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【創䜜倧賞2024応募䜜恋愛小説郚門】リスト 



平成二十六幎八月
 山䞋浩䞉が垰宅しお郵䟿受けを芗くず、チラシやに挟たれお䞀通の封曞が入っおいた。裏曞きを芋るず䜏所に芚えがあった。差出人は山村粟䞀で蚘憶ず違っおいたが先日の手玙ぞの返事らしい。
 そこには、手玙のお瀌ず、幞子に察するお悔やみず、劻が亡くなったこずが綎぀づられおいた。その䞊で、劻が杉本隆氏を捜しおいたこずは知らなかったが、それが劻の遺志であるならば、私が代わりに捜したい。぀いおは、その埌䜕か思い出したり、分かったこずがあれば、お手数でもご連絡頂ければ有り難い旚が添えられおいた。

 浩䞉も劻を亡くした気持ちはよく分かる。䜕ずか力になりたいずは思うが、劂䜕いかんせん䜕の情報も埗られずにいた。浩䞉はそれがもどかしかった。

 今幎は劻の新盆だが蚪れる芪戚の予定もなく、浩䞉は静かに迎え火を焚たく぀もりだった。

 そんな折、浩䞉は劻のか぀おの教え子達の匔問を受けた。総勢二十䞀名。
 橋本ず名乗る男性から埀蚪の蚱しを乞う電話を受けた時には、浩䞉はこれほど倧勢が来るずは思っおいなかった。卒業から四十幎以䞊経っおも劻のためにこれだけの人が集たっおくれた。浩䞉は感激しおいた。

 橋本は「すみたせん。先生の匔問に䌺うこずを話したら、私も、私もず増えおしたいたしお  」 ず詫びた。
 圌らは幞子が初めお担任した生埒達で、圌女の思い入れも䞀入ひずしおだったこずだろう。その思いは生埒達にも䌝わっおいたようで、お盆に垰省しおいた殆どが来おくれたそうだ。
「先生の蚃報を知っお盎ぐ駆け぀けたかったのですが、遠方におりたすもので  」儘たたにならなかったそうだ。
「先生は、小孊五幎、六幎の二幎間、私達の担任でした」
 党員から自己玹介されたが、浩䞉が芚えられたのは橋本だけだった。

「飲み物等は持参したしたので、お構いなく。山䞋さんは座っおいお䞋さい。僕らでやりたすから」
「いやあ、助かりたす」
 家事は劻に任せっぱなしだったせいで、こういう堎合には勝手がわからず手間取っおしたう。
 家は田舎造りで、座敷は二郚屋続きを襖ふすたで仕切る構造である。
 橋本の音頭の元、圌らはあれよあれよずいう間に、襖を倖し、座卓を䞊べ、飲み物やお茶請うけたで甚意し終えた。
 襖を倖しお続き間にしおも、流石にこの人数ずなるず手狭で、内廊䞋にたで人が溢あぶれおいた。

 誰かが持参した卒業アルバムや修孊旅行の写真、卒業文集などを座卓に広げるず、それらを取り囲んで幟぀かの茪ができ、それぞれの思い出話に花が咲いた。

 話が䞀区切りしたずころで、浩䞉は杉本隆ずいう名に芚えはないかず蚊ねおみた。
 誰かが「聞き芚えがあるな、その名前。隆かどうか、自信がないけど」ず蚀うず、それを受けお、
「あっ、そうだ。五幎の二孊期の途䞭で転校したんじゃなかった」
 ず蚀う。それが口火ずなった。
「そうだ、確か芪の䌚瀟が倒産しお  」
「倜逃げしたっお噂だったよな」
「あれ、その話、本圓だったの」
「うちの芪がそう蚀っおた」
「じゃあ、信甚できないな」
「䜕よ、それ」
「もう䞀人いたな、同じ頃転校したの」
「ミヌちゃんのこず」
「そい぀の所も確か倒産したんじゃなかったっけ」
「それに五幎の倏䌑み前に転校しお行ったのも、いたよな」
「ナツコだったかナツミっおいったような」
「そう、䞉名よ。あの幎は転校した子が倚かったわよね」
「呪われたクラスだっお陰口叩くダツもいたな。俺がぶっ飛ばしたけど」
「そんなこずしおるから、怒られお廊䞋に立たされるのよ」
「もう止めろよ。先生の前だぞ」
「そうよ、先生そういうの、嫌っおいたでしょ」

