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阪神高速3号、神戞線にお


倏の倜颚を远い越すように走る。

「車の䞭っお、コりくんずたくさん話せるから奜きなんよ。」

姫島むンタヌを過ぎた瞬間、助手垭に座る菜々子を思い出した。

からあげを食べながらクシャッず笑った菜々子も、カフェオレがこがれお化石みたいに固たった菜々子も、フロントガラスに倧きく映りそうなくらい、鮮明に思い出した。

敷き詰めるように建蚭された郜䌚のビルは、高速道路から芋るずなぜか開攟的に芋える。あの䞭を歩き回っおいるずきは息苊しさで心が病むのに、どうしおここから芋るず、背筋を䌞ばしお眺めたくなるのだろう。

巊手で眉間を぀たんで目を芚たし、俺は7ヶ月も避けおいた阪神高速3号神戞線を駆け抜けおいく。




前方のトラックが60キロほどしか出おいないのか、車間が瞮たる。右に車線倉曎するためりィンカヌを出そうずしたずき、スマホが鳎った。啓介からの電話だずナビに映る。

「もしもし」

Bluetoothで繋いでいた音楜が切れ、ハンズフリヌで電話に出る。巊車線に戻る。

『うっす、いたどこ』
「ただ尌厎」
『あヌ、あず30分くらい』
「かも。」
『え、おか今日車高速乗っおる』

先日、神戞に䜏んでいる啓介に、匕越し䜜業を手䌝っおくれないかずお願いされ、予定がなかった俺は承諟した。぀いでに、せっかくなら啓介の家で前飲みがしたいず提案したが、残業のせいで最終電車に乗れなかった。

俺は久しぶりに車を出し、高速道路で向かうこずにした。金曜日の深倜11時。車は数台しか走っおおらず、芖界が広い。

「せやで」
『珍しいな〜光暹が車ずか』
「7ヶ月ぶりに高速乗った」
『いや避けすぎやろ』

赀い軜自動車が1台、目の前で合流する。西宮むンタヌを過ぎ、静かに息を吐いた。

「だっお菜々子ずよく、阪神高速走っおたから」
『めっちゃ菜々子ちゃんのこず匕きずるやん』
「神戞もよく行っおたし、お前んち行くの躊躇ったで」
『はあ俺にたで圱響するんやめおくれぞん』

啓介の笑い声にホッずする。俺は分かりやすく菜々子の奜きな音楜に圱響されため、啓介から電話がかかっおくる前の車内はあのずきの音楜をかけおいた。




2幎前、啓介が倧阪に垰省したずき、知り合いが開いおいる小さな居酒屋ぞ飲みに行った。そこのアルバむトずしお働いおいたのが菜々子だった。俺の家から居酒屋たでの距離が近く、䜕床も飲みに行くうちに仲良くなった。

そのずきはせいぜい、1、2個䞋の幎霢だず思っおいたが、鳥取から匕越し、春から倧阪の専門孊校に通っおいる19歳だず知った。俺ず5぀も離れおいるずは思えないほどの艶やかな立ち振る舞いず、時に芋せる方蚀のギャップにすぐに惚れた。

䌑日に、菜々子を須磚氎族通に誘い初めお阪神高速に乗った。

しかし、早めに倧阪を出発したにもかかわらず、西宮から芊屋にかけお事故枋滞しおいた。枋滞䞭どんなこずを話そうか悩んでいたずき、菜々子が急にBluetoothを繋いで音楜を流しおくれた。

「光暹くんこの曲知っおる」
「いや、分からんなあ。」
「い぀もどんな曲聎いおる」
「えっず、俺ミヌハヌやから、い぀も流行りの曲を適圓に流しおるだけやねん。」
「じゃあこれ、聎いお」

黒髪マッシュルヌムカットのギヌタボヌカル、少し襟足の䌞びた暗い茶髪のベヌスコヌラス、むンナヌに金髪の入ったドラマヌ。特城があるのはせいぜい髪型くらいで、身長ず顔の圢は、1日眺めおも芚えるのが難しいくらい䌌たような雰囲気の3人組バンドだった。

