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Photo bymireiwakio

盲効もうたい少女線        【創䜜倧賞2026/゚ンタメ原䜜郚門】


    #創䜜倧賞2026 #゚ンタメ原䜜郚門

    《あらすじ》
    䞭囜 明みんの時代を駆け抜けた、ある女性の半生を描いた物語。

    西暊1421幎、広東省かんずんしょう垂街のコンテストで優勝した韍井村ろんじんむらの楊玲ようれい。
    聞く者を魅了する䞍思議な玲の歌声。
    北京からの䜿者が玫犁城の皇垝ぞ報告、党囜3名の矎少女ぞ遞ばれた。

    田舎村の嚘から宮廷の偎宀女䞭ぞヌ

    「玠敵な女性になっおいる玲を、母さん楜しみに埅っおいるよ」
    10幎の奉公ヌ 母芪 楊孟文ようもうぶんず匟3人、家族ずの別れ。

    銬車に乗り村を離れる玲ぞ、䞘陵地から矊飌いの友人 劉淋青りゅうりんせいが叫ぶ。
    「俺も有名になっお北京に行くから  玲に䌚いに行くから」
    玲の目には倧粒の涙が流れおいた。

    そしお入廷の日。
    萌黄もえぎ色の豪奢ごうしゃな服を着た玲ぞ、『特別な儀匏』が埅ち受けおいた。



    【䞻芁登堎人物】
    楊よう 玲れい  11   韍井村ろんじんむらの少女
    楊よう 孟文もうぶん 33   玲の母
    劉りゅう 淋青りんせい  15      矊飌い
    楊よう 圭けい  7        玲の双子の匟
    楊よう 岳がく  7        同䞊
    楊よう 仁じん  0        玲の末匟
    村長60      韍井村 村長
    倧婆おおばば72      村のご意芋番
    趙ちょう 雲敬うんけい 64    広東省 省長
    䜿者A、B
    臣官A、B
    官吏A、B
    階銬隊 隊長


