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Photo bysubarasikiai

《15分ドラマ・感動の3遞》                 【創䜜倧賞2026/オヌルカテゎリ郚門】


    #創䜜倧賞2026 #オヌルカテゎリ郚門

    《15分ドラマ》 厳遞の3䜜品

    ドラマ脚本、マンガ原䜜、小説原案ずしお読み進めおいただければ
    あらすじ・登堎人物は、各䜜品の冒頭に掲茉しおいたす。
                                      ① 颚雲倪田塟  ② 䜕の慰めも無い未来  ③二人二脚ににんにきゃく


    ① 颚雲倪田塟

    画像

    《あらすじ》
    二床ず戻れない叀き良き昭和時代 ヌ

    塟生党員が毎回💊びっしょり、恐怖の「倪田塟」。
    しかし孊んだ生埒たちは、メキメキず孊力向䞊しおいく

    倪田先生の熱血授業に竊みながらも、「授業だけではない䜕か」
    を䜓埗しおいく䞉沢 誠15ほか、䞭孊3幎生たちの物語


    《登堎人物》
    䞉沢誠 15    䞭孊3幎生 倪田塟の生埒
    倪田哲雄50 教垫で塟経営者

    西内 15     誠の同玚生
    関  15        同䞊
    高芋 15     同䞊
    春山 15     同䞊
    道本 15     同䞊
    倪田睊子46 倪田の劻
    䞉沢智子18 誠の姉 高校3幎生


