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私の北極星ポラリス

「北極星を、あなたは持っおいたすか」

そう聞かれたら、倚くの人は倜空で唯䞀動かない、あの孀独で頑なな星を思い浮かべるだろう。旅人が迷わずに進むための、絶察的な道暙。人生における倢や、揺るぎない信念の象城ずしお、私たちはよく「北極星」ずいう蚀葉を䜿う。

しかし、倩文孊の䞖界においお、北極星は氞遠ではない。地球の自転軞が少しず぀傟きを倉えるため、時代によっお北極星の䞻圹は亀代しおいく。数千幎埌には、別の茝かしい星がその倧圹を匕き継ぐのだずいう。目印は、䞀぀ではない。そしお、倉わりゆくものなのだ。

この宇宙の真理を知ったずき、私は肩の荷が䞋りるような気がした。

私たちはよく、初めに決めた䞀぀の倢や、過去に信じた䞀぀の䟡倀芳に瞛られがちだ。「䞀床決めた道暙を倉えおはいけない」ず自分を远い蟌んでしたう。しかし、倧切なのは星そのものに固執するこずではない。その星が指し瀺しおいる「方角」を芋倱わないこずだ。

私が目指しおいる方向は、最初からずっず䞀぀。それは「自分らしく、誰かの圹に立っお生きる」ずいう北の方角だ。

けれど、私をそこぞ導いおくれる星は、人生のステヌゞごずに倉わっおきた。子どもの頃に憧れたヒヌロヌ、思春期は野球、そしお今、目の前にある新しい挑戊。その時々で私を照らす星は倉わっおも、私が進む方角は少しもブレおいない。導く星が倉わるのは、自分が前に進み、成長しおいる蚌拠なのだ。

䞀぀の星が倜空の圌方ぞ去っおも、恐れるこずはない。目指す方角さえ決たっおいれば、必ず次の星が目の前に珟れお、行く手を照らしおくれる。

今倜も倜空を芋䞊げる。私の進むべき方角には、今、新しい星が優しく光っおいる。


私はふず、子どもの頃の蚘憶を思い出した。

圓時、私の倜空で䞀番に茝いおいた星は「仮面ラむダヌ」だった。宇宙から来た完璧な光の巚人であるりルトラマンではなく、なぜ私は、昆虫のヒヌロヌにあんなにも憧れたのだろう。

今思えば、䜕が理由だったのかははっきりしない。颚を切っお走るオヌトバむが最高にしびれるほどかっこよかったのか。空高く舞い䞊がるラむダヌキックに目を奪われたのか。それずも、光り茝く倉身ベルトや、ポヌズを決める倉身シヌンそのものに魂を揺さぶられたのか。理由は分からないけれど、ずにかくあの䞖界に倢䞭で、毎日のように泥だらけになっお仮面ラむダヌごっこを繰り返しおいた。あの時の私にずっお、圌こそが䞖界の䞭心であり、絶察的な憧れの道暙だった。

倧人の階段を䞊るに぀れお、私は倉身ベルトを眮き、仮面ラむダヌごっこをしなくなった。か぀お私を照らしたヒヌロヌは、今の私を盎接導く星ではないかもしれない。


やがお思春期を迎え、私の倜空の星は静かに亀代した。新しく茝きだしたのは「野球」ずいう星だ。

小孊4幎生の時、䞡芪にグロヌブずバット、そしお真っ癜な軟球を買っおもらった。嬉しくおたたらなかった。その道具を手に少幎野球チヌムの門を叩き、癜球を远いかける日々に没頭した。ヒヌロヌごっこの倉身ベルトは、本物のグロヌブぞず圢を倉え、私の新しい指針ずなった。

しかし、䞭孊の時、あたりにも早すぎる別れが蚪れる。野球郚の同玚生だった芪友が、修孊旅行の代䌑の日に、川でおがれお亡くなったのだ。突然のこずに目の前が真っ暗になった。私は圌の棺に手を合わせ、涙ながらに心に誓った。「お前の分たで、俺が野球を頑匵る」ず。

その誓いを胞に、高校野球では甲子園を目指し、泥だらけになっお癜球を远った。3幎の倏の予遞で私の高校野球、いわゆる「青春」ずしおの野球はいったん区切りを迎えた。倧人の階段を䞊るに぀れお、本気のナニフォヌムを脱ぐ日はやっおくる。

それでも、私の星は消えなかった。瀟䌚人になっおからも゜フトボヌルチヌムに入ったり、早朝野球を始めたりしお、私は今も道具を握り続けおいる。あの時の誓いが、私の心の奥底で、ずっず消えない光ずしお生き続けおいるからだ。

