
【言葉のプロの散歩道】町田市から広がる三浦しをんの世界と、耳で楽しむ言葉の魔法
好きな作家さんの足跡をたどって、別の素敵な作品に出会った経験はありますか?
先日、歌人の俵万智さんについて詳しく調べていたところ、「東京都町田市」の公式ホームページにたどり着きました。そこから思いがけず、作家・三浦しをんさんの素晴らしい世界へと扉が開いたのです。
今回は、町田市を舞台にした名作の秘密や、お二人の「声と演劇」にまつわる意外な共通点についてまとめてみました。
1. 現実と「まぼろし」が交差する街?『まほろ市』の秘密
三浦しをんさんの直木賞受賞作であり、映画やドラマ化もされた大人気作『まほろ駅前多田便利軒』シリーズ。
この舞台となる「まほろ市」は、三浦さんが長年暮らした東京都町田市がモデルになっています。
💡 「まほろ」という名前に込められた響き
「まほろ」は、日本の古語で「すぐれたよい土地」を意味する「まほろば」が由来と言われています。
でも、現実の町田市にそっくりなのに、どこか懐かしくて愛おしいあの空気感を見ていると、まるで「まぼろし(幻)」の街を歩いているような、素敵な遊び心も感じてしまいますね。
2. 言葉を紡ぎ、言葉を編む。『舟を編む』の熱量
三浦しをんさんといえば、映画やアニメにもなった名作『舟を編む』も。
膨大な言葉の海から、人々が迷わずに思いを伝え合えるように、何年もかけて“正しい舟(辞書)”を編み上げていく編集者たちの熱い物語。町田市の公式HPにあるインタビューを読んでも、三浦さんの「言葉」に対する並々ならぬ愛情とリスペクトが伝わってきます。📖
3. 演劇と朗読。お二人が魅せる「声」の可能性
調べていくうちに、俵万智さんと三浦しをんさん、お二人とも「言葉を声や身体に乗せて届けること」に深い由来があることが分かりました。そのアプローチの違いがとても面白いのです。
• 俵万智さんは「演劇(舞台)」との縁、そして言葉の向き合い方
俵さんの短歌は、かつて劇的な音楽劇として舞台化されたりと、言葉が役者の肉体を通して放たれる空間と深く繋がっています。また、俵さんの話題の著書『生きる言葉』では、SNSやAI時代における「言葉のつかい方」が歌人ならではの視点で優しく説かれており、現代を生きる私たちに深く刺さる一冊として大ヒットしています。
• 三浦しをんさんは「朗読(音声)」の新しい挑戦!
三浦さんは演劇というよりも、まさに「朗読」の世界で新しい試みをされています。
実は三浦さんの長編小説『墨のゆらめき』は、「Amazonオーディブル(耳で聴く本)」での朗読配信を前提として書き下ろされた作品。文字(書道)という視覚的なテーマを、プロの声優さんの「声」だけでどう表現するかという、小説の新しい可能性に挑まれています。
まとめ 言葉の海へ、耳から目から飛び込もう
俵万智さんをきっかけに、町田市のホームページを経由して出会った三浦しをんさんの世界。
お二人の作品に共通しているのは、私たちが普段何気なく使っている「言葉」の力を、もう一度信じさせてくれるところです。
お出かけのお供に『まほろ駅前』の文庫本を開くのも素敵ですし、おうち時間を充実させるために、俵さんの新書で言葉の足腰を鍛えたり、『墨のゆらめき』をオーディブルの朗読で耳から楽しむのもおすすめですよ。
ぜひ、この美しい言葉の海に浸ってみてください。
俵万智『生きる言葉』(新潮新書)
三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』(文春文庫)
三浦しをん『舟を編む』(光文社文庫)
三浦しをん『墨のゆらめき』(新潮社)