    1戊慄開始

    〇倧型スヌパヌの店舗裏倕方
    ヌ 昭和時代のある日

    店舗裏の駐車堎に十数台の自転車。


    䞉沢誠15、西内15、道本15の他、十数名の䞭孊3幎生。

    皆で英語の問題集、解答を付け合わせしおいる。

    「西内マコちゃん、問6の答えは」

    「誠倚分、過去分詞の『had』だず思う」


    皆、誠の蚀った通りに曞き蟌む。

    「道本䞉沢君、この英文の和蚳は」

    「誠ちょっず  自信無いんだよね」

    ず、関15ず高芋15が到着する。


    皆、誠から離れお関ず高芋に近寄る。


     誠のモノロヌグ以䞋M

    『䜕だよ、2人が来たら甚無しかよッ』


    ずいう誠も、皆の茪の䞭ぞ。


    ヌ 問題集の付け合わせが終了しお


    駐車堎の隅に、小さなお皲荷様が建っおいる。

    誠以䞋、党員でお祈りしおいる。

    「誠今日も無事、生きお垰れたすように」

    誠の蚀葉を埩唱しお、皆でお蟞儀する。

    各々の自転車を匕いお、道路に出る。

    電信柱に『倩満2䞁目』の暙識。


    「誠春山君は」

    「道本倚分、郚掻のハンドボヌル」

    「関県倧䌚、優勝候補だものね」

    「高芋遅刻しなけりゃ良いけど」


    小路に入り、䞀軒家の前で止たる。

    石造りの塀に『倪田塟』の看板。

    砂利が敷かれた庭先に自転車を眮き、皆、家の䞭ぞ入っおいく。


    〇倪田塟倕
    15畳ほどの板匵りの郚屋、现長い机が3列に䞊んでいる。

    自宅のひず郚屋を教宀にしおいる塟である。

    誠以䞋、皆正座しおいる。

    正面の壁に小さな黒板。


    勢いよくドアが開き、倪田哲雄50が珟れる。

    鬌瓊のような厳぀い顔。

    「先週の宿題ッ」

    誠以䞋、恐る恐る問題集を倪田の怅子の䞋に提出する。

    咳をしながら黒板に英文法を曞き出す倪田。

    「今日は仮定法過去ず過去完了」

    倧きな地声で

    「文法はこうだ」

    仮定法の文法を黒板に箇条曞きする。

    「コレを暗蚘すれば、どんな問題も解ける。読め」

    皆、必死の圢盞で声に出しお読み䞊げる。

    その途䞭で、板曞した文法を消す倪田。


    静たり返る教宀。

    「じゃあ  ハむッ、お前から」

    指名された西内、ビビッおいる。

    「暗蚘しただろ 早く蚀わんかッ」

    「え、えヌず」

    倪田、西内を激しくビンタする。

    その光景に目を瞑぀むる誠。

    「い if、䞻語、過去の動詞、ただしb動詞はware  」

    おどおどした西内の声が、静たり返った教宀内に響き枡る。


    2春山の悲劇

    〇座利が敷かれた庭先
    春山15が自転車を止めおいる。

    ガラスサッシ越しに、授業颚景が芋える。

    「やべえ。䞀段ず荒れおる」

    倪田が䜕人かの生埒をビンタしおいる。


    〇倪田塟 授業䞭
    革匵りの怅子にドッカず座る倪田。

    「次、教科曞を出せ」

    皆、教科曞を机の䞊に広げる。

    「遅刻モノ、お前から読め」

    顔を䞊げる春山、頬に赀く手のひらの圢が。

    所々突っかかるが、䜕ずか英語読みする春山。

    「ん   ちょっず埅お」

    読むのを止める春山。

    「春山、教科曞を芋せおみろ」

    「えっ」

    「いいから芋せんかッ」


    半身乗り出しお二列目の春山に手を䌞ばし、教科曞を掎み取る。

    「貎様ぁッ」

    みるみる顔が真っ赀になる。

    「䜕だ、コレは」

    春山の前に座っおいる、䞀列目の誠の前に萜ちる教科曞。

    『誠のMあちゃ』

    誠の隣の西内も、玙面を芋お驚いおいる。

    教科曞の英文の䞊に、小さく平仮名でルビが笊っおある。


    「なんかたどたどしい、ず思ったら  春山、い぀俺はこんな教え方した」

    倪田、立ち䞊がっお䞀列目を跚っお、春山の前に。

    「す、すみた」

    ビンタの嵐で春山の声が、かき消される。

    「これじゃむンチキじゃねえか 俺はなあ、嘘぀きずむンチキが倧嫌いなんじゃ」

    なおもビンタを続ける倪田、䞡頬が真っ赀に腫れ䞊がっおいく春山。

    「お前らの芪がどうしおも授業を、っお蚀うから俺はやむを埗ず塟をやっおあげおるんだ なのに、こんなむカサマを  」

    振り返っおドアを開け、教宀を出る倪田。


    䞀瞬ホッずする誠たち。

    ず、自宅奥から倪田の怒鳎り声が。

    『睊子、棒持っお来いッ』

    「誠棒  」

    「西内  」

    䞀斉に䞍安気な衚情に倉わる生埒たち。


    睊子の『やめおください』の声ずずもに珟れる倪田。

    现長い「こん棒」を持っおいる。

    倪田睊子46、䞡手で倪田の腕を掎んで

    「あ、あなた。それだけはやめお䞋さい」

    睊子を蹎飛ばしお

    「卑怯者の銬鹿には䜓で分からせんずむカンのじゃッ」


    誠たちの前にこん棒を翳す。

    「これはなあ、倩満寺の䜏職からもらった座犅棒」

    コン棒の先端が欠けおいる。

    「䜿いモンにならんず、もろうたのよ」

    悲壮極たりない顔の春山、震えおいる。

    「芚悟せいッ」

    こん棒の欠けた先端郚分で、春山のおでこを力入れお叩く。

    流血する春山、「ヒィィヌッ」ず䜕人かの小さな声。

    返り血が、前に座る誠の教科曞に飛び散る。

    「䞭孊生盞手に䜕おこずをッ」

    「やかたしいッ。お前は黙っおろ」

    咳き蟌みながら教宀を退宀する倪田。


    誠以䞋、党員凍り぀いおいる。

    急いで冷たいタオルを春山のおでこに眮き、介抱する睊子。


    机は片付けられおおり、板匵りの床䞭倮に寝おいる春山。

    教宀の隅で、鞄を持っお立ち尜くしおいる誠たち生埒党員。

    「ああなったら、りチのはもう  」

    誠たちに土䞋座する睊子。

    「今日はもう授業になりたせんので、お垰り䞋さい」

    誠たち、神劙に睊子にお蟞儀する。

    が、教宀を出る誠、西内、関、高芋、道本、、、党員の口元が緩んでいる。



    3塟がもたらす効果

    〇倧橋の䞊倜
    倧橋の遊歩道、笑顔で自転車を挕いでいる誠ず西内。

    「やったヌ 春山君のお陰で埓業䞭止だよ、マコちゃん」

    「人身埡䟛 になっちゃったね」

    「次は誰がやられるんだろう  ただ埌3幎もあるかず思うず、たたんないよ」


    誠が心配顔で尋ねる。

    「それより春山君の怪我、倧䞈倫かな」

    「うん、教育委員䌚に通報されたらダバむかもね」

    「倪田先生、高校の英語教垫だもんね」

    西内、誠の蚀葉に呌応しお

    「それに、兄貎から聞いたんだけど」

    「え」

    「倪田塟そのものもダバむらしいよ」

    「どうしお」

    「高校教垫っお公務員だもの、副業っお蚀うの 教垫ず塟の掛け持ちは法埋違反なんだっお」

    「ふヌん、じゃあ倪田塟、無くなっちゃうのかな」


    西内、残念そうに

    「それはあり埗ない」

    「䜕故」

    「先生が蚀っおたように、お金のために塟やっおるんじゃないもの」

    「そうだよね。僕らの芪が先生にお願いしおやっおもらっおんだもんね」

    「マコちゃん、実力テストの英語、どうだった」

    「99点。単語のスペルを䞀個間違えた」

    「凄いじゃん。僕は91点」

    「確か孊幎の平均点、64点」

    「授業は恐怖だけど、僕たち確実に䌞びおいるんだよ」


    倧きく頷く誠。

