
シグ13 共犯者
僕は普通の高校生。
少なくとも、そう思っていた。
だが、周囲はそうは思っていない。
僕はある存在を信じている。
怪物、とでも言うのだろうか。
そんなものを何度も見ていた。
特に記憶に残っている存在がいる。
中学生の頃。
学校からの帰り道。
夕焼けが見える秋の帰り道。
いつも通りの退屈な街を通って帰宅する。
川辺の土手を通っていると、
向こう岸の道の上に何かいた。
黒い影。
白い目。
こちらを見ていた。
真っ赤な夕焼けの中で、それだけが異様にはっきり見えた。
目が合ったその時のことを忘れられない。
その頃からだと思う。
不思議な存在を何度も見た。
信じてくれる人は少なかった。
しかし、
ネットで調べると何人か同じものを見た人がいた。
黄色くて笑うもの。
青くて速いもの。
紫色の霧。
そして何度も出てくる。
黒い影。
白い目。
そしてなぜか出る名前。
シグ。
僕も何故かその名前は黒い影だとわかる。
なんでかはわからない。
その黒い影は図書館で古い歴史書をみたときも出てきた。
そこにも書かれていた。
シグ。
なぜかはわからない。
僕は知りたくなった。
高校生になってから、
その怪物についてずっと調べていた。
話の合う人はいなかった。
だが、ネットには何人か同じことを調べてる人がいることを知った。
その中で、
自称研究者の人と連絡を何度も取り合っていた。
その人はそういったものを見たことないけど、信じているらしい。
今日、
その研究者の人と合うことになっている。
その研究者は突然自身のアパートに招待してきた。
怪しさは感じた。
でも、
ここまで真剣に怪物と呼ばれる存在のことを語れる人はいなかった。
だから今そのアパートの前にいる。
古いアパートだ。
言われた部屋のチャイムを押した。
鍵の開く音。
扉を開けて、出てきた男は
髪はぼさぼさで、
ヒゲもろくに整えていなかった。
だが目だけは妙に鋭かった。
研究者 「いらっしゃい。」
僕 「はじめまして。」
研究者 「会えてうれしいよ。是非話したいことがある。」
挨拶を済ませ、部屋に入る。
部屋には多くの本。
壁には多くのメモ。
部屋の所々には表彰状や、メダル、盾があった。
なんとなくすごそうなことが書いてある。
研究者というのは、本当らしい。
奥の部屋に案内されると、
そこには怪物について書かれたメモと、
様々な記録が置いてあった。
研究者 「どの国の記録にもあるんだよ。」
「僕たちが話していた存在は。」
僕はそんなことを聞いて、
嬉しいような、
感動しているような、
そんな気持ちになった。
僕 「実際に見たことはあるんですか。」
研究者 「僕はないんだ。記録だけ。君は見たんだよね。」
僕 「見てます。」
研究者 「とてもうらやましいよ。僕も見てみたい。」
僕は黒い影のことを話した。
川の向こう岸。
夕焼け
あの日見た光景を。
研究者 「白い目だった?」
僕 「え?」
研究者 「白い目だったんだよね?」
研究者は、真剣に質問しながら話を聞いてくれた。
今まで誰にも話せなかった。
話したとしても信じてもらえなかった。
そんな話をこの鋭い目の研究者は真剣に聞きながら、
記録やメモを何度も見返していた。
研究者は時折一人で笑ったり、興奮したりしていた。
そしてつぶやく
研究者 「やっぱり。本当にいたんだ。」
どうしてだろうか。
僕はこの人をなぜか気に入ってしまった。
そこからは二人で大いに話した。
今までの記録をみて、二人で興奮した。
研究者 「突然で済まない。私と真剣に怪物のこと追ってみないかい?」
「なぜか、みな童話や作り話にしか思ってない。」
「でもこれは事実で、最近は特にこれらの怪物の目撃は増えてい
る。」
「ともに、怪物について研究する組織、グループみたいなものを
つくらないかい?」
僕は思う。
そんなことをして将来はあるのか。
周りはどう思うのか。
でもそれ以上に思う。
事実を嘘のままにしたくない。
真実を知りたい。
だから研究者の手を取った。
「やりましょう。」
「ハルっていいます。」
研究者も強く手を握り返しいった。
「いい名だね。」
「私はシゲキっていうんだ。」
初めて会った2人。
普通なら出会わない2人。
そんな2人が手を結んで生まれたある組織。
この日。
二人は手を結んだ。
後に世界を変えることになる組織の、 最初の一日だった。
そして怪物はより存在を強めることになる。
シグはそんな二人が手を強く結んだとき。
電球の傘の上で静かに見ていた。
ずっと前からそうしてきたように。