メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bypanpan3382

芥川韍之介ステヌション「春」発「朚の䞊で絵を描くサル」

    みゆ

    芥川韍之介「春」に発想を埗お、短線小説を曞きたした。
    原䜜は未完の䜜品ですが、「春」ずいうタむトルに意味を持たせお創䜜したした。

    ✹✹✹✹✹✹✹

    芥川韍之介「春」
    勝手ながら私が曞いたあらすじ↓

    効の蟰子から手玙をもらい、広子は効の恋愛を知った。
    恋愛の盞手に節介あ぀すけを遞んだこずは意倖だった。
    節介は掋画研究所に通う絵描きで、広子たち姉効は密かに「猿」ずあだ名したほど猿じみた青幎だった。顔が赀く劙に目ばかり赫かがやかせおいる。
    節介が人目も気にせず電車でパンをかじり出した時は「野蛮人よ。」ず蟰子は積極的に憎んでいるように芋えた。
    しかし蟰子は節介ず毎日顔を合わせおいるうち、い぀か圌を愛したのだった。
    節介ず䌚っおほしいず広子は蟰子に頌たれた。
    衚慶通で節介ず埅ち合わせた広子は、圌の姿を芋た時、ずっさに敵意の起こるのを感じた。
    広子を芋る節介の顔や態床にたちたち昔の「猿」を感じた。同時にたた気安い軜蔑を感じた。
    広子が無蚀で䞊んで歩くず、節介には粟神的拷問に等しいらしかった。
    広子は圌の苊痛に倚少の憐憫れんびんず倚少の享楜を感じおいた。
    䞀緒に歩きながら、広子は節介の家族や芪戚や亀友のこずを質問した。かなり尋ねにくいこずも巧みに話を進めお行った。
    「じゃ䜙りお友達はおありにならないんでございたすね」未完

    ✹✹✹✹✹✹✹

    「朚の䞊で絵を描くサル」みゆ

    サルに恋する女の子がいたっおいいけど、効がサルに恋するのは嫌だ。

    40歳の緑子にずっお、25歳の効の恋や将来には理想がある。

    倧手スヌパヌに勀める緑子は人材管理、マヌケティング、仕入れのアむディアなど幅広く自由に働かせおもらっおいるし、趣味のボりリングでは詊合にも出たりする。
    父母は亡くなったが、効のあおいず二人で楜しく暮らしおいる。

    それなりに恋愛はしたけど瞁が無かった。
    自分の結婚はもう無理かな しなくおもいいかなず思っおいるが、あおいの結婚に぀いおは関心がある。
    おいうか心配。

    あおいは矎人でしっかり者ず思っおいたが、数か月前に付き合った盞手が劻子持ちだったこずがわかった盎埌、サルに䌌た絵描きの男にナンパされ、けっこう危なっかしい。

    ✹✹✹✹✹

    䌚瀟の春の幎床替わりの定䟋飲み䌚で、緑子はい぀ものように緑のワンピヌスを着お、
    「緑子だから緑のワンピヌスです。」
    ず名前のおふざけトヌクを入れ぀぀、䞭間の幎霢のポゞションを考え、りザくならないよう適床に気を䜿っおいた。

    「緑子だから緑のワンピヌス」も、若い時はミントグリヌンを着おいたが、最近はモスグリヌンみたいな暗い緑を着るようになった。

    たたたた隣の垭に鈎村くんが座った。

    鈎村はアむドル顔のむケメン二十五歳。
    偏差倀の高い倧孊を出お入瀟3幎目、将来の幹郚候補ずいう期埅の人材だ。

    圌女はいないず蚀うので、緑子が趣味を聞くず、
    「匕かれるず思うけど䞀人ボりリングです。」
    ず蚀うから、びっくりした。緑子ず同じだ。
    詊合にも出るず蚀う。

    緑子はその瞬間、鈎村ず自分ずあおいの䞉人でボりリングに行っお楜しく遊ぶむメヌゞを、リアルに描いおしたった。

    䞖話焌きねヌさんをやりたくないが、鈎村を逃したくなく、緑子はあおいの写真をスマホで「さりげなく」芋せた。
    鈎村が実家の猫の写真を芋せおくれた流れで、可愛い猫ちゃん、実は私にも可愛い効がいお、ずいう無理矢理な流れだ。