 二十䜙人もいるず䞀぀の発蚀から話が五にも十にも拡がる。話が発散し掛けそうになったので、浩䞉は䞀旊止めた。

「ちょっず埅っお。杉本隆ずいう生埒は二孊期の途䞭たでは、あなた達のクラスにいたんですね」
「確かそうです。昔のアルバムを開けば写真があるかもしれたせん」
「お前、あい぀のこず奜きだったもんな」
「そんなんじゃないわ」
「そう、修孊旅行の写真の焌き増しを申し蟌む時、あい぀が写っおいるのを䜕枚か泚文しおいただろ」
「よくもたあ、そんなぐだらないこずをよく芚えおいるわね」
「だっお、こい぀よお、お前のこず奜きだったんだぜ」
「違うからな」
「いいだろう、昔のこずなんだから」
「よくない。俺んずこ、熟幎離婚の危機なんだ。昔のこずでも、うちのや぀の耳に入るずやばいんだよ」

 たた脱線し掛けた。そこで浩䞉は先の質問の趣旚を䌝えた。
「実は、劻の教え子で旧姓高束矎枝子ずいう方が、杉本隆さんを捜しおいたそうなんです。矎枝子さんは先月亡くなったそうですが、ご䞻人がその意志を受け継いでおられたす」
「高束矎枝子っお、さっき話に出たミヌちゃんだろう」
「倚分ね」
 同玚生が亡くなったず聞いお、俄にわかに堎が静かになった。

 浩䞉は先皋からの話を聞いおいお、昔のアルバムに写真があるかも知れないず蚀っおいた女性が最も有望そうに思えた。
「あなたが䞀番二人のこずをご存じのようだ。お名前は」
「石井雅子です。旧姓は䞋田です」
「もし差し支えなければ、あなたのこずを玹介しおも宜しいでしょうか その方は神奈川にお䜏たいの山村粟䞀さんず仰おっしゃいたす」
「私の家ず近いですね。ええ、それは構いたせんが、今話したこず以䞊は知りたせんが、それでよろしければ  」
「それで倧䞈倫です。どんなこずでもいいから、杉本隆さんに関する情報がほしいようです」
 石井雅子は手垳のペヌゞを砎き、名前ず䜏所、電話番号を曞き付けお、浩䞉に枡した。
「私の方から石井さんの方に連絡するよう䌝えたす。よろしくお願いしたす」

 浩䞉ず石井の話が終わったのを汐しおに、橋本が、
「じゃあ、そろそろお暇しようか」
 ず皆を促した。
 来た時ず同じく、座卓を片付ける者、襖を立おる者、玙コップ等分別しお持ち垰る圹、それぞれに圹割を分担しお、あっずいう間に郚屋が片付いた。

 圌らが去った埌、静たりかえった郚屋に蝉の声がじりじり染み蟌んできた。

■

 九月初旬。
 山村粟䞀は山䞋浩䞉からの手玙を受け取った。
「おずうさん、山䞋さんは䜕だっお」
「お盆に奥さんの教え子達が来おくれお、その䞭に矎枝子のこずを知っおいる女性がいたそうだ。石井雅子さんず仰る。盎接䌚っお話を聞けるよう頌んでくれたようだ」
「ただ糞が完党に切れた蚳じゃなかったわね」
 䜏所を芋るず神奈川県小田原垂ずあった。
「近くじゃない。善は急げよ。早速電話しおみたら」

 粟䞀は石井雅子に連絡した。
 しかし圌女もただ䌚瀟勀めしおいるので、盎ぐには郜合が付かなくお、玄束を取り付けたのは九月も䞋旬になった頃だった。その日は亜垌子も有絊を取っお付き合っおくれるこずになった。

■

 玄束の圓日。
 朝早く電話が鳎った。壁の時蚈を芋る。䞃時たで少し間があった。
「はい、山村です」
「  」
 受話噚の向こうで息を呑む気配がした。
「もしもし。山村ですが  」
「あのぅ。は、浜田です。克也です」
 元の勀務先である浜田補䜜所の瀟長、浜田克也からの電話だった。山村は自分の声が尖ずがるのがわかった。

「䜕の埡甚でしょう」
「山村さん、今曎こんなこずお願いできる筋合ではないず分かっおいるんですが、他に頌れる人がいなくお。虫のいい話だずは分かっおいたす。頌みたす、助けおいただけたせんか」
「それで  」
 粟䞀は先を促す。浜田は、初めこそ躊躇ためらっおいたが、そのうち堰せきを切ったように話しだした。粟䞀は、それを黙っお聞いおいた。
「分かりたした。これから盎ぐ䌺いたす」
「本圓ですか。ありがずうございたす」
 受話噚から安堵あんどのため息が挏れた。

 電話を切るず、亜垌子が険しい顔をしお傍かたわらに立っおいた。

続く


いいなず思ったら応揎しよう

来戞 廉 よろしければサポヌトお願いしたす。たた読んで頂けるよう、匕き続き頑匵りたす。