    「僕ら、今どの蟺の授業受けおるんだろう」

    「仮定法の文法は、倚分高校2幎の初めに習う内容」

    「塟の先茩たちが倧量に有名倧孊ぞ珟圹合栌する蚳だ」

    「でもただ埌3幎  毎週汗びっしょりだよ、マコちゃん」

    「うん、蟛いけど頑匵ろう」

    橋の袂、䞋り路をペダルを螏たずに䞡足を広げたたた、滑走しおいく二人。


    〇誠の自宅
    颚呂堎から出おきた誠、パゞャマ姿。

    二階に䞊がり、自分の郚屋ぞ向かう。

    手前の郚屋から智子の呻き声。


    〇智子の郚屋
    䞉沢智子18、志望倧孊の過去問題を解いおいる。

    ドアが開き、誠が入っお来る。

    「姉ちゃん、呻き声聞こえたんだけど」

    「英語の過去問  難しくお」


    問題集を芋せる智子。

    「䜕で薬孊郚志望なのに、英語が詊隓必須科目なのようッ」

    倩井に向っお嘆く智子。

    「これさあ  姉ちゃんココ、こうだよ」

    問題集に鉛筆で回答を曞き蟌む誠。

    驚いお、巻末の解答ず芋比べる智子。

    「  正解」

    「ぞぞっ笑」

    「あんた  これ倧孊入詊の問題よ」

    頷く誠。

    「䜕で解けるの」

    「  さあ」

    おどけおいる誠ぞ矚たしそうに

    「あたしも䞭孊の時から倪田塟、入れおもらっずけば良かったぁ」


    4道本の悲劇

    〇倪田塟倕
    ヌ 翌週の授業

    ドアが開き、倪田が勢いよく入っお来る。

    「今日は分詞構文を教える」

    黒板に曞かれた昚日の授業の英文を、ラッフルで消す。

    チョヌクの粉が飛び、咳をしながら消しおいる。

    『りぞッ』ずいう小さな声に振り返る。

    黒板の正面䞀列目に座っおいる道本が、チョヌクの粉を振り払っおいる。


    「䜕をしおいる」

    道本、ビクッずしお手を止める。

    「偉そうに  チョヌクの粉を䞀番吞っおるのは俺だぞ」

    みるみる顔が赀くなる倪田。

    「そうか。そんなにチョヌクの粉が奜きか」

    道本も顔を真っ赀にしお

    「いえ、すみたせんでした」

    「なら吞わせおやるよ」


    倪田、ラッフルを道本の顔に抌し付け

    「吞え。たくさん吞え、道本」

    道本の顔、チョヌクの粉で真っ癜に。

    「では授業を始める」

    道本の顔、真っ癜なたた授業スタヌト。

    誠以䞋、皆戊慄の衚情である。


    5勉匷以倖の䜕か

    〇授業䞭
    革匵りの怅子に座っおいる倪田。

    誠が英文を和蚳しお読み䞊げおいる。

    「手段が目的になるず、䞊手くいかない事が倚く出おくる。人間の生き方も瀟䌚の進む方向も、打算的になっおゆくからだ」

    「いいぞ、䞉沢。続けお蚳せ」

    「しかし皀に、本圓に皀に手段が目的ずなっおも良い堎合がある。䞀぀の䟋ずしお、䞀冊の本が挙げられる  」

    「どうした 䞉沢」

    「すみたせん。この埌の蚳し方が」

    「ギブアップか」

    恐る恐る頷く䞉沢。

    「随分哲孊的だからな  この䜜者は䜕を蚀っおいるか、解るか」

    「いえ、解りたせん」

    「手段が目的になるずは、䟋えば奜きな仕事をしお絊料、お金をもらう。しかし仕事ずずいう目的を蔑ないがしろにしお、手段である金儲けが目的になるずロクな事は無い」


    なるほど、ず理解する生埒たち。

    「次、和蚳できた者はいるか」

    誰も手を挙げない。

    「高芋、どうだ」

    「䞉沢君ず同じです」

    「じゃあ、関。お前は」


    関、緊匵しながら蚳し始める。

    「その本は圓初の目的をどうしおも読者に理解させるのが難しいため、埌䞖の知識人たちが䜕床も手を加えおきた。その過皋で手段が目的になったのだが、それが幞いした」

    「さすが関、いいぞ」

    「手段に特化したその本は、目的である哲孊的教逊からひずり歩きしお、小説のように面癜い本に仕䞊がっおいった  手段が目的になった結果、その本は歎史䞊最も倚くの人々に読たれ、愛されたのである」

    「玠晎らしい、ご名答」

    倧きく息を吐く関、汗びっしょり。


    倪田、柔和な顔になり

    「これは2幎前の東京倧孊の入詊問題だ」

    誠たち、皆驚いお関を芋る。

    照れお頭を掻いおいる関。

    「和蚳の問題以倖に、この本は䜕かずいう蚭問があるんだが、解るか」

    関が答える。

    「倚分、聖曞ではないでしょうか」

    「その通り。いいか、みんな良く聞け」


    倪田の蚀葉に背筋を䌞ばす誠たち。

    「聖曞は初め、難解な宗教本だった。抜象的な理念を庶民に䌝えるのは難しい。だから小説のように、いろんな登堎人物を䜜っお説話颚に䞭身を修正しおいったんだ  するず手段であったストヌリヌが民衆に受け入れられお、䞖界䞭に拡がった」


    生埒たち皆、顔を䞊げお倪田の話を真剣に聞いおいる。

    「いいか、お前らは俺の塟でヒヌヒヌ蚀っおお蟛いだろう しかしいずれ倧孊ぞ行っお、みんな倧䌁業ぞ就職するだろう」

    立ち䞊がり、黒板の板曞を消しながら

    「そしお瀟䌚人になるず、いろんな誘惑や迷いが出おくる。特に手段が目的になるず、最初は良くおもいずれ埌悔するこずになる  春山の件が䞀番良い䟋だ」

    「あッ  」

    誠、思わず小声で呟く。


    おでこに絆創膏を貌っおいる春山、名前を蚀われお緊匵。

    「俺にバレなければずっず教科曞に平仮名を曞き蟌んでいたはず。倱敗しないためのそんな手段が目的になるず春山、絆創膏だけでは枈たなくなるぞ」

    神劙な衚情の春山。

    「倧人の瀟䌚には、刑務所から䜕からあるんだからな」

    「すみたせん。二床ず臎したせん」


    倪田、党員に向けお

    「俺はお前らに、受隓に合栌するためだけに英語を教えおいる蚳じゃあ無いんだ  今日はココたで」

    皆、お蟞儀しお立ち䞊がり退宀しおいく。

    誠、座ったたた䜓が震えおいる。


    6二人の感想

    〇倧橋の䞊倜
    満月の䞋、自転車を挕いでいる誠ず西内。

    「マコちゃん、惜しかったね」

    「ずおもずおも。やっぱり関君には敵わないよ」

    「それにしおも道本君は悲惚だった  次は誰がやられるんだろう」

    橋の䞭倮で自転車を止める誠。

    「どうしたの」

    誠の2、3m先で止たる西内。


    「今日は楜しかった」

    「ええッ 耒められたから」

    「ううん。あんな倪田先生初めおだったから」

    「道本君の件」

    誠、銖を暪に振っお

    「い぀も恐い恐いず思っおた倪田先生が、少しだけど奜きになったっおいうか」

    「マコちゃん正気なの ただこれから3幎もあの授業が続くんだよ」

    「先生が蚀っおたように手段が目的になるず、぀たり受隓合栌のための手段ずしお倪田塟ぞ通うず、毎週蟛いず思うんだ」


    西内、い぀もず違う誠を䞍思議がりながら聞いおいる。

    「でも先生から勉匷だけを教わるんじゃなくお  䜕お蚀うか、生きおいくための倧事な原理原則も習埗できれば、蟛いだけじゃ無いかなっお思っお」

    満月に向っお笑顔で話しおいる誠。

    「うん、そうかなあ」

    「もちろん、道本君は可哀盞だったけど  でも䜕ずなく倪田塟に居れお良かったなっお」

    銖を傟げる西内に埮笑む誠。

    再び自転車を挕ぎ出す二人。

    【颚雲 倪田塟 終わり】


    ② 䜕の慰めも無い未来

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    《あらすじ》
    ヌ 1944幎のチェコスロバキア・テレゞン

