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元バンドマンの半分は黒歎史で出来おいる

    逆䜐亭 裕らく

    人䜓の玄%は氎で出来おいる、なんお話を聞いたこずがある。
    正盎、信じおいいものか埮劙なずころだ。
    海を挂うあのクラゲが、野菜のキュりリはが氎で出来おいるずの事。
    たったでここたで䞀気に進むのだ。
    このペヌスでいけばの人䜓なんお、もう、カッサカサじゃなきゃおかしい。
    信じおたたるか。“通説”ほど疑わしいものはない。倩動説しかり、あず、えヌず、  倩動説しかちょっず今は出おこないんだけど、ずにかく信じられない。僕は信じない。

    しかし、そんな僕でも䞀぀だけ蚀い切れるこずがある。

    「元バンドマン」の玄は黒歎史で出来おいる。

    かく蚀う僕もその「元バンドマン」だ。
    だからこそ断蚀できる。誰がなんず蚀おうず絶察にそうだ。

    今から曞くものは、やがお僕のような「元バンドマン」に成り䞋がるであろう、すべおの愚かなバンドマンに捧ぐ、僕なりの忠告であり、譊鐘でもある。倧事な郚分はすべお倪字で曞いおある。最悪そこだけでもいいから読むべきだ。

    そしお、最埌たで読んで、
    「俺はこうはなりたくねぇ  in the sky.」
    ずか思っちゃうバンドマンは重々気を付けるこずだ。䜕が in the skyだ、ナメおんのかオむ。


    【其の壱・ラブ゜ングは曞くな】

    悪い事は蚀わない。
    やめずけ。
    たしおや、今付き合っおる圌女がいるバンドマンなんかは気持ちが浮かれやすい今こそ特に気を付けた方がいい。
    最悪、歌っおもいいし、曞いおもいい。でも音源化だけは絶察にするな。
    その先にあるのは、ただただむンフェルノ。それのみである。

    䟋を玹介しよう。

    画像1

    これは、僕が今から玄十八幎前にやっおいたバンドの自䞻補䜜音源である。
    圓䜜品に収録されおいる珠玉のラブ゜ング『ドキドキ』に぀いお語りたい。死にたい。

    党線通しお非垞にロマンチックな蚀葉運びで綎られる圓ラブ゜ングは、圓時十八歳だった僕の溢れんばかりのラブで埋め尜くされおいる。
    では、歌詞を玹介しおいこう。


    空に浮かぶ䞉日月はクロワッサン
    星空はシャンデリア

    正気かこい぀。
    クスリでもやっおんのかやばい。ゲボ吐きそう。
    メロ、ド頭の歌いだしからこの有様である。幞先が悪すぎる。
    この時点でもう曞くの蟞めお暪になりたいけど、匕くに匕けないのでこのたた続ける。

    冷たい颚が頬を撫でる
    心地良い颚だ

    うるせぇ、颚邪ひけ。
    颚邪ひいお寝蟌んでくれ。こんな曲挔奏する䜙裕もないくらい熱出せ。
    ずいうか、ラブ゜ングの歌詞に察しお䞀番蚀っちゃあダメな蚀葉っお
    「うるせぇ」
    だな、ず改めお思う。これ蚀われたら殆どのラブ゜ングは終わる。

    倩䜓䞀぀が君ず僕の呚りをグルグル回る
    気のせいじゃないんだ

    気のせいだよ。
    理科もう䞀回勉匷し盎せ。
    冒頭の倩動説のくだりを、こんな圢で䌏線回収できるずは思わなかった。
    note界の䌊坂幞倪郎ず呌んで欲しい。
    さぁ、いよいよサビである。

    ドキドキ ドキドキ ドキドキしおるよ
    月の光の䞋 䞀人で ドキドキしおるよ

    いや、しずけ。
    知らないよ。䜕床も䜕床も蚀いやがっお。䞀回蚀えばわかんだよ。「ドキ」だけでいいよ。もう。颚邪ひけっお、マゞで。
      䞀人なんかい、ほんで。さっき二人いただろ。トむレかうんこか
    そうこうしおいるうちに間奏に入り、倩䜓云々のメロが再床歌い䞊げられ、二回目のサビの埌に来るメロでこう締め括られる。

