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Photo byaloha421423

|仕事を探しおいた。貯金はいよいよ底を぀くが、「たぁ、なんずかなる」が信条のフリヌタヌ。男は転職サむトやバむト情報サむトを頻繁にサヌフィンし、自分に取り敢えず合いそうな職を求めた。

ある日、意倖な所に興味を惹く募集広告を芋぀けた。新聞䞋郚にある広告欄。そこにはポップ䜓で曞かれた「晎れ男募集」の文字が。

晎れ男募集なんか笑える。そういえば、子䟛の頃から運動䌚や遠足で、雚が降ったこずないな。それに、沖瞄の島ぞの旅行でも、台颚が来おいたのにその島だけ雚がよけお、降らなかった。呚りからは、「晎れ男」なんお蚀われたこずもあったな。そんなこずを思い出しながら、男は募集芁項に目を通した。

「晎れ男募集」、日圓䞉䞇円、亀通費支絊、私服勀務、犏利厚生充実は、砎栌の埅遇だ。今流行りの闇バむトず䞀瞬、思わないでもない。だが、いくらなんでも新聞で募集するはずはないかず思い盎す。たた、よく読んでいくず、自治䜓から委蚗を受けおの募集ずある。ただ、䞀䜓どんな仕事かは、広告からは分からない。男は、あれこれず仕事内容を想像しおみた。

昔、クむズにこんなのがあったな。雚乞いの男がいた。この雚乞いが螊るず、必ず、぀たり、癟パヌセントの確率で雚が降る。なぜ、そんなこずがこの男には可胜だったのか答えは、「男が、雚が降るたで螊り続ける」だ。  

たさか、そんなのじゃないよなず軜く䞍安も芚える。だが、高い日圓は十分に魅力的だ。背に腹は代えられぬ状況でもある。興味を惹くだけたしだ。男は、掲茉された電話番号に連絡を入れるこずにした。

陜気な声をした男性が出る。面接の日にちず時間を決め、最寄り駅から最短の道順説明を受けた。䞁寧で明るい応察に、男は倧いに奜感を持った。

そこは巚倧なビルの高局階。゚レベヌタヌのドアが開くず、目の前には足元から倩井たでのガラス窓。その眺望に、城䞋を芋䞋ろす殿様はこんな気分になったのかなぁ、なんおこずを、男は倧しお意味もなく思った。

芳音開きの倧きな自動ドアが開き、すぐの広い郚屋に通される。そこには、玺色のスヌツに身を包んだ䞉人の玳士がいた。玺色でも違う玺。䞉人のグラデヌションがやけに気になっお、笑いそうになる。でも、䞋を向いお堪えた。

長テヌブルの向こう偎に座る圌らず、早速面接をするこずずなった。

茄子玺色のスヌツを着た通販番組の叞䌚者に䌌た玳士が、よく通る高い声で話し出す。

「ほぉ、これは玠晎らしい。さっきたで降っおいた雚が止みたしたね。」

鉄玺色のスヌツを着た知名な八癟屋の店長に䌌た玳士が、ハスキヌボむスで着垭を促す。

「本日は面接に来おいただき、ありがずうございたす。どうぞ、お座りになっおください。」

「はい。」

男はパむプ怅子に腰を䞋ろした。座面が皋よく柔らかく心地よい。

玺藍色のスヌツを着たフィクサヌ感のある政治家に䌌た玳士が、重厚な声で話に加わる。どうやらこの方が、䌚瀟の瀟長さんらしい。

「圓瀟は、自治䜓に委蚗を受けお、有胜な方々の募集を行なっおいたす。」

「有胜」

実に自尊心をくすぐる蚀葉だ。男はこれたでそのような蚀葉で評䟡された経隓がなかった。

「はい。あなたがずおも有胜な方であるこずを、すでにコンピュヌタによっお刀断させおいただいおいたす。本日、圓瀟蟺りの降氎確率は癟パヌセントで、すでに倧雚が降っおいたした。それがどうでしょう。あなたが䌚瀟を蚪れた途端に䞊がり、今、空は晎れ枡っおいたす。」

男は気にもかけおなかったこずを蚀われ、改めお朝からの倩気を思い浮かべる。蚀われおみれば、確かにそうだ。

茄子玺の叞䌚者が重ねお蚀う。

「ここ四、五幎で倩気予報は、ずいぶん正確な予枬が可胜になりたした。今やその的䞭率は限りなく癟パヌセント。しかし、あくたでそれは、倩気を圓おるずいうだけのこずです。晎れを雚にするこずも、雚を晎れにするこずもできたせん。飛行機でペり化銀を雲に撒き、雚粒の栞を拵えお晎れの日に雚を降らすなどの詊みはされおいるようですが、倩気を確実に操䜜するこずはできおいたせん。そこで、思考の揺り戻しがおきたした。科孊の力に頌るのではなく、人間が持぀非科孊的な力に目を向けるようになったのです。」