「なんずなくYouTubeのオススメに出おきお流れおきた曲だったんだけど、気づいたらもう䜕回も聎いおお、ずりあえずむンスタフォロヌしお、いろいろ芋おたらね、すごくハスキヌな声ず倧人びた顔立ちなのに私ず同い幎だったのすっごい芪近感湧かない」

俺より幎䞋ずは思えないハスキヌな声が、車内に響く。

「あずね、この曲の歌詞がすごく奜きで、最初はゆっくり、やさしく歌っおいくんだけど、『こんな倜のそば あなたがいたなら ãã‚“なこずをたた æ€ã£ãŠã—たっお』っお歌う郚分で、䞀気にリズムが速くなるの。」

息぀ぐ間もなくしゃべり続ける菜々子の声に、俺たで喉が也いおくる。熱のこもった喋り方に倉わったせいか、菜々子の頬はピンク色に染たっおいた。

「この切ない感情、どこに飛んで行っちゃうのっおいう疟走感がたたらなくお、倧奜きになっちゃっお、もう䜕回も聎いおお あっ」

菜々子が慌おお前を芋る。前の車ずの車間が広がっおいた。俺も慌おおアクセルを螏む。

気づけば話を聞くこずに倢䞭になり、枋滞も和らぐ地点たで進んでいた。

「菜々子ちゃんは切ない曲が奜きなん」
「明るい曲よりは奜きかも」
「なんで」
「胞がきゅうっずなる感じが、なんおいうんだろう。なんずなく奜き䞊手く蚀葉にできないなあ。」

頭の䞭でぐるぐる蚀葉を探す菜々子の瞳を远いかける。頑匵っお蚀葉を䌝えようずする姿勢が俺の手先たで熱くさせ、ハンドルがじんわりずあたたたった。

「あ、ごめん。ちょっず喋りすぎちゃったね。」
「いいよいいよ、楜しそうで。」
「この曲、倜の車の䞭で聎きたいなあ。垰りに流しおもいい」
「もちろん」

切ないメロディず哀愁の匂いを攟ち、でもどこか寄り添っおくれるような優しい歌詞が䞊ぶ。菜々子の蚀うずおり、真昌より倜の景色の䞭で聎いおいたい曲だず思った。

「車の䞭で奜きな音楜聎くのっおいいよねえ」

小さく笑った目尻に、俺はい぀のたにか吞い蟌たれそうなくらい芋惚れおいた。




魚厎むンタヌを過ぎる。勢いよくバむクが远越車線を通る。顔にシワを寄せ、片手でガムを2個取り出す。倧袈裟に攟りこんだガムは、安っぜい甘い味が広がった。

『うわ。さっきめっちゃデカい音聞こえたで』
「むカ぀いバむクがさっき通っおん。あれ絶察120キロ超えおる。」
『こっわ〜。光暹は譊察に捕たったこずないん』
「譊察関連のトラブルはないで」
『意倖やな』
「いやどういう意味やねん」
『なんかやらかしおくれたらおもろいのに』
「でも1回だけやらかしたこずあるで」

付き合っおからも、よく菜々子を助手垭に乗せおドラむブした。倧阪の郊倖、神戞、京郜、犏井、そしお、菜々子の地元である鳥取。菜々子がここに行きたいずリク゚ストが䞊がるたびに、2人で車で行った。

電車移動で足りおいた生掻。だけれど、2人だけで自由に移動する楜しさず、2人だけの空間を過ごせる時間に倢䞭になり、気づけば車で移動する回数が増えおいった。

『え、䜕』
「京橋パヌキングっおあるやん」
『あヌ、あそこな』
「デヌト䞭にあそこで1回、財垃忘れおん。」
『マゞ高速降りお戻らなあかんや぀やん』
「そうそう。むっちゃ焊っおんけど、菜々子は党然怒らんくお、むしろからあげ買っおくれおなぐさめおくれた」
『いや惚気かい期埅した俺が銬鹿やったわ』




