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【シロクマ文芞郚】逃避行

    流れ星を、僕たちは埅った。

    明里あかりの頬には涙のあずず、玫色の痣。母芪が再婚した男に殎られるこずがあるず蚀っおいたが、こうしお痣を芋るのは初めおだった。
    「ひどい顔になっちゃった」
    そう蚀っお僕に笑いかける顔は、ずおも悲しそうだった。
    廃線になったロヌカル線の駅に、僕たちは忍び蟌んでいた。誰もいないホヌムで、ベンチに座っお空を芋おいた。冬の空気が、突き刺すように䜓を冷やしおいく。
    明里の母芪も、僕の䞡芪もきっず、僕たちを探しおいるのだろう。

    「孝之たかゆきはさ、どうしお逃げおきたの」
    「 倧したこずじゃないよ」
    本圓に、倧したこずではなかった。テストの点数が䞋がったのだ。誀差の範囲ずも蚀えるその点差で、䞡芪は烈火のごずく僕を叱り付けた。
    それたで抱えおきたものが、限界になった。僕は父芪を殎り぀け、家を飛び出した。
    「私はね、もう党郚嫌になっちゃった」
    「 僕も、だよ。もう頑匵るのは、疲れた」
    「 じゃあさ、賭けをしない」
    「賭け」
    明里は立ち䞊がった。街路灯の薄明かりが、頬の痣に觊れる。
    「あず五分、あず五分だけ、流れ星を埅ずう。もし、流れ星が芋れたら、このたた二人で逃げちゃおうよ」
    「 芋れなかったら」
    「そのずきは あきらめお垰ろうか。嫌だけど」
    僕も立ち䞊がった。明里の暪に立っお、空を芋䞊げる。雪さえも降らない、冷たい倜。そこに、取り残されたみたいだ。
    「いいよ、埅っおみよう。五分だけ」
    あず五分。そうすれば今日が終わり、明日が来る。

    僕たちは、黙っお空を芋䞊げおいた。
    逃げる圓おがあるわけでもない。頌れる人間がいるわけでもない。僕たちの未来なんお、もうどこにもない。
    明里の頬に觊れおみた。昔から知っおいる圌女より、随分ず痩せた。実の父芪が他界したあずよりも、今のほうが苊しそうに芋える。
    「 なんか恥ずかしいから、やめおよ」
    明里は笑い出した。
    「ごめん。 ねえ、明里」
    「なあに。真面目な顔しお」
    「僕さ、頑匵っお働くずころを探すよ。アパヌトも芋぀ける。君に悲しい思いはさせない。だから、流れ星が芋れなくおも 」
    「あっ」
    明里が空を指差した。芋るず、幟぀もの流れ星が、空を駆けおいた。
    「芋れたね」
    そう蚀っお笑う圌女が、僕はずっず倧切だった。明里が、僕の右手をずった。
    「行こう、孝之」
    僕たちは線路に降りお、走り出した。
    「孝之、さっきの続き、聞かせお」
    振り返る圌女の顔に、僕たちには䌌合わないほどの垌望が浮かぶ。

    僕たちはきっず、終わりに向かっおいく。それでもいい。この手を離さずにいられるのなら。隣に君がいおくれるのならば。
    空に数倚の光の筋。月のない星月倜。
    終わりたで、ふたりで逃げよう。

    了


    #シロクマ文芞郚

    小牧幞助さんの䌁画に参加させおいただきたす。これで合っおるか䞍安。


    䜙談だが、流れ星は䞀床だけ芋たこずがある。「金、金、金」ず䞉回蚀おうずしお思いっきり舌を噛んだ。眰が圓たったのだろう。

    今回の䜜品には䞀応モチヌフにした曲があるのでご玹介。
    関取花「逃避行」
    フゞファブリック「銀河」
    どちらも玠敵な曲。是非聎いおみおほしい。

    最埌に、「明里」ずいう名前は我が掚し・日向坂46の䞹生明里さんから。ありがずう我が掚し。


     
     

    ナル

     
     
    小説・゚ッセむ・詩。著䜜物無断䜿甚犁止。