私たちはよく、初めに決めた圢や、䞀぀の堎所に瞛られがちだ。しかし、倧切なのは星そのものの圢に固執するこずではない。その星が指し瀺しおいる「方角」を芋倱わないこずだ。

あの日、棺の前で芪友ず亀わした玄束。それは圢を倉え、゜フトボヌルや早朝野球ずいう新しい星になっお今の私を導いおいる。けれど、目指しおいる方角はあの頃からずっず䞀぀しか違わない。「預かった呜の分たで、倧奜きなこずに党力で情熱を泚ぎ、生き抜く」ずいう北の方角だ。

導く星が倉わり、圢を倉えるのは、自分が前に進み、人生を繋いでいる蚌拠なのだ。

䞀぀の星が倜空の圌方ぞ去っおも、恐れるこずはない。目指す方角さえ決たっおいれば、必ず次の星が目の前に珟れお、行く手を照らしおくれる。

今、倜空を芋䞊げる。私の進むべき方角には、あの頃買っおもらったグロヌブの匂いず、芪友の笑顔に負けないくらい、新しい星が優しく、力匷く光っおいる。


実はその頃、䞭孊で付き合っおいた圌女が広島ぞず転校しおしたい、私の恋愛はいったん終わりを迎えおいた。倱恋の寂しさを埋めるように、そしお芪友ずの玄束を果たすように、そこからの私はただ野球䞀筋、わき目も振らずに癜球だけを远いかけた。

その挑戊も、高校3幎の倏の予遞で幕を閉じる。敗退した日の倜、お蕎麊屋での打ち䞊げ。悔しさず、匵り詰めおいた糞が切れた虚脱感で、私はその堎にいるのが息苊しくなっおしたった。いたたたれずに店の倖ぞ飛び出し、倜の自動販売機で冷たいコヌラを買った。

その時だった。同じ高校の䞀぀䞋の代で、バスケットボヌル郚に所属する可愛い女性が、偶然そこを通りかかった。それたで䞀床も話したこずすらなかったのに、なぜか圌女の方から私に声をかけおくれたのだ。暗闇の自販機の前、コヌラの猶を手に蚀葉を亀わしたその瞬間をきっかけに、私には二人目の圌女ができ、新しい恋愛ずいう星が茝き始めた。

高校野球ずいう倧きな星を倱い、立ち尜くしおいた私の前に、たるであらかじめ甚意されおいたかのように、次の新しい星が目の前に珟れお道を照らしおくれた。


しかし、そのたばゆい星も、氞遠ではなかった。

高校を卒業するず、私の環境は激倉した。倧孊生掻が始たり、日々のバむトに远われ、そしお新しく「サヌフィン」ずいう波の䞊の䞖界に倢䞭になっおいった。䞀方で、幎䞋の圌女は受隓生ずいう倧きな壁に立ち向かっおいた。䜏む䞖界が少しず぀ズレおいき、忙しさに远われる䞭でのすれ違いの日々。やがお、私の2床目の恋愛は静かに終わりを迎えた。あんなに茝いおいた星が、たた䞀぀、私の倜空から消えおいった瞬間だった。

倱恋の痛みを抱え、波の䞊に浮かびながら、私は再び気づく。


倱恋の痛みを抱え、買ったばかりの䞭叀のシビックを走らせおいたある日のこずだ。

路䞊で、別れた圌女の「芪友」にバッタリ出䌚った。顔はもちろん知っおいたけれど、話すのはそれが初めおだった。それなのに、向こうから芪しげに声をかけおくれたのだ。

シビックに乗っおいろいろな話をした。「圌女、もう同玚生ず新しい恋愛が始たっおるよ」ず、別れた圌女の近況を教えられた。あぁ、本圓にあの恋は終わったんだな、ず胞の奥が少しチクリずした。けれど、話が匟むうちに、圌女が䞍意に「ドラむブに連れおいっおほしい」ず蚀った。私はシビックのアクセルを螏み、そのたた六甲山ぞず向かった。

県䞋に広がっおいたのは、蚀葉を倱うほどにきらめく1000䞇ドルの倜空だった。散りばめられた無数の光を芋぀めながら、私たちは自然ず寄り添っおいた。そしお、私の3床目の恋愛が始たった。

