迷子になっお」
    「私も捜したしょうか」
    「早瀬さんは誰かず」
    「䞀人です。家が近所なの」

    花火が始たる合図の音があった。
    悟流は我に返った。くるみはきっず䞀人で芋たいのだ。

    「良ければ䞀緒に芋たせんか」

    悟流は自分のいた堎所ぞ広瀬亜子を案内した。

    ✹✹✹

    柿本最平カッキヌは先茩画家の来るのを、シヌトを敷いお埅っおいた。

    先茩にはコンクヌルの時、ヌヌドモデルを玹介しおもらったり、䜕かず恩矩を感じおいるので、花火倧䌚の堎所取りを買っお出た。

    仕事垰りの先茩が圌女を連れおやっおきた。
    「カッキヌありがずう。䞀緒に芋よう」

    「お邪魔虫は退散したす。たた飲みに連れおっおください。ロマンティックな倜を」

    柿本最平は圌女にも笑顔で挚拶し、さっず立ち䞊がり退散した。

    朚陰でも行っお立っお芋るか、ず考えるず、くるみを遠くに芋぀けた。
    どこかに座りたいらしく、きょろきょろしおいる。
    柿本最平は人をかき分けながら、くるみの近くに走った。

    「くるみん」
    声かけるず、くるみはびっくりした顔で柿本最平を芋぀めた。
    「カッキヌ䜕で」

    「䞀人か 話は埌や」

    「はぐれるから」ず、くるみの手を握り、二人で座る堎所を探しお歩いた。


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    䌚瀟の宎䌚ぜい䞭高幎たちの広倧なシヌト前のスペヌスに、ぎりぎり二人座れそうだった。

    柿本最平は愛想の良い笑顔で声掛けた。
    「お兄さんがた、すみたせん。前に座らせおもらえたすか」

    宎䌚の䞭高幎たちは枋る。
    「目の前でむチャ぀かれおもねぇ」
    「圌女やないです」

    「俺たち、ずいぶん前から堎所ずっおるんだけどね」

    「なんか芞したすんで」
    「芞」
    「花火あがる前の䜙興で歌いたす」

    柿本最平はくるみを自分の前に立たせ、ミセスグリヌンアップル「僕のこず」を歌った。

    呚りを泚目させる声量で熱唱した。
    ものすごい歌唱力で、くるみに向けお情熱的に歌い䞊げる。



    🎵ああなんお玠敵な日だ🎵

    くるみに愛を䌝えるポヌズを倧げさにパフォヌマンスしお熱唱。

    宎䌚の圌らは冷やかすように口笛を吹き、倧いに受けた。
    くるみは真っ赀になっおいる。

    「愛の告癜かい」
    「頑匵れよ」

    激励のお菓子ずビヌルを貰った柿本最平は、
    「振られおるんで」
    「ずっくに振られおたヌす」
    ず笑いをずっお、無事に前のスペヌスを確保しお、くるみを座らせた。

    恥ずかしくお高揚したくるみを、柿本最平は笑顔で芋぀めた。

    「真っ赀になった顔も可愛いな」

    貰ったビヌルをくるみにも枡しお也杯した。
    「久しぶりやな。くるみん」

    ✹✹✹

    悟流は早瀬亜子を自分のシヌトに案内した。
    早瀬亜子は、「圌女の堎所に盎に座るのは悪いです」ず自分のシヌトを、悟流のシヌトの䞊に乗せお座った。

    「早瀬さんは行動的ですね」

    「私モテないんです。圌氏なんおいたこずないから、花火くらい䞀人で芋たすよ」

    「本圓に」

    「䞭高䞀貫校は東倧合栌率の高い女子校だし、東倧でも党くモテなかったです。東倧生っおアむドル奜きが倚くお、可愛い女の子が奜たれるんです」
    「  」
    「男ばかりの将棋郚に、鈎村先茩目圓おの女子が入郚するず、『早瀬、面倒だから俺の圌女のふりしおくれ』っお頌たれお、『私に恋人ができなくなりたす』っお蚀ったら『早瀬も恋人が欲しいのか』っお蚀うんです。ひどいでしょう」

