
恋の終着駅~別れは出会いの始まり~「創作大賞2026」恋愛小説部門」
ジャンル
ラブコメ
キャッチコピー
すべての失恋が着く駅で、ぼくたちは次の恋を待つ。
作品紹介
「恋の終着駅」と呼ばれる不思議な駅がある。
そこに「行こう」と決めて向かう人はいない。気がつけば終点で降りていて、ホームのベンチに座ってしまっているだけだ。
条件はただひとつ——いま、なにかの恋を終わらせた(終わらせたい)人であること。
結婚式当日に婚約破棄された花嫁。
離婚を済ませたばかりで、家族連れ専用車両に乗り込んでしまった中年の男性。
ネット恋愛の相手と「終着駅で会おう」と約束したのに、いつまで待っても現れない若者。
彼らはそれぞれの列車から降りて、この駅で少しだけ呼吸を整え、見知らぬ誰かと一言二言だけ会話を交わし、やがて自分なりの荷物を抱えたまま、次の列車へと乗り換えていく。
駅員・佐伯さんは、そんな失恋者たちを長年見送り続けてきた。
いつからか「恋の終着駅」と呼ばれるようになったこのホームで、数え切れないほどの「終わり」と「これから」を見てきた彼にも、ついに定年退職の夜が訪れる。
一日のあいだに、10人分の「恋の終着駅」が通り過ぎる。
そして最終列車が去ったあと、奥さんと娘、お孫さんに迎えられて改札を閉める佐伯さんの語る一言—— 「本当にね、たくさんの失恋を見てきました。でも、ここで終わった人は、一人もいなかった気がするんですよ」 自虐ユーモアと、少しばかりのさみしさ、そしてじんわり温かい余韻で綴る、連作短編形式の恋愛青春譚。