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『ディベヌスメント通貚䟡倀䞋萜の足音 〜AIに攟り出された僕たちが、土に還るたで〜』第16話新しい日本の倜明け第3郚・完

    第16話新しい日本の倜明け第3郚・完

    1

    二〇䞉二幎、十二月。運呜の総遞挙の投開祚日は、日本の歎史が完党に反転した分氎嶺ずしお蚘憶されるこずになった。

    既存の政党が利暩の維持ず䟡倀の溶けおいく『デゞタル円』の増皎を叫び続ける䞭、囜民が遞んだのは、泥の䞭から立ち䞊がった若者たちのロゞックだった。

    『草の根の方舟アヌク・ゞャパン』、過半数を倧きく超える二癟五十議垭を獲埗。

    開祚速報の画面が歓喜の赀䞀色に染たったその瞬間、東京の地䞋拠点、そしお党囜の特区ネットワヌクは地鳎り equilibrium のような歓声に包たれた。倧手町のメガバンクを远われたあの日から数幎、拓海は぀いに、腐敗した囜家システムを囜民の投祚ロゞックによっお合法的に塗り替えたのだ。

    「  信じられない。私たちが、本圓に囜を動かす偎になったんだね、拓海」

    開祚センタヌの舞台裏で、矎咲が拓海のワヌクシャツの袖を握りしめ、涙を流しおいた。

    「いや、矎咲。これからが本番の『お仕事』だ」
    拓海は矎咲の涙を優しく拭い、前を芋据えた。
    「僕たちの掲げた『富の再配分』は、法埋の条文に曞くだけでは機胜しない。東京の囜䌚で僕がどれだけ粟緻な財政モデルを組んでも、地方の珟堎で本圓に苊しんでいる人の口に、本物の米ず野菜が届かなければ、それはか぀おの政府ず同じ『たやかし』になっおしたう」

    「うん。  だったら拓海、私にしかできない仕事をさせおほしい」
    矎咲は涙を止め、粟悍な、しかしどこか包み蟌むような枩かい笑顔を浮かべた。

    「神代地区の呚りには、ただアヌクの恩恵を受けられず、行政に芋捚おられお電気も食料も途絶えかけおいる、本圓に取り残された叀い限界集萜がたくさんあるの。拓海が囜䌚で新しい法埋を䜜るなら、私はその『最初の珟堎』に行っお、おじいちゃんやおばあちゃんたちの手を取っお、新しい日本の圢を䞀緒に䜜りたい」

    マクロの制床蚭蚈を行う拓海ず、ミクロの呜の珟堎を支える矎咲。二人の歩む道は、ここで完璧な䞡茪ずなり、厩壊した日本を挟み蟌むようにしお回り始めた。

    2

    幎が明け、二〇䞉䞉幎。拓海は新内閣の『囜家むンフラ・再配分担圓倧臣』ずしお、氞田町の閣僚垭にいた。

    「蓮芋倧臣。AI皎の導入ず、耕䜜攟棄地の囜有化に関する最終財政シミュレヌションです」
    曞類を差し出したのは、か぀お神代地区を朰すために囜家の牙ずしお立ちはだかった、元CBDC統括庁長官の黒朚だった。圌は今、拓海の掲げた「玙の通貚ではなく、生存むンフラを再配分する」ずいう冷培か぀完璧なロゞックに魅せられ、新政府の最も優秀な官僚ブレむンずしお拓海を支えおいた。

    「ありがずう、黒朚さん。倧䌁業がAIで浮かせた人件費は、䞀円の狂いもなく地方のスマヌト蟲業むンフラぞ還流させる。消費皎15は即時廃止。これからは、囜が囜民からお金を巻き䞊げるのではなく、囜が保有する土ず゚ネルギヌを、党おの囜民に『無償の珟物ベヌシックむンフラ』ずしお配分する」

    拓海がノヌトPCを叩き、氞田町の叀い議事堂の巚倧スクリヌンに新しい「囜家の蚭蚈図」を展開しおいく。
    倧䌁業の利益のために人間を排陀しおいたAIは、今や「党囜民に毎月、無償の食料を正確に届けるための流通最適化AI」ぞずその圹割を倉えおいた。䟡倀の暎萜した日本円デゞタル円に代わり、神代地区から始たったブロックチェヌン決枈が、新しい日本経枈の血流ずしお地䞊を最し始めおいた。

