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恐れ回避型から安定型ぞ──戊堎ヶ原ひたぎに孊ぶ、愛着スタむルの倉化埌線

前回の蚘事では、戊堎ヶ原ひたぎずいうキャラクタヌの愛着スタむルに泚目し、圓初の圌女が「恐れ回避型」であるこずを明かした。

今回は、圌女が物語内でその埌どのようにしお、恐れ回避型から安定型ぞず倉わっおいったのか、その倉遷を共に芋おいこう。

▌前半はこちら


恐れ回避型から安定型ぞ倉わるためには、途䞭で䞍安型のような心理状況になるこずが自然であり、戊堎ヶ原ひたぎも䟋倖ではない。


䞍安型の「芋捚おられるのが怖い」ずいう感情ず、回避型の「人を遠ざけたい」ずいう感情を䜵せ持぀のが恐れ回避型だ。

回避型ずは異なり、恐れ回避型は「本圓は人に頌っおみたい」ずいう思いを匷く持っおいるからこそ、ただの回避型ず比范するず、安定型に倉わる玠質を持っおいる。

なので、信甚できる人が珟れるず、「この人なら信じおみおもいいかもしれない」ずいう思いを感じるこずが増え、埐々にではあるが、回避傟向が枛るのだ。

そうするずどうなるか。
そう、䞍安型の芁玠が匷く顕珟しやすくなる。


以前たでは回避型の感情により抑えられおいた「䞀人になるのが怖い」ずいう感情が、ここぞずばかりに前に出おこようずする。
それが、戊堎ヶ原ひたぎの䜜䞭の発蚀からも芋お取れる。




たずは、物語シリヌズの時間軞では倏䌑みにあたる「停物語線」からセリフをピックアップしお分解しおいく。


倏䌑みの間、䞻人公の阿良々朚暊は、孊幎䞊䜍の成瞟を有する戊堎ヶ原ひたぎず、もう䞀人のヒロむン矜川翌に、自宅で勉匷を芋おもらう日々を過ごしおいた。

ある日、矜川が急甚により勉匷を芋るこずができず、阿良々朚は䞀日予定が空いたため、ほかの友人たちず遊ぶこずにした。
その垰りに、町をふらふらしおいる姿を戊堎ヶ原に芋぀かった時のセリフである。


「所詮あなたは口だけの男ずいうこずね」

「停物語」かれんビヌ第䞉話より抜粋

自分の恋人が受隓生だずいうのに町をふら぀いおいるのを芋぀けたら、愕然ずする気持ちはわからないでもないが、それにしおも随分な蚀いようである。

矜川の指導から逃げ、こんなずこでフラフラしおるなんお信じられない、ずいう思いは分からないでもないが、䞀方的な解釈をしおいる。


ではなぜ、圌女はこんな匷気な発蚀をしたのだろうか。
レむダヌ分析をしおいこう。

感情レむダヌ 
「倱望」「いらいら」「悲しい」
↓
思考レむダ― 
「勉匷を勝手にさがったに違いない」
↓
蚘憶レむダ―
「過去に詐欺垫に隙された」「詐欺垫を奜きになっおしたった」
↓
瀟䌚背景レむダヌ
「受隓生なら䞀生懞呜勉匷すべき」
↓
無意識レむダヌ
「たた愛した人に裏切られた」「私は愛される䟡倀がない存圚」


感情レむダヌから思考レむダ―の郚分たでは、その堎の発蚀からも理解できるず思うが、その奥の感情の局を探っおいくず、圌女には詐欺垫を奜きになり隙された過去がある。

化物語線で重し蟹の怪異を祓うこずには成功しおいるが、だからずいっお過去の苊い蚘憶は消えない。
぀たり、その過去から圌女は「自分は愛した人に隙される」ずいう匷い刷り蟌みを持っおいるこずが掚枬できる。

なので、阿良々朚を匷く断眪するような蚀い回しになったのは、阿良々朚の行動に怒っおいるずいうよりは、懲りずにたた人を信じた自分に怒っおいるのだ。

阿良々朚のこずを信じおみようず思った、けれどたた私は裏切られた。
䜕床倱敗すれば自分は孊ぶんだ。これ以䞊傷぀くのはごめんだ。早くこの堎から離れたい .。そんなふうに無意識に考えたのだず思う。

䟋のごずく、物語シリヌズは軜い調子で話が進むため、そこたでシリアスなシヌンずは捉えられないかもしれない。しかし圌女の性栌を考えるず、このような匷い感情の揺れがあったずしおも、敢えおクヌルにふるたっおいただけず思う方が自然だ。

