
「御社の決算書を見せてください」——あなたがブラック企業に転職しないための究極の一言【パート3】簿記3級知識で勝利を掴め
新企画「転職×会計」をテーマとしたビジネス記事の第3弾。
パート3は、「言えるだけでは足りない――決算書を読める人だけが企業を見抜ける」です。
なお、この記事をコンセプトにした「ホワイト企業ナビ」というアプリを開発しました↓
ハッタリをかまして事故るのは回避しよう
「御社の決算書を見せてください」という一言は強いが、それをただ単に面接の場で言うのは危険である。
なぜなら、言った瞬間から企業はあなたを数字が分かる人として扱い、必ず試してくるからだ。経理職として実務に携わり、簿記2級を取得している私の実感として断言するが、企業は理解している人とそうでない人を一瞬で見抜く。
本稿では、その差を埋めるために必要な簿記3級レベルの知識と、ゴールに到達するための現実的なルートを提示する。
面接官は高確率で一歩踏み込んでくる
前回の記事で述べたとおり、「御社の決算書を見せてください」というフレーズは、企業の本質を引き出す強力なフレーズである。そして、同時に自分の理解度も問われる言葉でもある。
面接官は高確率で一歩踏み込んでくる。どの指標を見るのか、業績をどう評価するのか、数字から何を読み取るのかといった形で、会話のレベルを一段引き上げてくる。
ここで詰まると評価は一気に落ちる。逆に言えば、自分なりの仮説を言えるだけで十分だ(例えば、「売上が伸びているに利益が出ていないのは、人件費などの費用が多くかかっているからだ」などが考えられる)。
完璧な分析は不要だが、構造を理解しているかどうかは確実に見られている。
資格取得までやるべき理由
ここで結論をはっきりさせる。簿記は勉強するだけではなく、資格として取るべきだ。理由はシンプルで、頭に深く叩き込めるからである。
ブラック企業を見抜くという目的において、必要なのは簿記2級の高度な論点ではない。損益計算書と貸借対照表の構造が分かり、資産・負債・利益・費用の関係性を説明できる簿記3級レベルで十分戦える。
しかし、その理解が本物かどうかは、自分では甘く見積もりがちだ。
だからこそ、資格試験という客観的な指標を手に入れよう。単なる肩書きではなく、自分はここまで理解しているという最低ラインを担保するのだ。
いきなり資格勉強ではなく、まずは面白さから入れ
とはいえ、ここでいきなり試験対策テキストを開くと挫折する人が多いのも事実だ。当座預金や小切手などどいった概念は、現代の我々の生活からはかけ離れた存在だ。
そこでおすすめしたいのが、まず「読み物」として決算書に触れることだ。
入口として最適なのが、『会計クイズを解くだけで財務3表がわかる 世界一楽しい決算書の読み方』である。本の帯にあるとおり、「最高にシビれる謎解き」あるいは「大人の知的エンタメ」として学習できるのだ。
この本はクイズ形式で解説が進む。たとえば、「次の二つの決算書の図のうち、セブンイレブンはどっち?」という内容だ。考えながら読み進めるうちに、自然と貸借対照表(BS)・損益計算書(PL)・キャッシュフロー計算書(CS)のつながりが理解できる。
難しい理論を詰め込むのではなく、まず決算書は面白いと感じられる構成になっている点が重要だ。
そして、この著者である大手町のランダムウォーカー氏が関わっているのが、次に紹介する学習アプリである。
最短ルートは『Funda簿記』
先の本で全体像が掴めたら、次は一気に資格取得まで持っていく。本稿で紹介するのが、簿記学習アプリの『Funda簿記』である。
本アプリは単なるテキスト・問題集ではなく、学習を続けさせる設計が徹底されている。
スライド形式で進むため通信量をほとんど消費せず、通勤中でもストレスなく使える。また、電卓機能が内蔵されているため、電車の中でもそのまま計算問題に取り組める。
さらに、仕訳問題だけでなく、決算書(貸借対照表・損益計算書)の穴埋め問題まで用意されている。模試もある。数字の配置と構造を体で覚えられるから、試験に受かり、面接でボロを出さないための本質的な力になる。
ちなみに、私はこのアプリで簿記2級まで取得した。その後、妻にも勧めたところ、彼女も同じくFunda簿記で2級に合格した(筆者は「おそらく初のFunda簿記夫婦なのでは?!」と大手町のランダムウォーカー氏に話をしたことがある)。
※なお、下記のようなnote記事も連載中で、無料コンテンツだけでも大きな学びとなる↓
私と妻、二人ともゼロからのスタートだったが、3級であれば1〜2ヶ月、2級でも半年程度で到達できた。つまり、これは特別な人の話ではない。やれば届く現実的なラインである。
数字が分かる人に、企業は態度を変える
ここまで来ると、面接の景色が変わる。「御社の決算書を見せてください」と一言発したとき、面接官はあなたの言葉を軽く受け流すことはできなくなる。
曖昧な説明で済ませるか? 具体的な数字で説明してくるか? その反応自体が企業の透明性を示す指標になる。
重要なのは、あなたが決算書を読み、企業を見極める側に立つことだ。最低条件が簿記3級である。
言葉だけではなく中身を持つこと。この差が、キャリアの安全性を決定的に分ける。