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Photo bymakeawish_bday

涙鉛筆

    草木針

    演歌一筋30年、圧力鍋あつりょくなべ空焚からだきは人気低迷に悩んでいた。
    「それでディレクター、今度の新曲は」
    前回の『揚げたてコロッケ乱れ花吹雪』は散々な結果だった。揚げたてコロッケを食べながら歌ったはいいが、ずっとハフハフしてるばかりでろくに歌えなかったのだ。
    「こちらになります」
    ディレクターが資料を渡す。
    「『涙鉛筆』。前回は、二人の男の間で揺れ動く女心がテーマでしたが」
    「今回は男の友情です」
    「なるほど」
    かつての輝きを取り戻したい。圧力鍋は新曲に賭けていた。
    「それで、今回は鉛筆を鼻に差して歌っていただきます」
    「鉛筆を……。1本でいいんですか」
    「しかし、それでは息が」
    「ディレクター」
    「わかりました。2本いきましょう」
    こうして『涙鉛筆』は発表された。ところが、歌っている最中に鉛筆が鼻からポンっと飛び出す事態が頻発し、涙どころか笑いを誘う結果となった。しかし、それがかえって話題となり、ネット動画は100万回再生を超え、圧力鍋空焚は一躍時の人となった。
    彼の頬を、一筋の涙が伝った。

    ※410文字超えてますが参加させていただきます。


     
     
     
    書いたり書かなかったり、書くと見せかけて書かなかったり、書く素振りだけ見せたりしてます。

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