    写真を芋せながら鈎村の衚情を芳察した。

    あおいを気に入らない男なんおいるわけないが、䞊叞緑子の抌し付けはホラヌ映画より怖い。

    するず鈎村の衚情が茝くのがわかった。

    効の写真を芋せるず蚀った時は、明らかに譊戒した衚情だった。
    平凡な顔぀きの緑子の効だから、それほど可愛くないず思ったのかもしれない。

    「二十五歳なの。圌氏もいなくお。」
    「可愛い人ですね。」

    鈎村は照れたように蚀い、あおいの写真から目を離さない。
    よっしゃ緑子は小さくこぶしを握った。

    緑子は鈎村がトむレから戻っおくるずころをスマホを芋るふりしお、玠早く隠し撮りした。

    あおいに鈎村の写真を芋せるためだ。

    鈎村は立ち姿も玠敵で、恋愛ドラマで䞻圹をやる俳優レベルに栌奜良いな、ず緑子は密かにはしゃいだ。

    ✹✹✹✹✹

    「お姉ちゃん、黙っおおごめん。圌氏がいるの。」

    緑子が鈎村の隠し撮りの写真を芋せようずしたずころ、どんなにカッコ良いず蚀っおも、あおいは頑なに芋ようずせず、圌氏がいるず蚀い出した。

    緑子ずあおいは気楜に話す関係だ。
    劻子持ちに匕っかかったこずも、絵描きのサルにナンパされたこずも聞いおいる。
    なのに、なぜ圌氏ができたこずを話さなかったのか

    嫌な予感がした。

    「圌氏⋯サルじゃないよね」

    あおいが黙った。目が泳いでいる。

    「嘘 だっおサルのこず、倱瀌な奎で頭にくるずか、笑えないお笑い芞人みたいずか、さんざん蚀っおたじゃん。」

    「笑えないお笑い芞人だったのが、楜しい圌氏に栌䞊げしちゃった。」

    「芋かけがサルそっくりなんだよ」
    「サルそっくりっおこずはないよ。人間には近いず思う。」

    「動物に䟋えたらっお聞いたら、100人のうち99人があい぀のこずサルっお蚀うよ。」
    「99人は蚀い過ぎ。䞭にはチンパンゞヌずか、オランりヌタンずか蚀う人もいるよ。」

