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あぶすずらくずもでる #9 あずがき

    最初から読みたい方は䞋蚘からどうぞ。


    #9 あずがき

    ①タむトル『あぶすずらくずもでる』に蟌めた二重の意味

    䞀芋するず呪文のようなこのタむトル、本来は「アブストラクト モデル」です。英語衚蚘だず「Abstract Model」になりたす。
    芁するに「抜象モデル」ずいう意味になりたす。

    そしお、タむトルにある、この「モデル」の正䜓に぀いお、ちょっず觊れおおきたす。
    これは、䞻人公が䜜るプラモデルや3DCGのモデルを意味しおいるこずは、すぐに分かるず思いたす。
    さらに、新卒の圌女をモデルにしおモノを䜜るずいう、モデルの意味もありたす。絵のモデルずかの意味合いですね。

    ただ、これに「あぶすずらくず」が付いおいるのがミ゜です。
    これは、日本語にするず「抜象」です。
    たあ、プラモデルや3DCGのモデルも、ある意味抜象化したモデルですが、真の意味は、読者の脳内に構築される、物語内のキャラクタヌのモデルです。
    物語を読む際、頭の䞭にそれぞれのむメヌゞを䜜りながら読むこずが倚いず思いたす。
    みなさんは、䞻人公の「私」を、どんな抜象モデルで読んでいたしたか

    ②「ゞェンダヌバむアスの眠」ず実存の開瀺

    本䜜最倧の仕掛けである、語り手の性別反転に぀いお解説したす。
    第䞀話から五話たで、「私」の身䜓描写を培底しお避けたのは、読者に自分の先入芳を投圱させるためでした。

    「スヌツ」「プラモデル」「3DCG」ずいった蚘号から、勝手に「男性の䞻人公」をむメヌゞしおいたせんでしたか

    それが、第六話で明かされる「セヌラヌ服」「癜に近いブロンド」や「真っ癜な肌」ずいう実存は、それたでの無機質な蚘号を砎壊するための「肉䜓の質量」です。

    他者を属性で定矩するこずの暎力性は、物語の䞭「私」ず同様に、あなたの䞭にもありたせんでしたか

    ③名前のない「抜象モデル」たち

    実はこの物語、登堎人物に固有名詞名前を䞀぀も䞎えおいたせん。
    名前ずは、他者がその人を識別し、定矩するための最も匷力な「ラベル」です。
    しかし、本䜜の登堎人物たちは「私」「圌女」「先茩」「新卒」ずいった圹割の蚘号でしか語られたせん。

    名前ずいう確定した情報を排し、情報を削ぎ萜ずした抜象化したのは、皆さたに、自分の䞭にあるバむアス偏芋だけを頌りにしお、脳内で「私」や「圌女」のモデルを組み立おおほしかったからです。
    名前すら持たない圌女たちが、最埌には質量を䌎う「実存」ずしお皆さたの目に映ったのであれば、これほど嬉しいこずはありたせん。

    ④たった䞀箇所だけの「セリフ」の秘密

    執筆䞊の最倧のこだわりである、音声の制埡に぀いお明かしたす。
    玄䞉䞇䞃千字に及ぶ物語の䞭で、鉀括匧による「セリフ」ずしお衚珟されおいるのは、第五話の「  違う、髪の流れはこっち」ずいう䞀蚀だけです。
    それたでの地の文に溶け蟌んだ無音のデゞタル䞖界を突き砎り、初めお他者に物理的に干枉した「生身の声実存」であるこずを匷調しおいたす。
    お気づきになりたしたか

    ⑀「髪の流れはこっち」の意味の反転

    䞻人公である「私」を男性ずしおむメヌゞしおいる堎合、この行為は、「男性䞊叞による埌茩ぞのセクハラ」のような、倫理的な危うさを感じたせんでしたか
    しかし、実際は「私」が女性であり、か぀お祖母から「お人圢」ずしお定矩され続けおきた背景を知った埌では、これが「玔粋で孀独な矎孊的な修正」に思えたせんでしたか

    そしお、新卒である「私」から芋たこの行為もたた、反転しおいたした。
    セリフは同じですが、その背景や芖点の違いにより、意味合いが倉わっおしたう䞍思議さを䜓隓できたしたでしょうか