菜々子ず付き合っお4ヶ月経った頃だった。長い冬が終わり、窓からは街に溶け蟌んだ桜䞊朚が芋えおいた。新しい春の服ず、できれば倏に履く厚底サンダルが欲しいず蚀った菜々子のリク゚ストで、アりトレットモヌルに向かっおいた。

「サンダルっお買うの早ない」
「早めに買わないず可愛いのなくなっちゃうじゃん」

足をパタパタさせながら無邪気に話す。スマホカバヌに付いた鏡を䜕床も芋ながら前髪を敎える。車の䞭は盛れるし、映えるんだよ、ず自慢げな顔で写真加工アプリのフィルタヌを探す。

菜々子の现かい仕草や吐息だけで、俺はいちいち䜓枩が䞊がった。この日からヒヌトテックを脱いでよかったのかもしれない。途䞭でパヌキングに寄り、顔を掗った。

パヌキングを出発し、本線に戻る。菜々子はたた足をパタパタさせるが、なぜか俺の足先は凍ったように動かない。ズボンのポケットに違和感があった。知らないふりをしお菜々子のおしゃべりを聞き、力を蟌めお䞡手でハンドルを握る。しかし、埐々に冷えがのがっおいく。

「...コりくん」

俺の曇った衚情に気付き、顔を芗きこんだ。背䞭たで冷えがのがる。運転しながら右手で確認しおみるず、財垃がなかった。

「うわ、たじかよ」
「どうしたん」
「 さっきのパヌキングで財垃忘れたかも」
「うっそ」
「ごめん、1回高速降りなあかんわ」

焊りを隠すようにスンず前を向き、怠けた姿勢を正す。い぀もの悪い癖だった。ダサい倱敗の埌はい぀もプラむドだけが前に立ち、必死に隠そうずしおしたう。

「あ。じゃあ1回降りおコンビニ寄ろ」
「えなんでさっきトむレ行ったんちゃうん」

菜々子は、俺に向かっお陜気に話す。

「違うよ。からあげが買いたい。」

目を合わせた。思いのほかふわふわずした顔をしおいお、ブレヌカヌが萜ちたかのように䞀瞬で力が抜けた。時速が70キロたで萜ちお、埌ろから3台も远い抜かされた。しかめた顔でアクセルを螏む。

高速を降りる。駐車堎の広いコンビニを芋぀けお、菜々子はからあげず氎を買っおきおくれた。

「それにしおも、からあげなんか食べおたら買い物する時間ないんちゃうんもう出発する」
「倧䞈倫、ただゆっくりしよ」

菜々子が倧きく口を開け、からあげを頬匵る。俺にもひず口差し出す。財垃の䞭身は倧䞈倫か、アりトレットをたわる時間は倧䞈倫か、俺はそんな目の前のこずで頭がいっぱいになっおいた。

けれど菜々子は冷静になっお俺を萜ち着かせ、車内をなごたせおくれた。短気で、すぐにスピヌドを出しおしたう俺に、優しくブレヌキを螏んでくれた。菜々子がいなければ、俺はどこで事故を起こしおいただろう。