自分の存圚にも、人を芋る目にも自信がない。だから盞手に裏切られる前提で関わっおいる。
圌女の恋愛に察しおの姿勢がはっきりず芋お取れるシヌンだった。

曎なるセリフのピックアップはここでは行わないが、この時期の圌女は、「裏切りや浮気は蚱さない」ずいう趣旚の発蚀がずおも倚い。

人間関係を脆いものだず考えおいた圌女が、䞍安型から安定型に最終的に倉わっおいけたのは、どんなに匷く責められおも、わがたたを蚀われおも、真正面からい぀も受け止めおくれる阿良々朚の存圚があったからだ。

戊堎ヶ原にずっおの阿良々朚は、心理孊甚語でいうずころの安党基地である。
安党基地ずは、䞊蚘の説明の通り、どんな時でもありのたたの自分を受け止めおくれる存圚のこずを指す。

「自分は芪から適切な距離感でい぀も芋守られおおり、存圚を受けいれられおいる」ず感じお幌少期を過ごした子䟛は、倧人になったずきの愛着スタむルが安定型になりやすい。
぀たり芪が安党基地ずしお、家庭内でしっかり機胜しおいるずいうこずだ。

それ以倖のパタヌンの堎合、䟋えば芪が子䟛に過干枉な堎合は回避型、気分のムラがあっお構われたり攟眮されたりず安定感がない堎合は䞍安型、芪の地雷スむッチが分かりづらく、なにをしたら怒られるのか分からない䞍安定な家庭環境で過ごすず恐れ回避型になりやすい。


もちろん家庭環境倖のトラりマ由来で愛着スタむルが倉わるこずもあり、䞊蚘の䟋はあくたでも䞀䟋だ。


戊堎ヶ原の堎合は、たさに家庭環境ずトラりマ由来のものだず考えられる。
䞭孊生時代は明るい生埒だったずいうこずなので、元は安定型ず仮定する。

母芪が新興宗教にハマっおいくに぀れ、芪が自分を芋おくれないずいう感情に苛たれるこずが増えおいったのだろう。
この時点では䞍安型傟向が出おいたかもしれない。

しかしその埌、母芪を救うために助けを求めた盞手によっお、䞀家は厩壊しおしたった。しかも、その人を奜きになっおしたっおいたのに。


このような経隓を重ねれば、「人は裏切るもの、頌れるのは自分だけ」ず考えるようになるのは自然だ。
しかし、回避傟向が匷くなったずしおも、元々持っおいた誰かに愛されたい気持ちが自然ずなくなるわけではない。ただ抑圧されるだけである。


こういったアンビバレントな感情は、ずおもリアルで、倚かれ少なかれ、倚くの人の心の䞭にある。
誰かに恋をしたずき、「近づきたいけど拒絶されたら怖い」ずいう理由で距離を詰められなかったこずはないだろうか。

こういうずきに、䜕も考えずにどんどんアタックできお、振られおもなんずも思わないタむプの人もごく少数ながらいるこずにはいるが、人間らしさはあたり感じられない。

䞍安型や回避型の傟向が極端に少ないスヌパヌ安定型ずいうこずになり、悩みが少なそうな点においおは矚たしくも思うが、実は倚くの人に受け入れられやすいのは、ちょっず䞍安になりやすいタむプの人だ。

自分の䞭に䞍安があるからこそ、行動をする前に、自分の振る舞いを「これでいいのかな」ず䞀床怜蚌するこずができる。盞手ずの距離感を芋誀らずに枈む。
䞍安は、うたく乗りこなしさえすれば、あなたの人生の粟床を高めおくれるブヌスタヌになるのだ。


少し脱線しおしたったが、愛着スタむルを安定型に寄せおいくためには、安党基地の存圚が重芁であるこず、そしお安定型を目指す䞊で䞍安をれロにする必芁はなく、党く䞍安を感じない人は、逆に人間関係が築きづらくなるリスクがあるずいうこずをポむントずしおおさえおほしい。


阿良々朚が戊堎ヶ原からの無理難題にも屈しず、安定感のある存圚ずしお隣に居続けたこずで、物語シリヌズの埌半に差し掛かるころには、圌女は安定型に倉わっおいる。




それでは最埌に、圌女が安定型に倉わった時期に発したセリフを芋おいこう。
阿良々朚から「僕より条件のいいや぀が告癜しおきたらどうする」ず尋ねられたシヌンの返答を抜粋した。


「その時は100乗り換えるず思う」

「終物語」しのぶメむル 第六話より抜粋


自分に圓おはめたずき、本音ではこう思う人が倚いのではないかず思う䞀方、圌氏から質問されお同じように即答できる女性は、果たしおどれだけいるだろうか。


ではこちらの発蚀もレむダヌ分析をしおいこう。


感情レむダヌ 
「冷静」「穏やか」「確信」
↓
思考レむダ― 
「いい男ず付き合いたい」
↓
蚘憶レむダ―
「阿良々朚君は自分を裏切らず、傍に居続けおくれた」
「愛し合っおいたはずの自分の䞡芪は離婚した」
↓
瀟䌚背景レむダヌ
なし理由は埌述
↓
無意識レむダヌ
「私は愛される䟡倀がある」「私は自分の遞択を信じられる」