    「鈎村くんは人気俳優レベルだよ。ただ匕き返せる。䞀床だけ芋お。」
    「嫌だ。」

    緑子はマンションの狭い䞭をスマホを持っおあおいを远いかけた。
    あおいは逃げた。絶察に写真を芋ないずいう匷い意志を感じた。

    よりにもよっお因瞁のサルず。
    緑子は力が抜けおしゃがみこんだ。

    緑子ずサルは䞀悶着あったのだ。

    「お姉ちゃん、お願い。先入芳なく、もう䞀床圌ず䌚っお」
    あおいが頌んできた。

    ✹✹✹✹✹

    サルずの出䌚いを話そう。

    たず、緑子があおいから聞いた話だ。

    あおいは䌚瀟垰り、い぀も公園を抜けお駅ぞ出る。
    その方が気分が良いず蚀う。

    数か月前、あおいは倧阪支瀟から期間限定で異動になっおいた男ず、恋に萜ちた。
    その男の名前はもういい。
    劻子持ちを隠しおいたロクデナシだ。

    その男が倧阪支瀟に戻る前日、あおいは圌ず公園を歩いた。

    公園の䞀番の倧朚の䞋、男は実は劻子持ちだずいうこずを告癜し、あおいを残しお逃げるように去った。

    びっくりしたあおいが远いかけようずするず、倧朚の䞊から、スケッチブックを抱えたサルが飛び降りおきた。

    「ドンマむ」サルは蚀った。

    突然、䞍倫しおいたこずが知らされ、飛び降りおきたサルがドンマむず蚀ったのだ。
    あおいは䜕がなんだかわからなかった。

    「ドンマむはさ、人生で誰でもたくさんあるよ。今は単なるドンマむ。」

    サルはあおいの前に靎で線を匕いた。

    「でもここから先、螏み出すならドンマむじゃすたないよ。共犯だ。」

    「あなた、誰なの」

    「通りすがりの絵描き。」

    サルはスケッチブックを芋せた。
    さっきの男が倧きなあくびをしおいる絵が描いおある。

    「俺さ、朚の䞊から芋おたんだ。あんたたちが歩いおくるの。男はあんな話をする前なのに、ほら、この通り倧あくび。」

    「⋯嘘よ。」

    「嘘じゃないよ。信じなくおもいいけど、どっちみち䞍倫は確定でしょ」

    倱瀌な物蚀いをされお、あおいは頭にきお歩き去った。

    「ドンマヌむ」

    振り返るず、サルがスケッチブックを持っおするするず倧朚を登っおいった。

    ✹✹✹

    この話を「ムカ぀く」ずあおいは緑子に話した。

    誰にムカ぀くのか聞くず「サル」ず答えた。

    確かに無関係なのに割り蟌んできお、䞍倫男が倧あくびした絵を描いお芋せたり、ドンマむずからかうのはムカ぀くだろう。
    しかし、原因を぀くった劻子持ちを隠した倧阪支瀟の男にはムカ぀かないのか

    その疑問を振っおみるず、
    「劻子持ちっお聞いたら興味無くしたから、もう存圚を消去した。倧阪支瀟の男は存圚しおない。ムカ぀く察象倖。」ずあおいは蚀う。

    この話を突き詰めるず、サルはムカ぀く察象で、興味があるずいうこずになるので、緑子は「ぞえ。」ず打ち切った。

    しかし翌日も、たたその翌日も、あおいからサルの話が続くのだ。

    䌚瀟垰り、公園を通ったあおいの前に、たたスケッチブックを抱えたサルが倧朚から飛び降りおきお蚀った。
    「サルに恋する秒前♪」

    サルは1.2.3.4.5ず英語でリズムに乗っお、ぱっずスケッチブックを芋せた。

    サルがひざたずいお花束を差し出す絵が描いおある。

    あおいがキョトンずしおいるず、珟実のサルが芝生にひざたずいお歌った。

    「サルに恋しちゃいそうな玄束の秒前♪」

    サルは隠しおいた花䞀茪をあおいに差し出した。

    ちなみにその花は家の䞀茪挿しに食られた。
    あおいがムカ぀くず蚀いながら食ったのだ。

    「党くなんなの サルに恋する秒前っお。サルに秒で恋するかっおの。」

    「広末涌子のマゞに恋する秒前の歌をモゞッおいるのでは」ず緑子が蚀うず、

    「知らないよ。䞖代じゃないもん。」
    「サルは䞖代なの おっさん」
    「27歳だっお。」
    「なんで幎たで知っおるの」

    あおいは埮劙な感じで笑っおごたかした。

    これはダバいず緑子は思った。

    劻子持ちの次にサルにひっかかったらダバすぎる

    ✚✚✚♥✚♥✚

    サルに恋する秒前の翌日、緑子は仕事が䌑みだったので䟋の公園に行っおみた。

    倧朚の䞊に登り、スケッチブックに絵を描いおいる男を芋぀けた。
    ほがむメヌゞ通りのサルだった。

    画像

    緑子が近づいおゞヌッず睚んでいるず、サルがするするず朚から降りおきた。

    「あおいちゃんのお母さん」サルは聞いた。

    「違うわよ。䜕で」

    「目もずがそっくりで、俺を睚むから。」

    サルは緑子をあおいの母だず思ったのだ。

    矎人のあおいず目もずがそっくりずいうのは嬉しいが、十五歳違いでお母さんはひどすぎる。
    あおいの名前を知っおいるのも䜕気にショックだった。

    「あおいの姉です。」緑子はきっぱり蚂正した。

    「座っお話したしょうか」
    サルがカフェにでも誘うように、そのぞんの芝生に座った。
    「なんか話があるんでしょう」
    サルが自分の隣の芝生をポンず叩いた。

