
モネゆかりの地でアントワネットを思った日
念願のパリひとり旅の本格始動は2日目から。最初に行った観光名所は、モネが晩年過ごしたノルマンディー地方のジヴェルニー村だ。ここにモネが晩年まで40年以上暮らした家と、名画「睡蓮」を生み出した池がある。
こう聞くと、多くの人が池に期待するだろう。しかし、私が訪れた6月上旬の主役は間違いなく庭園だった。色とりどりの満開の花たちが観光客を出迎えてくれた。

庭園はしっとり落ち着いたモネの作品とは正反対で色鮮やか。ピンク、赤、紫の花が燦々と輝いていた。ジヴェルニー・クロード・モネ財団は美観維持のために、ここからは赤の花、あっちはピンク、というようにゾーニングして色の配置を決めているとのこと。なるほど、だからまとまりがあって綺麗なのかと納得した。モネ自身も庭園の色彩にこだわって工夫を施していたらしい。

ガイドさんにお願いしてパチリ。

モネの絵もたくさん飾られていた(コピーか?)

蝋燭が飾られたプリンセスのような鏡と
マントルピースが素敵。

銅鍋も良いアクセントになっている。
ご覧のとおり、モネの家は非常にかわいかった。ラブリーな色使いと一捻りされたコケティッシュなインテリアはまるでドールハウスのよう。あのモネの顔からは想像つかない世界観だ。

画家とは、決して自身のビジュアルと頭の中が一致している訳ではないと実感した。

家から庭園、そして池へと足を運ぶ。池がどれだけ美しいのかと期待したが、見事に裏切られた。

この日は蓮の「は」の字もなく、池は濁っていて彩りなんてものはない。それどころか澱んでいる。ま、こんなこともあるかと思った途端に気が抜けて一気にお腹が空いた。
そうだ、何か食べよう。朝7時半に集合したらそりゃ腹は減る。池からまた家のほうに向かい、さらに家を出て店を探した。
ジヴェルニー村は小さく、どの施設もすぐに行けるから助かる。歩いてすぐに見つけた赤い屋根のカフェは、中庭にテーブルが並んでいた。庭と店内はオープンにつながっているからか日中の店内は電気がついてなかった。

なんとなく薄暗い中で一際目を引いたのがマカロンだ。ころんとかわいい色味のマカロンをいくつか食べれば空腹は満たされるはず。せっかくのフランスなのだから現地のマカロンを食べないと!

フランスといえばマカロン。フランスのマカロンといえばラデュレやピエール・エルメ。ピエール・エルメは大好きなマカロンである。しかし、ここジヴェルニーにそんなハイソな店はない。この田舎のマカロンの味はいかに。ちゃんと楽しめるだろうか。
なぜこんなに身構えているかというと、日本ではちゃんとした店でないと美味しいマカロンが食べられないからだ。数年前のこと、その辺の店で売られていたマカロンを食べたら、想像以上にちゃちな味でガックリしたことがある。マカロンはちゃんとしたメーカーのものを買うべきと心に強く刻んだ記憶あり。いくらフランスといえども、マカロンに対して疑心暗鬼だった。
少しだけドキドキしながら一口食べてみると、すぐさま不安は消え去った。お、美味しい……。こんな片田舎のマカロンなのにちゃんと美味しい。やはりスイーツ大国おフランスは、どこの店のマカロンも美味しいのだろうか。もちろん、ピエール・エルメのほうが美味しいけれど、ここのマカロンもなかなかだった。さすがマカロンの国である。しかしながらマカロンの発祥国はイタリアなんですと。びっくりである。
フランスといえばスイーツ、スイーツといえばアントワネットだ。「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」は彼女の言葉ではないと言われているが、そう言ったと思われるということは、国民から嫌われていた云々を拭い取って考えたとしても、きっと相当なスイーツ好きだったのではないだろうか。

ふとソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』が頭に浮かぶ。あの映画もスイーツだらけだったもんなぁ。あれは演出なのか、はたまた事実なのか。またゆっくり観たいものである。
やっぱりアントワネットは甘党だったのだろうか、だから甘い雰囲気なのか。こんな具合で一人アントワネットに思いを馳せながらマカロンを味わった。
モネゆかりの地でも自身を思い出させるアントワネット、その存在感はやはり大きく、髭もじゃのモネも霞んでしまう。アントワネットはやっぱりすごいとしみじみ思ったのであった。