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🍒子どもの詩304 Family-42

      〜ちょっと待って〜

     いくら苦手な歯医者だからと言って、ニ才の弟が見ている前でジタバタする姿は見せたくありません。兄としてのプライドと、麻酔注射を目の前にした恐怖感のせめぎ合い。やはり口癖の「ちょっと待って」は、口をついて出てしまうのでしょうか?
     Akiyama Uです。子どもの詩を紹介しています。
           🔹
       ちょっとまって
    「ちょっとまって」
    この言葉だけはぜっ対に言わないぞ
    気合いを入れてゆっくりいすにすわる
    ニ才の弟が横で見ている
    空地先生がますい注しゃをかまえる

    ぼくは歯医者が大の苦手
    ニ才のころはずっと泣いていた
    三才になると「助けて  助けて」と大声でさけんだ
    五才ではぼくがあまりにもあばれるので
    お父さんとお母さんが
    二人がかりでぼくをおさえた
    「君がくると一日が長く感じるなあ」
    先生に言われたこともあった
    お父さんもお母さんも
    「すみません」とあやまっていた
    「二度とこおへんからな!」
    とぼくが言ったときには
    「ふうん  こんでええよ」と先生に言われた
    そしてぼくは空地歯科の有名人になった
    小学生になってからは
    ちりょうが始まりそうになると
    「ちょっとまって」
    「ちょっとまって」を連発
    最初はまってくれた先生も
    今では「まてへん
    いくで」がおきまりのせりふ
    弟が  先月歯科デビューした
    心配になってついていくと
    「あああーん」
    口を開けて平気な様子
    「えらいなあ」
    「すごいなあ」
    みんながほめる
    ぼくは少しはずかしい気分になった

    はりが近づいてくる
    弟が見ている
    言うな
    言うな
    「ちょっとまって」は卒業するんだ
    自分に言い聞かせる
    はりがささる
    体中に力を入れる
    やっとますいが終わる
    「ふう」
    あせが出てくる
    ペンチを持った先生の手が近づいてくる
    「こわい」
    目をつぶった
    ますますあせが出てくる
    ひっぱられる感じはするけどいたみはない
    ますいがきいている
    あっという間に歯がぬけた
    「はるちゃん  すごいやんか
    さすがお兄ちゃんになったな」
    先生の言葉にかたの力がぬけた
    「ちょっとまって」が心から消えていく
    弟が笑っていた
    ぼくも少し笑った
         5年 はると

     プライドと「ちょっと待って」のせめぎ合い、読み応えがありました。そして、弟のけんじ君に興味が湧きました。
     はると君には1学年上に姉がいて、生まれたばかりのけんじ君の様子を4年生の時に書き残しています。けんじ君とは、どんな子だったのか。

      けんじはたからもの
    「田ばた けんじさん」
    かんごしさんがよびました
    今日は弟のけんじの九ヶ月けんしんの日
    「体重と身長をはかりますね
    服をぬがせて下さい」
    けんじはおむつだけになって
    白いきかいにのせられました
    「体重は十二・四キロ
    身長は七十六・五センチ
    大きな子ですね」
    わたしはあまりの成長にびっくりしました

    けんじは生まれる予定日よりも
    一ヶ月半も早く生まれました
    おちちをすう力が弱く
    体温の調節がうまくできないので
    三週間もほ育器に入っていました
    家に帰ってきたときはとっても小さくて
    だっこをするのがこわかったぐらいです
    それがこんなに大きくなるなんて
    本当にびっくりです

    しんさつ室に入りました
    順調に発達しているか調べるために
    すわらされたり
    うつぶせにされたりしていました
    次にのどをみたり歯をみたりしてもらいました
    けんじはとってもめいわくそうな
    苦しそうな顔をしていました
    でもなきません
    「順調ですね」
    先生が言いました
    わたしはあんしんしました

    わたしはお母さんにたのまれて
    よくけんじのめんどうをみます
    ミルクをあげたりおむつもかえたりします
    このごろは
    ほにゅうびんを持って飲んでくれるので
    とっても楽です
    でもおむつをかえるのは大変です
    おしっこだけのときはいいけど
    うんこのときが大変です
    ときどき手につくこともあります
    りにゅう食をはじめているので
    うんこが黄色くなってくさくなってきました
    うんこだけはちょっといやです
    けんじはまだハイハイはできません
    太すぎて体が持ち上がらないみたいです
    でもねがえりはとく意です
    ころころ転がって部屋のどこへでもいきます
    その辺の物を何でもひっぱります
    何でも口に入れるので目がはなせません
    わたしが笑いかけると
    けんじは笑ってくれます
    手に口を当てて
    「ア・ワ・ワ・ワ・ワ・ワ‥‥」
    と言ってきます
    笑った顔はわたしが小さいときにそっくりです
    けんじを見ていると
    わたしもこんなのだったのかなと思います
    夜  家族がそろうと
    けんじをかこんでいっしょにすごします
    おとうさんも三年生の弟も
    よくけんじと遊びます
    そして家族五人でいっしょにねます

    十ヶ月けんしんもいっしょに病院に行きたいです
    順調に大きくなっていてほしいです
    そのころにはハイハイが
    できるようになっていると思います
    けんじはわたしのたからものです
    けんじは家族のたからものです
         4年 ゆり

     年の離れた姉(ゆりさん)と兄(はると君)に優しく見守られ、けんじ君はスクスクと成長していきました。しかし、九ヶ月健診で、何と12.4kg‼️超巨大です。
     実は、弟のけんじ君が3年生、5年生の時に書いた詩は、既に掲載済みです。
        (子どもの詩077 Theme-38)
        (子どもの詩067 Theme-32)
           🔹
     最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
    (追伸)
     兄のはると君は、「子どもの詩059 Theme-24」のはると君と、同一人物です。姉兄弟、みんな作文が大好きです。合わせて読んで頂けたら嬉しいです。

     
     
    気がつけば、子どもの書く文章を収集する人生になっていました。職業柄とも言えますが、誰もがしていることではないので、やはり謎です。ただ一つ言えるのは、自分の体験し得なかった事やこれから起こる可能性の低い出来事を、子ども達が代わりに体験してくれている、そんな認識です。感謝です。

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