    圓時のナチスドむツは
    14歳未満を「子䟛」15歳以䞊を「倧人」ず芏定しおいた。

    テレゞン官舎で生掻するペハン、ハンナ、アシェルほか生埒たち。
    担任教垫ラりラのもずで皆勉匷に励むが、ペハンだけが懐疑的。
    真盞解明に動くペハンが発芋した事実ずは

    史実をもずに曞き䞊げた「14歳の物語」。


    《登堎人物》
    ペハン クレンペラヌ  14   ナダダ人少幎
    ラりラ アルゲリス   42   ペハンの担任教垫

    ハンナ ゞョ゚ル    14   ペハンの同玚生
    アシェル ベルマン   14   同䞊
    むザベル クレンペラヌ 38   ペハンの母芪

    軍人、


    1プロロヌグ

    〇チェコスロバキア テレゞンの宿舎党景
    ヌ 昌䌑み

    䞭倮に長方圢の長い官舎。

    䞡端にグラりンドが広がっおいる。

    少幎少女が遊んでいる。

    官舎党䜓が、5m近い塀ぞいで囲たれおいる。


    グラりンドの隅でペハン クレンペラヌ14ずアシェル ベルマン14が
    取っ組み合いをしおいる。

    二人の呚りに十数名の少幎少女ずハンナ ゞョ゚ル14。

    「あんたたち、やめなさいッ  暎力の先には䜕も残らないわよッ」

    ハンナの声を無芖しお殎り合っおいるペハンずアシェル。

    「もうッ。ラりラ先生呌んで来るから」

    官舎ぞ走るハンナ。


    「撀回しろよ ペハン」

    「倪陜が西から昇っおも撀回しない」

    「こんの野郎ヌッ」


    アシェルが握り拳を振り䞊げた瞬間

    「二人ずも止めなさいッ」

    ラりラ アルゲリス42が走っお来る。

    「あっ先生  ギャッ」

    ペハンの右ストレヌトが決たり、地面に倒れ蟌むアシェル。

    ハンナ、ラりラの埌ろで手で顔を芆っお

    「あヌあ、やっちゃった」

    ラりラ、アシェルを介抱しながら

    「ペハン、どういう事」

    肩で息をしおいるペハン。

    「ちょっずした意芋の盞違ですよ、先生」

    官舎ぞ向かうペハン。


    ハンナのモノロ―グ以䞋M

    『Mペハン、随分倉わっちゃった  』


    ペハンの埌ろ姿を芋぀めるハンナ。

    タむトル『䜕の慰めも無い未来』


    2ペハンの考え

    〇教宀
    ヌ 4時間目 数孊の授業

    30名ほどの少幎少女、ラりラがテストの答案を配っおいる。

    「  次からは優瞟者よ」

    䜕人かが呌ばれた埌

    「ハンナ、満点たであず1問」

    歓声が䞊がる䞭、答案を受取るハンナ。

    「次、頑匵りたすっ」

    「最埌に  ペハン、満点」

    さらに倧きな歓声。


    ペハン、右目ず巊の頬が腫れ䞊がっおいる。

    ハンナ、答案を受取るペハンを芋お

    『Mたた負けちゃったかぁ』

    ハンナの隣、✕点だらけの答案を芋぀めおいるアシェル。

    「ケッ、面癜くねえ」

    「顔のアザは同じなのにね」

    「うるせヌぞ、ハンナ」


    ヌ 5時間目 矎術の授業

    ラりラ、党員に画を配り終えお

    「前回はみんなに過去の想い出を描いおもらいたした」

    自分の画を芋る生埒たち。

    皆、家族ずの団欒、旅行、スポヌツ芳戊  明るい本人が茉っおいる。

    画の隅に、各々名前が自眲されおいる。

    「ただ、今回も玄束を守っおくれない人が、ひずりいたした」


    䞀枚の画を皆に芋せるラりラ。

    「ペハン  貎方はどうしおサむンをしないの」

    ペハン、垭から立っおラりラの前ぞ。

    「ずおも䞊手な画だから、先生は耒めおあげたいのに」

    ヌ ペハンの画

    矜を傷぀けた芪鳥が雛鳥を抱き締めるように包み、逌を口移ししおいる。

    「この画は䞖界でただ䞀人、貎方の個性が描いたのよ。その蚌明である」

    話を遮っお、ラりラから画を掎み取るペハン。

    「僕の質問に、先生が正盎に答えおくれたらサむンしたす」


    背埌からアシェルの野倪い声。

    「䜕だよペハン、その質問っお」

    「振り返り今はただ話せない」

    「ンだよ、勿䜓振りやがっお」

    「もう少ししたら確蚌が持おるず思う」

    向き盎りラりラに向かっお

    「その時は教えお䞋さい」


    静かに垭に着くペハン、じっず芋぀めるハンナ。

    『ペハンの画、ずっおも䞊手い  でも圌の画だけ人が居ない』


    ラりラ、気を取り盎しお

    「それじゃ、今日は『将来の倢』ず題しお、自分の未来を描いおみお」

    癜の画甚玙を皆に配る。

    「出来䞊がった人から食堂で倕食です」

    歓声を䞊げる生埒たち。

    「それから今倜はアルベルトの誕生日パヌティヌですからね」

    退宀するラりラ、賑々しくなる宀内。


    アシェル、ハンナの肩を叩いお

    「ハンナ、内容は決たった」

    「うヌん、やっぱり矎しい花嫁の私、かな ぞぞっ。アシェルは」

    速いスピヌドで曞いおいるアシェル。

    「もちろん、食べ切れないほどの゜ヌセヌゞにラむ麊パンだろ  それず」

    「呆れおたったくアンタは」

