メインコンテンツへスキップ
見出し画像

🍒子どもの詩158 Road Show-1

      〜パニック映画〜

     子どもの詩を紹介するnoteです。
           🔹
     映画には、ジャンルがあります。それは、多岐にわたります。人間の生活全てが対象となるからでしょう。子どもの詩もまた同じで、様々なジャンルが混在しています。敢えてジャンル分けし当てはめることで、作品の理解が進む場合があります。
     今回取り上げる作品は、「パニック映画」にあたる物。シリアスかと言えばそうでもなく、どちらかと言えばコミカル。「コミカル系パニック作品」と位置付けることにしましょう。

       魔の十分間
    レバーをおす
    シャーッ
    何よこれ
    ひびきわたる声
    水が勢いよくふき出してくる
    あわてておさえる手と手

    ここはトイレの中
    使用禁止のトイレの中
    今は休み時間
    小田さんと二人
    そうじに来たのだった
    便器についたほこりとよごれ
    あまりのきたなさに見かねて‥‥

    どうしよう
    足がふるえだす
    手もふるえだす
    小田さんの手もふるえている
    きつくおさえる
    止まれ止まれ
    しかし勢いは止まらない

    どんどんふき出してくる水
    服はずぶぬれ
    頭もずぶぬれ
    足もとは水びたし
    ふえ続ける水  水  水
    もうだめ

    小田さんが先生を呼びに走る
    一人取り残される私
    たった一人でおさえる
    今まで以上にきつくおさえる
    手の感覚がなくなってくる
    一人でいることがたまらない

    先生が走ってきた
    体の力がぬけていく
    そのとたん水の勢いが強くなる
    いけない
    もう少し
    あともう少し

    先生が走って行った
    道具をとりに
    これで助かる
    しかし
    止まらない
    いくらやっても止まらない
    どうして先生

    また先生が走って行った
    「元せんをしめる」と言い残して
    元山先生がやって来た
    教頭先生もやって来た
    二人の先生も走って行った
    小田さんの手が
    私の手をしっかりつつんでいる

    どこまで行くんだろう
    どこに元せんがあるのだろう
    ひょっとして水道局まで
    そんな
    急に昔のことが思い出されてくる
    いたずらをした時のことが
    大変なことをしてしまった
    そう思ったとたん
    右の手のひらが軽くなった
    止まった
    止まった止まった

    そっと手をどけてみた
    緑色にさびたパイプに
    2センチほどのひびがあった
    このひびが私たちを苦しめていたの?

    もうふるえは止まっている
    でも
    心臓だけは
    ドックンドックンと
    強く脈を打っていた
         6年 ゆな

     初めに、「コミカル系パニック作品」と位置付けてしまいましたが、ここで訂正いたします。それでは、余りにもゆなさん達に失礼です。「シリアス系パニック作品」と言い直しましょう。「タワーリング・インフェルノ」です。

     
     
    気がつけば、子どもの書く文章を収集する人生になっていました。職業柄とも言えますが、誰もがしていることではないので、やはり謎です。ただ一つ言えるのは、自分の体験し得なかった事やこれから起こる可能性の低い出来事を、子ども達が代わりに体験してくれている、そんな認識です。感謝です。

    あなたへのおすすめ