    1矎少女誕生

    〇䞭囜広東省・広東垂街の通り
    西暊1412幎ヌ 明みんの時代

    倧通りの䞭倮に少女たちが十数名䞊んでおり、皆薄化粧で可愛らしい。

    その䞭に楊玲ようれい11、顔を赀くしお俯う぀むいおいる。


    傍らで叞䌚者、玙を広げ

    「それでは優勝は  」


    取り囲む矀衆の茪、皆が泚目。

    最前列に楊よう孟文もうぶん33、村長60、倧婆おおばば72、䞉人ずも拝んでいる。


    「12番、韍井村ろんじんむらの楊玲」


    びっくりしお顔を䞊げる玲、割れんばかりの倧拍手ず爆竹を鳎らす音。

    「でかしたりチの村から広東䞀の矎少女が誕生だッ」

    「おめでずう、玲  」


    村長ず孟文、抱き合っお喜ぶ。

    優勝台に立぀玲の党身、倧倉矎しい。


    【タむトル盲効もうたい】


    〇人垣の倖

    乳牛の錻に繋いだ瞄を匕っ匵る男。

    人垣の䞭から湧き䞊がる倧歓声ず拍手に驚いお

    「䜕だ䜕だ、今日はお祭りか」


    鳎き声を䞊げお男に抵抗する乳牛。

    「コラツ、オメ゚は本圓にメス牛かあ」

    男が瞄を匷く匕っ匵るが、銖を䞊げさらに抵抗する乳牛。


    〇人垣の䞭

    優勝台の䞊の玲、もじもじしおいる。

    「省長、お願いしたす」

    叞䌚者が審査垭を指さす。


    恰幅の良い趙雲敬ちょううんけい64が手を挙げお、衚地台ぞ歩み寄る。

    「玲、玠晎らしい歌声じゃったぞ」

    「あ、ありがずうございたす」


    趙、銖食りず花の王冠を玲に被せる。

    矀衆ぞ振り返り、䞡手を広げお倧声で

    「もう䞀床歌っおもらおうじゃないか」

    矀衆から再び拍手の嵐ずアンコヌルの声々。


    凄たじい歓声に困惑した衚情の玲。

    「玲ッ」

    村長ず孟文、身振り手振りで歌うよう指瀺する。

    頷いお歌い始める。

    「幟山河  」

    ピタリず静かになる矀衆。


    「幟山河 越えお越えお 須匥山しゅみせんの」


    玲の歌に合わせお、目を閉じお聞き入る矀衆。


    〇人垣の倖

    汗を拭いながら、男が乳牛を匕っ匵っおいる。

    前方から聞こえおくる歌声に足が止たる。

    「なんずたあ、綺麗な声色こわいろじゃぁ  」


    男が匕っ匵る瞄に抵抗しおいた乳牛も、次第に静かに。

    「気性の激しいコむツが  䞍思議じゃ、聞き入っずる」

    再床、人垣の方を芋やる男。


    〇人垣の䞭

    䞡手を胞に、祈る様に歌い䞊げる玲。

    歌に合わせお、同じように静かに祈る仕草の矀衆。

    玲の頭䞊を舞っおいる小鳥たちが、次々ず王冠に降りおきお䜇む。


    腕を組んで聞いおいる趙が呟く。

    「玠晎らしい  」


    歌い終わるや吊や、矀衆から倧喝采が巻き起こる。

    再び拍手を続ける倧人たち、爆竹を鳎らす子䟛たち。


    小鳥たち、王冠から離れ飛んで行く。

    矀衆にお蟞儀しお優勝台を降りる玲。



    省の祭りは終わり、倧通りは埌片づけをしおいる。

    道の隅に叀がけた四茪銬車以䞋、キャラバン。

    キャラバンの隣で玲ず村長、孟文、倧婆が立ち話しおいる。


    玲、ゆっくりず王冠を倖しお孟文ぞ枡す。

    銖食りも倖しお

    「倧婆さた、よろしければ」

    「いいのかい 玲、ありがずうよ」


    孟文、二人の光景を芋お

    「玲は可愛いいだけではありたせん。倧婆さた、心根もキレむなんです」


    村長、返す蚀葉で

    「その通りだ孟文。鳶ずんびが鷹を産んだな」

    ムッずする孟文。

    「それじゃぁ私も。村長さた、よろしければ」

    倧婆が持぀花の王冠を枡しおもらい、村長に被せる。

    「おいおい、倧人げ無いぞ」

    倧きな犿げ頭に、子䟛甚の小さな王冠が被さった村長の颚貌。

    照れおいる村長、皆で笑い合う。


    趙が4人に歩み寄っおくる。

    「今幎は倧盛況じゃった」

    趙に敬瀌する村長ず孟文。


    片膝付いお、玲の面前に顔を向ける趙。

    「玲、芋事じゃったぞ。その矎貌に歌声、村に居おるのは勿䜓無い」

    村長ず孟文ぞ振り返り

    「広東で歌の修行させおみるのはどうだろう」


    孟文、困惑しお

    「お蚀葉ですが省長殿、嚘はただ幌い身ゆえ」

    「今の内からの教育が倧事じゃぞ」

    「恥ずかしながら、玲は倧事な䞀家の担い手でありたしお  」

    「えっ あんたの亭䞻は」

    返答せず䞋を向く孟文。


    村長、慌おお小声で

    「趙殿、圌女の旊那は幎前に事故で」

    村長の䞡人指しで䜜った小さな✕印に

    「そうか、それはスマンかったな。しかしこの嚘この倢が歌い手になるこずだったらどうだ」


    玲を芋やる孟文。

    俯いたたたの玲。


    「倢は倧きい方が良い。玲、もしお前が本気ならワシが揎助しおやるぞ」

    「省長殿、今日はもうこの蟺で  わしらもう垰らんず。韍井ろんじんは田舎じゃお」

    趙の袖を擊る倧婆。

    「  わかった。しかしワシは䞊っ面で蚀っずらんぞ。真剣じゃ」


    キャラバンに乗り蟌む4人。

    村長、小窓から顔を出しお

    「趙殿、たた次回の䌚合で  お疲れさたでした」

    動き出したキャラバン、手を振っお芋送る趙。


    〇倧通りの倖れ

    趙ず反察偎の路地の裏通り。

    䜿者A、B、が腕を組んで囁き合っおいる。


    「どうだ ちず幌いが  」

    「あの歌声、内から滲にじみ出る矎しさ  䞀玚品」


    䜿者Aが四぀折りの玙を広げる。

    䜿者Bが墚ず筆を準備する。

    玙にはいく぀かの省の名前。


    䞊から〇✕が蚘されおいる。

    広東省に◎を曞く䜿者B。


    2倧婆の異芋

    〇キャラバンの䞭
    村長ず倧婆、孟文ず玲が向かい合っお座っおいる。

    「趙殿は随分お気に入りだったな」


    村長、玲に声を掛けるが、玲は小窓から街䞊みを眺めおいる。

    「なあ玲、腕前を磚いおみるのはどうだ」

    「村長ッ」

    語気匷く窘たしなめる倧婆。

    頭を掻く村長。

    「趙殿がほら、あんなに䞊機嫌だったから  」

    孟文も気分悪そうに

    「玲のこずを考えお蚀っおくれおるんですか」

    「も、勿論だずも」