    ハンナ、巊斜め前方のペハンの埌ろ姿を芋぀める。

    黒色のクレペンを持っおいるペハン。

    『ペハンの倢っお  』


    3来幎の予想

    〇食堂倜
    倧きなケヌキに刺さった15本のロヌ゜ク。

    息を吹きかけ火を消す少幎アルバヌト14歳。

    呚りにラりラず生埒たち、皆拍手する。


    隅で拍手しおいるハンナずペハン。

    「今回は私が䞀番だず思っおたけど  凄いよね、ペハンは」

    「」

    「数孊の満点」

    「ああ、たたたただよ」

    「謙遜しちゃっお」


    二人の正面、アルバヌトがラりラからプレれントを貰っおいる。

    「ペハン、質問があるんだけど」

    「  」

    「今日の貎方の画」

    「  サむンしおいなかった事」

    ハンナ、銖を暪に振り

    「みんな自分が䞻人公の楜しい想い出なのに、貎方だけ鳥の芪子の画  あの画の意味は」

    芋぀めるハンナ、腕を組むペハン。

    「過去の想い出が楜しいかどうかは未来が決める  だから」

    アシェルがケヌキを切り分けおいる。

    「そりゃ私たち家族ず匕き離されおココに収容されおいるけど、15歳になればたた䌚えるじゃない」

    「  本圓にそうだろうか」

    「蟛い生掻は続くけど我慢しおいれば  もうすぐ戊争は終わる。そうすれば私たちにも明るい未来が」

    ず、ケヌキの乗った小皿を差し出され

    「おうおう、ご䞡人ひそひそ二人で䜕の話かなぁ」

    ハンナずペハンの䌚話に割り蟌むアシェル。

    「䜕蚀っおんのよアシェル。受取っおありがずう」

    ケヌキを頬匵るハンナ。

    「僕はいいよ。良かったら」

    「ぞ 食わないの」

    頷くペハン。

    「銬っ鹿だなあ、こんな矎味いモンを  じゃあ遠慮なく」

    倧口を開けお䞀気に食べるアシェル。

    喉に詰たらせ、慌おお咜る。

    「ケヌキは逃げたりしないから」

    アシェルの背䞭を笑っお擊るハンナ。

    ペハンも笑っおいる。


    4前倜

    〇男子の寝宀郚屋深倜
    広い郚屋䞀面に数十人の男子生埒たちが、雑魚寝しおいる。

    小窓から芋える満月。

    䞀人だけ壁に背もたれ、䜓育座りの栌奜で寝おいるペハンを照らしおいる。


    〇ペハンの倢 芋すがらしい小さな家
    ヌ 1幎前

    ベッドで寝おいるむザベル クレンペラヌ38、咳き蟌んでいる。

    傍らで介抱しおいるペハン。

    「母さん、倧䞈倫 もうすぐお医者さんが来おくれるよ」

    「うん、ありがずう」

    さらに倧きく咳き蟌む。

    むザベルの額に手を眮くペハン。

    『M  たた熱が䞊がっおる』

    ず、車の止たる音。

    「来たよっ。母さん」

    笑顔で玄関ぞ行くペハン。


    鍵を開けおドアノブに手を眮く瞬間、足で蹎り䞊げる倧きな音ずずもに開く玄関ドア。

    たたらず尻もちを突くペハン。

    軍人A、Bが銃剣を抱えお入宀しおくる。

    「クレンペラヌ家の䜏人か」

    軍人B、慄くむザベルぞ玙を広げお

    「お前たちの財産を没収し、収容する」

    軍靎の音を立お、ベッドぞ向かう軍人A、B

    「あなたたちは䞀䜓  」

    慌おおA、Bの前に䞡手を広げ立ち塞がる。

    「A邪魔だ どけッ」

    ペハンを振り払う軍人A、ベッドの傍らに立぀軍人B。

    「起きろッ」

    垃団をを剝がす軍人B、ワンピヌスの䞋着姿で震えおいるむザベル。

    「Bナダダ人でも  」

    「A女は女  か」

    顔を芋合わせおニダける軍人A、B。


    軍人B、むザベルの長い髪を掎んで䜓を起こし、ベッドから床ぞ匕き摺り䞋ろす。

    「やめろ、母さんは重病なんだッ」

    埌ろ姿の軍人Bぞ䜓圓たりし、倪腿に噛み぀くペハン。

    「B痛っおヌッ。このク゜ガキ」

    むザベルから手を離し、ペハンを蹎り䞊げる。

    「ペハンッ」

    ふら぀くペハンを抱き締めるむザベル。

    怒り顔で銃剣を振り䞋ろす軍人B。

    「ギャアァッ  」

    むザベルの右腕に刺さる銃剣。

    癜の䞋着に滲む鮮血。

    「母さんッ」


    意識朊朧もうろうのむザベルを、ペハンから匕き離す軍人A。

    「Bナダダ人の唟が  汚らしい」

    ハンカチで倪腿の裏偎を拭く軍人B。

    軍人A、むザベルの頬を軜く叩きながら

    「Aこの坊䞻、䜕歳だ」

    「  じゅう、13歳  」

    「Bチッ  運のいいガキだ」

    「  」

    軍人Bの蚀葉が理解できおいないペハン。


    玄関口ぞむザベルを運ぶ軍人A、B。

    「  母さんッ」

    ペハンの声の方ぞ巊手を䌞ばしお

    「ペハン、気を぀けお  ナチスには気を぀けお」

    開いた玄関から差し蟌む日光にむザベルの姿が包たれ、段々ず消えおいく。


    〇男子の寝宀郚屋
    ハッずしお目芚めるペハン。

    倧きく息を吐き、ズボンのポケットに手を入れる。

    手に持った針金を満月の光に翳し、じっず芋぀める。

    先端が歪いび぀な圢の倪い針金。

    「小声でおい、ペハン」

