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🍒啐啄同時(そったくどうじ)の「ありがとう」

      〜子どもの詩502 Theme-238〜

     私は人から物を貰うと、すぐに「ありがとう」の大安売りをしてしまう癖があります。近所の人から貰った場合には、次の日に会ったとしても「昨日はどうもありがとうございました。」と、また礼を言います。食べ物だと、何日かして食べた感想を言う時、また「ありがとう」を言ってしまうのです。1回貰えば、最低3回は「ありがとう」を言う私。
     でもその心の奥底には、なんだか「小狡(こずる)さ」が見え隠れしている!
     だから冷静に見ているもう一人の自分が、「ビービービー‥‥」と警告音を発します。
    ⚠️(これだけ、ありがとうを連発すれば、また次も貰えるかもね?そんな、「ちゃっかりさん」が、君の「ありがとう」には含まれるんじゃないの?)
     警告音には、こんな意味があるような‥‥。
     子どもの作品に使われる「ありがとう」を読み解き、その基本形を探ること。これを今回のミッションとしましょう。
     Akiyama Uです。子どもの詩を紹介しています。
           🔷
       まほうのことば
    うまれてくれてありがとう
    げんきにそだってくれてありがとう
    ももちゃんのママにしてくれてありがとう
    ももちゃんはパパとママのたからもの
    だいじ だいじ 大すき
    おふとんの中でぎゅっとしていわれるとね
    とってもうれしくて
    いやなこともわすれちゃうよ
    でもこの前
    妹にも同じこと言ってるの聞いちゃった
    妹もたからものでだいじなんだね
    ちょっとさびしかった
    けんかのつよい友だちも
    わがままなあの子も
    大すきな先生も
    みんなだれかのたからもの
    だいじだいじな人なんだろうな
         3年 もも

     ももさんのママとパパが発した、「ありがとう」の言葉。赤ちゃんが欲しくて欲しくて仕方がない気持ち、ママやパパになりたくて仕方がない気持ちがまずあって、そこにももさんが登場。そして「ありがとう。」
     フムフム。

       ふわふわことば
    二十ぷんやすみに
    りょうまくんとけいしくんとぼくで
    のぼりぼうをしたよ
    けいしくんは二ほんのぼりをしていたよ
    ぼくとりょうまくんはできないから
    すごいなあとおもったよ
    でもけいしくんは一ぽんのぼりができないから
    ぼくとりょうまくんでおしえてあげたよ
    けいしくんはいっぱいがんばったよ
    ぼくたちもいっぱいおうえんしたよ
    あともうすこしでのぼれそうとおもったとき
    ちゃいむがなったよ
    けいしくんは
    「あしたもいっしょにのぼろうね」
    といってくれたよ
    ぼくはうれしくて
    すごくいいきもちになったよ
    どうとくのじかんにべんきょうした
    ふわふわことばってこれだなとおもったよ
    そのつぎのひ  けいしくんは
    とうとう一ぽんのぼりができたよ
    とってもうれしそうなかおをして
    ぼくとりょうまくんに
    「おしえてくれてありがとう」といってくれたよ
    ぼくは「いつもやさしいことをいってくれて
    ありがとう」といったよ
    ふわふわことばって
    ほんとうにきもちがいいね
         1年 はるや

     けいし君の発した、「教えてくれてありがとう」の言葉。けいし君は、登り棒の一本登りがずっとしたかったんだ。その思いが、まず自分の中にある。そこへ詩の作者のはるや君とりょうま君が登場。こつを教えたり、一緒に登る練習をしたりして、やっと登れるようになった。だから「ありがとう。」何となく分かってきました、「ありがとう」が。
     はるや君の発した、「いつも優しいことを言ってくれて、ありがとう」の言葉。ふだんから言葉に敏感で、しかも道徳で「ふわふわ言葉」を習ったはるや君です。心がふわふわする言葉の登場をずっと待ち続けていたのでしょう。だから自分の待ち続けた、優しい「ふわふわ言葉」を言ってくれたけいし君に、「ありがとう」を伝えた。
     待ち続けている状態がまずあって、一番必要なものを届けた時にこそ、「ありがとう」という言葉が生き生きと働き始める。
     だから次の作品においても、当然「ありがとう」という言葉が、作者の口からついて出るのです。

       ありがとう
    「ええっ?まきちゃん休みやん!」
    大声で私はさけんだ
    給食の重い食かんを
    一人で運ばなければいけない
    階段を上がるのはつらい
    「女のど根性!」と一人で持って上がった
    階段は一段ずつ
    廊下は小またでちょこちょこ
    「ああしんど」
    休んでいると「持っちゃろ」
    ちひろさんが言った
    教室まで持ってくれた
    「ありがとう」と私は言った
    女のど根性にも限界があった。
       5年 ともか 

     なるほど。短いことわざで言い表すなら、「啐啄同時(そったくどうじ)」。

    《啐啄同時(そったくどうじ)》
     鳥の雛が卵から生まれ出ようと内側から殻をつつくのと同時に、親鳥が外側から殻をつついて破る手助けをする、絶妙なタイミングが一致することを意味する禅語。

     じゃあ、私のよく使う「ありがとう」とは、どう位置づけられるのか。ご近所さんとかから、「何かもらえないかなあ」と常々思い続けていて、そこで貰うことになって「ありがとう!」
     何かもう、穴があったら隠れたい思いです。恥ずかしったら、ありゃしない。
           🔷
     最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

     
     
    気がつけば、子どもの書く文章を収集する人生になっていました。職業柄とも言えますが、誰もがしていることではないので、やはり謎です。ただ一つ言えるのは、自分の体験し得なかった事やこれから起こる可能性の低い出来事を、子ども達が代わりに体験してくれている、そんな認識です。感謝です。

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