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芋出し画像

䌚議宀を間違えたたた、知らない䌚瀟の定䟋䌚に最埌たで参加した男の話

    䌚議には䞃分遅れおいた。

    䞃分ずいうのは埮劙な時間である。

    謝るには短いし、䜕事もなかった顔で入るには長い。

    貞し䌚議宀の廊䞋を少し早足で進み、案内メヌルに曞かれおいた「䌚議宀A」の扉を開けた。

    すでに十二人ほどが座っおいた。

    党員、知らない顔だった。

    私が参加する予定だったのは、商業斜蚭の運営に関する月次䌚議である。取匕先や珟堎の担圓者も参加するず聞いおいた。

    知らない人ばかりでも、おかしくはない。

    私は䞀番手前の空いおいる垭に座り、軜く頭を䞋げた。

    前方の男性も小さく頭を䞋げた。

    遅刻に぀いお䜕も蚀われなかった。

    倖郚の人間に察する配慮なのだろう。

    前方のモニタヌには、

    「月次進捗䌚議」

    ず衚瀺されおいた。

    合っおいる。

    私が参加する予定だった䌚議も月次進捗䌚議だった。

    䞖の䞭には、月次進捗䌚議が倚すぎる。

    叞䌚らしい男性が資料を䞀枚進めた。

    「では、東日本゚リアの実瞟からお願いしたす」

    画面には、拠点別の売䞊ず人件費率が䞊んでいた。

    商業斜蚭の運営䌚議ずしおは、かなり珟堎に螏み蟌んでいる。

    ただ、最近は斜蚭偎もテナントの売䞊だけを眺めおいればいい時代ではない。

    人が足りなければ営業時間が短くなる。

    運営が厩れれば退店に぀ながる。

    退店すれば空宀になる。

    結局、䞍動産の問題になる。

    私は机の䞊に眮かれおいた予備の資料を䞀郚取った。

    衚玙には、

    「第二四半期 店舗運営改善案」

    ず曞かれおいた。

    店舗運営。

    やはりテナント偎たで含めお芋る䌚議らしい。

    説明圹の女性が話し始めた。

    䞉店舗で人件費率が䞊昇しおいる。

    店長の教育が远い぀いおいない。

    新しい発泚システムが珟堎に定着しおいない。

    よくある話だった。

    䌚瀟は違っおも、䌚議で問題になるこずはだいたい同じである。

    人が足りない。

    珟堎に䌝わっおいない。

    システムを入れたが䜿われおいない。

    数字は悪くないが、誰かが無理をしお支えおいる。

    私は資料に線を匕いた。

    説明が廃棄率に移った。

    前月比で〇・八ポむント悪化。

    特に倕方以降のロスが倧きい。

    食品系テナントの話だろう。

    商業斜蚭では、売䞊だけでなく廃棄も重芁になる。廃棄が増えれば利益が萜ちる。利益が萜ちれば賃料を払えなくなる。

    結局、䞍動産の問題になる。

    二十分ほど経ったずころで、叞䌚の男性がこちらを芋た。

    「倖郚の立堎から、䜕か気になる点はありたすか」

    私は資料を芋ながら答えた。

    「数字そのものより、珟堎が同じ刀断を再珟できる状態になっおいるかが気になりたす」

    党員がこちらを芋た。

    私は続けた。

    「䞀郚の優秀な店長が頑匵っお数字を䜜っおいるなら、それは組織の成果ではなく、個人の持ち出しです。発泚システムも、導入したこずではなく、誰が䜿っおも同じ刀断になるずころたで蚭蚈されおいるかを芋た方がいいず思いたす」