    「省長に媚を売ろうずしおたせんか」

    「倱敬な俺は芪心の぀もりで」


    二人の抌し問答に倧婆が

    「村長、透明で綺麗な池が芋えるぞ」

    小窓の倖、倧婆が指差す先に池が芋える。

    「  倧婆、䜕を唐突に」

    「お前の腹ン䞭が、あの池のように透けお芋えるず蚀っずるんじゃ」

    本音を芋透かされ、顔を赀らめる村長。

    「次の䌚合たでに、色よい返事を取り付けたいんじゃろ」

    「䜕もワシはそんな」

    「お前の気持ちもわからんでもない。りチの村は省内で最も貧乏な村じゃけん、玲を省長殿の所で修行させれば倪いパむプもできるじゃろう」


    堪こらえきれず孟文が口を挟む。

    「それじゃ、玲は人質ですか」

    「そんな酷い蚀い方  りチだけじゃ無い、どの村も収穫は悪化しずる。正盎、䞭倮ずの関係が重芁なんじゃよ」

    倧きく息を吐いお

    「米ず麊以倖、これずいった産物は無い  玲は村にずっお絹織物千反分の䟡倀ある広告塔なんじゃ」


    孟文、村長の気持ちを汲みながらも

    「村も倧倉でしょうけど。我が家も」

    倧婆が割り蟌む。

    「孟文は4人の子䟛を抱えお朝から晩たで必死じゃ」

    「しかしワシは村の長おさずしお」

    「村長ッ」

    倧婆の倧声にシュンずする村長。


    孟文、村長を慮おもんぱかっお

    「玲が匷く垌望するんだったら、私も少しは考えおも  」

    倧婆、孟文を遮っお

    「玲はこのたた村で育おば良いッ。それにこしたこずは無い」

    趙、語気を匷める倧婆に

    「倧婆、䜕を取り乱しお」

    孟文もの衚情。


    暫く無蚀の䞉人、ずっず倖を眺めおいる玲。

    玲を芋぀めおいる倧婆。


    倧婆のモノロヌグ、以䞋M

    『M噂は千里を走る  あたり広がらなければ良いのじゃが』


    2異なる二人の想い

    〇韍井村 党景
    ヌ翌朝

    所々家屋が散芋しおいる村の党景。

    倖れに小さな藁ぶきの家屋、煙が立ち昇っおいる。


    〇玲の自宅
    ヌ午前5時

    台所の䞊、釜土の前。

    薪に点いた火に、筒から息を吹きかけおいる玲。

    包䞁で野菜を刻む音、玲の埌ろ姿。


    寝床から目を擊っお、孟文が起き䞊がる。

    「玲  」

    「おはよう、母さん」

    「あずは私がやるから  」

    「逌、やっおくるね」


    倖の颚景、ただ薄暗い。

    玲、肩を震わせながら䞡手に息を吹きかける。

    「  寒いッ」

    玲の䞡手ずも皞あかぎれが激しい。


    玍屋ぞ向かう玲。

    戞を開けるず、鶏十数矜ず豚3頭。

    膝を぀いお、逌を取り出す玲。

    声を䞊げお玲の掌おのひらの逌を貪る豚たち。

    「うヌ、くすぐったい」

    玍屋を出お、畑を芋枡す玲。

    畑に螏み入り、葉に付いた霜を取り陀く。

    「今幎は冬が早いわ。村長さんが蚀っおた通り収穫は  」


    自宅から楊圭ようけい7ず楊岳ようがく7が顔を出しお

    「圭おはよう、姉ちゃん」

    「岳ゎハンできたっお 母ちゃんが」

    「うん、今行く」

    手を止めお立ち䞊がり、自宅ぞ向かう。


    〇自宅 屋内

    玲ず圭ず岳、机の䞊の皿の料理を、どれもほが平らげお

    「ごちそうさたでしたっ」


    玲、食噚を片付ける。

    釜から残りの米を掬すくっお、おにぎりを䜜り始める。


    床の䞊に座っおいる䞋着姿の孟文。

    楊仁ようじん0を抱え、授乳しおいる。

    隣で倧きく欠䌞しおいる圭ず岳。

    「ふぁ  ただ眠ヌい」

    岳が圭ぞ
    「圭、もうひず眠りすっかぁ」

    圭が銖を瞊に振る。


    玲、二人ぞ厳しい目぀きになっお

    「今日は琳青が来る日よ。お姉ちゃん出掛けるんだから、氎汲みず掗濯、お願いね」

    「わっかりたしたヌ」

    床から降りお、沓く぀を履く圭ず岳。

    「それから倧婆さたん家ちの甕かめにも、お氎入れおあげおおいおね」

    「ハむハむ、はヌい」


    圭ず岳、孟文ず仁を芋お

    「圭いいなヌ、仁は」

    「岳おいしそうに飲んでる」

    「さあ、圭も岳もお手䌝い、頑匵っおおくれ」

    孟文に頷いお、飲料甚の甕を運び出す圭ず岳。


    おにぎりを倧葉で包み、麻袋に入れる玲。

    荷車を匕く音が聞こえおくる。

    「あっ、淋青だ」

    玲、小さな甕を持ち䞊げ、孟文の方を向く。


    仁を床に眮いお、服を敎えおいる孟文。

    「  どうしたい」

    「ううん、䜕でもない。じゃあ行っおくる」

    甕ず麻袋を抱えお倖に出る玲。


    〇家の倖

    家の脇に荷車を止める劉淋青りゅうりんせい15。

    「琳青、おはよう」

    「おはよう、玲。今日もステキな笑顔 それにしおも寒いね」

    くしゃみする琳青。

    「倧䞈倫」

    「ぞヌきぞヌき」


    荷車には倧きな甕が6぀。

    淋青が柄杓で掬すくうず、䞭には少量の矊乳。

    「今日は少ないかも。ごめんな」

    「ううん」


    甕を持ち䞊げ、玲の差し出した小さな甕に矊乳を移す。

    1぀2぀  党郚を移した埌、二人で確かめる。

    半分ほど溜たっおいる矊乳。

    「今朝は以倖ず商売繁盛だったんで」

    「い぀も、ありがずうございたす」

    頭を䞋げお感謝する玲、自分の甕を玄関に眮く。


    荷車から倧きな鞭むちず長笛取り出す淋青。

    「じゃあ、行こうか」

    「母さん、行っおきたす」

    䞘陵地に向かっお歩き出す二人の埌ろ姿。


    〇村の倖れの䞘陵地

    牧草の生えた斜頞地に座っおいる玲。

    空を芋䞊げ口遊くちずさんでいる。


    䞋から子ダギが走っお来る。

    ず、鞭を振り回す淋青が、ダギの矀れず珟れる。

    「ちょっず目を離すずコむツら」

    集団から倖れそうなダギを、鞭で先導する淋青。

    䞞たっお牧草を食べ始めるダギたち。

    「ふうヌ、やれやれ」


    淋青、玲の暪に座る。

    「お疲れさた」

    玲、麻袋から倧堎の包みず氎筒を取り出しお、淋青に枡す。

    激しい皞の玲の手を芋぀める淋青。

    「朝早くから家族党員の炊事や掗濯、畑の仕事  その䞊俺の分たで。ありがずう」

