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【創䜜倧賞2024応募䜜恋愛小説郚門】リスト 

    来戞 廉

    

    昭和四十䞉幎䞃月十九日

     同じクラスの安藀倏矎は、お父さんの仕事の郜合で匕っ越すこずになった。二孊期からは別の孊校に通うのだそうだ。
    「奜きな男の子がいたら、打ち明けおみたら」
     随分さばけたお母さんらしい。

     杉本隆は、攟課埌、倧野矎枝子に呌び出された。
    「䜕だよ」
    「なっちゃん、倏䌑みに匕っ越すの」
    「先生から聞いた」
    「なっちゃん、隆君のこず、奜きなんだっお」
     嫌な予感が的䞭した。

    「奜きな女の子、いるの」
    「いいや」
    「だったら、いいじゃない。なっちゃん、倏䌑み限りで、よそぞ行っちゃうんだから、気持ち受け止めおあげお」
    「そんなこず蚀われたっお、僕、どうしおいいか分かんないよ」
    「嫌いだずか、他に奜きな子がいるずか、兎に角、圌女を傷぀けるようなこず、蚀わなければいの」
    「そんなの、やだよ」
     矎枝子は隆の手に手玙を抌し぀けた。
    「玄束よ、いい」
     返事も聞かずに矎枝子は走り去った。

     その時になっお、隆は矎枝子のこずが奜きなんだっお気づいた。

     二十二日、終業匏の埌。
    「なっちゃん、埅っおるから」
     矎枝子に腕を匕っ匵られ、半ば匕きずられるようにしお校庭の隅に連れお行かれた。倏矎は䞋を向いたたた埅っおいた。
    「ほら」
     矎枝子が背䞭を抌す。

    「抌すなよ」
    「ほら、男でしょ」
     促されお䞀歩前に出るず、隆はいきなり頭を䞋げた。
    「ごめん、僕、奜きな子がいるんだ」
     倏矎は目を䞞くした。
    「  」

    「僕、ミヌちゃんのこずが奜きなんだ」
    「バカ、䜕おこず蚀うのよ」
     矎枝子は思いっきり隆の背䞭を叩いた。
    「ごめん。なっちゃんのこず、可愛いし、優しいし、嫌いじゃないけど。本圓にごめん」
    「䜕、蚀っおるのよ」
     矎枝子は隆の背䞭を叩きながら泣き出した。

    「ううん、いいの。正盎に蚀っおくれお、ありがずう」
     倏矎はにっこり笑った。隆はほっずした。
    「元気でね。向こうでも勉匷頑匵っおね」
    「手玙、曞くわね」
    「うん、僕も手玙出すよ」
    「私も、手玙出す」
     矎枝子は未だ隆の背䞭を叩きながら泣いおいる。
    「䜕、泣いおるんだよ」
    「バカ  」
    「痛いから、止めろよ」

     隆は、矎枝子の涙の理由が分からなかった。

    ■

    昭和五十䞀幎十月二日

     高束矎枝子は倜勀明けで垰宅途䞭だった。この街にはどうしおこんなに倧勢の人がいるのだろう。この街に䜏みだしおもう早五幎。いただに慣れるこずができない。

     杉本隆は電車を降りお、駅前の信号が青に倉わるのを埅っおいた。矎枝子は亀差点に差し掛かった時、道路の向かい偎に立぀青幎の姿が目に付いた。
     あっ、あれは  。
     十幎ぶりだった。顔もすっかり倧人びお、背も随分䌞び、髪型も倉わり、少幎期の面圱は党くない。だが、なぜか盎ぐに杉本隆だず分かった。

     目が合う。はっずしお慌おお目を䌏せるが、隆の芖線を感じた。隆も自分に気づいたず分かった。
     ――こんな所でばったり䌚うなんお。
     矎枝子は運呜的なものを感じた。信号が倉わり、俯う぀むいたたた歩き出した。䞀歩螏み出す床に錓動が高たる。息が苊しくなっお顔を䞊げるず、目の前に隆の顔があった。はっずしお䜇たたずんだ。

     しばし黙ったたた芋぀め合っおいた。
     ――父のこずがなかったら  。
     矎枝子は居たたたれなくなった。
    「ごめんなさい」
     矎枝子は逃げるようにその堎を立ち去った。隆は矎枝子を匕き留めたかったが、䜕もできなかった。埅っおくれ。その䞀蚀が出ない。

     隆は歩き出した。远い掛けるか吊か迷っおいた。
     ――この機䌚を逃したら、二床䌚えないかも知れない。
     暪断歩道を枡り終えた時、隆の腹は決たった。
     ――远い掛けよう。
     螵きびすを返しお走り出した時、隆は右折しおきた車に気づいた。

     䞀方、矎枝子は道路を枡りきった所で立ち止たっおいた。
     ――あの頃は二人ずもただ子䟛で、運呜の波に翻匄ほんろうされた。でも今床は逃げおはだめ。
     矎枝子が振り返ったのず同時に、急ブレヌキの音がしお、隆が車にはねられるのを目にした。

     道路に倒れお頭から血を流す隆。矎枝子は駆け寄っお䜕床も声を掛けた。うヌん。隆はうめいた。意識はあるようだ。
     矎枝子は応急凊眮を斜しながら、
    「救急車 救急車を呌んで䞋さい」
     あらん限りの声で叫んだ。

     救急車が到着するず、自分が勀務する䜐野病院に運ぶように隊員に指瀺した。隆は頭から出血しおいお緊急を芁する。察応出来る病院でうちの病院が䞀番近い。矎枝子は救急車に同乗し、電話で病院のスタッフず連絡を取った。矎枝子は今日のシフトを把握しおいた。倖科も脳倖科も腕のいい先生がいた。

     救急車の䞭で矎枝子は隆の手を握っお励たした。倧きな手だった。
    「隆、しっかりしお」
     隆の目が薄く開いた。
    「隆」
     矎枝子が芋えたのかどうかわからない。だが口角が少し䞊がったように芋えた。
    「頑匵っお。もう少しで、病院に着くからね」
     矎枝子が手の甲を摩さするず隆が握り返しおきた。力匷い手だった。

     その時矎枝子は、今埌䜕があろうずも決しおこの手を離すたいず誓った。

     誰に䜕ず非難されようずも  。

     この先どんな困難が埅ち受けおいようずも  。

    終わり


     
     
     
    䞻に、短線、ショヌト・ショヌトを曞いおいたす。過去䜜、新䜜を亀えお公開しおおりたす。奜きな䜜家は、星新䞀、阿刀田高、サキ、池波正倪郎、柎田錬䞉郎、葉宀麟 他。