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宗教からアルゴリズムに代わる国の統治システム

AI技術の本質的な目的について考えてみた。

歴史を振り返ると、現在起こっていることは全て理解できる。当たり前のことなのだが、過去の蓄積の結果が現在だから。

歴史上、知識の独占が崩れるとき、社会の価値観や統治構造は必ず大きな転換を迎えてきました。

統治するために、覇権の三本柱とは、大雑把に言えば、軍事、産業、宗教である。

さらに正確に言い換えると
1. 暴力の独占(軍事・警察)
2. 余剰の生産(農業革命、産業革命、いまは計算革命)
3.  正当化の物語(宗教、王権神授、ナショナリズム、人権、進歩)

上記の三つが統治装置となっている。
インターネットと AI が代替するのが、3 番目の装置である。

正当化の物語として、宗教について述べていく。
かつて人類は、自然災害の脅威に対して、神に祈ることで精神的な安定を得ていました。しかし、現代のように医食住が安定した世界になると、神の必要性が無くなってきました。つまり、生活環境が整えば、宗教は廃れていく方向に向かいやすいです。豊かで安全になると宗教の必要性が下がる傾向は、無宗教の人口推移のデータから明らかである。

一神教の宗教による統治では、「この教義だけが絶対の真理である」という閉鎖的な情報環境に依存しています。

インターネットとAIは、宗教的権威が、かつて持っていた「情報の独占」を完全に破壊します。

AIのデータイズム(データ至上主義)とアルゴリズムとは?

あらゆる物事や意思決定において「データこそが最も客観的で正しい」として、すべてをデータで解決できると考えるのがデータイズム。そのデータを目的に沿って手順や判断を導くのがアルゴリズム。

すでにほとんどの人は、Amazonの買い物の時に、Google検索時に、スマホを触っている時に、アルゴリズムの恩恵を受けている。日常生活において利便性が向上したと実感できている。

データイズムは「いかに最適に生きるか」「いかに病気を防ぎ寿命を延ばすか」という効率と生存の最適化には極めて有効で、「あらかじめ設計・最適化された枠組みの中での選択」をアルゴリズムが教えてくれます。統治システムとしては完璧です。

AIのデータイズムとアルゴリズムは、伝統的な宗教が担ってきた「人間の意思決定に対する絶対的な権威」という役割を引き継ぐことで、実質的な新しい信仰体系として機能する要件を十分に備えています。イスラエルの歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリも同じ説を唱えています。

特に一神教の宗教においては、神の教えと融合させた形のデータイズムとアルゴリズムを採用して統治を行います。

具体的な予測として、神権政治のイランを例に挙げます。
すでにイランでは、街頭の防犯カメラとAI顔認証システムを連携させています。今後は、最高指導者や聖職者による「神の意思」の判断に、ビッグデータやAI監視システムが組み合わさり、統治システムを完成させるでしょう。イランのようなイスラム国家は、データイズムによって「西欧型の自由主義民主主義」へ自発的に移行することはありえません。この点がトランプの最初の戦略の誤りだと思います。

中国共産党の一党独裁国家である中国は、共産党の存続という「正当化の物語」にAIデータイズムとアルゴリズムを採用し、統治システムを着々と完成させつつある。すでに「金盾(グレート・ファイアウォール)」による情報統制と、顔認証による監視システムを構築しており、この統治モデルを同盟国へ提供する戦略も実行している。

一方で、欧州グローバルエリートを中心とした西欧諸国においても、AIのデータイズムは新たな「正当化の物語」として機能し始めている。かつての支配の要であった知識の独占に代わり、現在は「持続可能性(サステナビリティ)」「公衆衛生」「社会的公正」といった大義名分がAIと融合している。

例えば、個人のカーボンフットプリント(二酸化炭素排出量)の可視化や、アルゴリズムによる倫理的な消費行動の推奨などが、善き市民であるための新たな規範となりつつある。ここでは、AIが導き出す「地球や社会にとっての最適解」に従うことこそが道徳的に正しいと正当化される。

AIがすべてを計算し、個人の行動を「正解」へと誘導してくれる社会は、庶民にとっては迷いのない、居心地良く快適なものになるだろう。

自由という概念も無くなるほど最適化してくれる世界が到来してしまうのだから。

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