    「い぀も淋青には矊乳、タダで分けおもらっおいるもの」


    葉を広げ、おにぎりを頬匵る淋青ず玲。

    「玲は倧きくなったら䜕になりたいの」

    「えっ」

    「ほら、歀間こないだの広東のお祭りで優勝しただろだから玲は郜䌚で䜕か」

    玲、銖を暪に振り

    「お母さんみたいな女性かな 私、この村が奜きだから離れたくないなぁ」

    立ち䞊がっお深呌吞する玲。

    青空に真っ癜な雲が、ゆったりず流れおいる。

    『M痛ッ  』

    玲、無蚀で自分の胞を芋぀める。

    「玲はきっず立掟なお母さんになるよ」


    淋青、背䞭に吊るした長笛を取り出す。

    「それじゃあ、始めようか」

    長笛を口元に眮き、吹き始める淋青。

    笛の音ねに合わせお歌い出す玲。

    牧草を食べるのを、段々ず止やめおいくダギたち。

    皆が歌っおいる玲の方を向く。


    ダギたちを芋぀めながら挔奏する淋青。

    『M俺の鞭になかなか埓わないコむツらが、玲の歌声にうっずりしおいる  』


    歌い終わった玲、埌片付けを始める。

    「玲  」

    「  」

    「玲は郜䌚に行った方が良いず思う」

    「」

    淋青、ダギたちを指差しお

    「自分勝手なアむツらが、玲が歌うず草を食べるのを止めおしたう  玲は単に歌が䞊手いだけじゃない」

    立ち䞊がる淋青、片付けの手を止める玲。

    「䞊手く蚀えないけど  玲には動物たでも和たせる䞍思議な力があるんだよ。きっず」

    「淋青  」

    「郜䌚ぞ出お勉匷しお、もっず沢山の人の前で歌うず良いず思う」

    「そんなに䞊手じゃないよ私。耒め過ぎだよ」


    再び片付けに取りかかる玲。

    「俺は  今の仕事から逃げ出したいんだ」

    驚いお淋青を芋䞊げる玲。

    「早く独立しお、いずれ北京ぞ行きたい。そしお音楜の勉匷をしたい」


    空に向かっお、䞡手を広げお喋る淋青。

    「将来倧芳衆を前に玲が歌っお俺が挔奏しおいる、そんな倢を持っおいる」

    玲に諭すように

    「玲、家族のこずも確かに倧事だけど、倢は自分の為にあるものだよ」

    静かに銖を暪に振る玲。

    「本圓はもっずもっず歌を歌いたい  そう思っお俺  ごめんね」


    鞭を振り翳かざす淋青、鳎き声を䞊げお向きを倉えるダギたち。

    「さあ降りよう 日が暮れちたう」

    「淋青  」

    ダギたちずずもに歩き出す二人。


    3セレクション

    〇北京 玫犁城 党景

     北京・玫犁城 1421幎、第䞉皇垝 氞楜垝が南京から遷郜した際に建立 

    荘厳で、果おしなく広倧で矎しい城。


    〇同・倪和殿たいわでん

    正門せいもん入口を臣官しんかんA、Bが話しながら歩いおいる。


    「A昚日は」

    「B3名  」

    「A理由は」

    「B暪領、虚蚀、恋慕の眪じゃ  暪領は珟行犯じゃが虚蚀はサむコロでたたたた凶䜜を衚す数字が出ただけ。恋慕は倧臣のコレに」


    小指を立おる臣官B。

    「Aああ、第䞃宮廷の背の高い」

    「Bそう、圌女に『い぀になく矎しい容姿です』ず耒めそやしただけだぞ」


    臣官Aが興味深々に尋ねる。

    「Aそれで」

    「B暪領はもちろん」


    臣官B、銖を切るように手を巊から右ぞ移動させる。

    「B虚蚀は指䞀本、恋慕は䞉本」

    「A䞡手か」

    「ああ。ただ䜕ずか芪指ず人差し指は残しおくれたらしい  箞が持おんようになるからな」

    臣官B、箞で食事する真䌌。


    臣官A、身震いしお

    「Aある意味、死眪の方が良いかもしれん」

    「B毎日生きお垰れるのが倢のように嬉しいよ」

    「Aしかし、垝の専制政治は恐ろしい」

    「B静かにっ  誰かが聞き耳立おおいるかも刀らん」


    臣官A、B、䞭門ちゅうもんぞ入っおいく。

    二人ずも、入った広堎で驚愕の衚情に倉わる。


    隅に立぀暹朚の倩蟺おっぺんに、烏が止たっおいる。

    普通の倍はある倧きな烏、赀目で臣官A、Bを睚んでいるよう。


    「既に早朝から  」

    烏の䞋、銖を吊った若い女性の姿。


    臣官BがたたらずAに向かっお倧声で

    「おいッ  あの服、萌黄もえぎ色だぞ」

    「あの色の宮廷服ずいうこずは  」


    顔を芋合わせお

    「わしらは粛々ず業務をこなすだけ。倕刻が来るのを埅぀だけじゃ」

    「知らぬが仏  早く廷内に入ろう」

    早足で宮廷ぞ向かう二人。


    〇宮廷の䞭
    倧広間党景、䜿者A、Bが土䞋座しおいる。

    正面はすべお、絹補の広倧なレヌスで仕切られおいる。

    座した倧男のシル゚ットがレヌスに映っおいる。


    䜿者二人の斜め前で、倧臣が玙を芋ながら質問する。

    「顔を䞊げよ」

    倧臣の声に、ゆっくりず顔を䞊げお正座の姿勢ぞ。


    「掛陜らくよう、西安しヌあん、広東かんずん  3名か」

    「Aハッ、巊様で」

    「広東には◎が蚘しおあるが」

    「B䞀玚品でありたす」

    「A少々幌いですが」

    「芋た目、どれ䜍じゃ」

    「B10かそこら」


    倧臣、苊笑しながら

    「それはいくら䜕でも」

    「Aしかし倧局䞍思議な魅力を持っおおりたする」

    䜿者BがAに続く。

    「B内から滲み出る可憐さず申したすか、他ずはモノが違いたする」

    倧臣、振り返っおレヌスの奥の倧男に向かっお

    「埡意のほどは  」


    䜿者A、B、唟を飲み蟌んで芋぀める。

    3本の指を立おおいるシル゚ットが映る。

    確認し敬瀌する倧臣。

    「畏たりたした」

    䜿者A、B、安堵の衚情で再び土䞋座。


    倧臣、出入口を芋やり倧声で

    「䞉個垫隊、隊長を呌べッ」


    4村の財政

    〇広東の繁華街倜
    旅籠はたごが䞊ぶ賑々しい繁華街。

    䞭倮を河川が流れ、街路暹の枝垂しだれ柳も等間隔で立ち䞊んでいる。


    村長ず趙、隣村の村長60代の3人が、話しながら歩いおいる。

    「おたくも同じか  」

    「りチらの財政は蟲䜜物が支えおおる。こうも䞍䜜が続くず」


    趙、村長ず隣村の村長の䌚話に入り

    「他の村のように、絹織物や工芞品など無いず厳しいじゃろう」

    路行く人々皆が、趙に䌚釈しおいく。


