
前世、私はカマキリだったかもしれない件
やるやる詐欺の私が、200日書くと決めた話|142日目
前世、私はカマキリだったかもしれない件
昆虫の捕獲と駆除を「得意」と周囲に自慢する私だけれど、カマキリには何度も鎌でやられて負傷している。だからカマキリを捕獲する時は、かなり緊張する。
そんなカマキリと、どうも私はご縁がある。もはや腐れ縁かもしれない。
小学生の頃。文房具店へ行くため、横断歩道を無視して道路を渡ろうとした時のことだ。私より先に、大きなカマキリが道路へ飛び出した。そして私は、カマキリの交通事故を目撃することになった。
私はハンカチで天に召されたカマキリを包んで文房具店へ向かい、消しゴムを買った。その帰り道、公園の草むらにカマキリを埋めた。
中学生の頃は「カマキリの卵レーダー」がよく働く子供だった。なぜか、卵のある場所を通ると「ここにあるぞ」とお告げがある。
そして度々、茶色くてぐるぐる巻きのそれを家に持ち帰った。ある日、わらわらと出てきた白いカマキリの赤ちゃんを見て、母は絶叫していた。
その後も何度も、カマキリは私の前に現れた。
最近の出会いは、電車の中だった。
昼間の空いた車内。カマキリは誰にも踏まれず、左右のドアの中央に堂々と立っていた。ゆらゆら揺れながら、ファイティングポーズで。
私は当たり前のようにしゃがみ、鎌が届かない胸の後ろを掴んだ。近くのサラリーマン二人が、少しギョッとしていた。
その視線でふっと我に返る。私にも、恥という感情はまだ残っていたんだ。変な汗をかきながら、次の駅でそそくさと降りた。
あまり馴染みのない駅だった。階段を登った先には、静かで古びた街並みが広がっていた。10分ほど歩くと公園があり、草はらにカマキリをそっと置いて立ち去った。
今も尚、カマキリはある日突然、私の前に現れる。
これは一体、何の縁なのだろう。
思い当たることが、ひとつだけある。
子供の頃、「あいつ、上履き隠したな、友達の顔してッッ!カマキリの卵、家に投げ入れたろか〜!」と、冗談で、いや半分以上本気で思ったことがある。
その禁じられた思想が、カマキリ界への扉を開いてしまったのかもしれない。
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