䞀぀の恋の終わりを知ったその堎所に、たるであらかじめ甚意されおいたかのように、次の新しい星が昇っおきたのだ。


もう䞀぀、私の倜空に匷烈な光を攟぀新しい星が珟れた。「サヌフィン」だ。圓時読んでいた片岡矩男の小説『波乗りの島』にすっかり魅了され、私は海の䞖界ぞず匕き蟌たれおいった。毎週、FMラゞオから流れるマヌキヌの波情報にじっず耳を柄たせる。週末に波があるず分かれば、友達を誘っお買ったばかりの䞭叀のシビックにボヌドを積み蟌んだ。メむンの䌊勢・囜府海岞をはじめ、時には高知の生芋海岞、時には日本海の癜兎海岞ぞず、興奮を抑えきれないたた車を走らせた。波を埅぀果おしない海の䞊で、私は䞖界の広さを知った。


瀟䌚ずいう倧きな荒波が、たたしおも私の倜空を塗り替えおいく。

倧孊を卒業しお瀟䌚人になった私は、䞍動産䌚瀟の飛び蟌み営業ずいう過酷な䞖界に身を投じた。自瀟の分譲地を売るためのハヌドワヌク。毎日のように続く飛び蟌み営業ず重いノルマに远われ、週末にサヌフィンぞ行く気力さえ根こそぎ奪われおいった。最初に40名も配属された同期の新人は、過酷な劎働環境に耐えかねお次々ず脱萜し、蟞めおいく。毎月のように居酒屋で開かれる送別䌚。昚日の仲間が今日はもういないずいう珟実の䞭で、私は必死に自分の足元だけを芋぀めお耐えおいた。

仕事の過酷さに远い打ちをかけるように、3床目の恋にも終わりが蚪れた。短倧を卒業しお瀟䌚人になった圌女は、もずもず「ミス倧孊」に遞ばれるほどの矎貌の持ち䞻だった。新しい䞖界ぞ矜ばたいた圌女は、有頂倩になるほどに呚囲からモテおいたらしい。仕事に忙殺され、䜙裕をなくしおいた私ずの距離は䞀気に広がり、その恋は静かに幕を閉じた。

身も心もボロボロになり、深い悲しみず孀独の暗闇の䞭に突き萜ずされた私。そんな私を、そっず救い䞊げおくれたのが、4番目の恋愛盞手ずなる女性だった。

圌女は3歳幎䞋で、か぀おあの友達の芪父さんが営むむタリアンレストランで、䞀緒に汗を流しおバむトをしおいた仲間だった。バむト時代から、みんなでよく䞀緒に遊びに出かけおいた気心の知れた存圚。あの賑やかで楜しかった思い出の地から繋がっおいた圌女の優しい存圚が、ハヌドワヌクず倱恋で疲れ果おた私の心を、じわじわず枩め、癒やしおくれた。私の倜空に、たた新しく、そしお最も等身倧で枩かい星が昇った瞬間だった。


1幎間、その地獄のような環境を生き延びたのは、40名䞭わずか3人。その䞭に私はいた。同期のうち、䞀人の女性ず䞀人の男性は内勀ぞず異動しおいった。そしお私は、2幎目を迎えるず同時にその営業郚で係長に昇進し、7人もの郚䞋を持たされるこずになった。

2幎目の重圧は、1幎目の比ではなかった。自分自身の数字だけでなく、7人の郚䞋党員の重いノルマが、すべお私の䞡肩にのしかかっおきた。

仕事は、ただ目の前の膚倧なタスクずノルマを冷酷にこなすだけの毎日。憧れも、倢も、䜙裕も倱った私の倜空から、぀いにすべおの星が消えた。本圓の意味で「北極星が消えた」のだ。暗闇の底で、私はただ息をしおいるだけだった。

そんな私のどん底を、静かに、そしお力匷くすくっおくれたのが、4番目の恋愛盞手ずなる女性だった。

ハヌドワヌクず倱恋で身も心もボロボロになり、北極星を芋倱った私を、圌女はずっず献身的に支え続けおくれた。仕事の愚痎を黙っお聞いおくれ、匵り詰めた私の心を党肯定しお包み蟌んでくれる圌女の優しさが、私の也いた心にじわじわず枩もりを取り戻させおくれた。

぀づく



いいなず思ったら応揎しよう

LaLaLa はぁ、はぁ  っ お願い、です   『怪獣の腹の䞭で』を  どうしおも、私の手で「玙の本」にしたいんです  っ あなたの、そのサポヌトが  本の、䞀ペヌゞに、なりたす  っ。 はぁ  応揎、しおくれたせんか  っ

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