    ず、3人の前に芚束おが぀かない足取りの女性が珟れ、柳にぶ぀かる。

    「おい、倧䞈倫か」

    趙が気配りの声をかける。

    女性は杖を぀いおおり、村長が近寄る。

    「お前、按摩あんたか」

    「どうもどうも、すいたせん」

    趙が気に留め

    「仕事先は どちらの旅籠だ」

    「颚劙ふうみょう通ずいう  」

    「それならもう盎ぐじゃ」

    声が届く先にお蟞儀しお歩き出す女性。


    村長たち3人、立ち話を続ける。

    隣村の村長が

    「玍皎が米麊の珟物でも可胜になったのは助かるが」

    村長が続く。

    「恥ずかしながら趙殿、ワシら自分らの分で粟䞀杯ですわ」

    趙、腕組みしお

    「ワシの所は君らに猶予を䞎える事もできるが  䞭倮は埅っおくれん。垝は去幎、北京に城を建おたばかりじゃ」

    村長ず隣村の村長、顔を芋合わせ

    「取り立おも今以䞊に厳しくなる  」

    「参ったな  䜕か村の特産物を」


    趙、はたず気付いた様盞になり

    「ずころで村長、玲はあれからどうだ」

    村長、恥ずかしそうに

    「倧婆ず孟文に断られたした」

    「そうか  残念じゃな」


    趙が煙管きせるを準備する。

    ず、背埌から笛の音が聞こえおくる。


    3人が振り返るず、先皋の女性が按摩笛あんたぶえを鳎らしおいる。

    二軒先の旅籠の䞉階から酔った男が手を振り、声をかけおいる。


    村長、しみじみず

    「  寒い䞭、倧倉だ」

    「ワシらも早く特産物䜜らんず、按摩笛吹かんずいかんなる」

    苊笑し合う村長ず隣村の村長。


    煙管を吞っおいる趙が二人の肩を叩き

    「この埌は熱いの、呑もうじゃないか」


    匷めの暪颚に、䞀斉に揺れる枝垂れ柳の葉。

    䜓を萎しがめお歩き出す3人。


    5倉わりゆく玲

    〇玲の自宅倖・倕方
    1週間埌ヌ

    自宅前で仁を負おぶっお倧根ず癜菜を掗っおいる玲。

    玲の口ずさむ歌に柔和な笑顔の仁。


    友達ず別れた圭ず岳が駆け寄っお来る。

    「圭・岳姉ちゃん、ただいたヌ」

    顔も服も土ず砂塗れで、ぞらぞらず笑っおいる二人。

    「圭・岳仁ちゃん、ベロベロば」

    圭ず岳のおどけた顔に、声を䞊げお笑う仁。


    二人に呆れ顔の玲。

    「もうッ、アンタたち毎日毎日  早く脱いで颚呂に入んなさいっ」

    その堎で玠っ裞になる圭ず岳。

    玲、目のやり堎に困っお

    「もう 早くっ」

    玲の指差す方ぞ小走りの二人。


    脱ぎ捚おた服を手に取る玲。

    「新しい服買わないず、盎ぐダメになっちゃう  私だっお」

    自分のボロい服を「ぞの字」顔で芋る。


    その颚景を遠目で芋おいる倧婆ず女性たち。

    「い぀も倧倉だねえ、玲」

    「あっ倧婆様、こんばんわ」

    女性たちの䞀人が

    「そうだっ、玲ちゃん。りチの嚘が最近急に背が䌞びちゃっおね。おさがりだけど良かったらどうだい」

    「えっ、ホントですか嬉しい」

    「明日、取りにおいでよ」

    「ありがずうございたす。あっコレ、良かったら」

    掗った倧根の䞀぀を差し出す。

    「いいよいいよ、アンタたちで沢山食べな」

    立ち䞊がり、深々ずお蟞儀する玲。

    目を现めお玲を芋぀めおいる倧婆。


    垰路に着く倧婆ず女たち。

    「女A倧婆さた、玲ちゃんはホントに良くできた嚘こですね」

    「倧婆その通り、倖面そずづらだけじゃなくお心も瑞々しい」

    銖食りを着けおいる倧婆、数珠じゅず繋ぎの玉を觊る。


    「女B孟文が産んだっお信じられないよ笑」

    「倧婆それは蚀い過ぎじゃ笑  じゃがあの嚘こには䜕か倩性のものを感じる  それにしおも良く働く嚘こじゃねぇ」

    「女Cあヌ、りチの嚘にも爪の垢を煎じお飲たせおやりたいっ」


    倧声で笑い合う4人。

    女性たち3人、垰路の途䞭で倧婆に挚拶しお別れおいく。


    その埌も、野菜掗いを続けおいる玲。

    ず、颚呂堎の方から倧きな声。


    「圭姉ちゃヌん」

    「岳石鹞がもう無ヌい」


    玲、立ち䞊がっお腰に䞡手を眮いお

    「いい加枛にしなさいッ それくらい自分でしなさいッ」

    「圭りヘヌ」

    「岳雷様が怒ったヌ」

    「圭面倒くせえや。岳、お湯だけにしようや」

    「岳かしこたり」

    「たったくもうっ」


    玄関から孟文が顔を出す。

    「みんな、晩埡飯できたよ」


    〇自宅裏の颚呂堎倜
    満月の倜空の䞋、ドラム猶のような鉄補の倧釜に入っおいる玲。


    湯舟に浞぀かった自分の胞を芋お

    「たた膚らんでいる  」


    仁に授乳する孟文を思い出す。

    『圭いいなヌ仁は』

    『岳おいしそうに飲んでいる』


    ず、玲の背埌から圭ず岳の声が。

    「圭・岳姉ちゃん、石鹞」


    ビクッず驚く玲の埌ろ姿。

    「こっちに来ちゃダメッ」


    歩み寄ろうずした圭ず岳、止たっお玲の背䞭ぞ

    「圭  䜕で」

    「ダメっお蚀ったらダメッ」

    「岳どうしたの 姉ちゃん」


    正面の玲、䞡手を亀差し胞を隠しお

    「いいからその蟺に眮いずいお」

    「圭䜕だよ」

    「岳せっかく芪切で持っお来おやったのにぃ」

    二人、顔を合わせお

    「なヌ」

    石鹞を地面に攟り、プむず戻る圭ず岳。


    静かになり、倧きく息を吐く玲。

    ゆっくり颚呂から出る。

    満月に照らされた玲の肢䜓、倧倉矎しい。


    『M母さんに盞談する  でも恥ずかしい』


    暗闇に光る物䜓にハッずする玲。

    森林から梟ふくろうの鳎き声  ホッずする玲。


    6私の倢

    〇自宅 寝床深倜
    蝋燭䞀本で暗い宀内。

    玲、圭、岳、仁は寝おいる。


    孟文、目を凝らしお裁瞫しおいる。

    「圭も岳も元気なのは良いけど  玲ず3人分、新しい服を買っおあげられるかしら  」

    玲の目が開く。

    「  聞いおいる」

    「野菜は䜕ずかなりそうだけど米ず麊が  冬を乗り越えられるかしら」

    ため息を぀く孟文、起き䞊がる玲。


    孟文、気づいお小声で

    「玲  劂䜕したんだい」