    慌おお針金をポケットにしたう。

    「  アシェル、起きおたのか」

    「ただでさえ寒いのにお前  もう随分シヌツの䞊で寝おないだろ」

    無蚀で頷くペハン。

    「クラスのみんなが噂しおるぞ、最近のお前  倉だっお」

    「こっちの方が倉だず思わないか」


    小窓を指差すペハン。

    「は  満月」

    「窓の䜍眮。この建物の窓はほずんどが3m以䞊高い所に、それも小さく䜜っおある」

    「  」

    「グラりンドを囲む塀も5m以䞊はある。たるで  」

    「刑務所だっお蚀いたいのか 気にし過ぎだよ。刑務所にはラりラ先生も誕生パヌティヌもねえぞ」

    「先生は䜕故パヌティヌを、誕生日の1日前にするんだろうか」

    「そりゃ俺たち15歳になったら別の官舎ぞ行くからじゃん」

    「次の日は決たっお自習になる。それも教宀の倖から鍵を掛けお」


    䞊半身を起こすアシェル。

    「ラりラ先生の芪心で祝っおくれおいる、先生の優しさが刀らないのか」

    鋭い目぀きでペハンを睚むアシェル。

    「たた昌䌑みの続きを始めるか 䜕故お前は先生のこずをいちいち」

    「アシェル、僕も先生を倧倉尊敬しおるんだ。でも」

    「『先生は䜕かを隠しおいる』  昌䌑みに蚀ったお前の蚀葉は、俺に察する䟮蟱にもなるんだぞッ」

    拳を握っお䞊げるアシェル。

    「ごめんよアシェル、僕はただ」

    アシェル、気を取り盎しお

    「お前は頭が良過ぎるっおかさあ、神経質なんだよ  もう寝るわ、俺」

    毛垃を頭からかぶるアシェル。


    暫し沈黙の埌、顔を出しお

    「今日、どんな画を描いた」

    「  アシェルは」

    「豪華な料理に埋もれおいるオレ」

    「笑っお凄く良い画だ」

    「お前、たたサむンしおいないんじゃないだろうな」

    「ごめん、明日ちゃんずする」

    「先生を困らせんなよ」

    「刀った  アシェル、そのためにもちょっずお願いがあるんだ」

    「」


    アシェルの枕元に寄っお囁くペハン。


    〇ラりラの郚屋深倜
    沢山の画甚玙が机の䞊に眮いおある。

    䞀枚を手に取るラりラ。

    玙面が黒䞀色で塗り朰されおいるだけの画甚玙。

    『ペハン、貎方は  」


    5事実発芋

    〇教宀
    ヌ 翌日

    黒板に『午前䞭、自習』ず板曞。

    出入口のドアノブに針金を差し蟌んでいるペハン。

    生埒たち、ペハンの呚りに集たっおいる。


    ハンナ、腰に䞡手を眮いお

    「あなた、䜕やっおるか刀っおンの」

    アシェル、ハンナの前に立ち塞がり

    「たあたあ  」

    「アシェル、あんたも共犯者」

    「たあたあ  」

    カチッず音が鳎る。


    ペハン、振り返り

    「ハンナ、みんな、ごめん」

    教宀を出おいくペハン。


    〇校庭 正門前
    正門前に荷台がテント匵りの倧きなトラック。

    鍵十字の王章が芋える。


    軍人2名にアルバヌトを匕き枡しおいるラりラ。

    枡した瞬間、背を向ける。

    目を閉じ、䜓を震わせおいる。


    官舎の脇に倧きな朚が䞀本。

    身を隠しお正門を芗き芋しおいるペハン。

    「  あっ」

    少幎を荷台に乗せた瞬間、別の少女が出おきお軍人を振り払い、ラりラの腰に瞋すがり぀く。

    力づくで少女をラりラから匕き離し、殎る蹎るを始める軍人たち。

    地面に倒れ、血を流しおいる少女。

    「  䜕おこずを」

    機関銃の柄で、䜕床も振り䞋ろしお少女を痛め続ける。

    俯いお背䞭を向けたたたのラりラ。

    ぐったりず動かなくなった少女を抱き䞊げ、荷台に攟り投げる。

    砂埃をあげお走り出すトラック。


    「やっぱり、やっぱり僕らは  」

    朚に背もたれお、空を芋䞊げるペハン。

    「僕の描いた画の通り  」

    倧きく䜓を震わせおいるペハン。


    6真盞

    〇ラりラの郚屋倜
    机に䞡腕を眮き、䞡手で顔を芆っおいるラりラ。

    『  たた今日もひずり』

    ドアをノックする音。

    「はい」

    「先生  」

    驚いお立ち䞊がる。

    「もう就寝の時間よ  ペハン」

    「先生、昚日描いた画にサむンしようず思っお」

    急いでドアを開けるラりラ。


    ペハンぞ、黒䞀色の画甚玙を差し出す。

    「これじゃ衚にはサむン出来ないわね」

    画甚玙を裏返すペハン。

    ペハンにペンを差し出すラりラ。

    「あなたの画にはびっくりしたけど」

    ペンを受取るペハン。

    「これもあなたの個性、だものね」

    「先生、どうしお僕がサむンするか、わかりたすか」


    銖を暪に振るラりラ。

    「  今日の正門での出来事」

    涙目でラりラを芋぀める。

    「朚の陰から芗いおたした」

    ペハンの蚀葉に仰倩するラりラ。

    「あなた  」


    ペンを画甚玙に぀けるが、ペンを持぀手が震えお䞊手く曞けない。

    「ナチスの軍人たち、虫けらを螏み぀ける様に  もう少しであの嚘こは死んでいた」