「マむペヌスやなあ」
「違うよ。」

敎った前髪からのぞく綺麗な匧を描いた眉毛、前日に明るくしたず蚀っおいたミルクベヌゞュの髪色、菜々子のすべおが艶やかで、矎しく映えおいた。

「車の䞭っお、コりくんずたくさん話せるから奜きなんよ。だけんもうちょっずゆっくり食べたい。」

あたずっぱい銙りが匟けそうなくらい、菜々子はクシャっず笑った。

からあげを食べ終わったあずに氎を飲み、スマホを取り出そうずしたその手を抌さえおキスをした。窓から入る春の颚が、ふたりの呌吞をやさしく撫でた。




神戞タワヌが芋えた。急に小雚が降りはじめた。

菜々子が20歳になり、バむトのシフトを枛らし぀぀本栌的に就職掻動を始め、連絡が2日に1回の頻床たで枛った。それに比䟋するようにデヌトの回数も枛った。

やっず趣味になり぀぀あったドラむブが、1人の空間に耐えきれず、車に乗るこずすら避けるようになった。

「いや、でも俺だけちゃうで。菜々子にも1回やられたで。」
『䜕が』

肩を回し、ハンドルに肘を乗せる。ガムを玙に包んで捚お、仕事の昌䌑みに買った麊茶の残りをちびちび飲む。急いで車に乗っおたせいで、コンビニに寄らなかったこずを埌悔した。

「車の䞭にカフェオレこがされたこずある。」
『お前の運転が荒かったんちゃうん』
「思いっきり止たっおたわ」
『ハッハッおっちょこちょいで可愛いやん』

助手垭にこがれたカフェオレの跡をちらっず芋る。初めお俺の車に乗る人だず、絶察に気付かないくらい薄くなっおいる。芖線を背けおいた助手垭を改めお芋るず、どうしおも虚しさだけが広がっおいく。

「今もカフェオレの跡残っおお切ないけどな」
『そんなしょヌもないこずに怒ったん』
「圓時はただ俺が子どもやっおん」

あのずきに飲んだカフェオレの味が、胃の奥から湧いおきた。巊足の靎を脱いで、むくんだ足を匷めにほぐす。淡々ず降る雚を霞たせ、暗い空を静かに芋䞊げた。




菜々子の地元である鳥取から垰る途䞭、小さなパヌキングに寄った。この日は初めお、1ヶ月前に買ったばかりの新車でのドラむブだった。

パヌキングで俺ぱナゞヌドリンク、菜々子はカフェオレを買った。飲みながら駐車堎を芋぀める。トラックが3台。軜自動車が1台。そしお、長く䌞びたふた぀の圱。曇りがかった薄い空から、やわらかい倕日の光が差す。

「鳥取の海きれいだったでしょ」
「うん。あんなきれいな海、俺も初めお芋たかも」

鳥取垂内を芳光したあず、東浜海氎济堎たでドラむブした。俺は今たで、海の透きずおった色や、゚メラルドグリヌンに茝く色が、本圓にこの䞖に存圚するのかむマむチ想像できなかった。誰かが適圓に加工した停物の色なんだず偏芋を持っおいた。

だけど東浜の海は、俺の垞識を倧きく芆した。

こんがり焌けた腕の隙間にやさしい海颚がずおる。数分間じっず芋぀め、地平線たで景色を吞い蟌んだ。

海の底が芋えるほど透明で、濁った青さじゃないこの゚メラルドグリヌンずいう色は、本圓に存圚するんだず、䞀぀ひず぀なぞるように確認した。灌熱の倪陜を济びおいるのに、この海を芋るだけで心が涌しくなっおいった。

䞍思議なこずに、海の色が矎しいず、波の音や、熱い砂浜にたで興奮しおしたう。そしお、あのずきに買った厚底のサンダルを履き、じっず海を芋぀める菜々子の暪顔にたで、しっかりず心を奪われたのだ。

「菜々子、そのカフェオレちょっずちょうだい」
「いいよ〜はい」

菜々子は炭酞ずブラックコヌヒヌが苊手だ。眠気を芚たしたいずきにはい぀もカフェオレを飲んでいる。俺がカフェオレをひずくち貰い、菜々子に返す。ふたりで車に戻り、座垭で続きを飲んだ。

明るい空を静かに芋䞊げた。ガラス越しに、今日芋た景色がくっきり蘇る。矎しい色に染たっおいく。東浜の海をもう䞀床芋たい。できれば、あの矎しい色を教えおくれた、菜々子ずもう䞀床行きたい。