    「ちょっず、喉が枇いちゃった」

    台所ぞ行き、柄杓ひしゃくで氎を飲む玲。

    ず、咳蟌む孟文。

    「母さん、倧䞈倫」

    慌おお孟文の背䞭を擊る。

    「ありがずう、倧䞈倫だよ」

    「もう寝ようよ。明日も早いし」


    裁瞫の手を止める孟文。

    「そうだね。そうしよう」

    蝋燭を消す孟文。


    暫く時間が過ぎおヌ


    孟文の右偎に玲、巊偎に仁、圭、岳ず「川の字」で寝おいる。


    孟文も玲も寝぀けず、目を開けおいる。

    「明日、近所のおばさんが、おさがりの服をくれるっお」

    「  」

    「だから母さん、圭ず岳の服を買っおあげお」

    「玲、お前  」

    「おやすみなさい」


    暫し沈黙の二人。


    「玲、お前の倢は䜕なんだい」

    「えっ、急にどうしたの」

    「淋青が蚀っおたよ。歌を勉匷する倢を我慢しおいるんじゃないかっお」

    「  」

    「お前が切望するなら、母さん応揎するよ」

    「  」

    「服䞀枚我慢しお毎日身を粉にしお働いおくれお、母さんそれは助かっおる  でもその分倢が瞮むのなら、それは良くない。母さん今以䞊に働いおお前の」


    倧きく咳き蟌む孟文。

    「母さんっ」

    「倧䞈倫  お前の歌には䜕か䞍思議な魅力があるっお皆が蚀う。それは䞇人に䞀人の才胜だず思うよ」


    仁がぐずり始める。

    「長話しちゃっおゎメンね。おやすみ」

    暪向きになり仁を撫でながら寝る孟文。


    颚の音だけが聞こえおいる。

    『M私の倢、私の倢は  』


    7北京からの䌝什

    〇韍井村 山の斜頞地しゃけいち
    薪朚の束を背負っお朚の枝を集めおいる村人むらびず。

    遠方から倧きな音が聞こえおくる。


    「  䜕だ この地響きのような蜟音は」

    旗を翳した階銬隊ずキャラバン隊を発芋する。

    「うわ、うわぁヌ 錊旗きんきじゃ  皇垝さたの憲兵隊じゃぁヌ」


    血盞を倉えお沿道に入り、走り出す村人。

    「村長たちに早く知らせんず」

    䞋り道を駆け降りる村人の前方、村の䞭倮広堎が芋える。


    〇䞭倮広堎
    広堎の䞀角で、昚日の女性たちず倧婆が玲ず話しおいる。

    女性の䞀人の埌ろに女児5歳くらいが、女性の服の倪ももの裏蟺りを䞡手で握っお、もじもじしおいる。


    「おばさん、本圓にありがずうございたす。倧事にしたす」

    女性から枡された服䜕枚かを手に取り、深々ずお瀌する玲。

    「いいんだよ。効のこの嚘こにはただ早いからね」

    女性の埌ろでもじもじしおいる女児ぞ

    「お姉ちゃんがもらうけど、ごめんね」


    小声ではにかみながら答える。

    「玲姉ちゃんだったら良いよ」

    「玲、お蚱しがでたよ 良かったねえ」

    埮笑んで話す倧婆、他の女性たちも喜ぶ顔で笑う。


    玲、服の䞀枚を自分の右肩に掛けお

    「玠敵な黄緑色」

    「その色はね、萌黄もえぎ色っお蚀うんだよ 玲ちゃんにぎったり」

    玲、お気に入りの顔で

    「明日さっそく。楜しみです」


    息を切らしお広堎ぞ䞋っおきた村人。

    玲ず倧婆たちが談笑しおいる先にいる村長に、遠方を指差し蚎える。


    指差す方向から蜟音が聞こえおくる。

    倚数のキャラバン線隊が芋えおくる。

    行き亀う人々も立ち止たり、䞍安そうに芋おいる。

    倧婆ず女性たち、服を持った玲も振り向いお心配気に。


    憲兵隊の集団が広堎䞭倮に珟れる。

    村長以䞋、皆凍り぀いた衚情で慄いおいる。


    先頭の隊長40代、銬䞊で剣を掲げお

    「村の長おさは居おるかヌッ」

    隊長の背に、颚に旗めく錊旗。

    階銬隊員が数十名、キャラバンが十数台の倧線隊である。


    「わ、私わたくしめが村長で埡座いたす」

    村長、隊長の目前に進んでお蟞儀。

    「頭づが高いッ」

    村長以䞋、皆慌おお地べたに土䞋座。


    玲が倧婆に小声で尋ねる。

    「倧婆さた、これは䞀䜓」

    「しッ 喋るでないッ」

    震えながら土䞋座しおいる倧婆。

    『Mたさか』


    隊長、銬から降りお郚䞋たちに顎で呜什する。

    キャラバンの荷台から、倧きな俵たわらず暜たるが隊長の前に運ばれる。


    「村長、顔を䞊げぃ」

    緊匵しながら、恐る恐る顔を䞊げる村長。

    「この村に楊玲ずいう嚘が居るそうじゃが、たこずか」

    「ハッ ははあヌ」

    「ワシの前に連れお来い」

    「  」


    埌ろを向くが、みんな土䞋座しおおり芋぀け出せない。

    「お蚀葉でありたすが、䜕故なにゆえに玲を」

    無蚀の隊長、剣を抜く。

    剣先が村長の錻先に。

    「ヒむィヌッ」


    村長の悲壮な声に、村人たちも顔を䞊げお慄いおいる。

    「垝みかどからこの村の楊玲に  」

    「私が楊玲でございたす」

    村長が再床振り返るず、玲がひずり立っおいた。


    玲をじっず芋぀める隊長。

    「ふむ  ふむ、なるほど」

    玲、隊長の方ぞ歩き出す。


    倧婆、少し顔を䞊げお

    『M憲兵隊が玲を名指しした。恐れおいた事が  行っおはならんっ、行くな玲』


    村長の隣に䞊んで、隊長ぞお蟞儀する玲。

    「  噂通りじゃ」

    銬䞊の兵隊たちからニダけた笑い声が䞊がる。

    顔を䞊げる村長、玲ず顔を芋合わせ

    「  」


    隊長、剣を暜の䞊郚に突き刺しお抜く。

    抜いた剣先を村長の口元に。

    「舐めおみろ」

    舌を出し、恐る恐る剣先を舐める村長。

    『M  酒』


    隊長、ニダリず笑い、俵を突き刺す。

    ず、剣先の呚りから米粒が毀こがれ出す。

    『  米じゃ』


    隊長、剣から手を離しお䞡腕を組む。

    村人党員ぞ届く倧きな声で

    「村長、楊玲、埡意ぎょいを䌝えるッ」

    「玲ッ」

    村長の声に、慌おお土䞋座する玲。


    倧声で話しおいる隊長を芋぀めおいる倧婆。

    『M暜ず俵  昔聞いたあの話ず同じじゃ 恐れおいたこずが珟実になっおしもうた』


    8それぞれの告癜

    〇村長の自宅 倖芳倜
    蟺りは真っ暗、䞀軒だけ明々ずしおいる。

    男たちの賑やかな笑い声が聞こえおくる。


    〇自宅 宀内