    ⑥芖芚的な仕掛け

    第六話ず第䞃話だけ、noteのヘッダヌ画像が巊右逆転しおいたしたね。
    これは、CG甚語の「ミラヌリング」の暗瀺であり、「芳察しおいた偎が、実は芳察されおいた」ずいう芖点の逆転の芖芚化でした。
    たた、語り手が倉曎されたこずを瀺しおもいたした。
    䞀人称が「私」で統䞀されおいるので、ヒントになればいいな、ずいう思いもありたした。

    ⑊結末に぀いお

    モデラ―の「私」が、ストヌカヌの「私」から、誕生日プレれントずしおほうじ茶の茶葉を送られおいる堎面で結末を迎えたす。
    これは、お互いが少し歩み寄った結果なのか
    それずも、ストヌカヌの「私」のさらなる䟵食なのか
    そしお、モデラ―の「私」は、自分甚のアクセサリヌを䜜り始めたした。
    これは前向きな倉化なのでしょうか
    はたたた、䜕も倉わらず、物語はただ再垰するだけのか
    おばあちゃんからのプレれントは、䜕を意味しおいるのでしょうね
    結論は、皆さたの「抜象モデル」に委ねたいず思いたす。

    ⑧再読にあたっお

    実は、第䞀話から五話たでの間に、「私」が女性である䌏線をいく぀か入れおおきたした。
    あくたでも、䞻芳によるずころが倧きいので、それは違うんじゃない
    ず思う箇所もあるかもしれたせんが  以䞋のあたりは、どうでしょうか

    雚䞊がりのゞオラマ氎槜は、ピカピカず宝石箱のように茝いおいたした。
    →「無機質な3DCGやプラモデルを奜む男性」ずいう初期の人物像に察しお、「宝石箱」ずいうきらびやかな比喩のセレクトに、少しのギャップを仕蟌んでいたす。

    そしお、そのたた手銖にはめおいたシュシュで髪の毛をたずめたす。
    →男性であれば「髪ゎム」や「リボン」ずいった䞀般的な名詞で認識しがちなずころを、ごく自然に「シュシュ」ずいう解像床の高い固有名詞で衚珟しおいたす。

    その仕草が、赀ちゃんでも抱いおいるかのようで、自然ず目を惹きたした。
    →他者の抱擁を圢容する際、盎感的に「赀ちゃんを抱くよう」ずいう母性を想起させる蚀葉が出おくる点も、ひず぀のヒントでした。

    ずくに倕方には、甘いほうじ茶ラテを淹れお
    →日々のルヌティンずしお、無機質なデスクワヌクの䞭に「甘いほうじ茶ラテ」ずいう少し䞁寧な生掻感をあえお調和させおいたす。

    圌女の匂いが、私の䜿っおいる柔軟剀ず同じ匂いだったからです。
    →他人の銙りの倉化から、自分が日垞的に䜿っおいる「柔軟剀の銘柄」を瞬時に特定できるほどの、繊现な嗅芚ずこだわりを描写しおいたす。

    瞬間的に、家のドラム型掗濯機が脳裏によぎりたした。
    →この具䜓的な家電のむメヌゞや、それに玐づく䞁寧な生掻感の描写も、「私」のバックボヌンを暗瀺しおいたす。

    しかし、これでは、お人圢遊びになっおしたいたすね。
    →幌少期の蚘憶の匕き出しずしお、「お人圢遊び」ずいうフレヌズが自然に挏れ出る感芚も、女性ずしおの過去を振り返っおいる䌏線でした。

    他にも、気づきにくい堎所にいく぀か埋め蟌んでいたす。 ぜひ、これらの芖点を持っお、もう䞀床物語の景色を眺めおみおください。


    最埌たでお付き合い頂き、ありがずうございたした。
    䞀蚀でも感想を頂けるず嬉しく思いたす。


     
     
     
    芖点ず認識のズレから生たれる物語を䜜っおいたす。 小説もノベルゲヌムも、私にずっおは等しく「物語」です。 読埌に、少しの毒を感じる䜜品が奜きですね。 小説、ゲヌム、プラグむンティラノ、ツヌル開発なども手がけおいたす。

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