    ここに盎に座れっおか。䜕も敷かないで。

    仕方なく緑子は隣に座った。
    今朝降った雚で少し湿っおいた。お尻がひんやりする。サルは気にしおないようだ。

    隣から顔を芗けば芗くほどサルに䌌おいる。
    盎近で話した若い男は鈎村なので、その萜差にくらくらした。

    「倱恋したばかりの女の子を毎日埅ち䌏せっおどうなの」
    「埅ち䌏せかなあ」
    「じゃあなんでい぀もここにいるの」

    「理由1、朚の䞊で絵を描くのが奜きだから。理由2、あおいちゃんに䌚いたいから。」

    「ほら。埅ち䌏せじゃない」

    サルは銖を傟げた。
    「あおいちゃんが避けたいなら、公園を通らなければいいのでは」

    嫌がっおないず蚀いたいのか
    確かにサルから貰った花を食っおいたが。

    「あおいちゃんも僕に䌚いたいんおすよ。」

    「はあ」

    サルのくせに自惚れる気か
    緑子が睚み぀けるず、

    「いやいや、そういう意味じゃなくお。僕が描いたあの男の倧あくびの絵を芋たあおいちゃんは、プラむドがすごく傷぀いた顔をしたんです。アホなこずしちゃったな、ず思ったんでしょうね。だから自分よりアホな奎を、毎日仕事垰りにちょこっず芋お喋ったら気晎らしになるんじゃないかず。」

    あおいは倧阪支瀟の男を消去した、ず簡単に蚀っおいたけど、やはり傷぀いおいたのか。

    「じゃあ、おたくはこのドサクサに乗じおあおいをひっかけようずしおいるわけじゃないの」

    「気をひこうずするなら、もっずカッコよく振る舞いたすよ。」

    カッコよく振る舞ったずころでサルはサルじゃないのず緑子は思った。

    「でも私にもあおいの盞手に理想があるから。近づいおほしくない。」
    緑子は本音を蚀った。

    「自分の代わりにあおいちゃんに期埅しちゃっおるずか」

    緑子は急所を突かれたが、切り替えしお笑った。
    「矎女ず野獣が恋するのは映画の䞭だけよ。サルは動物園にお垰り。」

    サルは真面目な顔になっお蚀った。
    「人間は時ずしお充たされるか充たされないか、わからない欲望のために䞀生を捧げおしたう。その愚を笑う者は、人生に察する路傍の人に過ぎない。芥川韍之介の小説の蚀葉なんですけどね。」

    「なんなの」

    「お姉さんにはお姉さんの人生がある。あおいちゃんにはあおいちゃんの人生があり、俺には俺の人生がある。あおいちゃんが俺を拒吊するのも自由。奜きになるのも自由。」

    「あおいは奜きになったりしないよ。」

    緑子は立ち䞊がっお、歩いお行った。
    もう話したくない。

    しばらく歩くず、サルがぱっず前に珟れた。
    怒っお远いかけお来たのかずギクッずするず、サルはスケッチブックの絵を緑子にくれた。

    明るいレモンむ゚ロヌのワンピヌスを着た女性が、公園で柔らかく埮笑んでいる。
    繊现なタッチの矎しい絵だ。
    顔立ちが緑子に䌌おいる。

    これは私  

    「こういう感じだずお姉さんに芋えるよ。」

    サルは「じゃあね、ねヌさん。」ず倧朚ぞ走っお行き、たたするするずスケッチブックを持っお朚の䞊に登った。

    ✹✹✹✹✹✹✹

    先入芳なくサルず䌚うようにあおいに頌たれた緑子は、明日、矎術通前でサルず埅ち合わせするこずになった。

    もしも願い事が叶うなら、明日が吹っ飛んであさっおになっおくれないかず切実に思う。

    明日が来るのが憂鬱で憂鬱で仕方ない。

    「動物園にお垰り」ず初察面で捚お台詞を蚀った盞手に、効の圌氏ずしお察応できるか難題だ。

    「あおいの盞手に理想があるから近づいおほしくない。」ず本音を蚀い、
    「自分の代わりにあおいちゃんに期埅しちゃっおるずか」ず芋透かされ、緑子を人生の路傍の人扱いしおきた因瞁の盞手だ。

    サルの方だっお䌚いたくないだろうに、よく承知したものだ。

    緑子の郚屋にはただサルが描いた絵があった。

    レモンむ゚ロヌのワンピヌスを着た䟋の絵だ。

    ゎキブリを芋぀けたら、これで叩いおやろうず、絵をくるくるっずポスタヌのように䞞めお茪ゎムをしお眮いおあった。

    改めお開いお芋るず、矎しい絵だった。

    あの時の蚀い合いも、緑子だけ小孊生の口喧嘩みたいだったのが、思い出すず恥ずかしい。

    ✹✹✹✹✹

    明日は䜕を着おいこう、ず緑子は考えた。
    たたお母さんず蚀われるず腹が立぀。

    クロヌれットを開けるず、春なのに暗い色の服ばかりが䞊んでいた。

    有絊䌑暇を取っおいたので、緑子は䜕ずなく街に出た。
    い぀もなら䞀人でボりリングをしお、街などぶら぀かず垰るのだが、今日は久しぶりにマむボヌル、マむシュヌズを持たず、身軜に歩きながらりむンドゥショッピングした。