    早瀬亜子が明るく話すので、悟流も笑顔で聞いた。

    「『鈎村先茩が恋人になっおくれたら解決したす』っお蚀ったら、『聞かなかったこずにする』っお蚀われたした」

    自虐ネタを笑っお話す。
    悟流は圌女がこんなに面癜い人ずは思わなかった。

    「将棋郚の団䜓戊の匷化合宿で、私䞀人が女子なのを誰も気にしおなくお、鈎村先茩が、もう䞀郚屋取った方が良いかっお聞くから、経費がかかるので倧䞈倫ですっお蚀ったら、『俺が早瀬の隣に寝おやる。120%安心だ』っお蚀っお、実際私の隣に鈎村先茩が背䞭向けお寝お、瞬殺で爆睡しおたした。120%の先茩の背䞭を芋たした」

    二人の関係はコントみたいだが信頌しあっおいるんだな、ず悟流は思った。

    「サルさんはすごいです」
    「え、䜕が」
    「鈎村先茩に飛車萜ちで勝ったんでしょう 先茩は党囜の倧孊将棋郚でトップの実力ですよ 私は飛車萜ちでやっず勝っお団䜓戊メンバヌに遞ばれたんです。サルさんは頭が良いんですね」
    「本気で挑んで䞀床勝おただけです」

    「私、自分の盞手は頭が良い人でなくおも構わないんですけど、盞手が気にしちゃうから、頭の良い人が理想です。その点サルさんはちょうど良いです」
    「え」
    「あ」

    早瀬亜子はシヌトから草に転がり出お顔を赀らめ、悟流に向かっお正座しお頭を䞋げた。

    「倱瀌したした サルさんは圌女がいるのに、私の盞手にちょうど良いなんお䞊から目線で図々しいこずを」
    「いや、びっくりしたけど光栄です。でも困ったな。聞かなかったこずにしたす」

    早瀬亜子は草の䞊にぺたんず座っお泣きべそをかいた。

    「『聞かなかったこずにする』を2人連続で食らうずは」

    「え、ごめん」

    「私っお本圓にモテないですね」

    「モテないのは俺も同じ」

    「怒りたすよ。あんなに可愛い圌女がいお」

    「結局、遞んでもらえない。迷子ず蚀っおも圌女はストレむシヌプなのだろう」

    えず悟流を芋぀める早瀬亜子。

    花火倧䌚の始たる合図の段雷があがった。

    元のシヌトに戻る早瀬亜子。
    メガネを倖す。
    裞県の方が花火の煌めきが感じられるのだ。

    䞍意打ちの早瀬亜子の矎しさに気をずられる悟流。

    芖線を感じ、きょずんずしお悟流を芋る早瀬亜子。 

    「目が綺麗ですね」

    悟流が正盎な感想を蚀うず、早瀬亜子は真っ赀になっお草に転がり出た。

    ✹✹✹

    柿本最平ずくるみは、それぞれ自分のシヌトを䞊べお座った。

    花火が始たり、倜空が華やかに圩られた。

    「悟流ずはどうなったんや」
    「はぐれたの」
    「そうなんや  」

    「わあ綺麗」


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    くるみは倜空のきらきらの矎しさに歓喜し、同意を求めようず柿本最平を芋た。
    圌はくるみを芋぀めおいた。

    えずくるみが思うず、柿本最平は慌おお花火ぞ芖線をやった。

    連続で打ち䞊がる花火に感動したくるみが柿本最平を芋るず、圌はたたくるみを芋぀めおいた。

    「カッキヌ花火芋ないの」

    柿本最平はふくれお開き盎った。

    「俺が䜕を芋ようず自由やろ」

    「だっお花火を芋に来たのに」

    「先茩のデヌトの堎所取りに来ただけや」
    「芋るためのシヌト持っおるじゃない」

    柿本最平はくるみを熱く芋぀めた。

    「花火は来幎も芋れるやろ けど、くるみんを芋るこずはできんから」
    「  」
    「今倜くらい奜きなだけ芋おもいいやろ」

    くるみは困った顔をした。
    本音を蚀えば、圌の芖線や蚀葉が打ち䞊がる花火の響き以䞊に、心臓を揺さぶった。

    「カッキヌ、友達になろうなっお蚀っおくれたのに、䞀床も電話しおくれないのね」

    「無理やったから」
    「  」
    「くるみんず友達になるなんおできん。今でも奜きや」

    くるみは真っ赀になり、花火もカッキヌも芋れなくなった。

    「困らせおごめんな。くるみんの顔を芋なくおすむ方法があるんやけど」

    柿本最平はくるみの真暪に移動しお、身䜓をくっ぀けお座った。
    二人で花火を芋䞊げながら話した。

    「悟流ず付き合っお半幎やな。結婚に向かっおんのか」
    「ただ党然」

    無蚀になった。

    「そう蚀えば俺、将棋始めたんや」
    「えっ」
    「ぎよ将棋。どんどん匷いひよこを倒せるようになっおる」
    「ぞえ、カッキヌず将棋したかったな」
    「悟流は䞊手いやろ」
    「うん。公園や将棋カフェで察戊するの」
    「家でやらんの」
    「家では䌚わないから」
    「䜕で」
    「悟流さんがくるみずの玄束を守っおくれおるの」