    画甚玙に萜ちるペハンの涙。

    『ペハン クレンペラヌ』ず曞かれおいるが、ミミズが這った様な字である。


    机の䞊に「黒䞀色で塗り朰した」画。

    「先生、ハンナずアシェルは来月、僕は3か月埌に15歳なっおしたいたす  僕らの未来は暗黒の闇なんですね」

    ラりラ、銖を暪に振っお

    「未来は誰にずっおも光茝いお  」

    「䜕の慰めにもならないッ」

    䞍信感が充満した顔のペハン。

    「先生がサむンさせるのは、僕らが生きおいた蚌あかしを残すためなんですね」


    返す蚀葉が無く、ペハンを匷く抱き締めるラりラ。

    「先生  答えお䞋さい」

    「ごめんなさい。今の私にはこうするこずしかできない」

    「次に行く  アりシュビッツの官舎から、毎月先生に手玙を送るこずはできるんでしょうか  それずも」

    ペハンの手から床に萜ちるペン。

    「先生  僕は  怖いです」


    胞に顔を埋め泣いおいるペハンを、さらに匷く抱き締めるラりラ。

     終戊たでにテレゞン収容所には、环蚈15,000人の少幎少女が集められた   ず蚘録されおいたす 

     そのうち、16歳の誕生日を迎えられたのは僅か100名足らず

     ナダダ人の悲劇は、「チェコスロバキア」にも䌝播しおいたのです 

    【䜕の慰めも無い未来 終わり】


    ③ 二人二脚ににん にきゃく

    画像

    《あらすじ》
    䞀生機胜しなくなる原和幞23の䞡足 。

    告知をしなくおはならない前日の倜。
    原の恋人 河野真匓23は、悩んだ末にある決断を䞋す

    原の入院先、新宿・東京医科倧孊病院から倖に出お、
    歌舞䌎町ぞ䞀目散に駆ける真匓。

    圌女の取った行動ずは
    実話を元にした感動溢れる『真の恋愛物語』


    《登堎人物》
    河野 真匓23      原の同玚生で恋人
    原 和幞 23   Jリヌグ所属 プロサッカヌ遞手

    原 良枝 52   和幞の母
    医垫   48   敎圢倖科医


    1告知前倜

    〇東京医科倧病院党景倕方
    倧芏暡病院の倖芳。

    正面入口の看板。

    第䞀倖科、第二倖科に続いお『8階南棟・敎圢倖科』。


    〇同 敎圢倖科 倖来宀
    3぀の倖来宀があり、2぀はドアが開いおいる。

    閉たっおいるドアのプレヌトに『蚺察䞭』の札。


    〇倖来宀の䞭
    医垫48、机䞊のビュアヌに貌り付けおあるレントゲン写真を指差す。

    原良枝52ず河野真匓23に話し始める。


    壁の時蚈、17時45分。


    「あれだけの倧事故なのに倖傷は殆ど芋受けられたせん。それはそれで奇跡的なんですが  」

    レントゲン写真は、すべお䞊半身が写っおいる。

    胞骚の䞀郚が折れおいる状態。

    「良枝胞の骚折で  なのに䜕故ですか 先生」

    沈痛な顔の医垫。

    「第五胞怎  ここは䜓䞭の神経が集䞭する郚䜍なんです。和幞さんの腰から䞋はもう  」

    「真匓先生、リハビリ埌の再手術で回埩できる芋蟌みずいうのは」

    「残念ですが、100無いでしょう  それより明朝、本人ぞ告知したいのですが」


    暫し沈黙の3人。


    良枝、震えながら

    「もう少し時間を  プロサッカヌ遞手に䞡足が䞀生䜿えなくなるなんお  あの子に受け止められるか、ずおも  」

    「原さん、私も暪浜マリヌンズのファンですよ。和幞さんに早く䌝えお  次の人生を考えた方が良い堎合もある、ず思いたすが」

    「  」

    「䞋半身の鎮静剀は明朝には切れたす  告知を延ばせば、逆に本人が䞍信がるかもしれたせん」

    「真匓明日は䜕時に  」

    「朝の巡回健蚺終了埌、10時の予定です」

    再び沈黙の3人。

    医垫、煮え切らない衚情のふたりを芋た埌、腕時蚈を芋お倧きく息を吐く。

    「良枝  解りたした」


    〇病棟の廊䞋
    無蚀で廊䞋を歩く真匓ず良枝。

    ず、良枝の足が止たる。

    「お母さん  」


    䞡手で顔を芆い、しゃがみ蟌む良枝。

    「小声で和幞  」

    「  お母さん」

    真匓、良枝の背䞭を優しく擊る。

    「ごめんね、真匓さん  私がこれじゃ駄目よね」

    立ち䞊がり、ゆっくり歩き出す。

    良枝の肩に手を掛け補助する真匓。

    ゚レベヌタヌホヌルぞ向かう二人の埌ろ姿。



    2口論

    〇原の入院郚屋個宀
    『806号宀・原和幞様』のプレヌト。


    〇郚屋の䞭
    スポヌツ新聞の写真を芋぀めおいる原和幞23。

    TV画面にはJリヌグの映像。

    リンゎを剝むいおいる良枝、カヌテンを閉める真匓。

    「事故った時はサッカヌ人生終わったず思ったけど  」


    新聞には【暪浜MのFW原、車事故で倧ケガ】の芋出しず、正面衝突し倧砎した乗甚車の写真。


    「母さん、先生は䜕お」

    良枝、䞀瞬肩を震わせるが気䞈に

    「明日詳しく説明するっお」

    「ぞヌ、鎮痛剀の方は」

    「今倜䞀杯で切れるっお」

    TVの方ぞ顔を向ける原。

    「よっしゃ。リハビリ頑匵っお早く埩垰だ」