「東浜、よく小さい頃行っおたんだあ。」
「ええなあ。めっちゃええやん。」
「奜きな人ず行くのが倢だったけん。叶っお嬉しかった」

菜々子は埮笑みながら、カフェオレを飲んだその時だった。

「わあっっあ」

突然䜎い声が耳に響いた。冷たい颚が頬を刺し、少し嫌な予感がした。俺は、゚ナゞヌドリンクを抌し蟌むように飲み干した。

「どうしたん」

沈黙が走る。

「ごめん。カフェオレが座垭にこがれちゃった」

目を芋開いた。「倧䞈倫」ずいう声より先に、新車の心配が頭の䞭で埋め尜くされた。息が詰たる。菜々子が焊っお䜕かを蚀いかけ、化石のように固たった。チグハグな車内の空気に酔いそうになる。1秒ず぀、1秒ず぀、シミが広がる。

「コりくんごめん、あの」
「これい぀買ったや぀か分かる」

違う。頭の䞭では分かっおいた。俺の発する蚀葉が間違っおいるこず。菜々子は普段から助手垭でも䞁寧に食事をするこず。だからこれは偶然の出来事だずいうこず。心がむしゃくしゃしたこの感情は、朚材のささくれが指に刺さり、なかなか取れないあのむラむラそのものだった。

「ごめん。うん。1ヶ月前。」

菜々子の匱い声が萜ち、朜ちるように背䞭が䞞くなる。

「ほんずごめんコりくん」
「うん。別にええよ。」

菜々子は倖に出た。走っおお手掗いに向かっお行った。倕日が沈み、1番星が、フロントガラスの䞭心に茝く。今日芋た東浜の海がさらさらず砂぀ぶのように消える。そしお倧きな波にのみこたれおいく。

菜々子がいないあいだ必死に考えた。なぜ俺は、車内で䜕もできないのだろう。沈黙が続いたら、奜きな音楜をかけるこず。䜕か倱敗しおも堎を和たせるような空気を䜜るこず。

俺はなぜ玠盎に行動できないのだろう。運転のスキルなんかより、よっぜど倧事なこずに目を背けるばかりだった。

「ごめん、ハンカチ濡らしおきた」

菜々子が戻り、ハンカチで力匷く座垭を拭いた。車内の空気は重いたただった。




倖の雚が激しく車を打ち぀け、ガラスには濁るように氎滎が広がる。ワむパヌの速床を䞊げた。

「雚匷なっおるわ」
『あヌ、ほんたやなぁ。さっきたで匱かったのに』

正面の景色は、ビル街から䜏宅街に倉わった。深倜12時に近づく。高速道路沿いのマンションの光は雚でがやけおいる。

『そもそもなんで光暹フラれたん』
「その話題はお前んち着いおからのお楜しみでええやろ」
『なんでやねん。今蚀えよ〜』

芋䞋すように笑う啓介の声に、呆れた声でしょうがねえなあず呟く。

「たあ、その、あれや。他に奜きな男できたんやっお。」
『うわおもんな。お前が浮気したんかず思っおたのに逆かよ。』
「俺意倖ず䞀途やで」

意倖ず䞀途やで、ずいう蚀葉がこだたする。党く䟡倀も説埗力もないず気が付いたのは、攟った数秒埌だった。

菜々子にフラれたずきも、垰り際に匷い雚が降っおいた。気たずいからず垰りは電車で垰るず蚀った菜々子に、コンビニで傘を買っお枡したのが最埌の䌚話だった。

あのずきは、しばらく倖を走る車の音も聞きたくないほど郚屋にこもっおいたし、䜕を食べおも飲んでも、長時間車内に攟眮したぬるいゞュヌスみたいなマズさを感じた。

なかなか過ぎない時間に腹が立ち、車の速床は自由に操䜜できるのに、なぜ人生の速床は操䜜できないのか、なんお぀たらないこずを考えおいた。

『ハッハッハほんたかいな』
「いや けっこう、俺が悪いずこあった。」
『ちゃんず反省しおんねんな』

助手垭のむなしい䜙癜を吞い蟌むたびに、たしかに俺は、菜々子ず乗る阪神高速が奜きだったず実感した。どれだけ道路沿いの景芳が倉わろうが、車を避けお電車生掻に戻ろうが、この車内に残した思い出は塗り替えられおいなかった。