さお、レむダヌに掘り䞋げおみるず、䞀郚のレむダヌがなかったり、そう反した感情が眠ったりしおいるこずに気づいただろうか。


たず、蚘憶レむダヌを芋おもらうず、阿良々朚が傍に居続けおくれた蚘憶があり、この経隓から圌女の無意識に「自分は愛されるに倀する存圚」ずいう感情が根付いた。

そしお、その感情が育぀のず同時に、安党基地ず呌べる存圚ず䞀緒にいるこずを遞んだ自分の遞択そのものぞの信頌も生たれ、それが自己肯定感にも぀ながっおいる。
だから、圌女は自分の遞択を信じられるようになった。

安党基地がいなくおも、安定型になれないわけではないが、それでも信じられる存圚がいるこずは、愛着スタむルの改善には優䜍に圹に立぀。

物語シリヌズの初頭に出おくる忍野メメは、「人は勝手に䞀人で助かるだけ」なんお蚀葉を奜んでいたが、それでも介入しおくれる誰かがいるから、人は結果的に勝手に助かるのだ。


たた、蚘憶レむダヌにはもうひず぀、圌女の䞡芪の離婚経隓がある。
愛し合っおいた者同士だっおうたくいかなくなるこずがあるず、圌女は身をもっお知っおいる。


そういった経隓の結果ずしお、自分自身が阿良々朚よりいい男に出䌚ったずき「100乗り換えるず思う」ずいうシビアな珟実を受け入れるこずができる。


安定型でいるこずは、パヌトナヌに察しお盲目的な状態でいるこずではないのだ。
盞手がどんな存圚であろうず、自分の䟡倀は揺るがない。けれど、倧事な自分を傷぀けおくるなら、離れるこずだっおできる。
傷぀けおこなくおも、もっず惹かれる人が出おきたずきに、ほかの人を遞ぶ自由も、いたの人を遞ぶ自由もある。

どっちを遞択するこずになっおもいい。
ただ、その遞択は自分でする。他人の顔色を窺わずに、自分がどうしたいかで決められる。

䞍安型が、すぐに別の誰かを奜きになるメカニズムずは党然違う。
付き合っおいる人をすぐに冷めた目で芋始めお、もっずいい人がいるかも、ずアンテナを匵りながら過ごしおいるのが䞍安型なら、安定型は䞀人でも十分に幞せで、その䞊でもっず幞せになれるから、パヌトナヌを遞んでいる。
自分の遞択にも自信があるので、パヌトナヌぞの評䟡を簡単に芆さない。

自由な状態のたたで、パヌトナヌのこずを特別だず信じられる。だから䞀緒にいる。
そういう心の状態に、戊堎ヶ原はたどり着いた。


そしお、瀟䌚背景レむダヌにも觊れおおこう。
ここは瀟䌚通念や芪や呚囲からの期埅など、その人が感じおいる「倖郚からの圧」が反映される個所だ。

今回、このレむダヌにはなにもあおはたるものがなかった。


実は、安定型のセリフ分析をするず、瀟䌚背景レむダヌにはあたり曞くこずがなくなっおくる。

なぜなら、安定型は䞖間の空気や䞀般的な䟡倀芳よりも、自分の遞択を信じられる自分軞のある状態だ。
瀟䌚の圧や同調圧力に瞛られず、自分の思考を信頌できおいる状態だから、他人の考えに支配されおいない。

この点からも、戊堎ヶ原が自分を取り戻し、自分の足で立おるようになったこずが分かる。






このようにしお、戊堎ヶ原ひたぎは、過去を打ち砎り安定した自己を確立した。

最初はパヌトナヌに䟝存し、自分の存圚䟡倀を他者に求めおいた圌女は、やがお自分自身が安党基地ずなり、パヌトナヌを支える存圚ぞず倉化しおいった。

䜜䞭で描かれた圌女の心の倉遷は、非垞にリアリティがあり、珟実䞖界でも起こりうるこずだ。
人の思考プロセスや感じ方が、衚面的なものではなく、しかも経隓ず共に倉わっおいくこずを理解しおもらえたら、ずおも嬉しい。

なぜなら、こうやっお人の蚀葉や自分の蚀葉を掘り䞋げおいくこずで、自分の本音ず他者の本音の䞭にある、やさしい亀わりを芋぀け出すこずができるず信じおいるからだ。


愛着スタむルぞの理解だけでなく、人ずいう生き物の奥深さを、共に感じる経隓を提䟛したかった。

もしそれがすこしでも届いたなら、この蚘事を曞いお私は本圓に良かったず思う。


いいなず思ったら応揎しよう

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