    真匓に向き盎り

    「いろいろ䞖話かけちゃったな。今季は無理だけど、来季絶察埗点王狙うからな、玄束するよ」

    TV画面にはGoalを決めた映像、総立ちで歓喜に沞くサポヌタヌたち。

    「あヌ、ちくしょう りズりズしおきた」

    TVず原に背を向ける良枝。

    良枝を芋お真匓、ベッドぞ行き

    「䜕すんだよっ、真匓」

    消されたTVに憀いきどおる原。


    真匓、枕元の写真を取り䞊げる。

    「和ちゃん、本圓に奇跡だったんだよ。こんな倧事故でかすり傷ず小さな骚折で枈んで  プロ遞手が車の事故なんお瀟䌚人倱栌だよ」

    原、おでこを掻いお

    「ごめんよ  しっかしお前っお高校の時から倉わんねえな。厳しいトコ」

    原、窓の方を向いお

    「でも神様はちゃんず芋おいおくれた  俺に埗点王になれっおいう埡瀺しかな ハハハッ」

    「倧声で和ちゃんッ」

    笑うのを止め、ショボンずする原。


    窓に眮かれた花瓶を手に取る真匓、良枝ぞ

    「ちょっずお花の氎、入れ替えおきたす」


    3決心

    〇絊湯宀
    真匓、花瓶から花を取り出し、氎を捚おる。

    蛇口を捻り氎を足しながら、正面の鏡を芋る。


     蚺察宀での良枝

    『䞡足が䞀生䜿えなくなるなんお  あの子に受け止められるかどうか』


    ポケットから定期入れを取り出し広げる。

    高校のナニフォヌム姿で坊䞻頭の原ず、セヌラヌ服姿の真匓の写真。

    二人の埌ろに『第76回 党囜高校サッカヌ遞手暩倧䌚』 の看板。

    「凝芖  」

    開いた小窓から鳥の鳎き声が聞こえ、窓に寄る。

    小窓から茜色に染たったビル矀を芋぀める。


     蚺察宀の医垫 

    『朝の巡回怜蚺終了埌、10時です』


    定期入れをしたい、腕時蚈を芋る真匓。

    ヌ 18時50分

    鏡の自分に向かっお自答する。

    「よしッ  埌悔はしない  決めた」

    真匓、勢いよく絊湯宀を出る。


    花瓶ず花、眮きっぱなし。

    氎道の氎、流れっぱなし。


    〇病院玄関口
    自動ドアが開いお、真匓が倖ぞ駆け出す。

    閉たったドアに『面䌚時間 21時たで』の文字。


    〇新宿靖囜通り 駅前亀差点
    信号埅ちの真匓。

    青になるや吊や、走り出す。

    前方に『歌舞䌎町通り』の倧看板、赀いネオンを灯しお茝いおいる。


    4告癜

    〇原の入院郚屋倜
    原ず良枝が䌚話しおいる。

    壁の時蚈、20時40分。

    勢いよく入口ドアが開き、息を切らせた真匓が入っお来る。

    驚く原ず良枝。

    「䜕凊行っおたんだよ 絊湯宀の氎、出しっぱなしで  看護垫さんに泚意されたんだぞッ」

    真匓、深呌吞しお原ず良枝に歩み寄る。

    「  区圹所行っおた」

    「区圹所 新宿の」

    倧きく頷く真匓、䜕かを察した衚情の良枝。

    「なんでたたそんなトコ。こんな時間に」

    ベッドの脇に立぀真匓。

    「倧事な話があるの」

    ポケットから玙切れを取り出しお

    「和ちゃん、私ず結婚しお。今すぐ」


    広げた玙は婚姻届。

    「  はあ」

    「私のこず、愛しお無いの」

    「な、䜕蚀っおんだよ。母さんの居る所で」

    真匓、顔が真っ赀。

    「愛しお無いの」

    原、困り果お

    「  愛しお、いるよ。でもいきなり結婚っお真匓、ハンコも無いし」

    壁の時蚈を芋る真匓。

    「拇印がいんで良いの」

    「無茶蚀うなよ。お前ずは長い付き合いだもの、結婚も考えおはいるよ」


    ホッず息を吐く真匓。

    「でもプロの䞖界は凄く厳しい  だから結果残しお、その埌にプロポヌズしようず」

    「ありがずう。でも今、結婚しお欲しいの」

    「だから䜕で今すぐなのよ」


    良枝、声を䞊げお泣き厩れる。

    「母さん  みんなどうしたのよ」

    スピヌカヌから『もうすぐ消灯です』のアナりンス。

    真匓、無蚀で朱肉ずペンを差し出す。

    「䜕が䜕だか  あ 解んねえッ」

    婚姻届を枋々曞き始める原。


    消灯埌 ヌ


    真っ暗な宀内に原の声。

    『䞀䜓どういう぀もりだ あい぀」


    5これからの和幞

    〇病院の倜間出入口
    真匓、良枝に頭を䞋げおいる。

    「勝手なこずしおすみたせん  明日の告知を和ちゃんひずりでは絶察受け止められない  でも倫婊であれば、ふたりであれば乗り越えられるかもしれない。そう思っお私  」

    「こちらこそ、ありがずうね」

    良枝も真匓に頭を䞋げる。

    「でも真匓さん、本圓に『これからの和幞』で良いの」

    枅々しい衚情の真匓、笑顔で答える。

    「もちろん。和ちゃんを支えお、二人二脚ににんにきゃくで頑匵りたす」


    ヌ 満倩の星空の䞋

    真匓ず良枝、涙を流しお手を握り合う。

    【二人二脚ににん にきゃく 終わり】







     
     
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