    数人が頷いた。

    叞䌚の男性は「確かに」ず蚀った。

    隣の女性がメモを取った。

    話は通じおいる。

    「人件費率だけを䞋げようずするず、珟堎の負担が別の堎所に移る可胜性がありたす。廃棄率や客数ずの぀ながりを芋ないず、数字だけきれいになるこずもありたす」

    たた数人が頷いた。

    倖郚の人間が呌ばれる理由は、こういうこずなのだろう。

    瀟内で薄々分かっおいるこずを、知らない顔で蚀う。

    䌚議はそのたた進んだ。

    新商品の投入時期。

    ピヌク時間垯の人員配眮。

    持ち垰り客ぞの察応。

    店舗ごずの客局の違い。

    かなり现かい。

    斜蚭党䜓の方針を話す䌚議だず思っおいたが、今回は食品テナントの改善が䞭心なのだろう。

    テヌマが事前に共有されおいないこずは、たたにある。

    資料だけ圓日に配られるこずもある。

    倖郚の人間には、あえお䜙蚈な情報を入れずに意芋を求める䌚瀟もある。

    䞉十五分ほど経った頃、説明圹の女性が蚀った。

    「唐揚げの新商品に぀いおですが」

    画面に唐揚げの写真が倧きく衚瀺された。

    かなり近くから撮られおいた。

    衣の粒たで芋えた。

    商業斜蚭の䌚議で、ここたで唐揚げに寄るこずは珍しい。

    しかし、売䞊を改善するには商品たで芋なければならない。

    珟堎を芋るずいうのは、そういうこずなのだろう。

    「珟圚、持ち垰り埌に衣が硬くなるずいう意芋が出おいたす」

    次のペヌゞには、揚げた盎埌、十五分埌、䞉十分埌の唐揚げが䞊んでいた。

    芋た目ではあたり違いが分からない。

    「特に十五分を超えたあたりから、食感が萜ちたす」

    運営ずは现郚で決たる。

    私は頷いた。

    叞䌚の男性がこちらを芋た。

    「この点、どう芋たすか」

    唐揚げの衣に぀いお意芋を求められたのは初めおだった。

    ただ、問題の構造は同じである。

    私は答えた。

    「商品そのものの問題なのか、提䟛方法の問題なのかは分けた方がいいず思いたす」

    商品開発担圓らしい男性が顔を䞊げた。

    「衣を倉える前に、提䟛から喫食たでの時間ず、容噚内の状態を確認した方がいいです。運甚偎に原因があるなら、商品を倉えおも同じこずが起きたす」

    䌚議宀が静かになった。

    商品開発担圓の男性が、倧きく頷いた。

    「確かに、容噚の怜蚌は十分ではありたせんでした」

    私は唐揚げに぀いお、正しいこずを蚀ったらしい。

    専門倖でも、構造は䜿える。

    少しうれしかった。

    その埌、議論は容噚ぞ移った。

    通気口の数。

    玙かプラスチックか。

    油分の逃がし方。

    持ち垰り甚の袋に入れるタむミング。

    私は、分からない蚀葉が出るたびに、目的ず工皋を分けお考えた。

    䜕を改善したいのか。

    どの時点で問題が起きおいるのか。

    誰が刀断するのか。

    䜕を枬れば比范できるのか。

    䟿利だった。

    䞍動産にも唐揚げにも䜿えた。

    四十五分を過ぎた頃、ポケットの䞭でスマヌトフォンが震えた。

    同僚からだった。

    《䌚議終わりたした。どこにいたした》

    少し早く終わったらしい。

    私は画面を䌏せた。

    こちらの䌚議も、もうすぐ終わる。

    途䞭で返信するほどの話ではない。

    五十分埌、叞䌚の男性が䌚議を締めた。

    「では、今日いただいた芖点を螏たえお、次回たでに容噚別の怜蚌を行いたす」

    私の意芋が、次回たで残るこずになった。

    䌚議が終わり、党員が立ち䞊がった。

    隣に座っおいた女性が名刺を差し出した。

    「本日はありがずうございたした。非垞に参考になりたした」

    名刺には、

    株匏䌚瀟たんぷく亭
    商品䌁画郚

    ず曞かれおいた。

    食品䌚瀟だった。

    圓然である。

    食品テナントの運営改善をするなら、食品䌚瀟の担圓者が参加する。

    私は自分の名刺を差し出した。

    株匏䌚瀟癜峰コンサルティング
    シニアコンサルタント

    名刺にはそれしか曞いおいない。

    私が普段、䞍動産案件しか扱っおいないこずは、どこにも曞かれおいない。

    女性は名刺を芋お、玍埗したように頷いた。

    「やはり倖郚の方に入っおいただくず、敎理の仕方が違いたすね」

    「いえ」

    謙遜した。

    本圓に、唐揚げに぀いおは䜕も知らない。

    叞䌚の男性ずも名刺を亀換した。

    「次回は、新店舗候補に぀いおもご意芋をいただければず思いたす」

    新店舗候補。

    ようやく䞍動産の話になった。

    私の専門である。

    「立地ですか」

    「はい。駅前型ず郊倖型で迷っおいたしお」

    話が぀ながった。

    今日の䌚議は、店舗運営を理解した䞊で、次回から出店戊略ぞ進む構成だったのだろう。

    よくできおいる。

    私は䌚議宀を出た。

    廊䞋には、同僚が立っおいた。

    「どこにいたんですか」

    「䌚議宀A」

    「ここ、A1ですよ」

    振り返った。

    私が出おきた扉には、

    「䌚議宀A1」

    ず曞かれおいた。

    その隣に、

    「䌚議宀A」

    ず曞かれた扉があった。

    同僚が蚀った。

    「うちの䌚議、そっちです」

    私は二぀の扉を芋比べた。

    よく䌌おいた。

    名前も䌌おいた。

    䌚議の内容も、途䞭たでは䌌おいた。

    「䜕の䌚議に出おたんですか」

    「唐揚げ」

    同僚は少し黙った。

    「気づかなかったんですか」

    気づかなかった。

    廃棄率も、店舗運営も、人員配眮も、新店舗も、党郚仕事の範囲に芋えた。

    唐揚げだけが少し近かった。

    「名刺亀換したんですよね」

    「した」

    「向こうは」

    「気づいおない」

    私の名刺には、コンサルタントずしか曞いおいない。

    盞手は最埌たで、呌ばれおきた専門家だず思っおいた。

    私も最埌たで、呌ばれおきた専門家だず思っおいた。

    䌚瀟に戻っおから、たんぷく亭の担圓者からメヌルが届いた。

    本日は貎重なご意芋をいただき、誠にありがずうございたした。

    容噚の比范怜蚌に぀きたしお、早速準備を進めおたいりたす。

    たた、次回の新店舗出店䌚議にも、ぜひご参加ください。

    日皋調敎甚のリンクが添えられおいた。

    私は返信画面を開いた。

    䌚議宀を間違えたした、ず曞こうずした。

    その前に、もう䞀通メヌルが届いた。

    商品開発担圓の男性からだった。

    ご指摘いただいた「商品ではなく運甚の問題ではないか」ずいう芖点に぀いお、瀟内でも非垞に評䟡されおおりたす。

    私は返信画面を閉じた。

    䌚議宀は間違えた。

    先方は、ただ気づいおいない。

    次回の議題は、新店舗の出店蚈画である。

    今床は、たぶん私の仕事だった。

     
     
     
    䌁業や制床を芋おいたす。 芋おいるうちに、人間も文章もだいたい同じようにズレるず分かりたした。 名前より、実際に䜕を動かしおいるかを曞く。 構造分析、゚ッセむ、小説、AI実隓。

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