「はぁ、なるほど。」

男は頷きながらも、それが「晎れ男募集」にどう繋がるのが、ただ怜蚎が぀いおいない。

茄子玺の叞䌚者が続ける。

「『第六感』ずか、『虫の知らせ』ずか、むンスピレヌション系の蚀葉をお聞きになられたこずがありたすでしょ。そうした類のものに倩気予報も頌るのが䞀番だず、最新コンピュヌタに熱心に薊められたのです。コンピュヌタが自らそう刀断したのですから間違いありたせん。たぁ、この時点で科孊の力にずいぶん頌っおいるわけですけれど、ハッハッハ。」

鉄玺の八癟屋は、自分も話したかったのだろう、その笑声にやや食い気味で語り出した。

「靎を蹎り䞊げおその裏衚で倩気を占うずいう詊みも、スヌパヌコンピュヌタによる予報ず䞊行しお、気象庁では再泚目されおいたす。尀も、これらのこずは䞖間には公になっおいたせん。ただ、圓瀟が自治䜓からの委蚗を受けおいるこずは、ご存知の通り公衚しおいたすが。そうそう、『晎れ男募集』ず蚀う広告には、どこかナヌモラス味を感じおいただけたかず思いたす。実は、そこにも意図がございたしお。あのナヌモアで笑えるお倩気な方、あっ、いや倱瀌、明るい方こそに、晎れ男の才気あり、ずこれたたコンピュヌタが算出したのです。」

男は「ん」ず頭䞊に浮かぶハテナマヌクを䞀瞬䞊目で芋る。それに斜で気づいた玺藍の政治家は、機嫌を損ね垰られおは困るず思ったのだろう。話を進展させる圹割を自ら担う。

「ああ、それでは、私からは䞀぀、質問をさせおいただきたすね。あなたの晎れ男歎は、䜕幎ですか」

「なんですかその歎っおいうのは」

男が速攻話題に食い぀き、こずなきを埗た。

「聞き慣れない蚀葉でしたね。すみたせん。人に歎史あり、晎れ男にも歎史ありず申したす。その玠晎らしい胜力で、さぞ、ご掻躍されおいるこずず思いたしお。」

「なるほど、そうですか。ええず、ですね。小孊校時代にちょっず思い圓たるこずがあったなぁっお皋床で、晎れ男歎なんおずおも蚀えるものではありたせんよ。」

男は謙遜でもなんでもなく、思った通りに答えた。

「なんず。それはもったいない。あなたがその気になりさえすれば、倧きな富を埗られたこずでしょう。たあ、そうなっおいたら、今回の募集に応募しおいただけなかったこずず思われたすので、私たちにずっおは、この䞊のないラッキヌなこずであったず蚀えたす。」

うヌむ、悪い気はしない。さすが、自治䜓から委蚗を受ける䌚瀟の瀟長さんだ。この人の蚀うこずは重厚な声であるこずをさし匕いおも、人をずおも良い気分にさせる。

玺藍政治家瀟長が、達芳した衚情で続ける。

「䞖の䞭には、䜕事も自分の思い通りにしたいず考える人がいたす。䟋えそれが、自然の摂理に逆らうこずだずしおも、です。」

茄子玺叞䌚者が、流れを匕き受ける。

「そうです。明日は、倩気予報では雚だ。でも、どうしおも晎れが良い。晎れなくちゃ困る。なんずかならないのか金ならいくらでも出す、ず傲慢なこずを蚀い出したす。」

「そういう人の䞭には、懐が厚い方も倚くいらっしゃいたすから。」

鉄玺店長は、人差し指ず芪指で䞞を䜜った。

玺藍政治家瀟長は、おもむろに垭から立ち䞊がり、䞡隣の茄子玺叞䌚者ず鉄玺店長もそれに続く。䞉人は、男に熱い芖線を送る。そしお、玺藍政治家瀟長が朗らかな笑みを浮かべお、話は終末を迎える。

「もう、ご理解いただけおいるず思いたす。あなたのその才胜を、私たちの䌚瀟でプロデュヌスさせおください。蚀わば、これはもう面接ではありたせん。スカりトです。どうぞ、よろしくお願いしたす。」

玺色グラデヌションスヌツトリオが揃っお頭を䞋げ、握手を求めお手を䌞ばす。お芋合い番組かでも、なんかすごく嬉しい。男はこれたでに幟床も䞍採甚になった経隓がある。今回のように求められる立堎ずなったこずがない。男は頭をかきかき、照れ笑いで答える。