    するず、サルが描いた絵ず䌌たレモンむ゚ロヌのワンピヌスがショヌりむンドゥに食られおいた。
    春らしい綺麗な色だ。

    デヌトじゃあるたいし、あのサルず䌚うためにこれを着るの

    もし着おいったらサルはからかっお笑うだろう。

    笑われたら、ものすごく倱瀌な奎だ、ず改めおあおいに蚀っおやればいいか。

    だいたいサルは私を描いた絵のこずなんお芚えおいないだろう、ず緑子は思う。

    最近倪ったし、サむズが合わないかもしれない。

    詊着だけしようか。
    しかし䌌合わないだろう、ずショヌりむンドゥの前で迷っおいるず、ショップの女の子が玠早く出お来た。
    「玠敵でしょう 詊着なさいたすか」

    「着られないず思うけど。」
    「り゚ストがゎムなんですよ。」
    「そうなの」

    ショップの女の子に招かれお、詊着するこずになっおしたった。 

    着おみるず、あの絵のような華やかさがあった。 

    り゚ストがゎムでお腹呚りが楜に着られる䞊に、同玠材のリボンベルトが぀いおいお、ゎムが隠れるようになっおいた。

    「すごくお䌌合いですよ。」
    すかさず店員の女の子がほめた。

    「もずもず着おいらした服の時より、十歳は若く芋えたす。別人みたいにお綺麗です。」

    営業トヌクだろうが悪い気はしない。
    䜕より緑子自身が鏡に映るこれを着た自分を、普段の自分ずは思えず芋惚れおしたった。

    「このお色は最埌の䞀着です。」ず、さらなる䞀抌し。

    どんなに高くおもこれは買いたい、ず思っお倀札を芋るず、そんなに高くなかった。

    明日着るかどうかは別ずしお、なんずしおも欲しくなり賌入した。

    ✹✹✹✹✹

    サルに䌚う圓日ずなり、緑子はただ着る服を迷っおいた。

    気持ちずしおはレモンむ゚ロヌのワンピヌスを着たいのだが、サルに芋られ、その反応からかわれるんじゃないかを考えるず、家にある無難な服にしようかず思う。

    しかしお母さんには思われたくない。
    店員の女の子に十歳違うず蚀われたのだ。

    そこで、いったんサルず䌚うずいうこずは忘れお、矎術通ぞ行くので矎術通䞻䜓に考えおみた。

    それなら華やかなレモンむ゚ロヌのワンピヌスの方が盞応しいのでは

    ✹✹✹✹✹

    埅ち合わせの十分前に緑子が行くず、遠目にサルが公園内にある矎術通の前に立っおいるのが芋えた。
    今日も朚に登れそうなカゞュアルな服を着おいる。

    芋぀からないうち垰ろうかず本気で思ったが、サルが芋぀けお手を振っおきた。

    サルはこっちを芋お笑っおいる。

    レモンむ゚ロヌのワンピヌスなんお着おこなければ良かった。
    今すぐ着替えたくなった。

    サルのあの顔は、埮笑んでいるのか、からかっお笑っおいるのか刀断が぀かない。

    埮笑んでいるず解釈するず気持ち悪いので、からかっお笑っおいるず解釈すべきか。

    からかっお笑っおいるず解釈するず悔しいので、埮笑んでいるず解釈すべきか。

    緑子はのろのろず笑っおいるサルの前に行った。

    「お久しぶりです。チケットは買っおありたす。」サルはペコンずお蟞儀した。

    「ねヌさんをなんお呌んだらいいですか 俺のこずはサルくんでもサルでもいいですが。ねヌさんのお名前は」

    緑子はサルに名前を教えたくなかった。
    ただ恋人関係だから、ワンチャンあおいず別れる可胜性だっおある。

    「ねヌさんでいいわよ。」
    「じゃ、ねヌさんで。」

    サルが緑子を少し離れお芳察しおくる。

    「䜕よ。」

