
【おすすめ洋書】日本を愛し、日本に生きたアメリカ人ードナルド・キーンの軌跡『Chronicles of My Life: An American in the Heart of Japan』
教科書で出会った、日本を愛した学者
コロンビア大学名誉教授で日本文学者のドナルド・キーンさんの自伝『Chronicles of My Life: An American in the Heart of Japan』を読み終えました。
以前、6年生を教えていたとき、光村図書の教科書にキーンさんのエッセイが掲載されていました。
ちょうど卒業の時期に読む、子どもたちへの美しいメッセージ性のある作品でした。
幼少期に芽生えた“異文化への眼差し”
キーンさんは幼い頃、ビジネスマンの父とヨーロッパ諸国を旅したことから、異文化への関心が芽生えます。
学生時代には中国語を学んでいましたが、ある古本屋で偶然手に取った『The Tale of Genji』(源氏物語)が彼の人生を変えます。
なんと 2巻セットで49セント。多分、とってもお安い値段だったのでしょう。
軽い気持ちで手に取った源氏物語が、その後の進路を決めたのです。
戦争が与えた“日本語との向き合い”
太平洋戦争中、海軍に入隊したキーンさんは、日本語の特訓を受け、翻訳や通訳の任務に就きます。
捕虜となった日本兵を尋問し、時には言葉を交わし、日記を遺族に返そうと密かに保管していたというエピソードには胸を打たれました。
しかし、その日記は後に没収されてしまいます。
個人の視点から語られる戦争の話には重みがあり、深く考えさせられました。
日本文学界の“ど真ん中”で生きた人
戦後は大学で日本文学を教えながら、頻繁に来日。
交流した日本人がまた豪華で、驚きます。
• 三島由紀夫(別荘に遊びに行くほど)
• 安部公房
• 大江健三郎
• 野上弥生子
• 志賀直哉
• 有吉佐和子
…枚挙にいとまがありません。
志賀直哉のノーベル文学賞をめぐる裏話では、三島由紀夫を推していたというキーンさんの本音が語られ、「大人の事情」で叶わなかったことも初めて知りました。
“日本で生き、日本で終える”という選択
一年の半分をコロンビア大学のあるニューヨーク、もう半分を日本で過ごしていたキーンさん。
東日本大震災をきっかけに、日本に帰化し、日本人として生きる決断をします。
そして、愛する日本の地でその生涯を閉じました。
子どもたちに伝えたい、キーンさんの大切な言葉
教科書のエッセイには、こんな一節があります。
「日本のみなさんは、もっと自国のことを知るべきです。
よい文学を読み、自分の言葉を書くこと。
そして、少なくとも一つの外国語を学ぶべきです。
それは日本を深く知ることであり、世界人になることでもあります。」
いつの時代も変わらない、普遍的な真実だと感じます。
英語は平易で読みやすい。イラストも豊富
この自伝は英語がとても平易で読みやすく、コンパクトな章立てなので少しずつ読めます。イラストが多いのも魅力で、視覚的にも楽しめます。
日本語版も出ているので、どちらの言語でも。
ひとりでも多くの日本人に、キーンさんのメッセージが届くといいなぁと思っています。
Happy Reading!