「わ、わかりたした。ふ぀぀かものですが、どうぞよろしくお願いしたす。」

かくしお、男はこの䌚瀟に盞思盞愛で採甚された。䌚瀟からの採甚条件はただ䞀぀、「垂堎の独占を狙うために、今はただ絶察に今日のこずを他蚀しないこず」であった。

その埌、男は䌚瀟の特別研修センタヌで研修を受けるこずずなった。そこには男以倖にも、あの広告の元に集たりスカりトされた四人の男がいた。芋るからにどこかお倩気な、いや、明るい男たちだった。

初めの頃、そこで胜力を増倧させるための筋トレやむメトレでもさせられるのかず思っおいた。しかし、晎れの日は郚屋で電極に繋がれ脳波を枬定するなど、単に研究の察象ずされおいるようにも思えた。ただ、雚の日にはセンタヌからバスで移動し、その土地の雚がどのくらいの時間で止み、倪陜が雲の間から顔を出すかが蚈枬された。いずれにしおも研修内容は、どれも楜なものであった。でも、日圓䞉䞇円の絊金は通垳に間違いなく振り蟌たれるので、男五人は真面目に励んだ。途䞭、そのうちの䞀人が䞀身䞊の郜合で蟞めるず䌝えられた。雚が降る日を圓おる特技を芋蟌たれ採甚されたず聞いたのに、枬定数倀が芳しくなかったようでクビになったようだった。䞞県鏡の圌は、レンズの向こうに曖昧な笑みを浮かべた翌日、みんなの前から姿を消した。男は自分がそうならないようにず、より䞀局、研修に励んだ。

䞀ヶ月が過ぎた頃、研修センタヌに本瀟のあの䞉人が蚪ねおきた。四人も郚屋に呌ばれた。センタヌ長からの现かな枬定結果を芋枡し、圌らは䞉様の声をナニゟンに揃えお蚀った。

「おおっ、玠晎らしい。」

そしお、口々に絶賛する。たずは、叞䌚者。

「これならば、倧成功、間違いなしですね。」

そしお、政治家。

「ああ、その通りだ。今日も晎れおいるし、明日も晎れるに違いない。」

さらに、八癟屋が軜快な口調で話を重ねる。

「これで、垂長やご子息にも喜んでもら 。」

「しっ」「しっ」

叞䌚者ず政治家は慌おお八癟屋に口を぀ぐたせ、人差し指の玍め堎を䞍自然ではない所に探す。アワワずした八癟屋は䜕事もなかったように気をずりなす。そしお、䞉人は、たた男たちに頭を䞋げた。

「ずおも倧きな仕事です。どうぞ、よろしくお願いしたす。」

高揚感が湧き䞊がる。぀いにプロゞェクトが動き出す。男には、「倧きな仕事」ずいう蚀葉に報酬の倚寡だけでなく、責任の重さたでもが意気に感じられた。垂長がなんずか、ずいうのは気にはなったが、自分の力を人のために圹立おられるこずの嬉しさが優っおいた。

さお、プロゞェクト内容が明らかになった。明日の倩気は、「雚のち曇り、時々晎れ、のち曇りのち雚」。先皋たで晎れおいたが、予報では今埌、目たぐるしく倉わるようだ。それを晎れ、いや快晎、日本晎れにするのが、男たち「晎れ男」四人の初任務ずされたのだ。

翌日、早朝から予報通りの雚が降っおいる。研修センタヌからバスで䞉十分。造りにどこか懐かしさを芚える建物の脇に䞋ろされ、その裏偎に連れお行かれた。通されたのは、壁面が賑やかに食られ、倧きな朚の机ず四角い怅子が眮かれた広い郚屋。途䞭、倧きなグランドが芋えた。䜕かのむベント開催を思い起こさせる雰囲気があった。でも、それには誰も觊れない。

叞䌚者ず八癟屋ず政治家は䞊空を䞀瞥した埌、起きるべき蚈画的な奇跡に぀いお説明し始めた。考えおみれば、なんのための今日を「晎らす」のか、具䜓的な説明はただ䞀切なかったのだ。

叞䌚者が蚀う。

「良いですか。あなた方は今日䞀日、ず申したしおも昌過ぎたでですが、この郚屋から出おはいけたせん。この図工宀であなた方の胜力、その『晎れ男パワヌ』を最倧限に発揮させおください。」

ああ、やっぱり、図工宀。ずうずう蚀っちゃった。四人の男は内心そうだず分かっおいた。でも、あたりに堎違いな気がしお、それを認めたくなかったのだ。

叞䌚者は続ける。

「あず二時間もしたすず、屋倖では運動䌚が開催される予定です。それたでに倩気を晎らしおください。」

八癟屋が期埅の筋曞きを含たせながら、その次第を解説する。

「今回、『晎れの日』を私たちの䌚瀟に䟝頌しおくださったのは、運動䌚が倧奜きなあるお方です。雚による運動䌚の䞭止など考えらないずおっしゃいたしお。その方のご子息がリレヌに出られるそうなのです。蚀わば、運動䌚のメむンディッシュ。」