    倧勢の男たちが宎䌚を楜しんでいる。

    孟文を含め、女たちが絊士きゅうししおいる。

    倧婆も村長の隣に座っおいる。


    䞊座に座っおいる村長が立ち䞊がり、酒の入った小皿を持ち䞊げ

    「なんずめでたい事だ今倜は皆じゃんじゃん飲んでくれ。䜕しろ1幎間タダ酒じゃからなあ」

    䞊機嫌で近くの男たちに酒をふるたう村長。

    喜色ばった男たちが、順に倧声で話し出す。


    「憲兵隊が来た時は䜕事かず驚いたが」

    「玲が皇垝様の偎宀女䞭に遞ばれた  この村始たっお以来の快挙」

    「寒い北京で10幎間、玲には悪いが皇垝様から米ず酒が1幎間配絊される」

    「苊しい村の財政を救っおくれた玲は、救䞖䞻じゃ」

    「玲の歌を目の前で聞いおいた憲兵たちの、うっずりずした顔ずいったら」


    倧笑いする男Eに぀られお皆が笑う。

    䜕人かが歌い出し、さらに賑やかに。


    孟文が村長の料理皿を取り替える。

    「これも孟文が玲を産んでくれたお陰だ」

    赀ら顔の村長、孟文の腹を觊る。

    「でかした、でかした  おっず倱瀌」

    男たち、皆ニダけた顔で拍手する。


    料理に箞を぀けず、黙り蟌んでいる倧婆。

    「どうした倧婆」

    酒を泚ごうずするが断られた村長、䞍思議そうな衚情。

    「村長  埌で倧事な話が」


    〇炊事堎

    村長の自宅炊事堎、孟文ず女性たちが食噚を掗っおいる。


    勝手口から玲が珟れる。

    「母さん  皆寝かし぀けたよ」

    手を拭いお玲の傍らに行く孟文。


    「ありがずう玲  明日出発だずいうのに䞀緒に居いおやれなくお、すたないね」

    「ううん、  あのね、私最近ね  」


    䞋を向いお、しどろもどろの玲。

    「  どうしたんだい」

    「その、服が胞に圓たっお痛いの。胞の先っぜが、そのう  」


    孟文、濡れた手を拭き、䞭腰になっお目線を合わせる。


    「そうか お乳が出おきたんだね」


    顔を真っ赀にしおいる玲。

    「䜕も恥ずかしがるこずは無いよ。女はみんな、いずれお乳が膚らむ  お前も倧人になり始めおいるんだよ」


    玲の髪を優しく撫でる孟文。

    「毎日忙しくお、お前の成長をしっかり芋守れおなくおごめんね」


    二人の光景を芋おいる女性たち、その䞭の䞀人が

    「最埌の倜だ、孟文もう垰りなよ」

    孟文、振り返っお

    「お蚀葉に甘えたす」


    向き盎っお玲の䞡肩に手を乗せお

    「培倜しお新しい䞋着、瞫っおあげるからね」

    笑顔で頷く玲。


    〇宎䌚堎

    蝋燭2本の灯かりで薄暗い。

    村長ず倧婆の二人きりの宎䌚堎。

    「䜕ず  䜕ずいう事」


    腕を組み、唇を噛みしめ項垂うなだれるおいる村長。

    手で口を塞ぎ、必死に涙を堪えおいる倧婆。


    〇畊道あぜみち倜

    小さな束明たいた぀を灯しお、畊道を歩いおいる孟文ず玲。

    孟文の手を握っおいる玲。


    「今日はホントに凄い1日だった」

    「母さん  」

    「最初聞いた時はもちろん反察しようず思ったけど、偎宀の女䞭だものね」


    今にも泣きそうな顔の玲。


    「北京で䞀生懞呜に頑匵るんだよ  母さんも有名人になっお錻が高い」


    家の近くたで着いた二人。


    「私、行きたくないッ」


    孟文に抱き぀き、泣き咜ぶ玲。

    孟文、束明を道端に萜ずす。


    「どうしたんだいこの子は 甘えん坊に泣いちゃっお  倧倉名誉なこずだずいうのに」

    「10幎も母さんず離れお過ごすなんお」

    「そんなの、あっずいう間さあ  䜕なら母さん、お金䜜っお毎幎北京に行っおあげるよ」

    「  私ぃ、行きたくないよう」


    号泣が止たらない玲。


    「あっ、歌の緎習できなくなるからかい真面目にお仕えしおいれば、皇垝様がきっず  」

    「私、韍井村が奜き。母さんや圭、岳、仁ず離れお暮らすなんお  歌もいらない、みんなず䞀緒がいいの」

    「玲  」

    「い぀もみんなず䞀緒  それが私の倧切な倢なのッ」


    玲を匷く抱きしめ返す孟文。


    「可愛い嚘を取られお喜ぶ母芪が䜕凊に居るッ  私も蟛いんだよ  」


    抱きしめた䞡腕を戻しお玲の頬を䞡手で觊り、倧粒の涙を流す孟文。


    「母さん  」

    「どうしお北京なんかに  貧乏だけど家族みんなで粟䞀杯生きおる方が良いよねえ  」


    おでこを玲のおでこに着けお、涙を啜る孟文。

    道端に萜ちた束明が、二人を照らしおいる。


    9旅立ち

    〇䞭倮広堎
    翌朝ヌ

    広堎に集たった村人たちの正面に、玲が隊長ず䞊んで立っおいる。

    二人の埌ろに敎列しおいる憲兵隊。

    村人たちの面前に、十数個の暜ず俵が眮かれおある。


    隊長がそれらを指差しながら

    「取り急ぎ、ひず月分を甚意した。皆で平等に分けよ」

    憲兵たちが手分けしお、暜ず俵を村人たちぞ枡しおいく。

    村長を先頭に、みんな深々ず頭を䞋げる。


    「残りはその郜床届ける。嚘は10幎埌に村ぞ返す。良いなッ」

    憲兵に促され、隊長ずずもにキャラバンに乗ろうずする玲。


    「姉ちゃんッ」

    肩を震わせ泣いおいる圭ず岳、埌ろに仁を背負った孟文。


    玲、皆に振り返えり

    「村長さん、倧婆さた、村の皆さん、お䞖話になりたした  母さん、玲は立掟に皇垝様にお務めしお参りたす」


    村人たちから涙を啜る音。

    「圭、岳。これからはアンタたちが母さんを支えおいくのよ」

    圭ず岳、必死で涙を堪えおいる。


    玲、仁の手を握り、人差し指で頬を觊る。

    笑顔で玲を芋぀める仁。


    孟文が玲の耳元に囁く。

    「10幎の蟛抱だよ。母さん䞋着も服も沢山揃えお送るからね  玠敵な女性になっおいる玲を、楜しみに埅っおいるよ」

    「  頷く」


    階銬隊が動き出す。

    キャラバンに乗り蟌む玲。

    階銬隊の埌を、ゆっくり走り出すキャラバン隊。

    キャラバンの背䞭を远い駆ける孟文。


    孟文の背䞭を芋぀める村長ず倧婆。

    「どうする倧婆」

    「今はずおも無理  玲が北京ぞ着いた頃、孟文が萜ち着いた頃に話そう」

    「わかった  」

    倧婆に倧きく頷く村長。


    〇キャラバンの䞭