    「思った通りだ。その色すごく䌌合いたすね。」

    芚えおいたのか。恥ずかしすぎる。

    䌌合うず蚀われおホむホむ着おきたワンピヌスで䞊品にしおいるのが恥ずかしくなっお、緑子は党身でりッキッキヌずサルのモノマネした。

    サルはびっくりしお固たった埌、遅れお笑った。

    あれ 意倖ずノリが悪いな。
    「りッキッキヌ返し」しおくれないずは。
    ギャグが滑ったみたいで緑子は䜙蚈に恥ずかしい。

    「む゚ロヌは緑の芪戚だから䌌合うのかもね。」
    緑子ずいう名前を教えおないのに、取り繕っおそう蚀うず、

    「緑子だから緑のワンピヌスですっお、い぀も蚀うんでしょ」
    サルが蚀った。

    なんだ、あおいに聞いお私の名前を知っおいるんじゃないの、ず緑子は思う。
    知らない玠振りで聞いおきお党く食えない奎だ。

    ✹✹✹✹✹

    その日、矎術通で開催されおいる展瀺は、幎に数回、矎術通に行く緑子が名前を聞いたこずがある画家のコレクションだった。

    順番に絵を芳おいくにあたっお、䞊んだ前の人がものすごく動くのが遅くお、緑子は苛぀いた。

    するずサルが「順番通り芳おいかなくおもいいんですよ。奜きな絵から芳たり、人が少ない絵から芳たり、奜きな絵の前では立ち止たったり自由でいいんです。」ず蚀った。

    緑子は今いる郚屋の䞭をぐるりず芋枡しお、サルの蚀う通り自由に芳おたわった。

    そのうち心がずきめく絵を芋぀け、近づいたり離れたりしながら、長くその絵を芳た。

    ✹✹✹✹✹

    幟぀かの郚屋をたわり、その画家の展瀺は芳終わった。

    緑子が矎術通を出ようずするず、サルがなんだかモゞモゞしおいる。

    「どうしたの」
    矎術通にいたんじゃ話せないから、早くどこかぞ移動したかった。

    「無料の展瀺もやっおいるようですよ。」
    「もうじゅうぶん芳たから、無料のなんおいいわよ。」

    サルは困ったように、ただモゞモゞしおいた。

    「どうせ無名の画家でしょ」
    そう蚀っお、緑子はハッずした。
    たさか

    サルが緑子の衚情の移ろいに気づいお、照れたように芖線を倖した。

    無料の展瀺の入り口には、東京郜の矎術通のある区内圚䜏で掻躍䞭の若手画家ず曞いおあり、名前が5人曞いおあった。
    この䞭にサルがいるのか

    緑子はサルを匕っ匵っお、無料展瀺ぞず進んだ。

    「芋おくれるの」サルは嬉しそうな顔をした。

    「今のずころ、あおいの圌氏だから、姉ずしおは将来性を芋極めないず。」

    「怖っ」
    サルはそう蚀い぀぀、浮かれた感じでスキップしながら぀いお来た。

    ✹✹✹✹✹✹✹

    無料展瀺の郚屋に入り、どれがサルの絵なのか聞き、そのコヌナヌぞ行った。
    十䞃枚、展瀺しおあるそうだ。

    公園で緑子を描いたような繊现なタッチの絵が䞭心だった。

    あおいずそっくりな女性の絵が䜕枚も展瀺されおいた。
    ヌヌドじゃなくお気たずくならずホッずした。

    絵の䞭のあおいは、緑子の芋たこずのないような、いろんな衚情をしおいた。
    ドキドキするような倚角的な矎しさがあった。

    するず明らかに絵のタッチが違う五枚の絵があった。

    色圩のはっきりしたナヌモラスな絵で、「おじさんず掗濯機」ず曞かれおシリヌズになっおいるようだ。

    ハゲ頭のおじさんが掗濯機の䞭にいろんな衣類を投げ入れるずころや、掗濯機めがけお小倪りの䜓で逆立ちをしおいるずころ、掗濯機の暪で猶ビヌルを持っお倜空を眺めおいるずころなど、印象的な味わいのある面癜い絵だった。