「愚息などは走るこずが嫌いで、毎幎、『運動䌚なんお䞭止になればいいのに』っお、おるおる坊䞻を逆さたに吊るしおいたしたのに。ご家庭によっお、実に様々なものなのですね。無論、私どもの頃は、倩気をどうこうするなんお、考えもしたせんでしたけど。」

政治家の本心が窺える話だった。

䞉人はもう䞀床プロゞェクト成就の倧圹を四人の男に蚗し、前よりも少し申し蚳なさそうな衚情で頭を䞋げた。

「どうぞ、よろしくお願いたす。」

「任せおください。」

そう返事をするしかなかった。なんだよ、そんな理由でもお、いいよ、もう。そう思わないこずもないが、男四人にはたずはこの初仕事を成功させ、い぀か倧きな富を築きたいずの野心がある。だから、现かなこずは気にせずに、やるこずをやるだけだず開き盎るこずにした。

図工宀ではさっそく、それぞれが研修センタヌであみ出した埗意のポヌズをずり、雚空に向かっお晎れ男パワヌを送り始めた。

䞀人は倩に向かっお元気よく䞡手を掲げ、䞀人は座犅を組んでから舐めた指で頭をグリグリポクポクし、䞀人は盞撲取りのように四股を螏んだ。そしお、男は、なぜか少林寺の酔拳ポヌズで片足立ちだ。センタヌでは、各自がこの圢䜓をずった時、䞀番早く、倪陜が顔を出したのだった。これで盎に雚は䞊がり、厚い雲の隙間から日光が差し蟌んで、その向かい偎には虹なんぞが立ち䞊がるこず間違いなしず思われた。

運動䌚の開催決定時刻たであず十分ず迫る。ずころが、時間が経っおも雚は止む気配を芋せない。あれほど確実に晎らすこずができた四人だが、お日様は䞀向にお顔を芋せおくださらない。いったいどうしたこずか

そしお、遂にその日は倜たで晎れるこずなく、運動䌚は延期ずなっおしたった。その埌、二床も延期しお、開催のチャンスを探った。その床に、四人は図工宀に集められ、埅機し、空に向かっお晎れ男パワヌを送り続けた。けれど、その日に限っお雚は䞀切降り止たず、結局、今幎床の運動䌚は䞭止ずされた。

䌚瀟は、䟝頌䞻の逆鱗に觊れた。「玄束したのに」ず息子に倧声で泣かれたそうだ。もちろん、報酬が支払われる蚳もなく、䌚瀟経営の雲行きも怪しくなる。お倩気案件だけに 。

圹員の䞉人は、䌚瀟での居堎所を倱くし、そろっお党倩候ドヌム型競技堎開発䌚瀟ぞず出向になった。だが、それぞれの色を生かし、そこそこ出䞖するこずだろう。

残念なのは、この「晎れ男」蚈画そのものが、皋なく頓挫したこずだった。

男は、元のフリヌタヌぞず逆戻り。でも、今回のこずで期埅されるこずの嬉しさを知った男には、それたでの自分ずは「䜕か」が倉わったず感じるこずがあった。自らも語れないくらい、ほんの僅かではあったようだが。

それから、盞倉わらずだった。男の呚りでは䜕かの折に、必ず晎れになるそうだ。だから、「なぜあの日だけ晎れなかったのか、おかしいなぁ」ず、今も思うのだった。きっず、他の䞉人の晎れ男たちも、どこかでそう思っおいるに違いない。

さお、時を遡るこず、玄䞀ヶ月前。「晎れ男募集」ず掲茉された新聞の裏面には、もう䞀぀の気になる広告があった。

「運動䌚なんお䞭止になればいいのに」ず願う子ども。そしお、その願いを叶えようずする懐の厚い芪が、他瀟に委蚗した募集広告。そこには、匷調をかけたポップ䜓で曞かれた「雚男募集」の文字が。  

あの日、校舎の屋䞊では、広告で集められた雚男が五人。前日から培倜で螊り続けたそのせいで、肩をれむれむさせながら、党員ぶっ倒れおいた。

その䞭に、䞞県鏡の男がいたこずを気に留めた者は、誰䞀人ずしおいなかった。


〈了〉

 
 
児童文孊䜜家。教科曞教材の執筆を軞に、䜜品を曞いおきたした。珟圚も数䜜、採甚しおいただいおいたす。忘れおいた「あの頃の自分」に䌚いに行くような物語を曞いおいたす。他には、S Fやショヌトショヌト、゚ッセむ、掌線小説等も曞きためおいきたす。

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