    君が描いおた 寂しげな暪顔で
    ずおも綺麗な流星矀
    君が描いおた 悲しげな埌ろ姿で
    涙にも䌌た流星矀

    ちょっず䜕蚀っおるかわからない。
    ただ、ごめんなさい。ここたで散々悪く蚀っちゃったけど、この郚分だけはちょっず奜きだ。党然嫌いじゃない。やるじゃないか、圓時の僕。終わりよければすべお良し。ずいう事で。ね。
    もう䞀回聎こうなんお気には、䞀切ならないけどさ。
    ずりあえず、このはすぐにでも叩き割っお、歌詞カヌドは台所のシンクで燃やしおおくね。

    おわかりいただけただろうか。
    己が曞いたラブ゜ングを音源化する事の危険性が。
    この堎合、もっずも厄介な点が二぀ある。
    䞀぀目はが地元に䜕枚も出回るずいう事だ。
    呪いは増殖するのである。ホラヌ映画「リング」を思い出す。
    そしお、二぀目。
    このラブ゜ングの察象になった圌女ずその埌別れるならただしも、そうじゃなかった堎合。
    十数幎埌、そっくりな顔をした子䟛を抱いた嫁にニダニダされながらフルコヌラス歌われる矜目になる。
    こうなったら終わりである。
    それをされる床に、党然眠たくもないのに
    「なんか眠たなっおきた  」
    ず目をこすりながら䞉文芝居を打っお寝宀に籠るしか手は無い。
    ラブ゜ングの音源化だけは絶察にしない。これは鉄則だ。


    【其の匐・調子に乗るな】

    これは、先ほどの話の二幎埌。
    僕が楜噚䞀本だけ持っお䞊京し、なんずかメンバヌを集め、やっずこさ初ラむブにこぎ぀けた頃の事である。

    圓日。
    メンバヌず埅ち合わせおいた八王子駅に集合し、今たさに出発しようずしおいたら䞀人の男性から声を掛けられた。

    「すみたせん、〇〇っおいうラむブハりスっおどう行けばいいんですかね」

    ちょうど自分たちが向かおうずしおいるラむブハりスず方向が同じだったので案内がおら道䞭を共にしたのだが、现身の革ゞャン革パンでいかにもパンクロッカヌずいった栌奜のその男性は「わざわざすみたせん」ず非垞に腰が䜎く、たた話し方も穏やかで我々の緊匵感を䞊手い具合にほぐしおくれた。

    途䞭、コンビニで買い物をしたかった僕は他のメンバヌに残りの道案内を任せ、
    「じゃあ、お互い頑匵りたしょうね」
    ず声を掛け、その男性ず別れた。

    䞀足遅れおラむブハりスに到着した頃、なにやらメンバヌが色めき立っおいる。話を聞くず、

    「さっきの人俺、顔知らなかったから普通に話しおたけど、STANCE PUNKSのボヌカルさんだっおよ」

    ずの事だった。

    僕も無茶苊茶倧奜きで、青春時代に聎き倒したバンドの䞀぀だ。顔は知らなかった

    「やべヌ俺、握手しおもらっちゃった」

    ず、はしゃぐメンバヌに察しお僕は、

    「銬鹿野郎俺たちは今からのし䞊がっおいくんだぞ今日はその初陣になる蚀わば今埌はSTANCE PUNKSだっお俺らの敵だラむバルだ舞い䞊がっお握手なんお求めおんじゃねヌ」

    ず檄を飛ばしたのだが、内心では自分だけが握手できなかった事を心の底から悔やんだ。お前らよりも僕の方が絶察にファンなのに、ず。

    しかし、それ以䞊に僕の心に埌悔の爪痕を残したのは、僕が別れ際に蚀った䞀蚀。

    「じゃあ、お互い頑匵りたしょうね」

    倧䞈倫。
    その人はお前の八千倍くらい頑匵っおる。
    どの目線から蚀っおんだ。知らなかったずは蚀え、か぀お憧れた人によく蚀えたものだ。䞀䜓、䜕様なのだ。お前、今日が初ラむブだろ。
    もう穎があったら入りたい。芋぀けるや吊や飛び蟌みたい。
    いや、もうそんな受動的でいおはダメだ。
    自ら穎を掘ろう。
    そしおその穎の䞭で、毎日朝の䞃時ず倕方五時にSTANCE PUNKSのいる方角に向かっお土䞋座しながら暮らそう。そうしよう。

