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涙はとっておけません

    くりす

    「お父さんって、卒業式で泣く人だった?」

    娘にそう聞かれて思いおこしてみると、
    自分は全く泣けなかった。
    意外な人も号泣している会場で、
    自分でも驚くほどに冷めていた。

     卒業式で泣かないと~ ♪
     冷たい人と言われそう~ ♪

    昔の流行歌が頭の中でループして、
    「自分は案外冷たい人間だったんだ」と、
    妙に納得したのを覚えています。

    けれど、今になって思い返してみると。
    あれは単に、
    不完全燃焼だったからなんでしょうね。

    何も乗り越えてない。
    ただ、時間が過ぎて決まった日を迎えただけ。
    そんな後ろめたさを抱えてたら、
    涙なんて出やしません。

    自分はホントの意味で、
    何からも「卒業」できず。
    ただ流されるままに大人になった。
    そして「卒業」するような対象もなくなり、
    毎日を何となくやり過ごすだけ・・・

    そう思ってたもんですが。

    しばらく前に仕事で随分苦しんだ、
    ある状況が終了したのです。

    この日、自分は「卒業」という実感を、
    初めて心の底から味わいました。
    「頑張った、俺乗り越えた!」
    素直に、そう思えたから。

    感情的には号泣できそうだったんですが。
    この年になると、実際に涙は出ませんねw
    結局、泣いてはおりません。

    「・・・まぁ、娘。
     卒業式で号泣できるかどうかは、
     毎日精一杯生きてるかどうかやで!」

    娘にはそう答えておいた。
    「ちょっと何言ってるか分からない」
    そう言って逃げられましたがw

     でももっと~悲しい瞬間に~♪
     涙はとって~おきたいの~♪

    ループしていた流行歌は、
    こんな歌詞で締めくくられますが。

    涙は、とっておけません。
    流せるときに目一杯流せるように、
    今日も精一杯、走りましょう!

     
     
     
    子供の頃は小説家になるのが夢だったおじさん。 日常をエッセイにしたり、小説にしてみたり。 面白おかしく書いてけたらと思います。 社歴25年の事務員なので、事務職にまつわることも。

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