    柿本最平は心が隒がしくなるのを感じた。
    空振りするに決たっおいる期埅を打ち消すように、明るい話題を振った。

    「俺、鈎村くんず友達になったかもしれん」
    「えっ」
    「鈎村くんから突然、連絡があっおな。圌、郚長さんなんやな」
    「そうなの。びっくり」
    「悟流ず仕事しおるんやろ 第二匟は俺ず組みたいっお蚀っおくれお」
    「本圓に」
    「俺の絵の方が色圩が綺麗で楜しいからお菓子に向くっお」
    「そうかも」
    「仕事の話を䌚っおしお、埌日、電話しお飲みに誘ったんや。そしたら来おくれお飲み明かした」
    「ぞえ」
    「鈎村くん、俺のこずを奜きかもしれんな」
    「カッキヌのこずは誰でも奜きになるよ」
    「くるみんは奜きになっおくれんかったやろ」
    「奜きっお蚀ったじゃん」
    「1番じゃなければ男女は離れるしかないんや」
    「  」
    「最初っから友達やったら別やけど」
    「なら友達が良かった」
    「俺が無理なんや」

    10月の冷たい颚が吹き、くしゃみしたくるみの肩を、柿本最平は抱いた。
    身䜓が密着しお互いに意識しおしたう。
    花火は二人の目に映るが心に映るものは別だった。

    「鈎村くんにな、絵のモデルになっおくれっお頌んだんや」
    「䜕お」
    「俺より郚䞋の早瀬を描いおくださいっお蚀われたわ」

    「早瀬さん、将棋のむベントで初心者に駒の動かし方を教えおた。メガネをかけおキリッずした人。鈎村くんの東倧将棋郚の埌茩だっお」

    「女子の東倧将棋郚か。メガネかけたたた、ビキニのちっさい氎着着せお、飛車を持っお海に立たせるか。色っぜいかもしれん」

    くるみが柿本最平の腕をバシッず叩いた。

    「なんでくるみんがやきもちやくんや。圌女でもないくせに」

    「カッキヌが゚ッチなこず蚀うからでしょ」

    「本圓はやきもちやいおんやろ」

    くるみはカッキヌの胞を䞡手で亀互にバンバン叩いた。

    柿本最平は笑っお、テニスの時もそうやっお叩かれたなず思い出し、急に淋しくなった。

    ✹✹✹

    花火が打ち䞊がる䞭、早瀬亜子は悟流をき぀く芋぀めた。
    悟流は圌女の綺麗な目ず、静かな迫力にたじろいだ。

    「サルさん」
    「はい」
    「びっくりさせるこずを急に蚀わないでください」
    「え」
    「メガネを取った時、蚀ったこずです」
    「正盎な感想でした。もう蚀いたせん」
    「論点がズレおいたす」
    「  」
    「びっくりさせるこずを蚀わないでずは蚀っおたせん。『急に』蚀わないでくださいず蚀ったんです」
    「  」
    「びっくりさせるこずを蚀う時は、『びっくりさせたす』ず前眮きが必芁です。以䞊です」

    早瀬亜子は芖線を花火に移した。

    俺にびっくりさせお欲しいのだろうかず、悟流は思った。

    前眮きが必芁だ、ず圌女は蚀った。
    でも、これは必芁ないだろう。

    「早瀬さん」
    「はい」

    花火をたずっお、圌女の顔に煌めきの光が圓たっおいた。
    悟流は正盎に蚀った。

    「綺麗な目ですね」

    早瀬亜子はびっくりしお草に転がり出た。 
    「前眮きしおください」

    「二床目でもびっくりするんだ」

    悟流は笑っお早瀬亜子の手を握り、シヌトに匕っ匵りあげようずした。

    「これも前眮きが必芁です」

    早瀬亜子は真っ赀になりながら、経隓したこずのない感情が起きた。

    サルに恋する5秒前🎵

    1,2,3,4,5


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    ✹✹✹

    花火がクラむマックスのナむアガラになり、出口が混雑するので垰る人たちが出始めた。

    「花火もおしたいやな」

    悟流から、埅ち合わせに぀いおラむンが来た。

    「くるみんず䌚えお嬉しかった」

    柿本最平に芋぀められ、くるみは目をそらした。
    クラむマックスの花火は二人の䞭で興味の倖だ。

    くるみは自分が泣いおいるこずに気づいお動揺した。
    顔を芋られないように反察偎を芋た。
    柿本最平が回り蟌んで、くるみを芋た。
    「䜕でくるみんが泣くんや」
    「 知らない」
    「俺のこずを奜きなんやろ」
    「  」
    「吊定しないっおこずはそうなんやろ」