    ちなみに、そのSTANCE PUNKSのボヌカルであるTSURUさんは、コンビニ前でそんな生意気な口を利く若造に察しおも

    「はい頑匵りたしょう」

    ず爜やかに埮笑んでくれた。
    神様なのだろうか。䜕食っお生きおんだろう。僕だったらキレる。

    このように、䜕幎も経った今ですら思い出しおは、あたりの恥ずかしさに叫びだしたくなるような事をしでかしおしたう可胜性がバンドマンには倧いにある。
    その為には調子に乗らないこず。これが必須条件である。調子に乗るな。


    【其の参・勘違いするな】

    ハッキリ蚀っお、バンドマンはやっぱりモテる。
    ちょっずモテちゃう。
    しかし、そんな生掻が続くず
    「あれもしかしお俺、けっこう魅力的な人なんじゃない」
    なんお勘違いしおしたいがちだ。

    そんな事はない。
    バンドマンだから、なんずなく曖昧にモテおるっぜい感じになっおいるかもしれないだけだ。
    「バンドマン」ずいう䞋駄を履かせおもらっおいるのだ。底䞊げも甚だしい。
    その蚌拠に、その䞋駄を脱ぎ捚おた瞬間に、波が匕くかのように、幻だったかのように女子に盞手にされなくなる。これは本圓だ。本圓にあった怖い話だ。ほんこわだ。

    そこで初めお己の振る舞いを心の底から恥じるこずになる。

    そもそも手圓たり次第にあちこちに手を付ける事自䜓が良くないのだが、ずにかく、これだけは忠告したい。

    打ち䞊げに来おいる女子には手を出すな。

    これを守るだけでも少し違う。
    「うちのファンじゃないし、たぁいいか」
    は通甚しない。
    いいか
    圌女たちの口は矜毛より軜く、信頌床はハムより薄い。
    絶察に、絶察に手を出したらダメだ。ブログに曞かれるぞ。

    もし、䞇が䞀、流れでそうなっちゃったのなら、もう仕方が無い。
    男女だし、そういう事もあるだろう。

    ただ、それで味を占めお二床目、䞉床目  果おは、二人目、䞉人目ず繰り返すようになったら最悪だ。

    数か月埌、打ち䞊げ䌚堎の䞀角、䞀぀のテヌブルに歎代の女子たちが揃っお座り、始発の時間たで党員から睚たれ続ける、なんお事態に陥りかねない。

    蚀っおおく。そうなったらもう酒の味なんかしないぞ。あんなに味のしない、酔えない酒は人生で䞀床きりだ。

    刺される前に悔い改めた方が賢明だろう。

      あ。あず、病気には気を付けろ。
    僕は今でも「あれは歎代の女子たちが送り蟌んだ刺客だったのではないだろうか」ず勘繰っおいる。

    ずにかく。
    勘違いするな。身の皋をわきたえろ。人の心を匄ぶな。
    僕が蚀いたいのはそれだけだ。

    あず、この女子関連の話は僕の話ではない。先茩ずか友人から聞いた話だ。深く詮玢するな。これは僕ずの玄束だ。指切りげんたんだ。嘘぀いたら針千本飲たせるからな、マゞで。絶亀だからな、マゞで。


    【たずめ】

    売れれば官軍である。

    売れおしたえば、過去のそういった恥ずかしいあれこれも、やりようによっおは幟らでも矎談にできる。

    しかし、䜕者にもなれなかった元バンドマンはただただ十字架を背負い続けおいくしかない。

    それでも、きっず。
    やがお「元バンドマン」に成り䞋がっおしたうかもしれないず分かっおいたずしおも、きっず。
    君たちは進むこずをやめない。䜕床でも立ち䞊がっおたた走り出すだろう。

    僕は止めない。そんな暩利もない。
    僕だっおそうだった。

    気の枈むたでやろう。
    本気でやったこずは必ず残る。
    取り返しの぀かないこずなんお、意倖ず少ない。やれるだけやっおしたえ。
    䟋えその歎史が黒く染たろうずも、だ。

    倢の成れ果おから君たちの健闘を祈っおいる。

    ただ、䞊蚘の䞉぀だけは必ず気を぀けるこず。
    どえらい目に遭うぞ。


    君もこうはなりたくないだろう  


    in the sky.




     
     
     
    さかさおい ゆうらくず読みたす。野生の物曞き。裕らく垫匠ず呌ばれたり呌ばれなかったり。なんの栄逊にもならない文章を曞いおおりたす。

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