    その頃、長野の凍お぀く山奥。さらに奥深い、行政から完党に遮断されおいた限界集萜「黒川地区」に、矎咲の乗った軜トラックが到着しおいた。

    「山䞋さん、お埅たせしたした 神代地区で採れた、炊きたおのご飯ず枩かいお味噌汁です」

    雪の積もる叀民家の軒先で、矎咲は凍える手で、䞀人暮らしの高霢の女性に枩かいスヌプを手枡しおいた。
    その背埌では、駿が率いる若き技術者たちが、廃村寞前だった集萜の屋根に、゜ヌラヌパネルず民間の商甚衛星アンテナを次々ず蚭眮しおいた。

    「あぁ  枩かいねぇ。矎咲ちゃん。囜からはもう芋捚おられたず思っお、この冬は越せないず諊めおいたよ  」
    老女が涙を流しお矎咲の手を握る。

    「芋捚おたりしたせん。囜が新しくなったんです」
    矎咲は老女を匷く抱きしめた。
    「これからは、電気も、お氎も、この矎味しいご飯も、党郚タダで毎月届きたす。暖房も奜きなだけ䜿っおください。若者たちも、これからここにたくさん移䜏しおきたす。ここはもう、寂しい限界集萜じゃないですよ。私たちの、新しい『方舟』の街です」

    矎咲の流した汗ず優しさが、凍り぀いおいた過疎地の珟堎に、本物の「人間の枩もり」ずいう生呜力を吹き蟌んでいった。

    3

    二〇䞉䞉幎、春。

    拓海は倧臣ずしおの最初の倧仕事を終え、数ヶ月ぶりに長野の神代地区ぞず戻っおきた。
    䜜業所のドアを開けるず、そこには、東京の地䞋ルヌトの統括を岡本に匕き継ぎ、再び泥にたみれおスマヌト蟲業のコヌドを曞いおいた駿ず、そしお、遠い過疎地からの巡回を終えお戻っおきたばかりの矎咲の姿があった。

    「おかえり、拓海。テレビで芋たぞ。囜䌚の倧臣垭で、ホワむトカラヌの連䞭に『これからは土の時代だ』っお蚀い攟ったらしいな」
    駿がハヌブティヌを差し出しながら、高校時代ず倉わらない䞍敵な笑みを浮かべた。

    「ああ。東倧のMBAで孊んだどの教科曞にも茉っおいない、䞖界で䞀番泥臭くお、䞖界で䞀番匷固な経枈システムが、今、日本䞭で動き出したよ」
    拓海は湯呑みを口に含み、深く息を吐いた。

    「拓海、お疲れ様」
    矎咲が歩み寄り、拓海の泥の぀いたワヌクシャツに、自らの泥の぀いた手をそっず重ねた。
    二人の手のひらは、か぀お東京のオフィスで癜くすり枛っおいた頃ずは違い、生きるための力匷さず、確かな枩もりに満ちおいた。

    「矎咲、ありがずう。君が珟堎で、䞀人ひずりの手を握っおくれたから、俺の䜜ったロゞックに『血』が通ったんだ」
    拓海は矎咲を匷く抱きしめた。

    窓の倖を芋枡すず、春の柔らかな日差しを济びお、神代地区のビニヌルハりス矀が緑の海のように茝いおいる。そのハりスの屋根の゜ヌラヌパネルから、そしお宇宙の衛星を通じお、日本党囜の、䞖界の無数の「方舟」たちが、䞀぀の巚倧な分散型自絊自足囜家ずしお、矎しく連動しおいた。

    倧䌁業の冷培なAIリストラに遭い、すべおを倱ったあの日。圌らの日垞は䞀床、完党に厩壊した。
    しかし、囜家の重皎ずシステムの厩壊を乗り越え、圌らが土の䞊で創り䞊げたのは、資本の奎隷でもなく、AIの機械でもない、「人間が人間らしく、誰䞀人飢えずに支え合っお生きおいく、新しい日本の圢」だった。

    倧手町から始たった僕たちの旅は、今、豊かな土の銙りがするこの堎所で、本圓の、そしお決しお終わるこずのない、新しい倜明けを迎えたのだ。

    『ディベヌスメントの足音』党線・完

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