    こんな絵も描くんだ、ず緑子は「おじさんず掗濯機」シリヌズの絵を近づいたり離れたりしながら魅入った。

    長く芳おいたこずに気づいお振り向くず、サルがハゲ頭で小倪りのおじさんず䞊んでニダニダしおいた。

    おじさんが「どヌもどヌも」ず近づいおきお、「この絵のモデル、私なんですよ。」ず自慢げに蚀った。

    芋ればわかる。絵ずそっくりだ。

    「こういう者です。」
    おじさんに名刺を枡された。
    矎術通ず同じ区内のコむンランドリヌの名前が曞いおある。その経営者だ。

    「私、圌のファンでしおね。お願いしお描いおもらっお、うちのコむンランドリヌに『おじさんず掗濯機』をずらりず食っおいるんです。矎術通に頌たれお、今回の展瀺のために絵をお貞ししたっおわけです。気に入っおくださったようで。」

    おじさんはハゲ頭をさすっお、すごく嬉しそうだ。

    あれだけ長く芳おいたので、確かに「おじさんず掗濯機」を気に入っおしたったのかもしれない、ず緑子は思う。

    自分を描いおもらっお自分の店に食るなんお、おじさんは自己顕瀺欲が匷いタむプなのか、それずもお茶目なタむプなのか

    「い぀でもコむンランドリヌにおこしください。掗濯しなくおいいから、おじさんず掗濯機の絵を芳に来おください。矎術通に食っおある間は、毎日、私、ここに来おいたす。」

    「えっ、毎日来おるの」
    サルがびっくりしお聞いた。

    「だっおよ、うちの店にあるのず、この立掟な矎術通に食られおいるのずじゃ、こちずら気持ちの浮かれ方が違うんだよ。嬉しくっお毎日通い぀めおるよ。早く有名な画家になっおくれよ おじさんず掗濯機の䟡倀が䞊がるから。」

    「有名になったら、おじさんず掗濯機、売っちゃうの」
    「札束積たれたっお売らねヌよ。気に入っおんだから。」

    「ずころで⋯」
    おじさんはサルに冷やかすように聞いた。

    「幎䞊の圌女  この間、絵に䌌た綺麗なお嬢さんが来おたけど、もしかしお⋯」小声で「二股」

    「違いたす」
    サルず緑子が同時に吊定した。


    画像

    ✹✹✹✹✹✹

    緑子ずサルは矎術通に䜵蚭されおいるカフェに入った。

    コヌヒヌを泚文するずすぐ、サルは慌ただしく矎術通に繋がる店の階段を駆け䞊った。
    スマホはテヌブルに眮きっぱなし。
    党く萜ち着きのない奎だ、ず緑子は思った。

    しばらくしおサルが階段を駆け䞋りおきお、テヌブルにポストカヌドを眮いた。

    それは緑子が気に入っお長く芳おいた今日のメむン展瀺の画家の絵だった。

    「ねヌさん、気に入っおいたでしょ おじさんず掗濯機も気に入っおくれたみたいだけど、あいにくただポストカヌドを䜜っおなくお。」

    「ありがずう。」
    気が利くずころもあるんだな、ずほんの少し芋盎した。

    「ずころでねヌさん、お願いがあるんだけど。」

    「はあ」
    たさかこのポストカヌド枚で、あおいずの仲を賛成しおほしいなんおいうのか

    「絵のモデルになっおほしいんだ。」

    「私が モデルなら、あおいがいるじゃない。」

    「あおいちゃんにはモデルになっおもらうけど、違ったタむプの絵のモデルを頌みたくお。」

    違ったタむプの絵のモデル

    緑子はハッずした。たさか

    「おばさんず掗濯機を描きたいずか」

    サルは爆笑した。
    「それいいね。おばさんず掗濯機ずか、おばさんず掃陀機ずか。フラむパンずか。」
    腹を抱えお笑っおいる。

    倱瀌すぎお、緑子は完党にムカ぀いた。
    いくらおじさんず掗濯機を気に入ったからっお、おばさんず掗濯機のモデルをやらされるのは聞いおない。掃陀機やフラむパンでも同じだ。

    あのハゲ頭で小倪りのおじさんず同じカテゎリヌに入れられたのもムカ぀くけど、おばさんず掗濯機なんお二番煎じじゃないか

    「私はただ40歳でおばさんず蚀われる幎じゃないけど」

    本気で怒っおいるず知ったサルは笑うのを止めた。
    「いやいやそうじゃなくっお、公園のお姉さんを描きたくお。」

    「公園のお姉さん」
    緑子はサルに描いおもらったレモンむ゚ロヌのワンピヌスの絵を思い出した。
    繊现なタッチの矎しい絵だ。あの路線
    しかしそれなら、あおいず違ったタむプの絵ずはならない。
    意図がわからなくお混乱しおいるず、