    隊長たちず座っおいる玲。

    䞡手で皞あかぎれを擊っおいる。


    『Mこれから10幎  頑匵るわ、母さん』


    玲、小窓から向かいの䞘陵地を眺める。

    ず、驚きの衚情に䞀倉する。


    「玲ヌッ」


    ダギの矀れに囲たれた淋青が、鞭を倧きく巊右に振っおいる。


    「俺も䞀人前になっおお金を皌いで  北京に行くから。玲に䌚いに行くからヌッ」

    「淋青  」


    淋青を芋぀める玲、涙が頬を䌝う。


    10真盞

    〇村長の自宅 倖芳
    10日埌 ヌ

    村長の自宅党景。


    家の䞭から孟文の倧声が響き枡る。


    〇同 宀内
    絶叫を䞊げお嗚咜しおいる孟文。

    察座する村長ず倧婆、䞋を向いおいる。


    「それでは  それではあたりにも玲が  」


    〇玫犁城 宮廷の廊䞋
    倧理石の廊䞋に、3名の也いた靎音が響く。

    萌黄色の豪奢な服を着た玲ず、二名の官吏かんしの埌ろ姿。

    玲を真ん䞭に、各々の手を握っおいる官吏A、B。


    「官吏さた、䜕故目隠しをするのですか」


    正面の玲、目隠しされおいる。


    Aが答える。

    「垝に接芋される前に儀匏があるのです」

    「目隠しが必芁な儀匏なのでしょうか」


    Bが答える。

    「巊様でございたす。身も心も垝にお仕えするよう、特別な儀匏を」


    〇村長の自宅 宀内
    般若の圢盞で、村長ず倧婆を睚み぀けおいる孟文。

    「䜕故、教えおくれなかったのですかッ」


    村長ず倧婆、萎瞮しながら

    「わしも宎の埌に聞いたんじゃ  なあ、倧婆」

    「こんな田舎村から、たさか玲が遞ばれるずは思わんかったんじゃ  」


    長い髪を振り乱しお、泣き咜ぶ孟文。

    「皇垝様が  玲の䞡目を奪うなんお」


     孟文のむメヌゞ 

    【䞡目を朰され、阿錻叫喚の玲】

    【閉じた目から血が流れ、苊悶の衚情の玲】


    倧婆が続けお話す。

    「昔、犏建省の友人から聞いた話じゃ。毎幎党囜から遞ばれた少女たちは、盲目にされ皇垝様に倜の奉仕をさせられる」


     孟文のむメヌゞ 

    【王宀のベッドで矜亀い絞めにされおいる盲目の玲】

    【倧きな背䞭の皇垝に蹂躙されおいる玲】


    「䜙りにも酷過ぎるッ  健康な少女の目を朰すなんお、玲は道具扱いなのか」

    「皇垝様ぞの献䞊を断るず、村の男たち党員を憲兵隊たちが虐殺する。殺された男たちの舌を切り取り鉄板で焌き、女ず子䟛たちに喰わせたそうじゃ」

    村長が続く。

    「いずれ女ず子䟛たちも逓死しおいった。村は党滅したそうじゃ  孟文よ、玲は村を守るため、人身埡䟛になったず」

    「だからず蚀っお䜕も教えおくれなかったなんお  村長、倧婆さたも芋損なったッ」


    反論できない村長ず倧婆、俯く。

    震える䞡手を芋぀めおいる孟文。


    「10幎埌、私はどんな顔をしお玲ず䌚えば良いのか  」


    䞡手の爪で顔を掻き毟り出す孟文。

    血ず涙が混じり合い、床に流れ萜ちる。


    「蚱さない、皇垝様だろうず䜕だろうず  絶察蚱さないッ」


    郚屋から倖ぞ駆け出す。

    「孟文っ」

    埌を远い駆ける村長。

    「すたぬ、孟文よ」

    泣き厩れる倧婆。


    〇䞭倮広堎の端
    広堎から山道ぞ入る䜍眮に立぀孟文。

    芚束おが぀かない足取りで、ふらふらしおいる。


    「玲、私が守っおあげるよ  お前の目は絶察朰させないからね」


    孟文ずすれ違う村人たち。

    血みどろの顔に驚いお、みんな立ち止たる。


    息を切らせお走っお来た村長、孟文に远い぀いお服の裟を掎む。

    「苊しいだろうが萜ち着くんだ」


    村長に振り返る孟文、掎んだ手を静かに振り払い

    「村が助かっお良かったですか 米ず酒がタダになっお嬉しいですか」


    自分に蚀い聞かせるように呟き出す。

    「北京に行くんだ  玲を助け出さなくおは  」


    無蚀で立ち竊む村長。

    ふらふらず山道を䞊がっおいく孟文の埌ろ姿。


    11儀匏

    〇宮廷の廊䞋
    ある郚屋の前で立ち止たる官吏A、B。

    二人ずも玲の手を離す。


    目の前には倧きな鉄の扉が。


    巊右に分かれ、粟䞀杯の力で扉を開けるA、B。

    鉄の軋む音ずずもに、ゆっくりず宀内が珟れおくる。


    〇郚屋の䞭
    薄暗い宀内。

    䞭倮に倧理石のベッドらしき台座。

    四隅には鉄補の錠が付いおおり、偎には様々な噚具が眮かれおいる。


    台座を取り囲むように医垫らしき男性二名ず、看護垫らしき女性䞉名が。

    党員が、官吏AずBず玲に向かっおお蟞儀する。


    再び官吏AずB、玲の手を握る。

    Aが囁く。

    「もうすぐ始たりたす」

    Bが続く。

    「心のご準備を」


    台座に向かっお、玲を゚スコヌトする官吏A、B。


    「儀匏が終われば、皇垝様に䌚えたすか」

    「A、Bもちろんでございたす」

    「早く皇垝様のお顔を拝芋したいです」


    目隠しのたた笑顔で話す玲。


    12゚ピロヌグ

    〇玫犁城 城郭の倖
    空が急に曇倩に倉わり、蟺りは倜の様盞に。

    雷鳎ずずもに、倧粒の雚が降り出す。


    〇宮廷が芋える城壁
    壁の䞊、䞀列に十数匹の烏が䞊んでいる。

    巊端の烏、その他のよりも2倍は倧きい。


    本降りの雚が激しく降りかかっおいる。

    城の近蟺で萜雷、激しい音が鳎り響く。

    ず同時に、玲の金切り声が蜟く。


    巊端の烏のみを残しお、曇倩に向かっお飛び立぀他の烏たち。

    赀い鬣たおがみを逆立お、倧きく鋭い赀目で玲の声がする方向をじっず芋぀めおいる。


    雷鳎ず豪雚の音ず玲の金切り声が、亀互に䜕床も宮廷䞭にこだたする。


     䞭囜の歎史䞊、最も残酷な王朝ず蚀われた15侖简/氞楜垝の圧政のもず、
    盲目にされ最䞋玚女䞭ずしお歩むこずずなった楊玲 

     この赀目の倧きな烏が10幎埌、成幎になった玲の「しもべ」ずしお圌女を守護しおいくこずを、今は誰も知らない 

    【少女線 完】
    ※成幎線ぞ続く


     
     
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