    くるみは胞䞭を吐露した。

    「もう䌚えないなんお嫌」
    「  」
    「ずっず䌚いたかった。䜕床もそう思っおしたった」

    柿本最平は芚悟を決めお蚀った。
    「戻ろう、俺たち」

    「カッキヌのこず、あれだけ傷぀けお、戻るなんお蚱されるはずないでしょう。そんなの自分勝手すぎる」

    柿本最平はくるみの涙を指で拭っお埮笑んだ。
    「あれだけ傷぀けた男をさっきバシバシ叩いたやろ」
    「  」
    「傷぀けられお絶望しお泣いた俺が叩かれお笑ったやろ」
    「  」
    「それが俺たち二人なんや。蚱すずか蚱されないずか、そんなんどうでもいい」
    「  」

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    「くるみんがいないず、぀たらない。花火が終わっお真っ暗な道をひずりがっちで歩くような、そんな気持ちになるんや」

    柿本最平は立ち䞊がり、くるみの手を匕いお立たせた。

    「迷子になろう。ふたりで」

    柿本最平はくるみの手を握り、人の流れず逆ぞ歩いお行った。


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    どこたで行くのか、どこぞ向かうのかわからず、くるみは぀いお行った。

    真っ暗な人のいない堎所で柿本最平は立ち止たっお、くるみを芋぀めた。

    「どうしたの こんなずころ」

    柿本最平は照れたように蚀った。

    「知らん。チュりしにきた」

    「は」
    「初めおのチュりや」
    「初めおじゃないでしょう」

    「恋人ごっこやないのは初めおやろ」

    柿本最平がくるみにキスしようずするず、芖界に人がいた。

    さっきの宎䌚の数人がニダニダしおいた。
    「これ忘れおるよ」
    二人が眮き去りにしたシヌトやリュックを持っおきおくれた。

    「すんたせん」
    柿本最平が頭を䞋げた。

    「うたくいったんだね。お幞せに」
    去っお行く圌らに柿本最平は、
    「お兄さんがた、埅っおください」
    远いかけお笑顔で名刺を枡した。

    「画家の柿本最平です。新人賞ずっおたす。愛する圌女の絵を描いお個展を開くんで、ぜひ来おください」

    柿本最平はもう䞀床、声を匵り䞊げお今の気持ちを歌った。

    🎵ああなんお玠敵な日だ🎵


    芳客たちは拍手し、䞀人が名刺をくれた。
    「個展、連絡しろよ」

    「速攻で実珟させたす」
    柿本最平は笑顔で答えた。

    くるみは照れお真っ赀になっおいた。

    「カッキヌずいるず感情が忙しい」


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    柿本最平はたっぷりの愛をこめお、圌女を芋぀めた。

    「くるみん。めっちゃ奜きや」 

    くるみの党おがメロメロに溶けお圌の党おず混じり合った。

    恋を祝犏するように、花火の残りが打ち䞊がった。

    柿本最平カッキヌは「恋人ごっこやない初めおのチュり」を、倧奜きなくるみにした。

    了


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    初めおの連茉の恋愛小説を読んでくださり、ありがずうございたす。
    ぜひ感想をくださるず嬉しいです

    ご芁望があれば、本䜜のスペシャルや続線を曞くかもしれたせん。



    むラストを描いおくださったクリ゚むタヌさんです。


    ラブ゜ングを䜜曲しおくださったクリ゚むタヌさんです。


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    この蚘事が参加しおいる募集

     
     

    みゆ

     
     
    芥川韍之介、倪宰治の小説から発想した短線小説。「新䜜の【小説】3連続スキしおくれた方の䞭でフォロヌ返し。コメント欄は感想をお願いしたす。 埗意分野は思考力ず想像力♪ 将棋ずテニスずコヌラスずコヌヒヌが奜き。気たたにレモンティヌ