    「朚登りするお姉さんが描きたい。」
    ずサルは真剣な顔しお蚀った。

    ずんでもない角床からきお、緑子はびっくりした。

    「できるわけないでしよ。朚登りなんお」

    「俺が教えるから。ねヌさん、ボりリングがすごく䞊手くお運動神経いいんでしょ」

    あおいはなんでもサルに話すんだな、ず思った。

    「かけっこするお姉さんでもいいし、鉄棒で逆䞊がりするお姉さんでもいい。朚登りも、できおもできなくおも、お姉さんくらいの幎のおば⋯お姉さんが、なんか必死に䜓を動かすような、食らい぀く生呜力みたいなものが描きたいんだ。頌みたす」

    サルが頭を䞋げた埌、緑子の目を芗き蟌んできた。

    こんなアホみたいな䌁画なのに真剣に頌んでくるんだな、そしお描いおみればあの「おじさんず掗濯機」のように味のある䜜品に仕䞊げるんだろう、ず緑子は思った。

    40歳で朚登りに初挑戊するなんお思っおもみなかったが、いっちょ乗っおやるか

    「いいよ。OK」緑子は蚀った。

    サルはカフェなのにヒャッホヌずゞャンプしおテヌブルのコヌヒヌを揺らしお喜んでから、緑子にくれたポストカヌドをひったくっお、裏の癜い面に䜕か曞いた。
    自分の携垯の電話番号だ。その暪に「サル」ずサむンした。

    「ちょっず䜕するの せっかくのポストカヌドに」

    「これに曞けば捚おられないず思っお。」
    サルは悪戯っぜく笑った。

    党くなんお子だ、あおいは圌を奜きになったのか。
    緑子は、もうどうにでもなれ、ずいう気持ちになっお笑っおしたった。

    ✹✹✹✹✹

    サルず別れた垰り。
    あおいず䜏むマンションぞず向かう街路暹の道を歩きながら、緑子は考えた。

    あおいに鈎村をすすめたのは、本圓にあおいのためだったのか

    あおいはボりリングがものすごく䞋手くそで苊手なのだ。
    䞉人でボりリングしたら楜しいだろうな、ず思ったのは、緑子にずっお楜しいからだ。
    い぀も䞀人でボりリングしおいる時、グルヌブの賑やかさを矚たしく思う時があった。

    それにあおいずの暮らしが本圓に楜しくお、あおいをさらっおいく男がいるなら、私の孀独ず匕き換えにするなら、この圌なら仕方ないず思えるような玠晎らしい男が良い、ず理想があった。
    自分の気持ちのためだ。

    あおいが奜きになったのはサルだ。

    「サルに恋する秒前♪を歌っお、ひざたずいお花を枡したんだっお」
    ずサルに別れ際に聞くず、思いがけず本気で恥ずかしがっおいた。

    もしかしたらサルは傷぀いたあおいを笑わせようず、無理しおお笑い芞人をやっおいたのかもしれない。

    ✹✹✹

    マンションの玄関のドアを開けるず、あおいが心配そうな顔しお駆け寄っおきた。
    「どうだった お姉ちゃん。」

    緑子はポストカヌドに曞かれたサルの電話番号を登録するのに、圌の名前を知りたくなった。
    矎術通で絵の暪の画家名に、確か四文字の名前が曞いおあったっけ

    「あおい。教えおほしいんだけど。」

    サルの名を知る秒前♪

    1,2,3,4,5


    終わり

    ✹✹✹✹✹✹✹

    画像

    ✹✹✹✹✹

    絵を描いおくださいたした。

    ♥✚♥✚♥✚♥





     
     
     

    みゆ

     
     
    芥川韍之介、倪宰治の小説から発想した短線小説。「新䜜の【小説】3連続スキしおくれた方の䞭でフォロヌ返し。コメント欄は感想をお願いしたす。 埗意分野は思考力ず想像力♪ 将棋ずテニスずコヌラスずコヌヒヌが奜き。気たたにレモンティヌ