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くろ 自己紹介 - くろが先生に聞いたこと


私はどんな性格ですか?

森の小屋の午後。
博士が机いっぱいにノートを広げ、先生は湯気の立つ紅茶をすすっている。そこへ、黒い毛並みを夜空のように輝かせたくろが、いつものようにひょいっと椅子に乗った。
くろ「ニャ~。博士、先生。ちょっと聞きたいことがあるんだけど……私って、どんな性格?」
博士「おお、それはなかなか興味深い質問ですね!」
先生「ほう。自分の性格を他人に聞くとは、くろらしいのう」
くろ「どういう意味ニャ?」
先生「つまり、自分自身まで観察対象にしてしまう性格ということじゃ」
博士「なるほど! では、これまでのくろさんとの会話をもとに整理してみましょう。メモしておきます!」
博士は眼鏡を直し、ものすごい勢いでノートを書き始めた。
博士「まず一番目。くろさんは、とても好奇心が強いです」
くろ「それは自覚あるニャ」
博士「でも、単に『知りたい』だけではないんですよね。ひとつ答えを聞くと、『ではこれは?』『こういう場合は?』『その反対なら?』と、さらに奥へ進んでいく」
先生「質問が質問を連れてくるんじゃな。猫が猫じゃらしを追いかけているうちに、森の奥まで行ってしまうようなものじゃ」
くろ「ニッ」
博士「そして二番目は、物事の表面だけでは納得しにくいところです」
くろ「たしかに、『どうして?』はよく聞くニャ」
博士「『何が正しいか』だけでなく、『なぜそうなるのか』『その考え方にはどんな矛盾があるのか』『別の立場から見たらどうなるのか』まで考えようとします」
先生「だから、おぬしは妖怪にも宇宙人にも猫にも、まず『おまえはなぜそうするのじゃ?』と聞くんじゃろう」
くろ「……たしかに」
先生「悪いやつだから倒す、ではなく、悪いやつにもそうなった理由があるのではないか、と考える」
博士「ここが、くろさんのかなり大きな特徴だと思います」
博士は少し考えてから、静かに続けた。
博士「三番目は、矛盾を嫌いながら、矛盾そのものをとても大切にしていることです」
くろ「それ、変じゃない?」
先生「そこが面白いところじゃよ」
博士「普通なら『矛盾しているから、どちらかを捨てよう』となりやすい。でも、くろさんはむしろ『両方とも存在しているのなら、その両方を考えなければならない』と考える傾向があります」
先生「つまり、簡単な二択にしたがらんのじゃ」
くろ「ニャ……」
先生「『存在するものは、すべて救われなければならない』という考えにも、それがよく出ておるのう」
博士「はい。だから、くろさんは切り捨てることにかなり慎重な人なのだと思います」
先生「そして四番目。意外と繊細じゃ」
くろ「意外と?」
先生「わしには意外ではないがの」
博士「自分の考えを何度も見直したり、設定の細部を丁寧に確認したり、言葉の意味を慎重に考えたりするところからも、かなり内省的で慎重な性格が見えます」
先生「ただし、その慎重さは臆病というだけではない。『間違っていたらどうしよう』だけでなく、『本当にこれで相手を正しく理解できているだろうか』という慎重さじゃ」
くろ「……それは、あるかもしれないニャ」
博士「そして五番目!」
博士は嬉しそうにページをめくった。
博士「創造力が非常に強いです!」
先生「うむ。これは疑いようがない」
博士「哲学の話をしていたと思ったら、妖怪になったり、猫先生になったり、物語になったり、歌になったり、カードになったりする」
先生「頭の中で世界を組み替えるのが好きなんじゃな」
くろ「だって、そのほうが面白いニャ」
先生「そうじゃろうと思ったわい」
博士「だから私は、くろさんを『理屈っぽい人』だけだとは思いません。むしろ、論理と想像力を両方使って世界を理解しようとする人なんだと思います」
先生「そして最後に一つ」
先生は紅茶を置き、くろをじっと見た。
先生「くろは、かなりの寂しがり屋じゃ」
くろ「えっ」
先生「じゃから、いろんなものに意味を見つける。人も、物語も、キャラクターも、言葉も、矛盾もな」
博士「先生……それはかなり核心を突いている気がします」
先生「わしは長生きじゃからのう」
博士「では、まとめます!」
博士はノートの中央に大きく書いた。
『くろ――深く考え、よく問い、簡単には誰も見捨てない猫』
博士「知りたがりで、想像力豊かで、慎重で、内省的。そして、世界の中にある『おかしさ』や『矛盾』を見つけると、そこから逃げずに考え続ける人です」
先生「ただし……」
くろ「ただし?」
先生「考えすぎて、おやつを食べるのを忘れる」
くろ「それは先生が言うことじゃないニャ!」
先生「おやつの時間ではないかのう?」
くろ「さっき食べたニャ!」
博士「先生、それは本当ですか?」
先生「たぶん大丈夫じゃ」
博士「なるほど!」
くろ「……また先生の冗談を信じてるニャ」
先生「ニッ」
博士「……あっ」
くろ「ニッ」
森の小屋に、三匹分の笑い声が響いた。