ファーストクラッシュ/山田詠美|読書記録
初めて読んだ山田詠美さんの本。
名前は存じあげていましたが、今まで読んだことがありませんでした。
最初はこの強烈な表紙に目を奪われました。
すごい怖いんですけど…
だれかに見られている感がハンパない。
しかも、おなか出てる…
一体何に囲まれているのか。
と謎だらけの表紙が気になり、図書館で借りて読んでみることにしたのです。
ファーストクラッシュって知っていますか?
私はなんのことだか知らずに読み始めました。
答えは冒頭に書いてありました。
ファーストクラッシュとは「初恋」のことだそう。
え、ファーストラブじゃないの?と思い読んでいくと
crushとは出会い頭に衝突して墜落して粉々に砕かれるんだもの。
初恋は、しばしば「ファースト ラブ」と訳されるけれども、そこでイメージされる淡い想いとか甘酸っぱい感じっとは全然違うと私は感じている。少なくとも、私の場合は違っていたということだ。
と書かれていて、激しい恋愛の話なのだと理解しました。
というか、ここで初めてこの話が恋愛小説だと知りました。
この話は、髙見澤家の女性たちがみなしごとしてこの家にひきとられた力(りき)に翻弄されるお話です。
3姉妹の麗子、咲也、薫子の3人だけでなく、3姉妹の母の美紗子、家政婦のタカ。
全員がそれぞれ力に心奪われてしまいました。
しかも、かなり屈折した方向に。
私の人生においては経験することがなかったような恋愛をしていました。
力が父の愛人の子どもだったことも大いに関係しているのですが、それぞれ屈折した愛情表現をしていました。
全3章で3姉妹一人ずつが語り手となり、思い出を回顧するのですが、私はどの話にも感情移入はできませんでした。
ファーストクラッシュというほどなのだから、私には共感できるようなものではないのかもしれない、とも思いました。
3姉妹はそれぞれのやり方で、力の心を手に入れようとします。
感情移入はできなくても、その一生懸命さになんだか嫌いにはなれませんでした。
同時に力の魅力に私も気付いてしまいました。
みなしごだから捨てられたら困る、そういう必死な気持ちが力にはあったのだと思います。
それでも、女たち一人一人を、それぞれに合わせて大事にできる力のことを、そりゃあ好きになっちゃうよな…と思うようになったのでした。
そうなると、続きが気になってしまうのです。
この、屈折した恋愛の行き着く先、女はたくさんいるのに、男は一人しかいない。
力はこの中から1人を選ぶのか、選ばないのか。
選ぶとしたらだれなのか。
結末が気になります。
最後まで読んで、結末がわかったとき、
そうなったかー!と満足感というか、納得感というか、そういうものを感じました。
読み進めていくうちに表紙の謎は解けました。
そして、最後まで読んだとき、この話の構成の全体像が分かり、読後感を爆上げしてくれました。
読み終わって
こんな恋愛小説もあるのか、と衝撃を感じたというのが一番です。
理解できるような、できないような話に最後まで読み切れるか不安になったし、読み終わったすぐあとは頭の中がごちゃごちゃして整理できませんでした。
でも、読み終わって1日経ったら、こういう話も意外と好きかもしれない。と思い始めたのでした。
じわりじわりと読み終わった後にも感じさせるものがある。
そんな話はなかなかない気がします。
この話をおススメする人
山田詠美さんは、直木賞をはじめ、数々の文学賞を受賞している作家です。
長年にわたり高く評価されてきた作家の作品を読んでみたい人はもちろん、ひと味違う恋愛小説を楽しみたい人にもおすすめです。