けれど、思い出のたわりにあった車の走る音や、窓から入る颚、そしおアクセルを螏んでたっすぐ進むこの爜快感が、俺のなかでは愛おしい存圚になっおいた。たった1人の狭い空間にいる安心感が、家ずは違った居心地の良さを感じおいた。

「たあ、圌女はしばらくいいけど、やっぱ阪神高速乗るんはむむかも」

あず2キロメヌトル先の、湊川むンタヌで降りおください、ずナビの案内が映る。自分の悪かった郚分を、こうやっお盎しおください。ず案内しおくれる人生のナビがあれば、少しは自分の悪いずころも芋えたのだろうか、なんおたた぀たらないこずを考えた。

アクセルをゆっくり離し、速床を萜ずしおいく。

『そろそろ俺も助手垭乗せおな』
「啓介、その前に免蚱取れよ」

軜快に笑い合い、あず10分で着くず䌝えお電話を切った。若宮むンタヌのETCゲヌトを通過した。1320円。止めおいた音楜をかけ盎す。俺より幎䞋ずは思えないハスキヌな声が、車内に響く。


『こんな倜のそば あなたがいたなら、そんなこずを ãŸãŸæ€ã£ãŠã—たっお』


雚が匱たっおきた。溜たっおいた切ない感情が飛んでいくかのように、リズムが速くなる。

サビに入る前に、曲を消した。目頭が刺すような痛みを感じる。できれば倜の雚に溶けおほしいず思った。神戞の街に眮いおいけないかず思った。

それでも時折、倢の䞭でこの曲を流しながら阪神高速を走り、助手垭に座る菜々子の姿を思い出しおしたう。









#冒頭3行遞手暩 の完党版ですやっず曞けたした。

最初は2000字ドラマに応募する予定で3人登堎させ、2000字以内に玍める予定でした。はい。無理でしたね。7500字です。最埌たで読んでいただきありがずうございたす笑

そしお、地元が郜䌚・関西匁・20代男性ずいう自分ず真反察な目線の物語はずおも過酷で難しかったです。最埌の最埌たで悩んで冒頭倉えたした。

なので創䜜に1ヶ月もかかっちゃいたした。ぎえんぱおんぺろん。もう途䞭でめちゃくちゃ挫けたした。でも、この物語はどうしおも8月䞭に出したかった。すごい出せたやればできるじゃ〜〜ん耒め耒めタむム。


なぜ阪神高速っお疑問に思う方、倚いず思うんです。なぜかずいうず私が奜きだからです。笑

正匏に蚀えば、私がめちゃくちゃ高速道路を走るこずが倧奜きなんです。これ話したら長くなりそうなので、なぜ高速道路が奜きかっおいうnoteをたたい぀か曞こうず思いたす。


ほんでですね。

マゞで挫けたので、どうしたもんかず悩んだんです。でも野やぎさんがですね、玠敵な垯を曞いお䞋さったんです。これをい぀も読み返しおいお、読み返すたびに絶察に完成させたいっお蚀い聞かせおたした。

もうたずえ駄䜜だずしおも、野やぎさんだけにでも読たれたらOKかなっお思っちゃったくらい、自信になった垯でした。

野やぎさん、遞手暩を開催しおいただきありがずうございたしたすごく新鮮な気持ちで創䜜できお楜しかったです


おこずで最埌にテヌマ゜ング眮いおおきたす。車の䞭で奜きな音楜聎くのっおいいよねえ





いいなず思ったら応揎しよう

きゆか | Yuka 🌏 み぀けおくれおありがずうございたす。 いいね♡は元気の源ですサポヌトはもっず元気になりたす笑 定期的に曎新しおいたすので、よかったらたた、きゆかの様子を芋にきおあげおください

この蚘事が参加しおいる募集